■ 本来、誰だってクライミングできる…わけでない日本の現状
スティーブからは、”あなたはラッキーなんだよ、本来、他の初心者も、君と同じように、クライミングを身に着けることができるべきなんだよ…”と言われています。
それが、私の心に重くのしかかっている…。
何度もトライしていますが、失敗続きだからです。
一方、そう言われてもなぁ…、というのもあります。 私は自分が特別ラッキーというより、自分でも相当勉強熱心だったような気もしますし…。
というか、教えられたというのは、人生が語り掛ける、というような、そこはかとない教え方なんですよね、クライミングの場合…
■ クライマーの青年期、往年期、老年期
という、高いモチベーションを持ってもらえるのだろうか?
と考えています…。
昨日は、故・吉田さんのプロジェクトだったデイドリームを登った小峰さんのトークを聞いていました。
ジャンボさん、草野さん、小峰さんと連続で聞き、老年期、往年期、青年期の男性クライマーの様子が分かる感じだった。
登るモチベーションもそれぞれ違いそうでした。
■ ジム店長
同じタイミングで、ジム店長と名乗る男性から、岩場ご一緒しませんか~な、問い合わせが来た。その書き方が、なんだか軽ーいノリだった。
九州での実績を考えて、リード技術、つまりクライミングシステムの理解は今から、の人ではないかと思えた。違うかもしれないが…。今まで、このような誘いに応じて出かけたら、てんで、お上りさんだった=ビレイもできない、ロープも持っていない、という顛末がお約束だからなぁ…。
私にわいてきた感情は、義務感…というものであるが…、一方で…
青年期の男性が、私と岩場に行っても、きっと楽しくない
と、直感的に思った。
若い男性は若い男性同士で、羽目を外すのがいいのでは?な感じというか…。
小峰さんのトークを聞いてそう思ったんだが…。男子は男子で失敗を繰り返しながら学び、その過程で死ぬ人がいても、それはそれでその人の学びなのではないだろうか?(人の命を軽視するようなことは言いたくないが…次回の転生もある)
…というか、そもそも羽目を外したくてやる、バカやりたくてやる、のがクライミングという位置づけなのではないのだろうか?
■ 8年前の三つ峠の思い出
8年前の今日は、三つ峠に行っていたようだ。
人工壁に通い始めて3か月後の、初めてのマルチだったが、山梨の4月初旬は、まだ冬季登攀だったが…
岩のマルチって…
”羽目を外す”とは正反対な行為
のような?
どちらかというと、集中力を途切れさせない活動、登山よりも、もう一歩上の集中力を要求する活動、
という気がする。
この登攀で、私は全然高所を怖がらなかったので、私は清高さんの信頼を勝ち得たのだった…。落ち着いていたから。
今朝、FBからのお知らせで来たのが、この投稿だが、8年前である。
■ トポがあることを知らせるには、どうしたらよいのか?
人工壁通いをスタートして3カ月後だった。師匠が「三つ峠で一番、登られているルートは、どこですか?」と私に聞いてきて、「中央カンテ」と私は即答でき、相方はトポも知らなかった。師匠は、相方の無知を知らせたくて、わざと私に質問してきたのだった。
当時の相方は、高校で高所登山をしてきた人で初めて岩場に来る人…が、トポの存在すら知らない、というのは、別に九州でのことに限った話ではないかもしれない。とは、論理的に推論できるが…
一方、私はどうやってトポの存在を知ったのか?というと…? 登山をしているころから、『日本登山大系』とか知っていた。
八ヶ岳の雪山しかしていない人が日本登山大系を知っていて、高校山岳部で高所登山をしてきた人が知らない、んだよなぁ…。責めを負うべきなのは高校山岳部?
山梨で、会に属し、人工壁を登り始めたら、周囲の人が普通に百岩場を持っているので、特に誰かに頼んで教えてもらったという訳でもない。
つまり、明示的な教育があったわけではない…。あったのは、環境。
「岩場には、トポってものがあってね、三つ峠はここだよ」なんてことが起きたわけではない…
ので、どうやってそれを起こしたらいいのか?って感じだ。
■ 支点についても知らなかった
三つ峠は、2度目からリードしている。
初日のこの日は、横浜蝸牛が、同じ日に行って記録に「まだ冬季登攀だった」と後日書いていた。登らないで帰ったようだった。その記録を後日見て、コンディションを悪い中、凍える手で、師匠が無理して登ってくれたと理解した初・三つ峠な日だったのだった…。(感謝!)
