■ 山をやるなら、自分自身の力の正確な評価くらいできるほうがいい
と思いませんか?自分のことを不必要に卑下する必要はないですが、逆に、
大した山でないのを登って威張っている
というのも、かっこ悪いですよね? 自分のことが見えていなくて。
■ 一般登山=中高年の山、体力は楽勝で危険ばかりが大きい
私は38歳で、夫の仕事の転勤で甲府住まいになってしまい、失業して、ヒマだからという理由で登山をスタートしたのですが…、最初から雪の山ですが…、世間は中高年登山全盛で、65歳を超えて定年退職してから山に登る人たちと同じ”ものさし”で図られ、その挙句、まったく危なくない山で、「危ない、危ない」と言われるので、そうかな?と思い、雪山技術を教えてくれるというツアーに参加したら、とんだ、ムダ金だったという経験があります。
大体、40代女性の平均的体力だと、男性で力が落ちた60代と同じレベルの体力でした。
このレベルの体力なら、アルパインと一般登山のはざまにあるような、例えば、西穂沢だと、40代の私の方が65歳の師匠より足が強かったです。
ほとんどの一般登山者はこのレベルまで自力到達できませんが、このレベルを現代の初心者で、一般のクライマーは充実させるべきだと私は思っています。登山以上アルパイン未満ということです。
■ アルパイン
一般登山から、押し出される形でアルパインに行くと、今ある体力や技術で行ける山を捜すということになります。これが一般の人は知識不足でできないんですよね。
(たとえば、阿弥陀北稜の前は大同心稜、とかです。大同心稜は、ノーロープ単独でも、フリークライミングやアックスを振る心得のある人なら、一般人でも行けます。核心は一か所しかないです。それでも単独=落ちれないので、ちゃんと見極めてくださいね。 )
一方で、今ある力で行くという内容ではありますが、アルパインをスタートしたら、新人=18歳大学生男子、という先入観があるような感じで、18歳の体力のピークにある男性と同じを求められているようで…、これまた、はてな?
大学山岳部の新人がベースにあると、きちんと技術書でロープワークを学んでくることは、期待されていない。「僕、ローワーダウンできませーん」とかそういうのは、可愛らしいなと許されるようです。技術をきちんと学んでこなくても許される雰囲気ということです。
事例としてはこういうの。https://allnevery.blogspot.com/2023/02/blog-post_19.html
これが私には信じられないし、私は相手を許すことができないんだな。
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イヤイヤ、命を守るのだから、教わるのではなくて盗むぐらいの緊張感、貪欲さでロープを結ばなくては!
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これはベテランの鈴木さんの弁ですが、私もそう思うんですよね…だって、落ちて死ぬのは自分ですよね。
でも、現実には、そういう盗む能力があるボルジム出身の若い人はめったにいないです。
噛んで含めてすべてを説明しても、習得する率は1割程度です。”1を言って10を知る”の真反対です。
さらにアルパインの世界では、年配の人の方が、ビレイについての経験値が、人工壁上がりの人より少ないです。たぶん、人工壁の経験値がゼロだからだろうと。
まだ、クライミング歴3~5年程度の、私の方が、後ろにセルフをとったりして、きちんとビレイをしている…のに、二人を一人がビレイするような人に、文句言われる。そんな人でも重鎮として名前を並べ、ふんぞり返っていますが…それは、たぶん、勉強不足で実力が相対的に非常に下になり、下がり切って、38歳スタートのおばちゃんよりイケていないことが自覚できていないだけ、のようでした。(これ書くと、イケている人のほうが反省してしまい、ホントに自覚してほしい人からは恨みを買うんですけどね。若い人の自衛のために書きます)
つまり、相手が期待している新人像も20年前、下手したら、40年前のもの…。なので、相当何も独学してこない=クライミングの技術書を読んでこない不勉強な人でも、経験年数だけは重ねてしまえます。
現場だけの経験だと誰もいいにくいことを言ってくれず、明示的な知識にならない。フリークライミングをしようとしているのに、ずっとAゼロで登って登れたと思っているとか、そういうことが起こります。
■ フリークライミング
一方、フリークライミングの世界だと、
ジムで練習してきた男性の初心者のレベル (5.11、ボルジム5級)
を求められるようで、私は初期に小川山でクラックを登ってくれる先輩と組んでいた時は、自分がセカンドで上がれなくなったら、問答無用で、プルージック登攀で上がっていきセカンドの務めは立派に果たしているのにも関わらず、「上手ですね」と嫌味すら言われる感じでした。
自分のクライミングを自己完結するのは、セカンドで連れて行ってもらえることの最低限の必要要件って感じですよ?
