2024/12/26

【クライマーの自立問題】ナルシストだけが残る仕組み

■ これがナルシストだけがのさばる理由なんだろうなぁ…

これは先輩との対話の事例です。

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図々しい人で、自分で登りたいルートを決めて、一緒に登りましょうと、頻繁に電話をかけてくる女性がいました。自分ではどこもリードできないのにです。ガイドのお客になったほうが良い人です。

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私にも、実は海外のクライマーでそういう人がいました。「どこを登るの?」と聞いたら、

みんなの後ろをついていく

という返事でした… しかし、小川山瑞牆で、みんなの後ろ、ってのはないので…

日本ではそういう登り方ではないよ

と教えたら、びっくりしているようでした。

甲府の知り合いに聞きましたが、相手できないということだったので、

何もヘルプはせずに帰国させました(笑)。わざわざ日本に来たのに、誰も登ってくれないなんて気の毒だけど…。仕方ないですね。

■ リードしながら成長できない日本の岩場の作り

自分がどこかをリードできるようになるまでは、古いクライマーのみなさんは、どうやって習得したんですかね?

 私は以前、師匠の鈴木さんとアイスで中津川へ行ったとき、ガイド費用を請求みたいな感じで、ご飯をおごらされたことがありました(笑)。今では良い思い出ですが…。そこ、鈴木さんの希望で行ったのにも関わらず、という私の側の認識でした。誰が連れて行って、誰が着いて行っているか?という問題は、ややこしくて、この時も、「どんなルートが好きですか?」と言われ、「癒し系」と答えたら、中津川になりました。その経緯から、

 私の中では、そこは鈴木さんが行きたいところ、

 鈴木さんの中では、私が行きたいところ、

と互いに相手が行きたいところ、となっていました。

■ 順繰りのステップアップ、”山には段階がある”が、明示的に示されていない…

自分で行きたい!というルートが、今の人はないのですが…。

九州では、私は根子岳に行きたい!というのが、アルパインを志す人が、怠け者と思われないために必要な発言のようでした…本当に行きたいのではなく、そういう風に言わないと、アルパイン人種だと認知されないって意味です。アルパイン=怖いもの知らず、って意味。

(余談ですが、一般登山からスタートした人が次に学ぶべきスキルは、読図、というナビゲーションスキルであり、登攀、要するにムーブ解決力、ではないですよ)

私の後輩だった人も、だいたいルートを選べないというのが問題でした。

私自身も、上記の中津川ように最初はアイスのルートで、どこが自分一人で行けて、行ってよいルートなのか?分かりませんでした。

■ 山岳会のメンバーでも、ベビーステップで山をレベルを上げていくことができない

ただ、私がいた御坂山岳会でも、レベルに合ったルートが選べない、というのが問題になっていました。

山が好きな人の集まりでも、みなルートが選べないのです…。

山の段階を踏んだ成長というのは、伝統的に各山岳会に蓄積するものですから。伝統が途絶えると、何をしてよいか分からないのです。

■ 新しい人はステップアップというアイディアがない

山にブームのために入ってきた、新しい人は、たぶん、ステップアップという発想がなく、みんないきなり、です。

アウトドアのリスクは、段階的にステップバイステップで、上げないといけない、というのが分からないのではないかな?と思います。でも、行ったことがなければ、分からないのが当然だし… 

私は、一般登山出身で、バリエーションルートまで来たクライマーですが、一般登山のルート選択でも同じで、みんな、遠見尾根で登る五竜とケーブルカーで登れる唐松岳を同じと考えてしまうんです。

なので、問題はグレーディング、という概念が周知・徹底されていないことにあるのではないかと思います。

そのグレーディングの中でも、

 標準コースタイム

というのが問題で、”普通の人なら、2時間”と言われたら、

 みんな、誰にでも2時間だと思う

けれど、実際は、4時間かかる人もいるし、6時間の人もいる。で遭難。

UIAAは、標準コースタイムという日本独特のシステムが、まずいと考えています。全員どこにもない”標準”に振り回されている。普通と自分を比較して、自分が普通より下だ、と考える人はほとんどいません。考えたい人もいない。

