2019/07/05

境界線のあいまいな日本

登山界ではよく知られていますが、外国では、一般登山者と本格的な登山をする人は、まったく歩くトレイル自体も別で、混在がないにもかかわらず、日本は混在しています。

同じことが、岩場にも言えます。

スポーツクライミングの岩場で、アルパインの論理をかざしたり、アルパインの岩場でスポーツの理論をかざしたり…とややこしい…

■徐々にリスクを大きくするべき

アルパインへ行くにも、最初は、スポーツクライミングの人工壁でビレイを覚えないと、落ちる人をキャッチする経験値は積めません。

落ちた人を停めたことがないビレイヤーが「私はビレイできます」と言ってきたからって信頼できます?できませんね?

ちなみに、落ちた人を停めたことがない人は、年配のクライマーには一杯いそうです。ついでに言えば、落ちたことがない人もいそうです。

そののちに外岩に行きますが、最初から瑞牆なんていかないでしょう?

最初はⅣ級のゲレンデからです。

そして、Ⅴ級、つまりフリーのグレードになってからは、最初はボルトがしっかりした城山などのスポーツクライミングの岩場に行きます。

そこで登りが上手になってから、小川山などのフリーの岩場へ。

そういうリスクとスキルの段階的なステップアップをしていかないと、リスクを積極的に取るアルパインクライミングはできないと思います。

安全にギリギリに迫るスポーツ、困難を追求するフリー、リスクを取っていくアルパイン、と背後にある価値観や思想が違うのに、日本では、きちんと色分けされていません…。

結果、どのクライミングでも、肝試し大会みたいになっている。そこが問題のように思います。

私はラオスに行ってとても楽しかったのですが、スポーツクライミングとはいえ、5.13もちゃんとあり、毎年通ってくる強つよクライマーもいます。
そのクライマーは困難を追求しているので、安全でないと困難は追及できないです。

日本では安全に困難を追求できるクライミングのフィールドが限定的なので、世界へ足を伸ばさないと、安全vs困難の追及のバランスが、各クライマーの成長段階によって適切に選ぶことができないです。

そこが、ボトルネックになって、クライマーにとっては、安心してクライミング力を伸ばすことができない、と言うことになっています。

これが登れないんだったら来るんじゃねぇ!という岩場で、その一番易しい課題が登れない人はどこに行ったらいいんでしょう?

その易しい岩場に行ったら、今度は大ランナウトだとすると、その人にとってはどこも難しすぎるか、危険すぎるかと言うことになってしまいます。

多くの人がそういう意味で、ボルダリングジムでだぶついてしまいます。もちろん、インドアジムでクライミングをしている目的が、痩身、とかでもいいのですが。

都会ではボーリングのようにボルダリングが受け入れられており、それはそれでいいと思います。つまり、その先に発展性がなくてもいいという意味です。

しかし、もし、さらに頑張りたいという人がいるのなら、その道は残してあげるべきかなと思います。

今すでに登れる人は自分が登れるから、それでいいということになってしまいますが、その状態になるのに梯子を外されているのが若いクライマーたちです…

それだと、若い人はどうしたらいいのか?となります。

2019/07/02

誰のおかげか?

■ 押しかけ師匠

一番目の師匠とは岩場で会いました。「流動分散を作ってみせなさい!」感謝はしていますが、「弟子にしてください」とかって、私が頼んだわけではなく、「勝手に山に登りますので、結構」と言っていたのに、「いや、山には師匠が必要ですよ」と説得されての、押しかけ師匠でした。

思えば、心配だったのだろうと。

どこでもいいから山岳会入ってと言われましたが、その入った山岳会では一回目の山から、私はガイドする側で、連れて行ってもらうことはなかったのでした。このころは相方ができて、その相方が分不相応にすごい山に行きたがるので、決裂。

2番目の師匠も押しかけ師匠でした。頼んでもいないのにレスキューを一杯教えてくれて大感謝☆ ステキ☆と目がハートマークになり、歓迎しました。このころは山を教わる必要自体は、理解していたからです。

が、どちらの師匠も、別に私が「弟子にしてください」とか言ったわけじゃないんです…。どっちかというと、向こうから勝手に来た。

■ コントロールされるのが嫌でした・・・

それに、1番目の師匠は人工壁に通うと、ぐちぐち文句を言って来たし、2番目の師匠は、私がしたいリード練習をさせてくれないし、どう考えても、

 自分の思い通りにコントロールしようとして来る

ので、その点がとても嫌でした。

なんで、努力してねちねち言われるんだ?!
なんで、誰でも通る普通のリード練習をさせてもらえないんだ?!

と思っていました。登攀力が足りないなら、補わないと困るのは私だし、疑似リードでリード練習したいのは、ごく普通のことです。何も特別なことを頼んでいるわけではありません。

■ 勝手に成長するのが後進です 

私が先輩なら後輩がしたいようにやらせます。それが先輩のあるべき姿と思う。今、疑似リードしたいんだったら、させてあげるし、その代わり自分が登りたいときにビレイヤーで来てもらえばいいだけです。

なんで、このやり方でないとダメ! と二人とも許容範囲が狭かったのか?よく分かりませんでした。 外岩はいいけど人工壁はダメとか、リードはしてほしいけど、カムを自分で入れながらはダメとか。

どちらも理由を説明されなかった。ので、反発しました。

山は自己責任なんだから、説明されないのであれば、反発するのは普通のことだと思います。その通りやって、怪我したり死んだりして、師匠たちは責任が取れるのでしょうか?

■ 自分のおかげ

ということで、今のクライマーとしての私があるのは、一番大きく、誰のおかげか?というと、

私のおかげ

です(笑)。

自分のおかげであることが一番よく分かる事例は、UIAAのトップ、スティーブ・ロングさんとも知り合いになっちゃったことです。なんでか?というと、インスボンで登った時に、アルパインサマーと言う教科書が韓国語で出ているのをみて、

ぬぬ。なんで韓国語があって日本語版ないのー ゆるせーん!

と私が勝手に思ったからです。別に誰から紹介されたわけでもなんでもない。

師匠は私がその本を発見した時、一緒にいましたが、素通りです。目の前にあっても見えるものは、それぞれ違うからです。

■ I am proud of myself!

ので、私みたいな、大してクライミングの才能もない、ちんちくりんの人がなんでクライマーなんだ?!と腹が立つ人もいると思いますが、今のクライマーとしての、自分を形成するのに

誰のおかげだったのか?と言えば、自分のおかげです。

I am proud of myself!

