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・震災後の根子岳に登ったことがない奴が語るべきでない
→ 登るべきでないところを登れというのは、挑発であり、無理強い
→ しかも、万人が登れる山でもない(吉川さんの書籍参照のこと)
・岩質は阿蘇の鷲ヶ峰と異なり、しっかりした岩が多い
→ 地震で変化する
・震災の影響で崩れたり、脆くなっている
→ そりゃそうだ…地震なんだから…
・現地で見ると、脆いところとしっかりしたところはっきりわかる
→ 地質の中身までは分からない ボルトの内部劣化と同じ
→ 経験の量が増えてから、その判断力が付くが、基本的に初級ルートに行くようなアルパイン初心者にその判断力はない。
・現在、登られているルートは、地震や風化の影響がない比較的安定した箇所
→ それは、どう、誰が判断したのか?判断した人を個人的に知っているなど、根拠が重要。例えば、八ヶ岳の中山尾根は、無雪期にも登れるが、一般の人は、漠然と脆いと嫌って登らないが…個人的に、それが確証で言える人を知っており、具体的な指導を得ることができれば、話は別になる。ブログで見た、というのは、これに含まれない。
・根子岳の山域全体を危険として否定するのは、もったいない。九州には他に入門向けルートがない
→ 損得で判断するより賢愚で判断すべし。この思考法だと、”せっかく北アに来たから無理をする”と同じになる
・直近の根子岳の事故は、懸垂下降の失敗によるものと想像
→ 懸垂は失敗が許されない
→ 他山の石とし、懸垂程度は確実になってから出かけるべし
→ バックアップのとり方は知っているか? 懸垂下降のオーダー(降りる順)は分かっているか?すっぽ抜け対策は出来ているか?途中停止はできるか?
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吉川満 『九州の山歩き』
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■ 考察
脆い岩場をどう処しているか?
この会の人は、上級クライマーの対処法を観察する機会がないのではないだろうか?
上級クライマーというのは、マッターホルンのヘルンリ稜(一番簡単なルート)をガイド登山で登る人の事ではなく、マッターホルン北壁(40~50ピッチあるそうです…)を登った人の事である。
どんなに有名な山を登ったとしても、ガイド登山で登っているかぎり、その人の”山力”は、一般登山者と同じであり、リスクに対処する能力は、ぜんぜん育っていないので、ガイド登山で、海外の山に登ったという人を尊敬するようなことは、まぁ、分かっていない者同士の関係でしか起こらない。
≪法則≫
登山客=ガイド登山で登る
登山者=自分でガイドと同じ見識をつけて登る
■ 上級クライマーの作法 その1 労山事務局長川嶋さんの事例
それで、私自身が目撃した、上級クライマーの作法を上げてみたいと思う。
労山の事務局長川嶋さんは、K2に登っていることで、”上がり”になったクライマーである。K2も、昨今は地に堕ちてしまい、今ではエベレスト並みに、登山者が行列を作る山になってしまったそうだが、おそらく川嶋さんの時代は、まだそうではなく、きちんとした山やしか登れない山だったろうと思う。
さて、川嶋さん、東沢釜の沢での沢講習で、サブをしてくれた。その時に印象的だったのが、
チェストハーネス
だ。東沢釜の沢と言えば、日本三大デート沢に数えられるくらいで、簡単な沢、渓相が良く、入門の沢として知名だ。その沢で、K2に登った人がチェストハーネスをしてくるというのは、どういうことか?