■ これくらい登れて当然というグレード

クライミングでの、これくらいは登れて当然、というグレードの5.9も同じですよね…

どこにもない ”これくらい誰でも登れるグレード” に皆振り回されている。

で、登れない奴は、見下す。すると、結果、自尊心に傷を抱えた人ばかりの集まりになる。

お前こんなんも登れねーの! こんなんでこえーの!という虐め、と 反発に皆が囚われることになる…

■ リードの取り合いになる 

私は、男性二人を韓国インスボンに連れて行ったことがありましたが、無料の観光ガイドでした…あれは疲れた。

大体、男子はリード”しか”できない。

とりつきまで連れて行って、はい、どうぞ、としないとどこも登れないというのが男子。

リードしたがるか?したがらないか?で、自立しているか?自立していないか?を切り分けると、結局、自分がリードするだけで、相手のビレイヤーをしないナルシストだけが残ります。

あの時のインスボン、私は膝を脱臼している、というのに、全く配慮がなく、相手が登りたいところをビレイさせられ、旅行手配は全部、私がして、連れて行ってあげた上に…行きたいところには行けない山、だったので、くたびれ損で、何も得るところがありませんでした。

だから、たぶん、自発性とか主体性という物差しで測ると、そうした資質が行き過ぎた人=ナルシスト、というタイプだけが残ることになるんではないですかね? 主体性の行き過ぎは、自分勝手、ということです・・・

インスボン、まさにリードしかできない人と、リードする以外はすべての能力がある人の組み合わせでした…。

助け合いなのか?共依存なのか?は、相手が自立しようとしたときに協力関係になるか、自立を否定するか、で分かります。

私がリードを取りたいと言ったときに私を捨てる人は、依存していた人です。交換条件で、依存できなくなるから、私が自立するのが嫌なのです。

■ ダメな人でもそのうち成長してくれる?

成功事例が一件あります。

山岳会にいたころ、私を引っ張り落すようなビレイをしていた人がいましたが…、今はちゃんとしていそうです。

ビレイは、落ちた人をキャッチしないと習得できないんだよ~と教えてやっとわかったようです。リードするのも全部Aゼロの人で、それがクライミングなんだよ、と教わったのは九州で、みたいでした。

■ 講習会→会発足がいい路線?

今は講習会上がりの会が、良いのではないかと思います。

私も、故・吉田さんの講習会で知り合った人とその後登ったりしました。

■ まとめ: ガイドを使わず、新人が自分でリードできるようになれる安全な岩場がない

日本国内には、ガイドを使わず、クライマーが自分でリードできるようになるまでの時期を安全に過ごせる岩場が、ありません。

私は、自分で登りたかったので、海外が突破口だと気が付いたのですが、それが日本国内にないのが、混乱の元であり、課題だと思います。

最近、山と渓谷がやっている、テストピース選択に関西の斜陽が書いてあり、

ああ、あれは私への当てつけ、だな~とピーンと来ました。

斜陽は、たしかに5.9ですが、同じ個所で落ちる人が多く、6件も重大事故が起きているそうです。

まともな先輩がいたら、5.9しか登れない人には、斜陽を勧めず、別のルートでもっとボルト間隔が近い5.9を勧めるでしょう。

そんなこと、クライミング歴が浅い新人が知っていると思いますか?

知らないですよね。トポには、どこにもランナウトが激しく、6件も重大事故が起きているルートです、とか書いていないです。

初心者が、岩場のあれやこれやを学びながら、自分と同レベルの人と切磋琢磨しながらでも、リードで登れる岩場というのは、国内岩場には、存在しないです。 

そこが一番の日本の岩場問題ですね。

    新人さん=子供と一緒ですよ 知らなくて当然のことを知らないことで人を責めることはできないです