誰に一番世話になったかと言うと? 自分に一番世話になりました(笑)。

■ クライマー=特権階級 は日本だけ

大体、クライマーになるのが、

許された一部の人だけの資格制

のところは、日本国くらいで、海外では誰だってクライマーになれるのが普通なわけですから、そもそも、なんでこんな人がクライマーなんだ?という疑念すら、外国人から問われることはないです。

別に記録を持っているとか、有名とかじゃないとクライマーじゃない、とか、5.9で落ちる奴はクライマーじゃねえ!とか、岩と向き合っていないとダメ、とか、俺は認めない!とか、どうせ愛人なんでしょとか…

その発想からして、差別的で失礼ですから…。

それに気が付かないというのが、まさに日本的発想って気がします。

誰かがあなたを認めない!と言ったとき、あーそう、って言えばいいだけなんですよ。そんなことで、あーだこーだやっているのは日本人だけです。バカバカしい。

■ 無数の善意

さて、誰のおかげかと言うと、そりゃ私自身のおかげですが、

その他は無数のみなさんのおかげ

です。小さな親切が一番ありがたいです。 見返りを求めない親切が一番大事な財産です。

それだけがピュアな心から発したものだから。自分もそうありたいと思っています。

2019/07/01

かっこいいクライミングとは?

■ なんか鬱っぽいです…

今日は、お天気と同じく、気分の落ち込み激しく、非常に抑うつした気分で過ごしています。

というので、かっこいいクライミングとは何か?を考えてみます。

1)自信がそこはかとなく漂うクライミング

私の中でかっこいいクライマー筆頭は、地味ですがハッシーです。いや~かなり地味~にボルダーと向き合っておられました。去年この先輩とスラブのボルダー4級を始めて登り、登れた。そこはかとなく、マットを移動させてくれているのが分かりました…先輩もまさか私が登るとは思ってなかったんだろうな。4級が登れたのは初めてだったので、うれしかったです。そのボルダー2段と4級が共存でした…。段クライマーらしいです。

2)現実認識力が高いクライミング

ギリギリボーイズって誰が所属しているんですかね?の伊藤さんとアイスご一緒したことがありましたが…伊藤さんは小さいクライマーなので、後ろにセルフを取ってビレイしていました。

だよねーって。そういう人を見ると、ほっとします。

3)嫌味でないクライミング?

伊藤さんは、もっと難しいところを登っているだろうと思われるのに、師匠の設置したスクリューにピンクでリードしており、伊藤さんでもやってくれるだなぁと思いました。

ここで、俺は俺のスクリューで登るぜ!ってやると嫌味なのかも?

4)テーマが明快なクライミング

この日はみんなで薄氷に迫り、トップロープでみなでガンガン落ちました… 薄氷に迫るがテーマでした。

テーマって難しくて、行ってみて始めて、今日のテーマはこれか!ってわかることのほうが多いです。

5)その先を見せてくれるクライミング

この日はドライも見せてくれたのですが、クオークをクラックにねじ込み、なんというか冬場のクラック、アックスジャミング?みたいな感じ。

冬壁は昔は皆さんグローブで登っていたみたいですが、今はダブルアックスで登るので、必然的にそれは、ドライツーリングと同じです…

ということがそこはかとなく分かったクライミングでした。要するに、ピッケルというのは、杖から発達した道具ですが、現代のクライミングは杖=足の延長とか、バランス保持のサポートではなく、手の延長としてのアックス、積極的なホールド、としてのアックスと言う意味でした。クライミングが、スラブとオーバーハングくらいスタイルが違う。

6)男気があるクライミング

いや~男気ってそもそも何なんでしょう? 辞書を引いてみたら、義侠心とありました。

義侠心って何? 

自分の損得を顧みず弱い者のために力を貸す気質

とありました。反対は女気。女気もめったに使われないので分からないですね。

弱い者のために力を貸す、というのが、味噌かなぁと思いますが、クライミング自体は、本来は、弱い人は弱い人なりに低いグレードで登っていても、それで楽しいので…弱いか強いか?は、あんまり関係がない世界ではあるのです。

関係が出てくるのは、どっちかというと歩荷とかある山のほうで、やはり歩荷力があると山では余計なものが担げるので、有利です。

しかし、山で、担げない人が厚さ数ミリのマット軽量化して、寝ているときに、180cmの大男が厚さ5cmのマットで寝て、「俺リードできないんでお願いします」と言うときには、なんか違うと思いました…。

ので、男気があるクライミングはこの真逆かなと思います。

7)知的なクライミング

山では、駆け引きなので、その駆け引きで、ギリギリに迫っていたら、結構楽しいです。

その迫り具合で知性が分かるというか…

沢に行ったときに、支点が取れない茅の上なのに、どんどん上に逃げちゃう人がいて、高巻きもクライミングを知らないとリスクだな~と、心底、思いました。

支点がない時に上に逃げるのは自殺行為です。

そういうことが分かるために、普段クライミングしていると思えばいいのかなぁ…

ロープが命綱になっていない場合、知性が低いと思われます。

しかし、アルパインの場合は、基本的には、落ちないですので、スポーツクライミング並みに墜落係数0.3レベルの支点はイラナイです。

そんなことしたら、遅くなって逆に危険だし…

その兼ね合いが絶妙というのが知性です。この辺は、誰かをお手本にできたことはないかも…

■ かっこいいというものを求めていなかった?!

とここまで考えて、私はそもそも、クライミングにかっこよさを求めていなかったかも?

とハタと思いつきました…

では、私のクライミングの価値はなんだったっけっていう話ですが…。

リードで、下のビレイヤーがしびれを切らしているのは分かっているけど、粘って、ムーブが出てくると、なんかうれしいんです…

ムーブ、いったいどういう話で出てくるんでしょう???

かなり焦るというか、切羽詰まらないと出てこないんですが…

でも、力量以上の課題に取り付くと、げっそりしてしまいますし…楽しい~!っていうホルモンは、出る場合とでない場合があり、その出る場合はいつなんだ?

