■ 以下の項目を個人に当てはめ、吟味します。
- 技能レベル
- 体力
- 運動能力
- リスク管理でのレディネス
- パーソナリティ
- 目的
- 興味や関心の度合い
■ 事例 クライミング歴40年
山岳会の重鎮とされるレベルの人は、知識経験は十分だが、体力は減衰しており、スキルにはビレイが下手などの過不足があり、意欲は減退していることが多い。教えるのもたぶん、めんどくさいと思っている。 情報弱者に陥っていることが多い。ボルダーはしない、興味がない。クラックはしない興味がない、アイスはしない、ドライはしない、など関心に偏りがある。
- 技能レベル 5
- 体力 4
- 運動能力 4
- リスク管理でのレディネス 5
- パーソナリティ 2 ← 過去の栄光自慢
- 目的 2 ← 自己承認欲求のため
- 興味や関心の度合い 2 ← クライミングには飽きているし、情報弱者
■ 事例2 成人女性 クライミング歴10年
いくら壮年期女性でも、女性である限り男性並の体力を期待するのは、お門違い。一方、登攀能力だけに限ってみると、ジムクライミングで伸ばすことができる。
- 技能レベル 2 ← 年齢相応の平均
- 体力 2
- 運動能力 2
- リスク管理でのレディネス 4 ← 知性の勝利
- パーソナリティ 3 ← 普通の人 命かけていない
- 目的 3 ← 健康 普通
- 興味や関心の度合い 5 ← 関心は高い
■ 事例3 成人男性 クライミング歴0~3年
成人男性でも、初診の頃はムーブも下手で、登らせられない。20山行くらいはセカンドで登らないと理解力はつかないが、連れて行ってもらうだけで、計画を自分で立てる習慣化がないと、連れて行ってもらった山の意味が理解できるようには成長しない。根拠のない自信がある。
- 技能レベル 2 ← 大体男子はムーブ下手
- 体力 4 ← けど体力はある
- 運動能力 3 ← 年齢相応の普通
- リスク管理でのレディネス 2 ← 低い 俺だって佐藤ユースケ!と思っている
- パーソナリティ 3 ← 普通
- 目的 3 ← 普通
- 興味や関心の度合い 5 ← 高い 目立ちたがる
■ 事例4 成人男性 クライミング歴 10年
リスク管理もおおよそでき、スキルも体力もあるが、根拠のない自信や怠惰により、事実誤認することがあり、命取りに発展することがある。これくらい楽勝、とノーザイルや敗退計画なしなど。 情報は黙っていても与えられる。オールラウンドにクライミングをこなすには良い時期。大体は、仕事で時間が取れず、手軽なボルダーでキープすることになる。
- 技能レベル 4 ← 高い
- 体力 4 ← 高い
- 運動能力 4 ← 高い
- リスク管理でのレディネス 3 ← 新人よりましだが俺だって佐藤ユースケ!と思っている
- パーソナリティ 3
- 目的 3
- 興味や関心の度合い 4 ← 高い 本人が調べなくても周囲がけしかける
■ 事例5 成人初心者 クライミングジム上がり男性
視野が狭い。ムーブだけが上手であるので、自信過剰であることがわからない。
- 技能レベル 5 ← ムーブは上手
- 体力 2 ← 歩けない
- 運動能力 2 ← ムーブ以外は才能ない
- リスク管理でのレディネス 2 ← 新人は何が危険かわかっていない
- パーソナリティ 3 ← 普通
- 目的 3 ← 普通
- 興味や関心の度合い 5 ← 動画で予習する 例:ビデオトポ
■ 事例6 子供初心者 成人女性と近くなる
子供には特別な配慮が必要。関心は高いが、一人では遊ばせられない。リスク認知に穴があることが多いため。ただ、子供の場合、自分の弱さに自覚があるので、うっかり以外のミスは少ない。
- 技能レベル 3 ← 登るのは比較的上手
- 体力 2
- 運動能力 2
- リスク管理でのレディネス 2 ←単なる無知
- パーソナリティ 3
- 目的 3
- 興味や関心の度合い 5 ← クライミング大好き
■ 事例5 ピオレドール受賞者
円熟したクライマーは皆ここへつながっていくはずなんだが、そうなる前に死ぬ人が多いので、今生きている人は、”生き残り”であると考えるべき。
- 技能レベル 5 ← 当然高い
- 体力 5 ← 当然高い
- 運動能力 5 ← 当然高い
- リスク管理でのレディネス 5 ← 当然高い ピンチを耐えれる
- パーソナリティ 5 ← クライミングに磨かれて高くなっている
- 目的 5 ← クライミングが人生
- 興味や関心の度合い 5 ← 当然高い
ということになります。
いくらベテランであっても、この周囲の中を見渡せば、トップクライマーと一番近いとは言っても、当然、限界があります。 例えば、体力や、運動能力は、どんなトップクライマーであっても、減衰していきます。
クライミング歴10年という、常識的に見れば、十分、経験値が溜まったのではないか?と思える人でも同じです。このクラスの人は、クライミングジムのメリットがあるので、5.12くらいは平気で登れますが、リスク管理に関するレディネスは比較的低いです。
危険認知は一通りできているはずですが、それでも、まだ心の何処かで、俺だって、運さえ良ければ、佐藤ユースケ(他に、平山ユージ、小山田大、倉上慶太、横山ジャンボ、…あこがれの人を入れてください)と思っていたりします。
男性の40代は、パワーと知力がその人の人生でもっとも高い時期ですので、そこがその人の頂点です。
俺だって…の根拠ない自信は、50代に入って本格的な老いがスタートするまで治らないみたいです。運の問題ではなく、どれだけ真剣に取り組んだか?の差なんですけど…。フルタイムでやっている人と週2回の人が同じであるはずがないでしょう。
男性は基本的に、皆の注目の的になってチヤホヤされたい!(=モテたい)という思いがなかなか克服できないようです。しかし、冷静になって現実を見れば、トップクライマーだって、そんなモテ人生を送っている人はいませんよね。むしろ、頼まれごとで自分の好きなことができないことも起こっているようです。
一般市民レベルのクライミングの円熟は、日本は今からですが、全員一律の基準を全員に適用すると、弱い人…子供、女性、高齢者が淘汰されるはずです。登攀スキルレベルだけを上げて、リスク管理がおろそかになっていると、危険です。
リスクは、体力一点豪華主義、登攀力一点豪華主義(グレード主義)、などではヘッジできず、総合的な力が必要です。