2023/10/02

【リーダーシップ】 東さんの開拓におけるリーダーシップ

 ■ 開拓者を訴えるクライマー?

岩場の事故を受けて、大開拓者の東さんから、通達?案内文が来ていたのでアップします。

たぶん、フリークライミングの世界では、個人化が進み、山岳団体と接点があるクライマーがあまりいません。

スポーツクライミングの世界とも、アルパインクライミングや登山をするための組織の山岳会とも、接点がないので、普通に外岩でクライミングしていても、どこの組織ともつながらない、ということになる。

その上、ネットをしないSNSをしない人だと、てんで、情報が流れてこず、

 見様見真似、

が広まる結果になっているんではないですかね? 九州の一時代前の支点を見る限り。

その見様見真似した相手がまっとうな人ならいいけど、”友達”とか、だからなぁ… 

それで、まったく頓珍漢な結末になるんではないだろうか?というのが、”周囲の人から学習しているクライマーたち”を観察して思った結果です。

ひどい人だと、トップロープノーテンで登って、”オンサイト!”とか言ってる。

マシな人でも、ロープドラッグしてまともなビレイになっていないのに、オンサイト!とか言っています。

昔の人でも、その周囲の人たちの偉い人1名が間違えば(カットアンカーを現代のリボルトに使おうとすれば)、その人を参照する全員(九州の開拓者全員)が間違う、と言う流れになっている。

■トップクライマーが情報発信しないと、ピンキリのキリの人がすることになる事例

クライミング界というか、日本人全般かもしれませんが、情報発信をしてリーダーシップをとる…例えば、世界のリン:ヒルのように…ことがなく、待ちの姿勢で、誰かから盛り立てられることを待っている傾向があり(謙虚さの美徳?)、その結果、ちゃんとしたクライマーほど陰に隠れ、実績が認められず、全く実績が頓珍漢な、栗城さんやら南谷さんやらが、自己主張するので、メディアに大々的に取り上げられる…という顛末になっているような気がします。

余談ですが、野口さんなんて、栗城さんが出てちゃんとしたほうに入れてもらえるようになった感じで、野口さんですら、お坊ちゃんクライマーとしてアルパインクライマーの世界では全然認められていない感じでした。

フリークライマーの世界では、奥村さんやら、菊池さんやら、北山真さんやらのプレゼンスが薄い。

それは、なぜなのか分かりませんが、ユージさんが花形なので、譲っているのでしょうか?そこは分かりませんが、アルパインも誤解がひどい世界ですが、フリークライミングは輪をかけて勘違いが横行しています。

私が言いたいことは、

ちゃんとしている人たちが積極的に情報発信してリーダーシップを取っていかないと、トンデモがトンデモと気づかれないまま、はびこり、何も知らない新人クライマーにとっては、異常が普通のことになる…。

ということです。事例としては、カットアンカーで二点が水平に二つ並んだハンガーのない終了点を見ても、それが変な終了点だということがまったく気が付かず、常態化している、ということが挙げられます。終了点で気が付かなければ、ランニング支点で気が付くはずがないでしょう。

正しい情報が入ってこない…が長く続いたのは、山岳会が形骸化して〇十年… 『高みへのステップ』にも、間違った支点が掲載されている事態になっていました。

九州では、私が来た時には、すでにそういう事態になってから、〇十年が経過していた…、ということだと思います。







文字起こしさんによる結果
ーーーーーーーーーーーーーーー
クライミングルートと支点

1. 支点と責任
クライミングの支点にはどのような責任範囲になるのか整理してみました。

1) ナチュラルプロテクション (クラックルート)
トラッドクライミングで使用するプロテクションには 「アクティブプロテクション(カム等)」と「パッシブプロテクション(ナッツ等)」 があります。 

これらはクライマーが独自にセットする場合が多く、 墜落の時に外れた場合は製品の構造的な欠陥を除いてセットした本人が責任を負うことになると思います。

2) アルパイン・クライミング
基本的には 「墜落しないこと」 が前提のクライミングです。 また残置ハーケンや残置ボルトを使用して外れた場合でも、 支点を設置したクライマーの責任を問うことはまずないと思います。 設置から年数が経過して腐食などで耐力が無くなっていることも考えられます。またアルパインの場合はナチプロをセットすることも多く、 支点構築もクライミング行為の一つであり、 残置支点ならその強度の有無を観察する能力も問われます。支点に強度がないと判断した場合は何らかの対応をする必要があります。

3) クライミングウォール
ヨーロッパでは欧州規格 (EN12572-1) に 「人工的な登攀施設」の強度や仕様が規定されています。 またクライミング競技に使用するクライミングウォールでは「競技規則」にこの欧州規格を批准するように規定されています。

この強度規格は汎用的な存在になってきたため、 管理されたクライミング施設や営業クライミングウォールでは設計・施工・保守管理に於いてこの規定に沿うことが求められると思います。 なお欧州規格ではハンガーの強度は試験荷重・ 使用荷重は670kg、破壊荷重は2,000kgとなっています。

