■ 『ネパールトレッキング』、『海外トレッキング』、『トレッカーのためのネパール学』
の3冊を読んでも、誰でも行けそうにしか見えませんね… どの本も肝心の、
標高差、距離 について言及がないので、山の基本的な体力度が不明。
誰かが行った感想での内容など、天候次第でどうにでも変わるものですが、そんなことも、労山が出しているガイドブックにすら書いていないので、日本人的というか、情緒的というか、自己責任ではなく、みんなが行けるなら行けるだろう、とか、61歳で行ったなら行けるだろうとか、そんな”同調”による理解の仕方になってしまわざるを得ない書き方されています。
■ 行けさえすれば、歩くだけでいい的な
海外への憧れが行き過ぎて、結局、行っただけで価値ある、みたいな感じですが…。以前ツェルマットに行った山やが一か月パートナーが見つからず観光だけで帰った記録を見ましたが、登頂の計画がない山とか日本人だけでつるんで、現地の人の知識がない旅とか、そんなのを世界のアチコチでやっている感じですね。
日本人のネックは、自国主義、なのでは?と思います。台湾程度でも海外の人と登ってきたので、みんな行ったらいいですよ。
実は、クライミングを知る前に、出張で一杯海外行ったんですが、行くだけでも意味があるという時期は、あっという間に過ぎてしまい、えー、またメルボルン行くの?めんどくさいなー、オンラインではダメなの?みたいな路線になってしまっているんだけどなぁ…
前に仕事でバンコク行ったはいいけど、訪問先が見つかるまで、数日ホテルから延々と電話かけるだけで、これじゃ、全然日本から国際電話かけるのと変わらないじゃないか…と思ったりしたんですよねぇ… まぁ、日本より電話代安いけど。
というようなことになっているんだろうなぁ…という、ネパール予習。
■花谷さんの見解
花谷さんのK2の冬季初登攀に対する動画がありました。
■ 昔の偉人
今クルトの『K2 夏の嵐』も読んでいますが、ノンフィクションではなく、ほとんど文学作品的な書き方なので、だから、さっさと山の話しろよ、みたいな感じになってしまい、読むのが苦痛です。
https://bookmeter.com/books/50634
海外の知識人と言われる人たちは、まぁ大体、個人史としてこういう書き方するので、伝統的書き方ではあるけど、日本人が書き手ならば、プライベートなことは色々省いて書くでしょうから、海外の偉人?の記録は、脚色というか、実際の客観的なデータによる困難度を読み取るよりも、主観にかなり偏っています。
だって、結局のところ、今、K2ですら、商業登山に染まり、登頂者数過去最多とか言われており、なんだかな~ですよね…。
もちろん、現在、手垢まみれになってしまっても、そうでなかった過去の人たちの、偉業や困難が、軽くなるということではないのですが…。
それでも、ミステリーの薄皮は、はがれているよな~。 憧れ、は生まれないですね。
あれ?ということは、憧れは無知から生まれるんですかね…
■ 『山と人 百話』 松尾良彦
https://amzn.to/3W0qUIV
こちらを読んだら、すごいのは、新貝さんではなく、戸高さんのほうがうんとK2では偉いカモ?
新貝さん → 組織・人脈
戸高さん→ K2 無酸素・単独
どう考えても 無酸素・単独の人の方がすごいよなぁ…戸高さんは、山梨で自然学校をされているそうです。
https://masa-fos.com/
■ オンサイトとレッドポイント
たぶん、私が思うには、最近の若い人は、レッドポイントグレードを伸ばすことだけ考えており、オンサイトグレードがアルパインでは自分のグレードだということをあんまり意識していないのではないかと思います。
グレードの中身ってことです。オンサイト(つまり、いつでも落ちないで登れる)っていう風にならないと、行ける行けないの判断の目安として使えないです。
いくら人工壁や外岩ショートで5.12RPでも、いざ山の中、つまり本番で、10cくらいで2時間半もかかっていたら、日が暮れる…です。
逆にルートへのグレーディングでは、日本の山の5.9には、本当の5.9~5.12まで含まれるので、正直、あんまり目安としては使えないです。
例えば、米澤さんの岩場はグレードが辛いので、5.12RPレベルの人が、10bで落ちていました。このように、岩場に付与されているグレードは適正でない、という問題が事故の原因になるのは想像に難くないでしょう。
そして、その結果、何が起こっているか?というと、誰か岩場をよく知っている師匠がいないと、勝手に自己判断で登るというのは、リスクがあるということです。
つまり、非・自立。
トポとパートナーさえあれば登れる、という状態には、たとえクライマー本人に十分スキルがあっても到達できないので、これは、環境の問題で、クライマーの問題ではありません。
なんせ日本の岩場にセラックがあるわけではないのですから。たかだかクラッギングなのですから。
同じことはヒマラヤにも言えるようです。
花谷さんのヒマラヤキャンプ。これを見るとヒマラヤが現代では、丹沢とか八ヶ岳レベルにミニ冒険になったことが見て取れます。きちんとリスク管理ができたら、超人レベルのフィジカルではなくても、ちょっと一般の人より体力があるよ、くらいの山やでも、手がも届く冒険になったのではないか?と思えます。
こんなので、国家の名誉、を掲げていたら、そのほうが滑稽ですよね… 一方、本当に冒険した、と言えるのは、このような山なのではないでしょうかね?
ちなみに、私が会で行った真砂尾根などは、このような山に近いと思いました。判断がいるということです。