でも、出そうで出ない楽しいホルモン… インスボンやラオスでは出ていたナ~と思います。

ちょうどいい難易度を登らないと出ない。ちょうどいい難易度っていうのが、個人個人で違ってくるのかもしれません。

最近は下で、”え~ねぇーまだー?”ってなっているのは分かっているのですが、甘えさせてもらっています。

ハングドッグしないから、粘っている… これはどうも、格好は良くないクライミングみたいです(笑)。


筑紫野ボルダリング@ボーリング場

 ■ 久しぶりにリード壁

へ、行きました。ここの壁は、短いので、怖いんですよね…(笑)。

短い壁=課題が凝縮していて、落ちたとき、危険が大きい、

と言えます。

これは、外岩でも同じで、距離が短い課題は、より危険が大きく、距離が長い場合は、安全であることが多いです。

一般の人は、高ければ高いほど危険と思っていますが、高いほうが安全…。

かといって、壁が長い、アクシオンは、課題設定が全然、ツマンナイんですよね…。

結局、リード練習するところがない…というのが、インドアボルダリングジムでクライミングをデビューしたクライマーが、外岩に行くときの一つの壁になっているカモです。

インドアでリードしないと分からないことが色々あり、落ちるときやローワーダウンでも、頭を下にしてはいけない、などもその一つです。

 昨日は、スポーツクライミング教室の日に当たってしまい、12時についたのに、3:30からしか登れないということで、廣瀬さんとお話しできたのが、一番の収穫でした。

クライミングは後回し(笑)。やはり、外岩でのボルトについては問題が多い。

想定外に時間ができたので、筑紫野にあるらしい新原さんのジムを目指してみました。



あら~ ボウリング場と併設。

これは、ベアハンズさんと同じですね!

クライミングがボウリング並みに普及すればいいですが、その途中で、

リスク管理がお留守

になりがちです。インドアにはリスクほとんどないからです…








が、この日はインドアでも、リスク100%!!

一つの壁に一人、という原則

は、誰も知らないようです…(汗)。人が多すぎて、危なくて登れない。

ので、あきらめて撤退… すごすごと竜岩に引き返しました。これって、市内のクライミングジムでもあるあるなんですよね…。子供で一杯のジムには行かなくなります…

あぶないので…。

ボルダリングは着地が問題です。着地が問題という意識がある人が少ないというのも、問題。私は大体ジャンプしないで、クライムダウンしています。

 安い!
 新原さんのリード課題は、核心の後にクリップがあって、日向神では怖い系課題です。

私はできるだけ避けています。

でも、ボルジムで強いから、そうなるんだろうな。

しかし、登れることと落ちたらどうなるか?は別問題と習いました。

登れるから取らないプロテクションでは、アイスクライミングなんて、全部ノープロでいいっていう話になります。

アックスバチ効きでないと登らないんですから。

同じことがスラブにいえるようで、落ちないからビレイヤーもランナウトも、あまり問題にならない。逆に言えば、落ちるときは登らない。

筑紫の湯、っていうのと併設のようでした。

なんかビールとか飲んだりできるようで、海外のクライマーが雨の日に来たときにレストができていいかも?

 しかたないので、すごすご引き返したんですが、お腹が空いて、うどん屋に入ったら、なんと激安!

辛高菜うどん 250円!!やす~。となりはなんと大盛肉うどん…300円くらい?(忘れた)。

竜岩とうどんはセットで決まり?!


未来に向かって時限爆弾をセットしていること

■ 久しぶりに竜岩 人工壁

昨日は、久しぶりに竜岩の人工壁でリード壁を登ってきました。

自分のクライミングより、むしろ、色々なボルト事情を教えてもらったことにショックを受けています…。

これまで、私のクライミングは、感謝の心 で紡がれてきました…。

ワタシごときになぜ、このような素晴らしい経験が与えられるのかな?そういう思いが、他のクライマーに情報提供しよう、という気持ちになっていました。

しかし、そもそも、感謝するような良き環境で登っていたか?というと???

そこは疑問のようです…(汗)。

私は、一体、人生に何を問われているのでしょうか…?

これは、Hilti社のステンレスボルトで、M8x70mmですが、これをリボルトに使うには、あまりお勧めではないと、UIAAのえらいさんに教えてもらいました。

しかし、日本でも、どこでも、開拓クライマーはできる精いっぱいのことをしているハズです…

そのせい一杯が、世界的スケール、そして、現在行われているボルト設置の基準のどこに位置づけられるか?というと、

このボルトでは、時代遅れ

と言うのは、客観的に言えることのようです。

また、私と登ってくださっていた老練なクライマーの設置したボルトも現在新品でありますが、まぁベストプラクティスとは言えないそうです。残念です。

ただ新しいですし、十分にテスティングして登る分には問題ないと思いますが…トップロープのアンカーのほうが、支点に係る負担は大きいので、十分に気を使って、バックアップを取って使うべきのようです。

まぁ、今すぐ大事(例えば事故)が起こるような、木工ボンドでつけられたような粗悪なボルトであるわけではありませんが、

 未来に向かって時限爆弾をセットしている

と言うことは言えるようです。

ただ、それが善意で行われていることであり、そして、それが能力の精いっぱいである、知識的限界である、というのが、非常に悲しいところです。

地元でクライミングの講演会の登壇者に選ばれるような名誉を得ている人であっても、です。

人物として尊敬を得るということと、能力は違うということなのかもしれません。

■ 登る前にボルトをテストする

登る前にボルトをテストしなくてはならない。

となると、私が思うのは、OSというのは、数グレード下以外ありえない選択肢ではないか?と思うことです。

オンサイトであれば、ボルトに頼ることはないので、まぁボルトの重要性は非常に小さいです。

しかし、ギリギリグレードに取り付いた場合、落ちるのがギリギリの証明ですので、ボルトが信用できない場合は、フォールファクター2の墜落は、バクチになります。そうしたくない場合は、やっぱり、テンション、ってことになるでしょう。

あるいは、Aゼロ登りを最初にして、自分が登ろうとするルートのボルト信頼性をAゼロヌンチャクで確認しておくのがいいのかもしれません。

そうなるとやはり、オンサイトではなく、RPになります。純粋なオンサイトというのは、強い喜びですが、それにこだわらないほうが安全ということならば、そのほうがいいかもしれません。

どのような作戦で、外岩をいかに安全に登っていくか? 