それを見て考える力が、山やの成長に必要な力だ。
≪法則≫
一流クライマーは安全対策にぬかりがない
■ アイスクライミング歴40年の青ちゃんの選択
私の長野の師匠、青木啓一さんは、会ったとき、すでにアイスクライミング歴40年だった。
私は、彼からじかにパートナーとして、アイスを教わっているので、小屋番をしている沖田君の次に教わった人、ということになる。
青ちゃんは大阪労山登山学校の校長先生だったそうで、私が大阪での栄光を知らないので、もっと評価してほしかったみたいで(笑)、一杯、昔登った山の話をしてくれた。いわゆる、自慢話というやつだが…一般に若い人は嫌うが、その話の中にも、聞くべき体験、知恵みたいなものは隠されていると思うし、そもそも、アイス歴40年の人と組めて、光栄だと思ったので、アイスのサイトは別に立ち上げている。ビレイの仕方などが、アイスでは、特殊である。
私は1シーズン35回アイスに登った。関東では8年分を1シーズンに登ったことになる。ラッキーでも年に1回しか登るチャンスがない九州岳人の経験値と換算すると、35年分の蓄積で、そう簡単には追いつけないと思うが…、九州の人に「アイスなら、〇〇さんに教わるといいよ」とか言われて、絶句した…。たぶん、教わる立場ではなく、教える側になると思う。いや、もっと悪い。自分が一番登れるのに、誰も言うことを聞かないという立場に陥り、望んでもいない危険な目に遭わされそうな気がする。要するに、それならお前がリードしろよという話になり、全くなっていないビレイでリードさせられる羽目とか…。そういえば、比叡で事実、そうなったよなぁ…。
赤岩の頭というバーチカルアイスがある。初級のアイスだ。これに頑として、青ちゃんは、行かなかった。同じ青木君という名前で、長身で気持ち良い、まだ20代の若いクライマー君がいた…一緒に、相沢大滝に行った子だ。
彼は、赤岩行ったんだが、骨折して帰ってきたんだよなぁ…。推して図るべし。
■ 飛竜
飛竜を計画した時も、青ちゃんは、私が懸念したように、お前が一番登れるんだからリードしろ、という流れになり、したくないリードをさせられる羽目になることを予期して、来なかった…
飛竜は、めったに凍ることのない幻の滝、と言われている甲斐駒アイスである。
ギリギリボーイズの人でも、飛竜?行くんなら俺も行く、と返事するようなところである。
≪法則≫
分かっていない人に分かっている人の方が追い詰められるような場合、行かないことが唯一の安全対策。
■ 鎌ナギ
南アルプス深南部は、関東の登山者からすると、憧れの地である… 山が深い。九州で言えば、脊梁みたいなところだ。ただし、もっと深いけど。
そこに鎌崩(カマナギと読む)という場所がある。
これは、『俺は沢やだ!』を書いた成瀬さんのパートナーをしていた、トシゾーさんとの通信記録だ。彼は、5.13代が登れ、40kgが担げ、海外の沢経験も豊富だ。
これは、会話のコピペ。
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※鎌崩へ行ったことのある人の弁…ここから…
妻が鎌崩を300mほど巻き下がって登り返したことがあり ますが、かなり大変だったそうです。 過去、死亡事故も起きているため、鎌崩は要注意です。
脆い鎌崩に行くにはそれなりの力量のあったパーティーで行 くべきでしょう。
でなければ滑落事故や遭難になることが予想されます。
装備ですが、もちろん登攀道具一式です。 プロテクションは出だしは灌木、途中は大岩にシュリンゲを巻き付けた記憶がありま す。ランニングは取れなかった記憶があります。まあ人数は私とパートナーの二人でしたので、ロープは1本で十分でした。
以上、引用終わり…
というのがトシゾーさんの回答で、これになんと、標高差300mを1時間で歩くという基本的体力もない人を連れ、ロープワークの経験がある人は、リーダーと私だけという状態で行ってしまったのが、鎌崩という山でした。リーダーはベテランでした。
九州では、根子岳に相当すると思っています。
■ 一般登山の上級とアルパインの初級は、要注意
この鎌崩、ガイドブックには、”念のため、ザイル使用”、とかあり、一般的な縦走で出てくる危険個所通過程度しか想定されていない。これは、ガイドブックを書く側も、一般縦走レベルしか、個人的に体験がない人が書いているために起こる現象のようで、これは、特に、一般登山から、アルパインへステップアップする途中の山で顕著に起こる現象だ。
例えば、厳冬期の赤岳は、アルパインでは入門にすらならない、歩けて当然の山だが、一般登山では、上級の5に分類されている。『のぼろ』の読者ならガイドをつけて登るのが厳冬期赤岳だ。
しかし、私でもそうだが楽勝すぎて日帰り。もはや一般ルートなど歩く気になれない。ある山友達など、楽勝すぎて、一日に赤岳三周したくらいだ。だから、アルパインの本には楽勝と書いてある。
このような性質の山は、アルパインの入門書を参考にすると、簡単だと思って、舐めて取り付いてしまうリスクがある。実際、アルパインの人には簡単だが、一般登山者には上級で、男性の友人に簡単だから…と連れられた、ごく普通の一般登山者の女性が、泣きながら降りてきた、という事例を知っている。
自分がまだ一般登山者のレベルなのか、アルパインの脚力があるのか?は、山岳会1年目の人には、自分のレベルを知る機会は限られ、講習会に出て分かるくらいだろう…山岳総合センターのリーダー講習では班分けがあり、班分けで、ある程度、自分のレベルは想定できる。そうでもない限り、標高差と距離で脚力を客観データ化し、登攀力をひたすら高め、日々ロープに触るしか、能力を高める方法はない。
まぁ、基本的には、性別、年齢順、で、ある。例外は、オフィス労働者。彼らは特段弱い。
困難度は登る人による、というのが、この段階で、まだロープワークデビューです、みたいな段階の人は、山を見る、経験値が溜まっていないと思う。
≪法則≫
アルパイン入門者は自分の力量を客観的に評価できない。またそのことを知らない。
赤布は探して歩くものではなく、読図していたら赤布が追いかけてくる、ようになるものですぞ? 同じことで、ルートファインディングは、ボルトや残置を探すものではなく、自分でルーファイしていたら、同じところに残置やボルトが追いかけてくるようになるものです。
また、一般登山の慣行として、リーダーに任せきり、というリスクがある。
どこに根子岳が安全だという根拠があるのだろうか?