最近の男子は、みんな、それなしで私のところに来ますけど…。山の中の生活技術とかも同じですよ。なしで来られても困る。なんせピンチが来ても、山は人を選ばないのです。
(登れるだけ、で他がない人がなんか、チャッカリ、ビレイが確実な人を利用できてしまう…グレード至上主義だと俺のほうがエライからです。それは、おかしいです。まるで引率のお母さんにされてしまいます。私は自己責任率200%なのに、50%しか自己責任取っていない人のほうが優れた人ってことになっている。事例:白亜スラブ、日向神)
しかし、ボルジムで、5級が登れるようになってから、外岩、という流れで成長しているのではない、私のように、登山から入った人というのもいて、そういう人は
登山→鎖場→雪→沢→岩 → フリークライミング → 外ボルダー
と進むのが定番です…。たぶん、この流れが昔は主流だったので、ロープワークを山岳総合センターなどで明示的に学んでいない人も、セカンドや、リーダーに何年もかけて連れて回られている間に、暗示的になんとなく、分かるようになり、結果フリーに来たときには、だいぶロープの知識がついている、ということに昔はなっていたみたいなんですが、現代の人は、それでは時間がかかりすぎるうえ、何年連れて行っても盗むとかできないです。知性の方も昔の人より落ちているわけなので。現代は、大卒が登っているとは限らず、発達障碍児とか普通ですよ?
さらにボルジムの普及で、そもそも、ロープワークが目を皿にして盗むべき知識だという前提が壊れてしまって、登攀グレードが上の奴がエライという価値観に置き換わり、しかも、現代は、ボルジム→いきなり外岩フリーです。
ボルダリングは突破力のクライミングだから、持久力がいる、っていう発想もないし、ジムでスラブとか、クラックとか、ワイドとかあります?ないですよね?オーバーハングとフェイスに偏ったクライミングしかしていないのも自覚が生まれないです。
結果、突破力だけを持って、突出した能力の一つをもって、自分の能力と思ってしまいます。
つまり、算数だけが5なのに、五教科ぜんぶ5だと錯覚するようなものです。
逆に、ボルジム→フリーという流れの新人像を期待されると、もっと登れるはず、という前提が働いているので、私などはとてもついて行けません。当然でしょ、43歳スタートの人が、30代男性と同じスピードで強くなりますか?なりませんね?
私は伝統的な成長の仕方を重視し、雪、沢、氷と進み、確実な5.9を目指してきたので、そのやり方に確実性を感じています。(もちろん、日本の課題は、5.9の皮をかぶった5.11とか、ざらなんですが)
■ どこに行っても物差しが合わない
なんか…ずっと、世間が持っているものさしが、
全く合っていない感、
です。不当に「そんなこともできないのか」と言われているような感じで、「なんだかなぁ」という感想です。
そのくせ、私のところに、パートナーになりたがって来る若い男子って、ほとんど技術力ゼロで、登れても、すぐロープスタックして、トップなんて任せられないですけど…。10年登ってるって自己申告する人でもそうですよ?
外岩なのにダイナミックムーブで取って、TR登るとか。リードで、ランジとかしないですよ? まあ、私も初心者のころはデッドで取っていましたが。
■ ものさしのほうが間違っている
相手に、自分の先入観を押し付けて、それに合わないからってダメな奴認定する、っていうのは、たぶん、日本的な価値観、で、たぶん、日本の弱点である
ポピュリズム信仰
に原因があるのではないか?と思います。
「ふつーはこーだろー」みたいなやつ。
それは、基本的には、フツーには意味がない、という現実的な実感が乏しいために起こるような気がします。
例えば、30年前は、街角でタバコ吸ってポイ捨てするのがフツーでした。今はする人いない。
男尊女卑も同じです。今は男性も育児参加する時代。妻に任せっきりで自分は何もしないで、”フツー”なのは、過去の話。
そもそも、フツー自体が意味がないのです。目の前の相手、目の前で起こっていること、が大事ってことです。
こちらの動画を見てみてくださいね。
■ 今起こっている事例から、推測する、という作業が欠けているのでは?
