■「マーケットに最近入ってきた人は経験がなくてわからないかもしれないが…」
という田中泰輔師匠の言い方が気に入りました。https://www.youtube.com/watch?v=bJl7SzvXHko
経験者が経験値を語るときの、意図が明確になる良き言い回しではないか?と思います。みんなこれを言わないで、そういう時は丸々だ、と言うから、若い人に「過去の栄光」と言って煙たがられ、若い人は、”やっぱりやると思った…”と想定内の失敗を繰り返す…というサイクルになっている日本のクライミング界…。
■ 巨人の肩に乗る
例えば、医学で、もし医学部がなかったら、人は今の医療のことを一人で学習することができるでしょうか?できませんよね?
同じことで、人類の進化はすべて、ゼロから積み上げ、ではなく、だれかに教えてもらってある程度の最前線まで出てから積み上げ、で成り立っています。
だから、クライミングだと二世クライマーばかりですよね、まともな人は。
そうでないクライマーでまともな人っていうのは、
講習会上がり
です。裏道として、カラファテ店員になる、とか、ジムの店長、という道もありますが…
一般的に、どれくらいのグレードが取れるか?はスタートした年齢次第ですので、あんまり個人差は生まれないと思います。
成人してからクライマーになった人は、5・12に到達したら上がり、で、それより先に行く人はほとんどいないかもしれません。
逆に、未成年から始めるなら、5.12はスタート地点ですよねぇ。ので、基本、プロとアマは、アマのゴールがプロのスタートです。
■ 八ヶ岳の赤岳は一般登山者のゴールで山岳会所属のスタート
同じようなのが一般登山とアルパインの差で昔あったなぁ・・・
一般登山者のゴールは、アルパインクライミングのスタート…。
アルパインも5.11までしか昔風のアルパインでは要求されていないので、5.12をたとえ人工壁やショートの岩場でも登れるようになったしまったら… そのカテゴリーではトップクライマー?!って誤解が生まれてしまうかもしれませんね…。それは現代には通用しない恥ずかしい誤解なので、改めましょう。
とはいえ、アルパインクライミングという同じ名前を使い続けている業界のほうも、誤解を招きやすいので反省してほしいかもしれませんよね…
40年前のエイドで登っていた時代の評価基準から何もアップデートされていない九州を見て、こりゃ言葉が同じだから誤解を生むんだろう、と思いました。
現代のアルパインクライミングは、スーパーアルパインとか、ニューアルピニズムっていう風に名前を付けなおすほうが良いと思いました。
じゃないと一般ピープルのアルパイン男子が、誤解の上塗りで、ばたばた死ぬことになるんでは…?
あるいは人を殺しそうになるってことです。
■ フリークライミングの古いクライミングと新しいクライミング
普通の小川山みたいな伝統的なフリークライミングの世界にも、伝統派と革新派の軋轢があります。
なんせ、伝統のフリークライミング=花崗岩、革新派のフリークライミング=石灰岩と区別が明確でない…
アメリカのフリークライミングとラッペル主体のヨーロッパのフリークライミングは違うはず。その辺の事情を語られたものがないです・・
そのうえ、日本では、高齢化で、岩場の主問題があるんですよね…
過去30年の”失われた30年”で、老人資本主義をしていては、日本の未来はない、ということはすでに学習済みのはずです。
年配の人は、自分の主義を押し付けるより、若い人に技術を伝えたり、自分の山とある時間を生かしてできる開拓などの作業にいそしんだり、古いルートを整理して岩場を再生したり、過去の遺産の最大のもの…40年経過して役立たずというよりも、むしろ害悪、となってしまったボルトのリボルトなどにいそしんだらどうでしょう?
そういう活動は、上がりのクライマーとして5.13が登れるとかより、尊敬される立派な行為と思うのですが…