2回目から私はリードしており、残置のハーケンなど怖いとも思わず。というのは、登攀でそうした残置に一切頼っている感じがないからだが…落ちることは、あり得なさそうだったので。
ところが、その後、何回か通ううちに、都岳連の岩講習に遭った。ら…、講習生の人たちは、2度目からリードなんてありえない!とか言い合っていた。
…ので、”マジ?私、2度目からリードしているけど、早すぎるステップアップじゃないの?”と不安になり、会の2段が登れ、高校山岳部からやっている先輩に、”いいのでしょうか…”と不安になって聞いた。無理なリードをしているとしたら、危険だからだ。先輩の答えは、いいですよ、だった。
だから、相談の内容は、”早すぎるステップアップかどうか?”だった。トポとは何ですか?ではない…。
■ 先輩が付き合ってくれない
その後、別の会だが、先輩を何度、誘っても三つ峠は付き合ってくれなかった。
その理由は、後で分かったのだが、支点のボロさ、だった。
それで、支点が不味い=登らないという公式が理解できた…。
えらい遠回しな教え方だ。
■ カム支点
それでも、私は三つ峠は、鹿柵設置のボランティア活動もしたし、友人を亡くしてもいるし、色々思い出がある山で好きだったので、登攀も通いたかった。
…ので、カムを持って行って支点を作ると言ったら、やっと付き合ってくれた。ビレイステーションでは、カム三つ、です。
でも、その先輩と行ったときはすでに知っていて、なんで知っていたのかなぁ… あ、太刀岡左岩稜に行ったときの先輩が作ってくれたからだ。
でも、別に、「こうやってつくるんですよ」とか教わった覚えはないけどなぁ…。
目撃したことを自分もやるというだけで…。写真を撮ってもいいですか?とは言ったけど。
■ 読書がカギなのか?
色々考えても、何も特別には、教わらなかったけどなぁ…。
保科さんの書いた『アルパインクライミング』という本は10回くらい読んだけど…。
どう考えても、”カムで支点を作るときはね…” なんて、手取り足取り指導されたことはない。
■ 信頼できない岩場=行かない&楽しくない
三つ峠は、いやがる青ちゃんを無理やり連れても行ったが…というのは、関西の人に関東の代表的なアルパインの練習場を知らせないのはおかしいと思ったからだが…
猫の頭ほどもある懸垂支点を見て、「こんなの信用したらあかんで!!」と彼は叫んだのだった…
それで、ビックリ仰天したのはこちらで、その懸垂支点、これ以上ないぐらい、がっちりしているからなのだが… 無いと下界に降りれない…。(三つ峠は歩いて上に抜けれる)
さらに彼曰く、登攀が簡単なので面白くないのだそうで、支点がボロく登攀が簡単=登るに値しない、という価値観を伝授されるようになったような気がする。
彼と登り始めたころから、フリーの難度のほうが楽しいと感じるようになったため、私も三つ峠に行くことはすっかりなくなってしまった。フリー=安全、という思い込みが生まれたのも、このころだ。
■ 岩場に行く前にビレイもプルージックもできたけどな…
その前の先輩は、岩田さんで、岩田さんと登っていたころは、月に一回の小川山もうでという感じだったが、私は全くの初心者なので、トップロープでもボロボロだった…
が、この時は、すでにセカンドで登れなくなったら、自主的にプルージック登攀…スリングを二本出してきて自力でトップのところまで何としても行っており… ビレイも出来ていたので… 技術的にどうこうというよりは、登れなくてかわいそうな子、という感じだった。
プルージック登攀はこうですよ…とかは、どこで教わったっけ?
山小屋バイト中に、毎日練習していたのは覚えているが、プルージック登攀については、学習する会を、地元のガイドさんに講師してもらって、自分が主催したのだった。
ので、具体的には、プルージックを教えてください、というリクエストをそのガイドさんにはしたが、資料を作り、人を集めたのは、私のほうだ。お金儲けしたのもその人。
■ 理解力=受け取る力次第??
