■ ロープを出す基準
この2枚は、私自身は完全にノーザイルと思った箇所で、先輩たちらが33歳ののっぽの男性に懸垂下降させようとザイルを出している様子(上)と、雪稜で、雪質的にも腐っているので、特にザイルなしでも歩けるなーと思える雪面です(下)。下は、落ちれば、1000m下の谷底まで滑り落ちれそうですが、見て分かるようにわざとこけない限り、その状況はありえない感じでした。 (記録はこちら https://stps2snwmt.blogspot.com/2016/04/blog-post_44.html)
55度 |
鹿島槍鎌尾根も、スタンディングアックスビレーのスタカットで行きましたが、
個人的には、この傾斜では要らないなぁ…
と思いつつ、「落ちないし」、と思っていました。 まぁ、私が雪が得意ということもあるかと思いますが、
この当時はだいぶロープを出さずに済ます
という態度をたしなまれました。野田勝さんも、鹿島槍東尾根で亡くなっていますが、甘く見る姿勢がダメだったのでは?と懸念しています。
一方、九州では、
マルチの下りとかで、
ここはどーみても一巻の終わりだ、
とロープを出すのが確実に正解だと私の上記の経験で判断できる箇所で、ロープ出さない。
若い男性クライマーが粋がってそうするのではなく、普通のハイキングクラブの人たちが嵩じて、北鎌尾根に初めて行って落ちて死んでいる人がいる会がありますが、そのようなロープ出さない方がカッコイイという”若い男性目線”基準を”普通の人”に当てはめてしまった結果のように思われます。
私は北鎌尾根行ったことがありませんが、傾斜で言えば、三つ峠の中央カンテは、古いアルパインのゲレンデですが、2度目からリードしています。つまり、全然落ちる気配が無さそうだったということです。あそこハーケンとかですから、落ちない人にしかリードは回ってきません。
ロープを出す基準は 落ちたらどうなるか?
だと教わったのですが…。
参考図書
ハイグレード登山技術 https://amzn.to/3h7OnZl
■ 傾斜に関係ないナイフリッジ
ナイフフリッジのような稜線では、歩きは当然2級で、歩ける傾斜ですが、両サイドが切れているので、落ちたら、そのまま下まで落ちれてしまうので、ロープは出すように教わりました。支点は、岩角等です。1対1なら、ショートロープですが、私はされる側しか意味ないです。(体重が軽い)
岩角を使うにせよ、カムで取るにせよ、けっこう思考力がないとロープドラッグで、登れなく(歩けなく)なります。
事例としてはこのような尾根です。
このタイプのリッジは、
・人工壁でリードしているだけで、登山経験がほとんどない男性クライマー
や、
・5.12登れても、それはゲレンデショートでのことで、20~30山行のマルチセカンド経験が蓄積していない&リード経験不足の男性
と行くと、あっという間にロープドラッグで、にっちもさっちもいかなくなります。
まぁそういう人はグレードでルートを判断するので、リッジ登攀は、そもそも簡単すぎて行きたがらないために、支点の配置の経験値が溜まらず、フリークライミングのレベル(壁ということ)のマルチでも、自分で自分を窮地に陥れたりしているような気がします。
ロープが必要になるギリギリまでロープを出さない、出し方を学ばないという方法論を選択していると、必要な時は、その技術がない、という結果をはじき出しているだけなのでは?と思いますが。
山というか、登攀は、難易度では一応分けられていますが、下を端折って上に行くと、その該当グレードで学ぶべきことを学ばずにグレードだけが上がっているので、
安全無視
という業が、小さく積もって行き、
手痛いしっぺ返し
という結果として、
表現されるのを待っているだけ、
という状態になりそうな気がします。