■ フリークライマーだってレスキュー講習
現役日本人クライマーの中で、ダントツの世界的知名度の平山ユージさんのFB投稿が回ってきたので、シェアします。
ユージさんと言えば、日本フリークライミング界のエース、星として、長い間、輝き続けてきた人でした。(現代はたくさんの若手がいます)
その偉大なクライマーが、レスキュー講習をインストラクター技能講習で、再講習受けている姿です。
■ アルパインクライミングには、レスキューが必要だけど、フリーには要らない
というのが、長く、
フリークライミングでスポートルートしかしないクライマーがレスキューを端折っている言い訳
でした。
なんせ、アルパインクライミングをする場所って、北アなどの山の中、なので、基本的に携帯電話の電波が入らない、が前提です。
しかし、フリークライミングの岩場って、車が横付けできる場所がほとんどなんですよ。
なので、もともと山をやっていた人にとっては、”安全地帯”って感じです。
その安全地帯感覚が一般フリークライマーに模倣されたのか?
事故ったら、119番すればいいや、
っていうのが、一般フリークライマーの考え方でした。
■ 安易な119番はしない慣行
もちろん、もともと山岳会や個人的に師匠に弟子入りするなどして、教育を受けたクライマーは、事故なんて起こそうものなら、その岩場が登攀禁止になってしまい、他のクライマーに大迷惑をかけてしまうので、事故報告なんてする人はいません…。
私が前にいた御坂山岳会では、足首骨折したのに這って帰ってきた、つわものがいました…。
私自身も、ビレイ失敗して落とされて頭の傷7針、とか、肉離れして痛くて立つのもしんどいのに、自力で5時間運転して帰る、とか、アキレスけん断裂したのに自力歩行で医者にいったとか、そんなです。
■ レスキュー講習に、登り返しやリードクライマーレスキューが入っている
安易な119番はしないにしても、別に車で病院に搬送するからいい、っていうのがおそらく
9割がたの安易な外岩フリークライマーの発想
なんですが… グリグリで登る方法とか、アッセンダーの使い方とか、落ちたクライマーと二人で懸垂下降する方法、とか、が基本的には、
エイド技術 を基本とするもの
なので、
20mくらいの岩場をハングドッグでうんうん唸りながら、RPして解決して最高グレード5.12を達成する
という内容のクライミング活動を何日続けていても、ヨセミテビッグウォールを登るために必要な技術、っていうのは身につかないんですよねぇ…。
そのために必要なエイド技術は、レスキュー講習が教えてくれるんですよ?
都岳連の岩場講習でも教えていました。そこが一般フリークライマー、特にスポーツのインドアクライミング上がりの人には、てんで想像もつかないみたいなんです。
たぶん、
リードで落ちたクライマーが意識を喪失した、というトラブルシナリオ自体が思い浮かばない
んじゃないでしょうか?
■ インスボンでは振り子トラバースがありますよ
普通にフリークライミングのルートにカテゴライズされているルートを登るにしても、エイド技術が必要な場合があります。
例えば、インスボンには、振り子トラバースがあるルートがありました。
そういうのをヨセミテに行きたい人は、練習としてやらないといけないんですが…、普通の岩場で振り子トラバース出てきます?出てきませんよね?
そういうことが、なんか分からないみたいなんですよね。
フリークライミングの世界で、グレード信奉の世界にどっぷり漬かっていると。
エイドだって、練習がないと、エイドこそ、うっかりミスで死んでしまいますよ。
フリーなら、迷ったら”ハードプッシュ”でなんとか切り抜けられても、エイドでは知性がないと解決できません。
■ ロープにセンシティブになれる
人のロープで登るのに何の問題があるの?
というクライマーが9割だった、海外のクライマーたち…
も、その無神経さから、レスキュー講習とは無縁の方々だったことがうかがえます。
なんせ、レスキューの講習を受けていると、自分のロープでマッチしているプルージックが人のロープでは回転数が合わなくて、使いづらかったりします。
私のプルージックコードはケブラーですが、自分のロープだと2巻きでちょうどよくプルージックできるのに、人のだと、最初に何巻き必要かチャックしないといけないです。
マルチに行く前に、ダブルのロープなら細系のコードが必要になります。
そんな機微も分からないレベルの人が、人のロープで登りたい、という人たちです。
そんな ノー天気120%クライマーがいくら集まってきても、クライミング仲間っていうより、ただのリスク増加要因。
人のロープをガンガン痛めることだけして、たぶん、ありがとうの一言も言わないです。
だいたい山岳会の新人の様子がそのような様子です。人のロープを使っても、当然だと思っているでしょう…。
■アウトドアツーリズム上の課題
ちゃっかりすること…それが海外における、自己責任の世界のようです。
となるとそれに備えるアウトドアツーリズムが必要で、結局は、
たくさんのクライミングガイドが必要になる、
ってことです。
要するに、クライミングにおける安全は、日本人か、外国人か、で分けられるのではなく、
きちんとリスクを考えて、行動できる思考力があるか、ないか?
と言うようなことです。
ない人たちには、啓蒙を続けるしかなく、いくら水を飲ませようとしても馬が飲みたくないのであれば、水を飲まないのと一緒です。
クライミング界は、魚の釣り方を教えるのではなく、魚そのものだけ上げ続けてきてしまった…楽しみだけを上げ続けてしまい、モンスターカスタマーを作ってしまった…という現状にある、ということです。
そのような中で、模を示す意味で、ユージさんのレスキュー講習参加情報は、かなり意味のあることだと思ました。
Let’s safe climbing!
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