考え始めると、OSで登れた次は、その隣の課題にトップロープを張って自動化をもとにフリーでの登りを狙うよりも、やはり各駅停車でレッドポイントみたいな登りが一番安全なのかもしれません。




2019/06/29

山との駆け引き

■ スタンプさんに行きました☆

なかなか店長さんが篤く歓待してくれ、楽しく登りました。たぶん、私みたいな、あまりクライミングに才能がない人の場合は、アドバイスをもらって何か一つでも学んで帰る、ということが大事なのかもしれません。

スポーツクライミングという観点で見ると、外岩とは全く違う、スポーツとしての感性の高さがあります。

しかし、私の場合は、ムーブの楽しさにハマる、ということではないかもですね。そっちは、ぼちぼちでいい… 

のは、分かってしまったからなんです…鈍行で行かないと、すぐに上達してしまって楽しみがなくなってしまうってことを(笑)。

 スポーツクライミングという観点で見ると、外岩とは全く違う、スポーツとしての感性の高さがあります。

しかし、私の場合は、ムーブの楽しさにハマる、ということではないかもですね。そっちは、ぼちぼちでいい… 

のは、分かってしまったからなんです…鈍行で行かないと、すぐに上達してしまって楽しみがなくなってしまうってことを(笑)








■ 駆け引きが無くなる

アルパインの面白さは山との駆け引き

しかし、人工的な手段(ボルジムやスポーツクライミング)で若い間に登攀力が完成してしまうと、もしかして、山との駆け引きは、存在しなくなってしまうのかもしれません。

山が楽しいのは、落ちる!と感じる程度の登攀力の低さで、どれだけ山と駆け引きができるか?という点であるためです。

たぶん、一番楽しいのは、登攀力が未完成なクライマー時代かもしれない。

その時期を長くするために、わざとジムには通わない、という手もありなのかも?と気が付いてしまいました…。

■ 強つよになると山に行かなくなる

先輩で2段が登れる人や5.13登れる女性アルパインクライマー知っています。

…が、もう山には行かない。なぜだろう?

行ってもツマンなくなるのかもしれません。山を長く歩くことに充実感を感じていた時代は、どんどんと山を大きくして行っていました。

今は山が大きくなっても、特に充実感を感じることはありません。自分に何ができて、何ができないのか?ある程度洗い出しが済んでいるから?

でも、山以外を歩く気には、最初からそもそもならないんですけどね。

しかし、距離を伸ばしていくことで充実感がある、というのは、山岳総合センターに通い始めた一瞬でした…

あの頃は、コースタイム以下で歩けないかもしれないというのがあったので。

今は、自分が引けを取る可能性は低いので、自分のペースで歩くことに自信があります。

一方、登攀については、自分のスタイルがまだ模索中なので、色々な人が主義主張を言ってくると、困ったなぁとなります。

押し付けのように感じられるんですね。

■ 教える人がいない

アルパインクライミングが廃れたことの最大はやはり、教える人がいないことだと思います。

以前の山岳会では、アルパイン志向の人は来てもらっても、手に余るという感じでした。

要するに山岳会のほうでも、入会をお断りしている状況なのです。教わりたい人はいっぱいいるのに、教えてもらえる人が少ないわけです。

私の場合は、師匠は二人とも押しかけ師匠ですので、とってもラッキーでした…

このまま、時代が変遷すれば

 インドアジムでボルダリング経験はいっぱいあり、高グレードは登れるけれど、外岩経験ゼロのクライマー

 ハイキングしかできないけれど、ウルトラマラソンやトレランでつよつよハイカー

が一杯になると思います。

リスクは、アウトドアの外的要因を知らないこと、となるでしょう。インドアであれば、どこまでも自分を追い込めますが、アウトドアでウルトラマラソンみたいなオールアウトやられると、遭難死まっしぐらです。

すでに、インドア出身のクライマーが、”すぐ落ちる”っていうので、オールドクライマーから苦情が出ているくらいですし…

こうしたリスクへの感性の低さ、というのが、次世代への置き土産、課題、となっていくだろうなぁ…このままでは。

まぁ、人材難であるため、仕方ないです。

2019/06/27

思わぬ流れでクライミングで国際交流2度目

■ 急遽、日向神へ?!で焚火ナイト

昨日は面白い一日でした。こんな一日が過ごせたのは、転勤妻なる社会的地位のなせる技。感謝、感謝です。

ゲストハウスのオーナーS本さんとはメール交換していましたが、なかなかお会いする機会がないままでした。

なんと帰国途中の彼から電話があり、急遽、日向神へ行くことに…。

ゲストハウスで、来客者にクライミングを ”体験アクティビティ” として提供することで、クライミングのすそ野を広げたり、日本の地域と訪日客をつなげることで、国際理解を深めたりできるかもしれないからです。

行ったら焚火ナイト絶賛開催中でした(笑)。

■ あっさりOK

朝起きると、宿泊されていたドイツからのお客様、アリとカミーラのお二人に声がけ、クライミング行ってみる?と聞くと、あっさりOK。

さすが外人さん、ノリが軽い。日本人も最近は軽くなってきていますが、クライミングジムで、親子が多いので、私と同年代の人に声をかけると、「私なんて、とてもとても」とか言います。なんか違和感あるのは、私だけでしょうか。したくないなら、しなくていいけど、そうじゃない原因のような?

でも、私も14年ほど前にニュージーランドのウェリントンで、波止場にある巨大ウォールに「登ってみる?」と言われたときは、真っ青になった。

ので、まぁ、先入観や無知が原因と言うことなので、人のことは言えないのですが(笑)。

ドイツからのゲスト、カミーラとアリは、緑茶が大好き。ドイツでは緑茶が日本の価格の5倍だそうでした。

いや~びっくり。日本から、誰か個人輸出で、外国人にお茶を売ったらいいのではないでしょうか?

■ 国際交流第二弾は雨の中(笑)!

しっかし、福岡の渇水は大丈夫なんですかね?!とクライミングに行くたびに心配していましたが…やっときた梅雨の初日と重なるとは(笑)! 神様のイジワル?!

午後から雨と言う予報だったので、なんとか午前中だけクライミングするのに間に合わせたいと思っていましたが…

ゲストを急かせるわけにもいかず… 

到着は1時間遅れ…パートナーも、待ちくたびれてしまったでしょう…

スタートが遅かったのもありますが、リードしてみると、なんか岩がぬめってる!なに、これ?朝降ったのかな?

スラブを登るには最悪にコンディション悪い日でした(笑)。いや~、あってよかった登攀力。5.7でも滑る日は滑ります。

そいでもって、皆さんにトップロープで楽しんでいただくということになるのですが、楽しかったのかどうか?!

こんな雨の日に登る羽目になるとは!! あららー でも、これでビビりは抜群のハズ!

トップロープですから、ビビッて登るのがだいご味ですから、ある意味、ビビればビビるほど正解ともいえるわけで!

というので、しっとり濡れた岩を登る体験クライマー3人。

 さすが元自衛隊。上まで行けた~

上まで行った唯一の人?!
 外人さんは足長いことを確認(笑)なにこれ?!

体長の半分は、足では?!これでは、日本人がステミングで不利でも仕方ないですよね?

ワイドとか、絶対登り方違いそう… 

でも足の長さより手の長さのほうがクライミングでは
重要そうではありますが。
若者だけになぜか、教えていなくても出てくるムーブ。Youはいかにして、側体を覚えたのですか?な彼。

やっぱり

パワーがある人=正対引付
細身の人=ムーブ

という全体的な傾向があるような?!






