2022/12/16

縄張りと誰が一番か競争に終始している=クライミング教育お留守 なんだろうなぁ…

■ オンラインコース

トニーとアレックス・・・もう数年になると思いますが、オンラインコースの集客やっていますよね(笑)

なんで日本のトップクライマーはやらないんだろうな。

■ 教えてもどうせすぐはできないので自分の地位が脅かされることはないですよ?

技術的な内容や、オンラインで分かるような内容って、教えてもしょせん、机上のことで、身につくには、分かった後で、うんざりするほど、繰り返しのトレーニングというのが必要だ。

だから、教えても何も減ることにはならない。

むしろ、現場(岩場)で、無知で来られるより、ムンター結べないから練習してきた、くらいな人の方がいいし、ムンターって半マストですよね?とか、言っている人のほうがいい。

現場で知識を与えよう=いきなり本番(つまり、リスクあり)というのが、そもそも、間違っているのに、教え方を改めようとしない、山岳教育界…。

■ 師弟制度

いつまでたっても師弟制度です。

師弟制度っていうのは、上下関係、って意味なので、結局のところ、若い人は、自分が下って意味ですから、あんまり好まないです。

それも分からないでもないですが、知らないことを教わるのに、頭が高い人って、私も好きではないです。

だから、私は師匠は師匠で良いと思っています。

■ 師匠より必要なのは、ちゃんとしたフォローなんですよ…

しかし、師匠がいても、クライミングは教わったことを実践するのにフォロー、つまり、ビレイヤーが必要です。

ところが、教わったばっかりの、あやふやな強度の支点に、昨今のジム上がりで、ポロポロ落ちる後輩を連れて行けます?行けないですよね?

ジム上がりならまだましで、ジムにすら行かない人はこのレベルでロープです。

こんなレベル↓でロープを出さないといけなくなります。ホントに落ちるかもしれないところで出して、ホントに落ちられ、それが初めての本番、だと? 支点崩壊で死んじゃいますよねぇ?

私の所属していた会に来た33歳の新人君はこの斜面でロープがいるレベルってことです。

この傾斜55%の雪の斜面は、北アですが、私は全くロープイラナイと思ったところですが、

   この4人のパーティで一番弱い人=33歳のっぽ君

でした…。ので、先輩はロープを出していました。つまり…昨今、入会して来る新人さんの男性って、ものすごく登攀力低いです。

昨日こちらの記事にも書きましたが、例えば、広沢寺で、私がアイゼントレではない普通のフリーのルートで登っていたら、アイゼントレで来ていたほかの皆さまが、ウルウルした目で見てきて、参った、ということがありました。

当時私は、まだ岩デビューして間もなく、小川山はまだ春の戻り雪でピッチ数稼いでいるころで、西湖の7mランナウトしたスラブがチャレンジという時代でした…。そんな私のような低スキルの人が、その人たちからは、まぶしく見えるって話で… あまりにも低いレベルで比較されてしまい、え?!となりました。

つまり、デシマル以前、UIAAの四級でもロープ要るって人たちが、昨今、会に来ます。

これは山岳総合センターだって同じで、私の班で一番歩けたのは私でした。それでまるで罰ゲームのように一人ラッセルさせられました。 ほかの人は男性でした。

■ 机上講習が欠如している

現代の若者は、みんなが思っているよりアホです。たぶん、ゆとり教育のせいなのかもしれません。

ビレイは落ちる人を受け止めた経験がないと上手になりません。そんな当然のことも分からない人が大多数のようです。

クライミング歴5年と言って入会してきた同期の新人に、「ビレイできますか?」と聞くと、「できます」と言いますが、「落ちた人を止めたことがありますか?」と聞くと「ありません」と答えます。これでどれくらいアホか?分かるでしょう…(汗)。

私はこの人を人工壁に誘って、引っ張り落とされそうになりました。その後、彼は二度と人工壁来なかったので、ビレイをマスターしたのか不明です。

そんな感じで、大体の山岳会に新規入会する人は、

とんでもなく予習不足

で来ます。まったく白紙なので、入会するときに知識のレベルを聞く問診票みたいなものをした方がいいかもしれません。

ルートに行ったことがある、と言って著名なルート名を上げても…

 落ちない先輩が付けているロープの端っこを持っていた経験があるだけ

で、人の後ろを歩くだけの金魚の糞登山の男性が多いです。それで行ったことがあるといっても、プルージック登攀も、トップが落ちたときに固定して援助を呼びに行く練習なども、全く教わっておらず、何も知らないで、セカンドをやっているだけの人がほとんどのようです。

そんなことは、山梨の山岳会ではありえないと思うのですが、九州に来て、預けられた新人が、クライミング技術は何も知らないのに5.12は登れます、って人だったので、九州では会で何も教えていないということが分かりました。会の方が教えないで、先輩に連れられてマルチのセカンドに連れて行っているということです。

これは、師弟制度で、20~30のマルチピッチの経験が必要と言われているのとは、全く内容が異なります!! 菊池さんは、何も教えないで、セカンドで連れて回れ、と言っていないですよ?