こちらは、今を時めく、アイスクライミングのワールドカップの選手、門田ギハード君の投稿です。(ギンちゃんは、13位だったと思います。違ったらごめんね)
私はアイスのクライマーで、フリーでのルートの吟味はできませんが、アイスならできるから、事例として取り上げています。黄蓮谷は、アイスのクラシックルートとして大変有名で、多くの人が目標にするルートです。入門って感じです。
ーーーーーーーーーーーーー FB より引用 太字当方ーーーーー
昨日は今シーズン初めてのアイスクライミング。
甲斐駒ヶ岳 黄蓮谷右俣
日帰り単独登攀してきました。
軽量化のためロープは無し。
夜中1時半発。
登り13時間半.下り8時間
往復で21時間半かかりました💦
めっちゃ疲れた…
アプリによるとフルマラソン5回分の消費カロリーとのことです笑
とりあえず今日の仕事はポンコツ野郎でした(笑)
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ロープなし=フリーソロ。黄蓮谷、右と左がありますが、右は傾斜が緩く、初心者でもセカンドなら登れるし、経験を積んだリードクライマー…は、ちゃんとアックスを打ち込んだ後に、テスティングするので、WI4で落ちるということはまずない…。
私みたいなオバチャンだってWI6まで登っていますが、もちろんTRですが、それでも一回もロープにぶら下がって、ライジングしてもらったことなどありませんよ? それじゃあそびにならないでしょう。
普通は、アイスって確実に一歩ずつ登るので、落ちそう、という認知があって、フリークライミングでハングドッグでパワー節約する時みたいに、わざと落ちるものではないです。
そういう登りをした人を知ってはいますが…(摩利支天)。あれはリードに自信がない時や、下のクライマーのビレイを確認したいとき、あるいはアックステンションの技術がない時に、スクリューとビレイにぶら下がるんですね…
あ、話がそれましたが、黄蓮谷は、古川純一(ふるかわよしかず)さんの初登で、『わが岸壁』という本に記載されています。
当時は、エイドでの初登ですよ。昔の人はギアも技術も古かったので。当時はテンションかけかけでリードしています。
https://stps2snwmt.blogspot.com/2015/03/blog-post_7.html
https://www.yamareco.com/modules/diary/13672-detail-36894
つまり、トップクライマーでも、WI4~WI5でもテンションかけかけレベルの登攀力しかないで初登していた時代もあるということです。
1956年の初登ですから、それから、70年くらいたって、現代のクライマーは、登攀力があがり、トップクライマーは、当然のように、ロープレス、つまりフリーソロで行って帰って来れる、ということです。
ギンちゃんはこれを、フリーソロの記録としてあげるのか?というとあげないんじゃないかな?あんまり自慢にするようなことでもないからです。登れることは当然すぎて。
■ 不適切な俺スゲー
このように、昔の記録と、現代クライマーの記録を時代背景を加算して、吟味するということがないから、ずっと1956年のものさしのまま、自分を測定することになると…?
現代の基準ではあまりすごくない能力で、俺スゲー、となるかもしれません。
≪参考≫
黄蓮谷の写真が豊富でアイスの様子が分かるサイト …ほとんどWI4だと分かる。WI4でも、アイスは滑ったら、スラブと違い、摩擦ゼロですので、下まで堕ちれてしまいます。スラブで落ちても、大体は摩擦で大根おろし状態になって止まりますが、アイスだとそういうわけにはいかず、アイスのロープレスの方が、命がけ度、は高いです。
https://essential-line.com/2020/12/11/6260
■ M5 昇天
現代のトップクライミングがどのようにすごいのか?くらいは、趣味でつまり、プロ野球でなくても、草野球のレベルでも、野球やっているなら理解ができるほうがいい、と、私は思っているのですが、現代のクライミングの世界では、
草野球の人がプロ野球レベルだと誤解されて、誤解に便乗して、受け取るに値しない栄誉を受け取っている
半面
本来、プロ野球で新記録打ち立てたみたいなすごい人が、全く評価されていない、知られていない
と思います。
最近、奈良誠之さんという、私と同い年の方の記録を拝見しましたが、いやー、すごかった。アイスの進化形であるドライは、ただの練習ルートだそうですよ。だよなぁ…。
私は上半身、非力なので、M5で精いっぱいですが、普通に上半身がある男性ならM7くらいが日常のハズです。優れている人はそれがM10くらいになると思います。
師匠の青ちゃんと出かけた、昇天(M5)も位置づけとしては、ベテランなら楽勝で、ボルトが要所にあり、命がけにならずに、新人を入門ルートへ連れて行けるミックス入門ルート、という位置づけだったからです。
私はアイスは脱初心者くらいまでは行ったので、分かる。
残念ながら、フリーのほうは、いつまでも入門者レベルのボルジム5級止まりですが…。指力(カチラーになる人の強み)、ボルダー(ハングなので上半身の強度の勝負)ってことなので、フリーではたぶん、私は一生5級のような気がします(笑)。どっちも強みとして持っていないので。
50歳から筋トレしても、もう旬はとっくに終わっています(笑)。私にフリーのツヨツヨを求めてくる人は、その人の頭の中の方がおかしいのでは?と思うんですけど…(笑)。
私はロクスノは、自分には関係なく、参考にもならない雑誌として、よほど欲しいトポが載っているとき以外は購入しなかったのですが、奈良さんは多くの記事に取り上げられていたクライマーのようです。
九州の人は、なんで小山田大さんのグレートクライムを取り上げず、有利な条件にはないアイスとか沢の初登(クロスケオテ谷)とか、あげているんでしょう…?
真にグレートなクライムが九州クライマーからアップされることを切に望みます。
このままじゃ、かっこ悪すぎるでしょ…