■ 日向神 ほんだ の山菜丼

もうお昼には、岩はすっかり濡れて、回収に行ってくれたクライマーを見ていたら、普段は使わない、エライ易しいラインを伝っていました…(笑)

一体グレードどうなっていたんだ?!この5.7.

沢登りで出てくる感じ?

とはいえ、さすがの登りで回収してきてくれたんですが…悪いなー。

待たせたうえに本日最悪コンディションで登らせる羽目に…(笑)

というので、二人でランチに本田へ。私のおごりです。これくらいは。

ここの山菜丼は、地元のおばちゃんが、地元で採ったものを食べさせてくれるのだそうです。800円。かつ丼が650円だったので、クライマーはそっちに流れてしまいそうですが(笑)。

■ 山に興味を持たなくなる

おばちゃんたちの山菜エリアマップ知りたい(笑)。山に嵩じてくると、山菜ときのこの知識が増えます。あと釣りのポイント。

まぁそういうのを国土地理院の地図をもとにトレジャーハンティングのように探すのが、山やのたしなみの一つであるのです。

わらわら生えている山菜を見ると色めき立つ…というのは沢やだけかなぁ。

岩をすると、どうも傾向として、ムーブとか、パワーとかに意識が向きがちで、

 山自体を理解する

ということに目が向かなくなります。せめて、地元のおばちゃんがほとんど無償の労働で提供してくれている山の幸くらい味わいたいものですね。


試登を排除すべきか?

■ バイブル 

私は心理面で不安があると、バイブルに戻りたくなるようで、いつも、ギュリッヒの著作

『フリークライミング上達法』

を不安が起こるたびに読み返しています。もう何回目でしょう??? 今回もあっという間に読み終わった。

以下は引用と私のまとめです。以下はすべて同じグレードに取り付く場合に、スタイルの差で、初級者、上級者、エキスパートの3段階の発達段階があるということを述べたものです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー P17
1)トップロープで取りつく(5.10aの初級者)

この際、いつかリードで取りつくことを目標にする。未修得のムーブが洗練され、体に記憶される。これを繰り返してリードに至る。このスタイルは必ずしも理想的なものではない。 

2)いきなりリードで取りつく(5.10aの上級者)

ムーブの暗記(自動化)に頼らないで登る。当然墜落をすることがある。核心部では何回か落ちることがある。その場合、最終支点から、ムーブを練習し、下へ降りて、再度次のトライを行う。 (ヨーヨー作戦)

徐々に少ないヨーヨーの回数で登れるようになることが進歩の目安。

3)墜落しないで安全にゆとりを残して登攀。フラッシュができる。(5.10aのエキスパート)

ーーーーーーーーーーーー

つまり、
1)TR 段階の初級者
2)RP  段階の上級者
3)OS 段階のエキスパート

という3つのグレードが、同じ5.10aを登っているにしても、一人のクライマーの能力を表現するのに必要と言うことです。同じ5.11aを登っているクライマーの中にも実力の濃淡があります。5.12aでも同じです。

■ 実感

私はもうクライミング5年ですが、登っているグレードは変わりがありません。

しかし、中身には大きく進歩を感じます。5.9の重みに差があります(笑)。私は初心者時のスタートがこうでした。3つのグレード表現を使って表すと

1)初心者時点: OS4級、RP5.8 TR5.9
2)現在: OS5.9、RP 5.10a, TR5.11

つまり、5.9のエキスパートになるのに2年半かかりました。今は5.10aの上級者ではありますが、エキスパートではありません。どんなタイプの5.10aでも、滞りなく登れるようになることを目指しています。

■ トップロープなしの成長は可能か?

私の疑問は、上記の表の

 TR5.11 を 省略したほうがいいのかどうか?

ということでした。試登による暗記、つまり自動化に頼るクライミングと言うことです。

自動化はしかし、ジムでも同じ課題を繰り返し登ることは役立ちますので、自動化というのは避けるべきでなく、積極的に歓迎してよいと思います。

では、リスクはどうでしょうか?

つまり、太郎5.10dのような一度でも落ちると怪我をする可能性の大きな、危険な課題にTRを排除して取り付くべきか?ということです。

これは、クライマーが選択する選択肢であると思いますが、私の答えはNoです。

■ リスクを取る場面を選ぶ

というのは、リスクを能動的に取る、つまり、いざというときに取っておく、のが良い事のように思われるからです。

太郎の価値は、アプローチ徒歩ゼロ分と言うような気軽な環境で、一度トップロープで触って、核心の前にプロテクションが取れないシーンで、自分はどれくらいまでギリギリに迫っても大丈夫なのか?ということを確認するためにあるでしょう。

そういう経験値が、アルパインの本番の舞台で、どれくらいリスクを取ってもいいか?という合理的判断の根拠となるからです。

フリーでは、アルパインにおいて判断の根拠となるデータを比較的安全に貯める、ということだと思います。





2019/06/25

リードで取りついていい課題vsいけない課題

■ トップロープなしでの成長は理想論だが…

リードで取りついていい課題(シンシア11)とリードで取りついてはいけない課題(太郎10d)

の見極めが非常に難しいことが、理想論的な成長戦略…リードだけで成長する&トップロープ状態を排除する…を実行する難しさにつながっている。

■ アドバイスを真に受けた結果を実験しました!!!

フリークライマーで強い人は、1本目掛けれるなら全部リードでいいと言っていました。

ので、そうかーと素直に思い、実践していました♪ の結果、墜落をキャッチしてもらえず、頭を7針縫うことになりました!

山では素直さは禁物です(笑)。まぁ、頭だったので次の日から登っていましたが。

■ リードに適した課題を見極める

実際は、

1)核心前にボルトがない課題
2)1ピン目と2ピン目の距離が遠い課題 (2ピン目の配置はキモです)
3)落ちると振られて岩に激突する課題
4)下の木に激突する課題
5)ビレイヤーの理解不足がある場合

などの色々な問題があるので、理想論通りにトップロープを排除して成長するのは、とても難しいです。

他にもケースがあるかもしれませんので、分かる方がいらっしゃいましたらご教示ください。

■ 1に安全、2に効率の良い成長

これは、安全の面からトップロープも必要がある、ということですが、よりベターな成長にも必要です。

強つよで著名な会の先輩もリードしかしない主義でした。が11止まりでした。13登れるクライマーが、〇さんもトップロープを受け入れてくれれば、成長の余地があるのに…とつぶやいていました。

