■時間的経緯
現代では、1985年から数年間のラッシュ時に打たれたボルトが更新期(30~35年)を迎えている。
逆に言えば、新しい岩場であれば、ボルトはまだ新しいため比較的安心 と言える。
・2000年以前の岩場 落ちない登り
・2000年以降の岩場 フリークライミングの岩場
■ UIAA 基準の強度
25kN
■ 現時点での強度を満たすボルト
25kN
・M10グージョン
・ケミカル
・ケミカル強化された全ネジボルト
5~15kN
・カットアンカー
・M8以下のもの
できれば使いたくないもの
・オールアンカー
・リングボルト
・ハーケン
■ ボルトの安全性の見極め原則
1)材質
2)種類
3)サイズ
4)施工者
■ 材質
・異種金属の組み合わせ=コロージョンによりNG
・コロージョンがない場合は、応力腐食による破断がありうる
・鉄=酸性雨によりNG
・消去法により、ステンレス、もしくはチタン等上位金属
■ 種類
・カットアンカー = 異種金属のためNG 施工後、効きが確認できない
・グージョン =OK ほぼ360度方向の拡張、効きが確認可能
・ケミカル =OK
■ サイズ
・M8 = 細すぎて強度不足
・M10 = OK
・M12 = OK
■ 施工者
ヒューマンエラーの可能性。施工ミス。多くは下穴が大きすぎるミス。粉塵の除去。
■ 現在危険視されているボルト
ペツルの刻印があるケービング用ボルト
・マニュアル値 15kNしかない
・3cmしか穿孔されていない
・異種金属 3つのコンビネーションでできている
■ 現在推奨のボルト
新規 = グージョン、もしくはケミカル
リボルト = ケミカル
景観等の配慮のため。
■ ケミカルボルトの特徴
・景観等になじみ目立たない (アクセス問題再燃中)
・ドローに優しい
・敗退可能
・コスト高
・施工が難しい
・逆クリップが許されない
■ 1ルート当たりのコストの変化
高価格化ということです。
昔 支点一つ数百円 5中間支点として、ボルト数7 数百円×7=7000円~
長いルートでも、1ルート1万円程度
今 支点一つ最低1600円 1600×7=11200円 + 日当(人件費)
1ルート 3万円程度~
日当:特A級 時給2000円 施工スケジューリングができるレベル。かなり敷居が高い。すでに開拓慣れしている人ですら、B級で精いっぱい。日当が出るため、いい加減なレベルの人は雇用できない。そのためリボルト職人の講習会がある。
■ 個人の時代から、組織の時代へ
ルートへのコストが倍増したため、
「個人のポケットマネーで施工できる時代は終わった」
という井上さんのセリフが印象的でした。まさしく、そうですね。
しかし、クライミング界への周知は、まだまだなようです。高額なボルトを打ち換えてまで、そのルートを登りたいという魅力があるルートは今後打ち替えが進むでしょう。
高額なため、受益者負担の原則を貫くとしても、ローカルな岩場のメンバーが情報網を持つ必要があります。
■ 記事まとめ
以下の記事が私の今回の、リボルト講習会で学んだことのまとめ、です。
1トピック、1記事の原則になっています。全部読んでくださいね!読まないと、このページの、まとめだけでは分かりませんよ!
17ミリのスパナを持ち歩きましょう
ケミカルアンカーでは逆クリップが許されない
ケミカルアンカーの理由
ボルト=負の遺産となっていないか?
ペツルだからと言って信用できない事例
山岳会代わりにJFA加入しましょう
JFAリボルト講習会 Day2
JFAリボルト講習会 DAY1
悲報: JFAのリボルト講習会に見学で参加してきました
ボルトの見極め まとめ マインドマップ
カットアンカーは、時代遅れ
ボルトの安全性 情報量少ない
■ 当方のボルト吟味の歴史
スタートは油山川で開拓者に会い、ボルトを見せてもらったこの山行(2018年11月)
から、正確な知識を得るまで(2020年1月)、約1年2か月かかっています。
この開拓者の方とは4か月程度でご一緒しなくなり、現在はボルダーをメインに頑張っていますが、ボルトに意識を高めようとして、研究したのが以下の記事です。
ボルトの質や配置については、疑問に思えることが多く、この山行で最初の気づきを得ています。
その後、日向神の支点、比叡のマルチに行くことで、かなり疑問を感じ、比叡では、打ち替えに検討されているボルトが、規格に見合ったものなのかどうか?という疑問を持ちました。結論的に言えば、検討されていたボルトでは、現代の要求するレベルには達していないようです。
こちらの図が、ボルトを見決める際のマインドマップです。大事なことは
・M10グージョンが良く効いている
・もしくは、ケミカル
の2つ以外では衝撃荷重ではなく、静荷重にしておくなど、用心が必要ということです。
「バンバン落ちるクライマーは、俺、嫌い」と言った青ちゃんの言葉は、現代の岩場事情をよく理解し、反映したものであった、と言わざるを得ません。さすが長く岩やっているだけのことはあります。
小川山のように気軽な墜落は遠慮しましょう。 やはり、国際基準でのボルト整備が、着々と進んでいる岩場は、安心の上、安全です。安普請のツケは命で払うことがないようにしたいものです。後世に負の遺産を残さない、これを目指しましょう。
小川山のように気軽な墜落は遠慮しましょう。 やはり、国際基準でのボルト整備が、着々と進んでいる岩場は、安心の上、安全です。安普請のツケは命で払うことがないようにしたいものです。後世に負の遺産を残さない、これを目指しましょう。
■ その他のリボルト講習の記録
https://aotoshiro.jpn.org/2019/1364
http://shizuoka-rozan.sakura.ne.jp/archives/8365
https://botchkankou.wixsite.com/field-channel/single-post/2015/05/14/%E3%83%AA%E3%83%9C%E3%83%AB%E3%83%88%E8%81%B7%E4%BA%BA%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%EF%BC%81
https://ishidatozanjukunisshi.blogspot.com/2013/07/blog-post_166.html
https://www.erde.co.jp/~masaru/mt/2015/04/0425jfa.html
http://blog.livedoor.jp/jamminggentleman/archives/971835.html
https://kakera365.exblog.jp/13991934/
http://www.mizunoawa921.com/article/471342346.html