2023/10/11

【盲点】落ちれない遠いボルトは、ただの無駄なボルト

 ■ 5年前の投稿

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日本と海外

たぶん、日本にあるのは、エリートのためのエリートによる、エリートだけのルート。エリートだけが登れるように作ってある課題 =「1ピン目が遠い?そう思うような人は来なくて結構」

たぶん、海外でクライミング文化が花盛り、なのは、

一般の人も楽しめるルート、

があるから、というわけなのだろう。現代は過渡期にあり、旧来の考え方をする人は、”価値観を尊重されていない”と主張し、新しい考え方の人は、”命の価値”を主張する。

命がけであること自体に価値を見出してきたわけなので、そうでないクライミングがあれば、両者は永遠に平行線で価値観が交わることはないだろう。

たぶん、海外が私は好きなのは、そういう問題にいやおうなしに巻き込まれることがなく、ただ普通に危険はできるだけ排除しましょう、という原則が不動なわけで、単純明快だから、だろう。

価値観を持つのは良いことだが、それを人に強いることはできない。

権利があるところには、責任があるが、責任について検討されることが日本では少ない。

ノブレスオブリッジ…特権階級には責任がある…ということなのだ、本当は。

常人とかけ離れた能力があることで尊敬を受けたいという気持ちがあれば、能力が、常人とかけ離れている、ということを受け入れざるを得ないだろう。それをほかの人に強いることはできないということだろう。

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■ 年配者のコメント

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「1ピン目が遠い」は日向神の愛のエリアのことでしょうね。

これは、開拓者のポリシーであって、エリートどうのこうのではと思います。隣のルートからクイックドローを掛けるとかチョンボ棒を使うなど登ろうと思えば登れますが、どちらにしても1ピン目で苦しむ人は核心では全く歯が立たないと思います。

自分の身の丈か、そのちょっと先を登れば良いのでは?

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この問題に対して、一般的な回答だとは思いますが、それで

 事故が防げるか?

っていうのが、インバウンド(外国人クライマー)を日本に受け入れようという場合の問題点です。

なんせ、日本人クライマーの事故ですら防げていないのですから、コミュニケーション力がさらに低い外国人クライマーならなおさら。

■ 地元に事故が増える=医療体制が必要

まとめると

 開拓者のポリシー尊重のまま、ピン遠い問題放置

 →

 来訪クライマーが増える

 →

 ほとんどが5.9や5.8に取り付く

→ 日本の5.9はほとんどピンが遠い 

→ 落ちれないことが外国人や新人クライマーには分からない

→ 事故が増える

→ 地元に医療体制が必要

と現状ではなりますが、こんな状態で、地元にメリットになると思います?

これが、すでに現時点で予見できる。

■ メタアウトカム

意図したことと違う結果が出てくることを メタアウトカム、と言います。

私は、生涯スポーツとしての和気あいあい市民クライミングを推進したい、クライミングは国際言語、を推進したいと思っていますが…

上記のことが分かっているのに、そのまま放置で、クライミングによる地域おこしを推進したとしたら?

…私の尻尾が黒くて三角である、としか思えませんよね。

 けが人倍増計画、

と地元の人から非難されても、仕方ありません。

まぁ、そのような立場に立ちたくないのは、人間ならば、当然のことですね。

あの岩崎師匠も、自分がテレビで中高年登山を指南したせいで、山で遭難者が増えた、と言っています。

■ グレードが目安として機能していない問題

この方の提案にある

 自分の身の丈か、そのちょっと先を登れば良いのでは?

ができないのが問題なんですよね…

遠さ(危険)をグレードのスケールの中に入れてきたのは、

  エイドクライミングの伝統

であって、今ではビッグウォールくらいでしか使われていない特殊クライミング…

クライミングの歴史上の流れで、過去の遺物として残っていますが…。

日向神はエイドのフリー化の岩場ですから、より色濃く残っているということなんでしょう。

盲点その2は 出自としてもともとエイドの岩場は、外国人に紹介するには向かない、ということです。

■ 盲点3 岩場の閉鎖の経験値が低い人たちは、危機意識が希薄

山梨では、背の低い私ですら、え?!と驚くようなところに1ピン目が足されていました…。事故があったからです。

つまり、開拓者は事故を防ぐ努力をし、自己顕示は後回しです。そこが九州との最大の違いですね。盲点3です。

これは、岩場が登攀禁止になってきた歴史による反省があるからでしょう…。 

九州にはそれがないです。大体が名士と言われる人や県庁職員の尽力で一般市民クライマーは、岩場が閉鎖になるリスクには無頓着、です。

■ 盲点4 初心者グレードのほうがピンが遠い

当然ですが、事故になる確率がより高いのは、初心者グレードにおいてであって、エキスパートグレードにおいてではないですよ。

■ 現実問題

・佐世保の海軍に従事する30代クライマーでも、夢中歩行(5.9)は登れない

・10年登っていると自己申告してくる外国人クライマーでもATC持ってこない 持っているのはハーネスとシューズ、ドロー2本だけ。

■ 盲点5 遠い=危険=登れない、登らない

対策なのかどうか、夢中歩行は、5.10bにグレード改訂されていましたが、グレードを変えたとしても、同じことですよね。

だって5.10bが登れると思っている人たちが来ても、”遠ければ登れない”、ですから…。

5.12が登れても、”遠ければ登れない(登らない)”ですよね。

なんせ、問題点は遠い、にあるので。

■ 盲点6 ”落ちれる”遠いと”落ちれない”遠い

同じ遠いにも、

 落ちれる遠い

 落ちれない遠い

があります。遠いの中で外すべきは、

 落ちれない遠い 

です。落ちれない遠いは、そもそも、安全装置としてのボルトの役目をはたしていません。

なので、落ちれない遠いボルトは、ただの無駄なボルトです。