このセリフから、ある程度から上はトップロープを受け入れないと成長できないのかも?と想像しました。

ムーブ解決がどんどんシビアになってくるのかもです。

体格やパワーで劣る場合、この男性が5.11から5.12へのステップアップで直面する困難に5.10から5.11へのステップアップで直面するケースがあったり、さらに弱い場合は、5.9から5.10へのステップアップで直面するケースがあるのではないか?と思います。

私が指導した後輩たちは、5.6でも敗退の人が多かったので…。

グレードは違っても、直面している困難は、

・登りこみが課題
・パワーが課題

と、それぞれのレベルが違っても同じ内容で苦しんでいるのではないか?と思います。

■ エイドルートなら簡単か

昔の人はエイドしていたところを現代はフリーで登ります。

エイドしていたところ=ボルト間隔短い、と当然なります。大体、手が届く範囲にしかボルト打てないからです。

じゃエイドルートなら、誰でもランナウトの危険がなく登れるか?と言うと、これも違います。

あの遠藤由香さんが昔の雑誌でエイドルートに挑み、なんとショルダーされてヌンチャクかけていました(笑)。背が低いと登攀力があっても、ショルダーなんだーと理解。

と言う具合に、いちいちケースバイケース

■ ケースバイケースだと説明がめんどくさい

ケースバイケースだと説明がめんどくさいので、安全とは何か?安全に成長するにはどうしたらいいか?を誰も詳しくは語ってはくれません。

自らケースを収集して、自分で原則を見出すしかない、というのが実際です。

それには、雑誌はダメです。クライマーの本を読む方がいいです。

■ 師匠がいてもダメ

師匠がいてもダメです。なぜなら、師匠が分かっているのは、師匠本人にとっての安全だけだからです。

個々人がため込んでいるのは、

 ”自分にとっての”安全な登り方

で、ユニバーサルな安全は網羅していないのです。

■ 笑える事例

ちなみに、私は初期のころ強い男子と登っていたので、

”迷ったらハードプッシュ”

と教わりました。ので、最初のころはデッドばっかりしていました。デッドするような人にはリードはさせられない…。

そんなことは初心者には分からないので、「え~、なんで私にはリードさせてくれないんだろう?」なんて、寝ぼけたことを考えていました(笑)。

「この人、ちょ~こえー」と思われていたはずです(笑)。知らぬは本人ばかりなり。

私もデッドばかりする人にはリードさせないです。分かっていないこと満点なので。

トップロープで11が登れる人なら、5.9は落ちないで登れるはずなので、そのグレードまで下げるという条件でなら、リード許可します(笑)。

■ リード登り=落ちない登り

今ではリード登りが慎重になりすぎて、下のビレイヤーが、退屈しているのが伝わってきます(笑)。

「100%落ちない登りを少し緩めないといけないよ」と先輩に教えてもらっています…が、落とされて頭塗った反動&肉離れの反動で、超慎重すぎるクライマーに。

アルパインでは落ちたら死ぬけど、フリーじゃ死なないです。

そこんとこが体感できていない… いや~ あの頃の自分に戻りたいです。


2019/06/24

太郎登らなくて良かったね(笑)

これは信頼している方からのコメント

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「太郎」、登らなくて良かったね。2ピン目の先の核心をとりそこねると、大きく右に振られます。そこをしっかり理解して登るべきです。このルートは5.11がしっかり登れるようになってからにしてください。僕も核心で落ちることがあります。
ーーーーーーーーーーーーーー

いや~、そうしたら、グレードは5.11でいいのでは?くらいな気がしてしまいましたが(笑)。

これはリスクというのでしょうか?それとも、なんか理解の問題なのかなぁ…

■ 四郎も

四郎も四郎でリードは危なさそうだと思うんですよね・・・ 5.9だけど。

リードすることとオンサイトの哲学を強調されているので、これに取り付くように言われそうで嫌だなぁと思っている課題です‥‥

というのは、みるからに岩へのセンスが必要そうな課題だからです。分かっている人には簡単で、分かっていない人には難しそうという…

先週、九大生男子が敗退していました。見るからにビビっていて、こっちにも恐怖が移りそうなクライミングでした。

そういえば、小川山の入学試験もそうだったな。あと笹倉さんが講師をしていたカサブランカも・・・

私はカサブランカは今年はマスターでリードしたいですが、機会がないだろうなぁ…

あ、話がそれましたが、リードで取りつくには、それなりのルートを見る目、選別眼、識別眼が要りますが、その目だけでなく、オンサイト至上主義については、それに適した体格というのも必要そうな気がいます。

ラオスでは、別に頼んでいなくても、全部オンサイトなんですよね。オンサイト以外ないくらいです。私は落ちるの嫌いなクライマーなので。

やはりクライミングで楽しさを積み上げていくには、丁寧な課題の選び方、面白さをつなげていくルート選択の妙、というのが必要な気がしますね。

そこで、やはり育てられた人も、気が付かないで、師匠の作品、となっているのかもしれません。

成長も、そのプロセスでの楽しさ喜びも、指導者次第という現実があるのかもです。

課題を見極める目

■ トップロープからリードへ

昨日は色々と考えさせられたクライミングだった。

昨日はトップロープで遊んで、ムーブが楽しく落ちて、良かったが、まぁこれだけだと、強くはならないだろうし、なぜか知らないが、

 切羽詰まるとムーブが出てくる

ので、リラックスとムーブの発揮力は別物だと思った。

ちなみに、パワーは、切羽詰まっても出てこない(笑)。回数を重ねれば重ねるだけ、私は瞬発的なパワーを失うので、パワーと言うのは私の持ち味ではないことは確実だ。

このことは、アップで被りをやりたい青ちゃんとのクライミングでも明らかで、私はアップで一本でもかぶりをやると、その後は1時間以上回復しないのだった(笑)。

■ ピンの配置について知見を深め中

一方、リードで取りつこうとした道端エリアの太郎5.10cは、グレード改定されて、5.10dだった。

リードで取りついて、登ってみようかなと思ったんだが、心優しい先輩が、未然に危険を察知して、身代わりクライミングしてくれた。毒見クライミングだ。かたじけないなぁ。

普段12登って、この日に別の11を落としてきた彼のルートを見る目のほうがやはり私の目より正確なようだ。

ちょっと私には難しいのでは?と思ってくれたため、毒見で登ってくれ、2ピン目と3ピン目で、降りてきた…「これ、怖いよ」。

結局、私がリードするのは、ちょっと危険(核心前で大きく落ちる可能性が大きい)が大きそうだった。落ちても確実にグランドしない、壁のどこにも当たらないと分かっている課題なら、11でも落ちて平気なのだが…。

