■ バイブル
私は心理面で不安があると、バイブルに戻りたくなるようで、いつも、ギュリッヒの著作
『フリークライミング上達法』
を不安が起こるたびに読み返しています。もう何回目でしょう??? 今回もあっという間に読み終わった。
以下は引用と私のまとめです。以下はすべて同じグレードに取り付く場合に、スタイルの差で、初級者、上級者、エキスパートの3段階の発達段階があるということを述べたものです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー P17
1)トップロープで取りつく(5.10aの初級者)この際、いつかリードで取りつくことを目標にする。未修得のムーブが洗練され、体に記憶される。これを繰り返してリードに至る。このスタイルは必ずしも理想的なものではない。
2)いきなりリードで取りつく(5.10aの上級者)
ムーブの暗記(自動化)に頼らないで登る。当然墜落をすることがある。核心部では何回か落ちることがある。その場合、最終支点から、ムーブを練習し、下へ降りて、再度次のトライを行う。 (ヨーヨー作戦)
徐々に少ないヨーヨーの回数で登れるようになることが進歩の目安。
3)墜落しないで安全にゆとりを残して登攀。フラッシュができる。(5.10aのエキスパート)
ムーブの暗記(自動化)に頼らないで登る。当然墜落をすることがある。核心部では何回か落ちることがある。その場合、最終支点から、ムーブを練習し、下へ降りて、再度次のトライを行う。 (ヨーヨー作戦)
徐々に少ないヨーヨーの回数で登れるようになることが進歩の目安。
3)墜落しないで安全にゆとりを残して登攀。フラッシュができる。(5.10aのエキスパート)
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つまり、
1)TR 段階の初級者
2)RP 段階の上級者
3)OS 段階のエキスパート
という3つのグレードが、同じ5.10aを登っているにしても、一人のクライマーの能力を表現するのに必要と言うことです。同じ5.11aを登っているクライマーの中にも実力の濃淡があります。5.12aでも同じです。
■ 実感
私はもうクライミング5年ですが、登っているグレードは変わりがありません。
しかし、中身には大きく進歩を感じます。5.9の重みに差があります(笑)。私は初心者時のスタートがこうでした。3つのグレード表現を使って表すと
1)初心者時点: OS4級、RP5.8 TR5.9
2)現在: OS5.9、RP 5.10a, TR5.11
つまり、5.9のエキスパートになるのに2年半かかりました。今は5.10aの上級者ではありますが、エキスパートではありません。どんなタイプの5.10aでも、滞りなく登れるようになることを目指しています。
■ トップロープなしの成長は可能か?
私の疑問は、上記の表の
TR5.11 を 省略したほうがいいのかどうか?
ということでした。試登による暗記、つまり自動化に頼るクライミングと言うことです。
自動化はしかし、ジムでも同じ課題を繰り返し登ることは役立ちますので、自動化というのは避けるべきでなく、積極的に歓迎してよいと思います。
では、リスクはどうでしょうか?
つまり、太郎5.10dのような一度でも落ちると怪我をする可能性の大きな、危険な課題にTRを排除して取り付くべきか?ということです。
これは、クライマーが選択する選択肢であると思いますが、私の答えはNoです。
■ リスクを取る場面を選ぶ
というのは、リスクを能動的に取る、つまり、いざというときに取っておく、のが良い事のように思われるからです。
太郎の価値は、アプローチ徒歩ゼロ分と言うような気軽な環境で、一度トップロープで触って、核心の前にプロテクションが取れないシーンで、自分はどれくらいまでギリギリに迫っても大丈夫なのか?ということを確認するためにあるでしょう。
そういう経験値が、アルパインの本番の舞台で、どれくらいリスクを取ってもいいか?という合理的判断の根拠となるからです。