4) 自然の岩場 (シングルピッチクライミング、スポーツクライミングルート)
このジャンルのクライミングでは難度の高いルートを目的なので、 「積極的な墜落」が前提となります。 このためクライミングウォールと同程度の支点強度があることが理想的です。 

またリピートクライマーはそれぞれのハンガーの強度をテストすることなく、既設のハンガーの強度を信用して登っているのが現実です。

ルート開拓者はそのことを鑑み、強度のある支点の設置を心掛けていると思いますが、岩の状態や開拓からの経年によって所定の強度がない可能性もあります。


①設定場所の問題
アンカーボルトはハンマーで打診して岩が硬く締まっている場所に打ちます。 ただし中間支点の割付け上、 どうしても岩の状態が良好でない場所があり、その中の最適箇所を選ばざるを得ない状況もあります。

また以下のような部分にはハンガーは設置できません。

a. カラビナを掛けると岩角に対してカラビナにテコ状の力が働く。
b.クイックドローに掛けたロープが岩との干渉でギロチン状になる。
c. 墜落すると緩傾斜部やバンドに当たる可能性がある場所。
d. アクシスに対して、一つ下の中間支点からロープが横断するような形になり、墜
落するとロープと交錯して危険な部分。
e. ロープがカンテやバルジを越えるような形になり、ロープの流れが悪くなるようなところ。

これらクライミングする上で危険な状態が予想される場合は、 ハンガーを設置する場所に制約を受けることがあります。

②岩場や岩質の問題
ルート開拓者はアンカーを打つときにハンマーで打診して、岩が脆くなく、ひび割れなどない状態の箇所にボルトを打ちます。 ただしハンマーでの打診音が良好でも岩の崩壊の規模が大きすぎる場合は予想できないと思います。

a.御在所岳中尾根バットレスではマイクロバス程度の大きさの岩が抜けた。
b. 城ヶ崎の 「キャデラックランチ」 周辺の岩が崩壊して、 数ルートが消滅した。
c.雪彦山(兵庫県) でボルトを打っていたタタミ畳くらいのフレークが剥離して、クライマーが巻き込まれた。

③ 特殊な問題

a. 応力腐食割れ
近年UIAA(国際山岳連盟) ではアンカーボルトの「応力腐食割れ」を問題視しています。 これはステンレス鋼などの耐腐食性の高い製品にもみられる事象です。 拡張式アンカーのようにボルト内に常に引っ張り荷重が働いている部材に対し数カ月から数年の比較的短期間に亀裂が発生することがあるようです。

b.ひび割れの拡充
石灰岩にはひび割れ部分に石灰成分が浸潤して接着剤のように再固着させているような箇所があります。 そこをハンマーで打診しても異常な音がしない場合もあります。 ただしハンマードリルの振動や拡張式アンカーによる圧力によって微細なクラックが生じることがあるかもしれません。 またこのクラックに水分が入り、 氷結するとクラックを押し広げて岩塊の固着力を緩めることが考えられます。 ここに打たれたハンガーに墜落衝撃がかかると岩が
剥がれる可能性があります。 ただしルート開拓時にこのことを判断するのは
非常に困難です。

C. リボルトの問題
リボルトの原則は 「オリジナルルートの尊重」 であり、ルートのアクシスやボルト位置によってルートの性格を変えることは慎まれています。 このため付近の岩の状態が悪くても、その中で「最適状態」の場所にアンカーを設置するしかない場合があると思います。

2.開拓者の責任範囲
自然の岩場でもスポーツクライミングルートは、支点に一定の強度があることが前提となっています。 また慣例上それぞれのクライマーは残置支点の強度を確認せず使用しています。

開拓者は誰もそのルートでケガをされたくありませんので、考えうる最適な場所にボルトを打っています。

もしそのボルトが抜けてケガをしたクライマーから訴えられ場合、すべての開拓者は以下の2通りの案内するしかなくなります。

① 私の設定したルートでケガや死亡があっても訴えない人だけ登ってください。
②私の設定したルートは強度に責任が持てませんので、ルートの上に回ってそれぞれの支点の強度を確認して、自己の責任に於いて登ってください。

自然の岩場ではクライミング前にルートの点検をすることは事実上困難です。 このため支点に関するトラブルがあっても開拓者には責任が及ばないことがクライミング界の不文律になっていると思います。

※道理上だれがみても危険な状態の支点や墜落一回で抜けた支点に対して、 開拓者に一切の責任がないとはいえません。 ここでは一定の期間や一定量の墜落でも異常がなかった支点のことをいっています。

また支点に異常があった場合はクライマー自身が補修するか、 告知や周知を行なうことがすべてのクライマーの安全につながる大切なことだと思います。

再度繰り返しますが、 開拓者は事故を無くすため、可能な限り安全に配慮したルート作りをすることが大前提です。 ルート開拓は労多く、費用がかかり、文句を言われることが多々あります。 それでもルートなくしてクライミングはありません。 今後もクライミング界に貢献できるよう同志の方々、頑張っていきましょう。
--------------- 太字、赤字当方

関連記事

リボルト講習会

小鹿野町 ボルト欠損で訴えられる

小鹿野で大規模伐採?


日向神で見られる一般的な支点についてのUIAAの評価