クライミングでの怪我は、確実に後退につながる。

足の肉離れで2か月クライミングできなかっただけで、だいぶ筋力が落ちたなと思う。グランドして頭を塗ったことがあるが翌日から登れた。

足や手首、指の怪我は、だいぶ後退要因になる…ので、ただ落ちても死なないだろうというだけでなく、落ちたときどこをぶつけるのか?ということもある。ボルダーは足首をやる人が多く、足首の捻挫を悪化させて半年登れなかった人も知っている…

落ちることを怖がっていない彼でも、この課題は最初はリスクを感じて降りてきたので、怪我の回復クライミングしている人には向かないと思われた…

やはり、課題を見極める目ということが私にとってボトルネックと言うことだ。

■ レイバック

が、シンシアでできなかった核心をトップロープで再登してムーブを探ったが、私が確実感を感じるムーブとしては、レイバックしか出てこない。

ので、これではリードにはつながって行かない。レイバックだと、プロテクションを掛けれないのだ。ここはほとんどの人は立てカチか、アンダーでもって解決している個所だが、現在、保持力が下がっていて、レイバックで傾斜を殺さないと持てない…

というので、残念に感じて降りてきた。

■ 固執せず

前の先輩は、トップロープはしないと固執するあまり、登れるグレードが11マックスになっていた。しかし、トップロープしかしない、させないだと、クライマーはリスクの取り方を覚えられない。

適切な成長には、クライミングの質、内容というものがとても大事なのだ。

それを競い合うのが、クライマーのコーチング、なのかもしれない。

私は伝統的なアルパインの育てられ方をしたので、自分の後輩にもそうしているが、過去の自分と同時期の人に過去の自分がさせられたことをさせても、反応はイマイチだ。登れません。

2度目から三つ峠リードさせれる人はいない。初めてのゲレンデでリードさせれる人もいない。ので、新たな新人さん育成の方法がないと、リード人口は減るだろうが、だからと言って、万年トップロープだとクライミングの喜びを得損ねると思う。

というので、何ができたたら何をさせていいいのかという目安が大事になる。

私はリードへ進むには、

・落ちることが察知できる、
・落ちる!と声を出す、

と教わったが、今回の太郎5.10dを見ている限り、

 ・ルートを見て、リスクを判断できる、

も入れたほうがいいかなと思った。

■ リスクの幅

シンシアと太郎では、リスクの幅がだいぶ違うと思った。大事なのは、グレードではなくリスクの幅を重視して、少しづつリスクを拡げて行く登り方だ。

例えば、その隣の5.10Aの一郎は、たかだか5.10Aにすぎないが、私の背で持てるところ、弱点を突いてリードするとヌンチャクが遠くなって落ちると振られるため、あまりリードして楽しい課題という訳ではなさそうだった。ビレイヤーのスキルが重要になる課題だ。

トポにある、グレードだけでは、リスクの幅が読み取れない、ということが課題を選択する際の大きな問題になっているのが日本の岩場だ。

ラオスではそこは問題になっていない。ので、クライマーは自由に自分に適したグレードと言うだけで登っていくこともできる。

しかし、トポにそれだけの情報記載を求めるのは酷だし、リスクの幅は個々人の体格や力量にもよるので、様々だ。

タイでは、開拓者には、

 そのグレードを限界グレードとする者のためにボルトを打つ

というルールが課せられているが、日本では課せられていない。

■ 開拓の様子

しかし、無償労働で、自腹でボルトを打ってくれている開拓者に、義務まで持たせられるかと言うと難しいと思う。

何しろ、開拓者本人は、ラッペルでの開拓となると、自分が作ったアンカーも、中間支点も当人は使わない。少なくとも米澤さんはそうだ。

当人はオンサイトなどありえず、自動化するまで登りこんでしまうのが通常だからだ。

このように本人には利益がない状況でもボルトを打ってくれているのは、栄誉と言う面があるからだと思われるが、逆に適正ボルトでない場合、栄誉だけを得て、責任を果たしていない、と言うことも言えるわけだ。

まぁ、自分がボルトを打った課題で、死者が出たら、楽しいとは言えない経験であろうと思う。

■ ガバ=支点

一般に開拓時にボルト数を減らしたいという力学が働くため、ガバホールドは、支点を飛ばすことになっていることが多い。

しかし、ガバにも質が色々あり、100人のクライマーがいて90人がガバと感じるガバもあれば、50人くらいしかガバに相当しないようなガバもある。

人工壁を考えれば一目瞭然だが、ガバ=クリッピングポイント、つまり、安定体制でクリップに最適なのがガバとなっており、ガバに対する哲学、姿勢が、人工壁と外岩では全く逆ということになっている。

ので、ガバが多い課題=落ちないからランナウト、となり、やはりここでも、易しい課題ほど危険課題となる傾向が強くなってしまうということになる。

易しい課題をこなさなければ、当然だが難しい課題はこなせるようにならない。

■ 人工壁と海外

というわけで、ビギナーにとってはいばらの道であるわけだが、

 日本ではインドアクライミング

が、安全で易しいクライミングを担っていると思われ、最も危険が大きいのは、インドアでホールドが明らかなクライミングから、ホールドを探らないとならない、アウトドアへの移行時だと思われる。

これを安全に過ごす策として、トップロープでの慣れが図られているわけだが、これに

 海外登攀

を加えることで、外岩での経験値を高めることができると思う。私は年齢が高い段階で始めたので、海外での登攀は数回以上のレベルで必要そうだ。

海外では易しいレベルでも適切なボルトを打ってあるため、安心して成長ができる。

平山ユージさんや鈴木英貴さんも世界の岩場育ち…世界には5.2なんて日本で見たこともないグレードからあるそうですが…

実際に龍洞での看板ルートの一つは、5.4です。これで登れない人いないレベル。

三倉の5.9で(実際は5.10bくらいある)で、50cmおきにカムを入れる私でもランナウトレベルのクラックです。

というので、日本の外岩事情を見る限り、

 ・上手にならないと楽しくない
 ・もはやインドアジムでのトレーニングは不可欠レベル

というのは言えることではないか?と思います。

■ 新原課題

しかし、あとで、怖かった太郎を見たら、新原さんの課題でした。やはり、今の時点での私には向かない。

私のメンタル課題は、怖さに立ち向かっても改善はしないからです。ただ精神的によれるだけで、メンタルパワーがただ枯渇します。

一方、楽しく登って帰ってきたラオスの後は皆が目を見張るアイスを披露したらしいので、まぁ私にとって最適なのは、楽しめるということでしょう。

出てくる脳内物質をエンドルフィンにしてアドレナリンではないことが大事かも。





2019/06/23

スポーツの岩場vsアルパインの岩場

■ リードクライマーが育たないことは結果

日本では、ボルダリングジム人口は増えて、外岩リードするクライマーが増えないが、それが、どういうことか?と色々考えてみる。

年配の人と若い世代のクライマーの隔絶とか、若い人が来なくなってしまっていること(高齢化)は、問題と見なされるが…は、スポーツクライミングの岩場にアルパインクライミングの概念を持ち込んだことが原因なのかなぁと思う。