それ以前に、そもそも、ハイキングレベルの終了試験である、読図、というのもマスターしないで来ている人が多いです。沢に行くときに地図を持ってこないで、GPSの軌跡を他より位に歩こうとしている人がメインです。

■ フリークライミング能力があっても、それだけの場合もある

私が、フリークライミングで組んだ元の会の男性の先輩は、読図力はゼロだったと思います。ある時、宝剣の方の初級アイスに行ったら、全然違う沢に入って壁が見つけられなかったのですが、後で地図を見たら一つ入る沢を間違っていました。

それでも、鹿島槍東尾根は済ませていたので、えらいなと思いましたが、地元の地の利の勝利で行ったのかもしれません。

というのは、マルチの上部って2級で歩けるようになっていますが、ロープを岩角に引っ掛けながら、コンテで(簡易的なショートロープ)で歩く技術を知らなかったからです。当然解除だと思っていたようです。その時に詳しく解説したらよかったと後で思いましたが、自分がロープ要らねーなら、相手にも出さないっていう自分本位なクライミングから脱し切れていないということでした。

つまり、リーダー教育を受けていない、という意味です。

ロープ要りません、と言って、”よっしゃ!”と言ってもらえるのは、セカンドだけだから、です。

大体、登攀で落ちるより、何でもない3級、4級の歩きのところで事故が起きることが多いというのは、きちんと教育を受けたクライマーなら、3,4級を甘く見るなよ、と先輩や師匠に、きつくくぎを刺されていることが多いです。それがなかった。

ので、この方と沢などの自然要素の多いルートに行くのは、危険だと思いました。自然界そのままのところの方が、整備されたフリーの岩場よりも、ちょっとした危険でロープを出さないといけない、というケースは多いためです。

そういうリスクは、フリークライミング能力ではカバーできないです。なにせ、足元の地面とか、持っているホールドとかが壊れやすいって話なので。

私は沢は、ひと夏毎週のように出かけて、出す出さないの条件判断をすっかり自分で納得するまでやりました。

一般に、技術習得指向でない人は、そういう風に習得テーマがあるわけではなく、ただ楽しいから行く、だけなので、経験値として貯まらないみたいなんですよね…。経験年数が長くても、エイト環のセットが分からない人を見たことがあります。

一度、歩きが遅れがちの20代男性のために、沢の下山でゆっくりと時間を使ったら、なんと最後の読図ポイントの前に暗くなってしまい、尾根が見分けられず、コンパスウォークでルーファイする羽目になりました…。優しさが仇になった。下山12時頃でした…。

■ フリークライミングの謎

そんなこんなは別にして、登山の技術とは別に、

 フリークライミングとはこのようなものです

という思想的なものを若い人に教えてやる人が必要です。

現在はトップクライマーは、何年も、開拓記録を上げ続けているだけで、一般クライマーにとっては、どうやってそこまで行くのか?雲の上の人ということになってしまっています。

ユースケさんのように、近所のジム等で、これぞ!という登れるクライマー(5.13レベル?)がいる場合は、一度ルートに連れ出してくれるアニキみたいなクライマーもいるそうです。

しかし、一本釣りだと、その釣られた人には技術が伝授されても、他の人には恩恵がないです。もちろん、アルパインの教育はオーダーメードというか、個人に合わせてなされるべき、というのは、分かりますが、それでも、共通項、ってありますよね。

例えば、マルチ行きたい、んだったら、基礎になっている、セカンドの確保だの、懸垂下降だの、宙づりになった時自己確保で登り返す技術だの、リードクライマーが行動不能になった時、ビレイから逃れてレスキューする技術だのは、誰でも知っていて当然です。

雪稜なら、ピッケル持っているだけで、滑落停止できなかったら意味がないです。

テント泊ですら、テントを火に近づけない、とか、色々基本技術あります。なんせ、知らない人は、冬山のテント泊、雪洞泊に、パジャマを持ってくる時代なんですよ??

富士山五合目のアイゼントレで、「今日、初めてアイゼン履くんですぅ」なんて言って、切っていないアイゼンバンドがぶらぶらしているなんて、もう普通のご時世です。

ものすごーく、レベル低下していて、そういう人でも、フツーにクライミングジムに行くので、登攀だけはバッチリ!だったりもします。

つまり、登攀力はクライミングジムがカバーしてくれる良き時代なのに、その両輪となるべきクライミングに関する知識や思想という片方の車輪が整備されていないのです。

その点は、私のような山の世界に38歳で来ました、みたいな人は、歴史的経緯が分からないので、いくら新しく来た人に同情し、教えてあげたいと思っても、知らないものは知らないものなので、教えてあげることはできません。

■ 著作権の不思議

フリークライミングでは、他人の所有物である岩に描いたラインは著作権であるそうなのですが、この辺も、一般社会の常識とかけ離れた、とても奇異な思想ですので、それなりに見識がある方から、ちゃんとした解説がなされるべきだと思います。

普通の社会人の常識では、人のものに自分の権利を主張するなど、とんでもない厚顔です。

例えば、エベレストに初登頂しても、別にエベレストがその人の所有物になったり、その人が登ったルートが著作権で守られる、なんてことはないでしょう…

フリークライミングになったら、突然、開拓者はラッペルでぶら下がっているだけで、オンサイトもしてないのに、著作権って話になっています。

その辺りは歴史的経緯が分かる人しか分からないでしょう。

ちなみに、私は、故・吉田さんと開拓中のルートがありました。あれは、私が主張したら、私のルートになるのか?謎です。もちろん、そのようなことをする予定はありませんが。

こうしたこともすべて、慢(エゴ)が引き起こしている事態のようにお見受けしています。

俺の、俺の、というやつです。

でも、もうトップクライマーは名声は確立していますよね?

いつまでも、名声が確立する前の活動を続けていないで、後進を育成するという、もっとやりがいのある仕事に移って行かないのは、なぜなのだろうか?と思います。

私は、名誉ではなく、つながり、を大事にしているクライマーです。 そんなの当然でしょう。38歳から登っている人に名誉なんていりません。