結局のところ、クライミングの理解力というのは、受け取る力、なのだろうか…?
どうしたら、安全にジムクライマーが外岩に行けるようになるのか?
私にはまったく見当がつかないな。
そういう事例をまだ一件も見ていないからかなぁ…。
周囲を見渡しても、登山から入った人しかいない。そういう人としか、岩場に行っても楽しくないから…なのかもしれないが…。
だからと言って、ジム出身のクライマー(主にボルダラー)を岩場から押し出していいということにもなるまいが…。
■ 草野さんのトーク
下記のリンクでは、草野さんが新しい時代の人を教える文化がない、ということを話している。
登山出身の人が持っているような、自然を大切にしましょうという心、を学ぶ機会がない、とおっしゃっています。
テクニックの話ではなく、理念、考え方、あり方、ということが核心化している。
テクニックなんて覚えようという気になったら、覚えられるようなものだと思う。というか、覚える気にならなければ覚えられないというか。
草野さんレベルの人が、ジムクライマーをどう的確に外岩クライマー化したらいいのか、分からないのだから、経験の浅い私で分からなくても、普通の事ですね…。
ただ、変化は、よそ者、邪魔者、馬鹿者、から…と言いますから、誰か若いクライマーが、これだ!という方法を発見することができるかもしれません。
ともかく、雨後の竹の子のように、多くの人が外岩に行きたがっているというのは、ほんとうです。
■ 子どもはずっと外岩だけで育つ方がいいかも
私は、子供へのクライミング導入もしていますが、中学生くらいだとロープワークを、目を輝かせて学ぶ子もいます。
そういう子供は最初から外岩で教え、インドアジムは要らないかなぁ…と常日ごろ思います。
ジムの壁って、後からいくらでも登れる。一方、外岩の岩の機微を覚えるには、若いほうがいいです。外遊びのほうがリスク感性もついていいのではないかなと…。
森の幼稚園の先生など、子供は自分でリスクを避ける、と言っていました。私も3歳児や5歳児を連れて山に行ったことがありますが、子供のほうが大人より、慎重です。
もしかしたら、青年のクライマーは、子供時代に身に着けた慎重さ…をどこまで、外せるか?どこまでボールドになっても自分は大丈夫なのか…それをテストしたくて、外岩にくるのかもしれませんね? その時、それは危ない、とか言われたら、むかつくかもしれませんね?
■ 大人のジム出身クライマー
さて、子供はともかく、すでにジムで登っている若い男性が、安全に外岩にデビューするには?ということになりますが…、山岳会はすでに高齢化だし、ジムはインドアしか指導できないので、消去法で、やはりクライミングガイドに着くのが良いのではないかと思います。けっこう高額ですが、大人は、お金払えますよね。
■ 一緒に行ってもモチベーションが違い過ぎて楽しくないのでは
私も教えてあげることはできますし、やぶさかではないのですが、
私の方が一緒に行っても、きっと楽しめない…
と、傍と気が付きました…。というのは、何を楽しいと思うか、違いすぎるからです。
羽目を外すことを楽しいとは思っていない…
私は集中してゾーンに入るのが楽しいので…。
きっと、清高さんも青ちゃんも、私と同じ状態で、だから、”若いクライマーに教えない”という批判を浴びる羽目になってしまったのでしょう…
誰が悪いのでもなく、単に、一緒にいても楽しくない、若手も若手で思うし、高齢者のほうも高齢者のほうで思うし…互いに危険が増えて、安全が増えない…。
羽目を外したい若い男性をずっと見張っていないといけないので、教える側は苦労が多く、逆に若い男性の側は、本来しなくていい、相手の心配、荷物を持ってやらないといけないとか、持病で倒れないかだろうか、とか…。互いに、Lose:Loseの負担増の関係性になってしまう。
頼れるリーダー年齢層、ジャンボさんみたいな40代50代の人…は、一般に山岳会では、ほとんど存在しない年齢層だし…
というので、なんとなく、”教える人がいないし、学ぶ場もない” ことが、なぜ起きているのか、3者のトークを聞いて、分かったのでした…
https://anchor.fm/rainymonkeysradio/episodes/9---24-e191s7g/a-a6o2p4o
私には重すぎる荷なので、荷を下ろすことにします。