スポーツクライミングはスポーツクライミングの理念があり、アルパインはアルパインの理念がある。

のだが、アプローチゼロ分のスポーツクライミング的なゲレンデで、アルパインの理念を持ち込むと、スポーツクライミングと思ってやってきた人たちから見ると、おかしなことが起きてしまう。

私はアルパイン向けの練習のゲレンデ、三つ峠で岩デビューなので、当然ながら、ものすごいランナウトした岩場で、落ちるとは全く想像だにせず、2度目からリードしているんだが、その感覚がアルパインでノーマルだとすると、フリーやスポーツクライミングのもつ不確実性は、まあ、桁違いである。

要するに話にならないレベル。アルパインの落ちる可能性、クライミングを始めたばかりの人、つまり素養のない人でも限りなく0%。

スポーツだと50%くらいで落ちそう。フリーでも40%くらい落ちそう。

しかも、練習するときは、限りなく、これが100%落ちると感じるまで、やるって話(汗)。

しかし、アルパインでは落ちない前提。ということで、まぁランナウトはしたとしても、特に問題視されない(のは、まぁいいのではないかと思う。日向神の東稜でボルト打ったら、何が楽しいのかって話になるでしょう)

というので、人工壁の墜落係数0.3とは別の基準で、スポーツクライミングの外岩の安全性が設計されているのは、悪い事でもないし、歴史的経緯からアルパインの岩場とスポーツの岩場が混在してしまうのも、仕方がない事と言える。

という事情を理解できるか?ということが、ハードルになって、若い人は外岩リードはデビューしづらい。

■ 基準が標準体型にあること

また、この安全性の基準がどこにあるか?というと、標準体型にあることは確実だ。

他人が設置したカムは、同じスタンスに立つと、私には手が届かないため、ちっとも安全を増やしてくれないのと同じになる。

その辺の事情は、一般的な人には理解が不能であり、ルートセッティングをするようにならないと、理解が難しいのだろうと思う。

ルートセッティングを行うまで、クライミング自体への理解が深まる人は、かなり少ないと思われ、そうならない限りは、核心の前ではなく、後にボルトを打ってしまう、というのは、たぶん仕方がないことのようだ。

その人にとっては核心を超えるまで、プロテクションについて考えるゆとりがないということなのだろうと。

というのは、私も危ないとは分かっていても、ギリギリになると、ヌンチャクをかけるゆとりがなく、飛ばして登って、後から賭けることをすでに何度か、やらかしているから(笑)。

つまり、安全を優先するほうがただ登るより、腕力もいるし、レスト体制の確立もいるし、難しい。

これはアイスクライミングも同じだ。だだ登るより、プロテクションを打ちながら、のほうが難しい。ので、リードの負担は重い。練習であるトップロープとリードの負担の差はかなり激しい。

ということで、結局妥協としては、背が低い人やリーチが短い人が安全に登るには、長ーいヌンチャクを伸ばしてクリップするということになる。さらにボルトを打ち足すという選択肢はないわけなので。

■ 新時代の岩場?

一旦、全部のボルトを引き抜いて、最初から適正な設置ができる誰かに再設定してもらったらいいのか?

そんなことをしたら、現代のトップクライマーは5.14を登るので、トップクライマーのグレードが、5.12だった時代に打たれ、5.7でのランナウトで済んでいる現状より悪化し、5.11で巨大ランナウト、ということになってしまうかもしれない。

そうなったら、ますます取りつける人は減ってしまう。今11台を登っている人は、とりあえず取りつけない。

誰でも年を取り弱くなると大体10台後半ぐらいが快適グレードとなるが、ランナウトしてしまえば、そうしたグレードですら、トップロープしか登れなくなり、トップロープだと、クライミングの重要なスパイスであるスリルが楽しめない。

スリルが楽しめないと、ムーブが出てこないということになっている。と、トップロープで登るということは要するに、ツマンないということになる。

現状でも、人工壁で、ある程度素養を作った人しか、岩場には取りつけない、登れないようなことになっているが、だとしても、トップロープにすれば誰でも登れるわけだし、初心者の場合はトップロープもリードも違いは分からず、どっちにしても怖いということになっているので、まぁ5.7でランナウトしても、結論的には誰も困らない。その程度でのグレードでのランナウトで済んで良かった、ということになっていると思います。

5.11でランナウトし始めたら、悲惨です。

■ セーフクライミング

しかし、海外での(と言っても、3つしか知りませんが)流れから、日本だけが確実に取り残されていそうな感があるクライミング界…

アレックス・オノルド君は世界中で一番尊敬を集めているクライマーですが、そのアレックス君ですら、石灰岩のスポーツクライミングでリスクを冒すより、そういうリスクは本当に必要な時にとっておく、と話していますが…

その本当に必要な時、というのは、たぶん、パタゴニアでの全山縦走とか、そういうので、間違っても、アプローチゼロ分の山ではないと思います。車で降りてすぐ岩場というのが、本番であるはずがない。

日本であれば、すくなくとも、前穂北尾根くらいは。前穂北尾根は6時間のアプローチですので、それが厳しいとなれば、1時間でも。

結局のところ、困難度で、余り困難がないということの困難の中には、歩きがプラスされるという要素が現代は限りなく欠如して、それは、クライマーの高齢化により歩けなくなってきているということが後押ししていると思われます。

そこを踏みとどまって、

 歩けて登れるクライマー

というのは、限りなく希少価値になっています。歩ける=若さ だからです。

■ 弱さを受け入れているのか?

確実に言えることは、日本一厳しいクライミングの倫理観を保っている小川山よりは、九州のスポーツクライミングの岩場のほうが、初心者にフレンドリーと言うことです。

小川山はなかなか厳しい基準を持っている岩場です。5.9でも1ピン目取る前に、5.10cのムーブが出てくるなど普通です。

そうした厳しい岩場では、日本のクライミングの基準を向上する、厳しいクライミングが行われて良いと思いますし、一方ですべてがその基準に合わせると、まぁ時間の経過で登れる人は誰もいなくなることは確実であるので、ある程度基準を下げた岩場も必要です。

特に初心者には一歩間違えれば死というルートは適していませんが、5.15登るあなたには適しているでしょう。

ので、結局のところ、今ある現実はすべて正しいということになっているかと。