これは高みへのステップ4より、クライマー向けの演習問題を読みやすいようリライトしたものです。
どうも、公的機関で教わっていないクライマーは、ロープの配分がまともにできないみたいだからです。
■ 演習問題
(1) 問題
図のルートの登攀について計画を立てよ。
2名のチームで、 山頂上からは、登山道を歩いて下る予定とする。 初登後間もない既成ルートであり、以下の情報がある。
・全ピッチのビレイポイントは安定したテラスである。
・1~3ピッチ終了点の各ビレイポイントには強固に打たれたハンガーボルトが2本ずつ
ある。
・2ピッチ目のクラックの幅は、フィンガーサイズからフィストサイズの間で変化する。
・4ピッチ目には灌木やブッシュがある。
【問1】
持参すべき登攀装備と数量を示し、その理由を述べよ。
【問2】
1ピッチ目の登攀で予測されるトラブルと対策を述べよ。
【問3】
2ピッチ目の登攀で予測されるトラブルと対策を述べよ。
【問4】
3ピッチ目でリーダーが中間支点について注意すべきことを述べよ。
【問5】
全体を通して、退却の際、問題となる事柄と解決方法を述べよ。
1P:50m 5.7 スラブ
2P:20m 5.8 クラック
3P:30m 5.9 スラブ
4P:40m 5.10 クラック
5P:リッジ
■ 当方の経験による修正案
高みへのステップに記載された問い方は、昔の賢いクライマー向けで、現代クライマーは、もう少しかみ砕かないと、答えられる人が少ないのではないか?と、実経験上、思いましたので、 現代クライマー向けに平易に問いを立て直してみました。
現代で核心になっているのは、問いを作る能力も下がっていることです。
【問1】
ロープは、シングル・ダブル・ツインのいずれにすべきか?何メートルにすべきか、考えを述べよ。
(※ 現代クライマーはそもそも、ダブルやツインがある事自体を知らない)
【問2】
1ピッチ目のスラブ登攀で予測されるトラブルと対策を述べよ。
(※ 現代クライマーはスラブの登攀自体の経験が著しく低い)
【問3】
2ピッチ目のクラックの登攀で予測されるトラブルと対策を述べよ。
(※ 現代クライマーはクラックの登攀自体が経験値が著しく低い)
【問4】
3ピッチ目でリーダーが中間支点を用いるにあたって、どのように強度をチェックし、どのように不足した強度を補う方法が考えれれるか、具体的にを述べよ。
(※ 現代クライマーは、岩とではなく、ボルトと対話しているのがクライミングになってしまい、無意識の前提は、ボルトを追うことであり、クラックが合っても、中間支点を補足するとか、長ぬんで伸ばす必要がある、ことを理解していない)
【問5】
全体を通して、コールが届かない場合、問題となる事柄と解決法を述べよ。
全体を通して、トップが登れなくなった場合、問題となる事柄と解決法を述べよ
全体を通して、どのような場合に退却になる可能性があるか、思いつく限り、事例をあげよ。
全体を通して、退却の際、問題となりうる事柄とその対処方法を述べよ。
■ ポイント
全般的に、問いの中にヒントを散りばめないと、答えをするヒントもない場合、まったくわからないままになります。
また、シミュレーション能力、
○○だったらどうなるか?
というシナリオ立案能力が落ちているようで、
残置が崩壊した場合
コールが届かない場合
ロープがアップされない場合
トップが墜落した場合
セカンドが上がれない場合
などの誰でも普通に思いつけるピンチ事例についての対応力をつける前にルートに出てしまう(そのピンチをかっこいいという武勇伝にしてしまう。例:カム3つ飛んだ)などが、いつまで立っても、
高度なリスクに対応するクライミング能力が上げられない理由
になっています。
ちなみに、命がけで上記を学習しました(一言、言わせて)