群発性地震の後、穂高屏風岩に取り付いた上級クライマーというのは、あまり聞かないどころか、取り付いた人で生死にかかわる重症者を知っているんだが…。
■ 妙義・星穴
登山学校の先生だった青ちゃんはガイドの依頼が時々来る。
それで断っていたのが、妙義、星穴。脆いことで有名な山だ。ガイド料は一日5万が相場(つまり、ガイド規定の3万円より高い)。
青ちゃんは、つららのようなアイスで、私がこれはちょっとどうか?と思うようなものでも、登ってしまうし、私が、そういうものを登れると嬉しそうにしていたので、脆いことで有名な妙義星穴は、ラッキーと飛びつくかと思ったら、飛びつかなかった。脆い=ロープがあっても意味なし、という意味であるそうだ。
ちなみに青ちゃんは初級の講師ではなく、中級の講師しかしたことがなかったそうで、それで私にいきなり相沢大滝55mのリードを勧めたのだそうである(笑)。まだ、醤油樽も終わっていないのに…。醤油樽のリードは、結局のところ、しなかった。理由は終了点が悪いから、ダメ、という師匠のお達しだった。支点は重要ということだ。
≪法則≫
終了点は重要。
妙義星穴も、毎年死んでる人がいるが、根子岳に相当しそうな気がする山である。
■ ナメネコフォール
最近、荒船のナメネコが、海外マガジンに出ていたが、ここはギリギリボーイズの伊藤さんと出かけた思い出のアイスだ。相沢大滝でもそうだったが、伊藤さんは、青ちゃんと同じラインしか登らない。わざと脆い場所…例えば、シャンデリアとかだが…は行かない。
別の人で、”〇〇で一番死に近い男”と言われて悦に入っていた先輩がいたが、彼のリードラインを見たら、最初は強点、もっとも難しいところを行こうとしたが、結局一番易しいラインになって、結果、ロープが屈曲してしまっていた…
これは、とても参考になった。というのは、女性がいると、男性は見栄を張って、わざと危険を冒しがちだと言われているからだ…。もしかすると私の存在がそのようなラインを選ばせたのかもしれず、あるいは、命知らずであることは、モテポイントである、という誤解が根強いのかもしれなかった。
どちらにせよ、ギリギリボーイズの方の、実は、堅実な登攀とのコントラストが鮮やかな経験だった。
≪法則≫
一般クライマー=かっこつける
プロクライマー=かっこつけない
以上が、私の、一流クライマーとの遭遇経験である。
総じて、一流はリスクを巧妙に避け、愚かな死に方はしないものである。
■ モチベーションの高いクライマー
さて、この回答の主は、不確定要素に対してリスクを取らない傾向がある、そうである。それで、チキン扱いをされて悔しい思いをしているのかもしれない。
しかし、自分の命は自分の命であるし、挑発や見下しのような、幼稚な感情で、なにぉ~と奮起し、怪我をしても、その代償…数週間、数か月あるいは、数年に及ぶかもしれない療養期間…を耐えるのは、まぎれもない自分である。
そんな幼稚な精神構造の人たちの指摘は無視して、自分の道を行くのが、正しい姿勢と思う。
これは、言うより行うが難し、であり、青ちゃんもインスボンで、韓国のクライマーに、からかわれて、普段の登り方を変えたせいで、墜落し、骨折していた。なんでそうなっちゃったのか?プライドを挑発されたのだろう…でも、インスボン30回行っているんだから、そんな挑発はスルーしたらよかったのに…。ちなみに私はいない時なので、女性の前で引けなくなった、とかのせいではない。
支点は、怪しいと思ったら、打ち足したり、バックアップを取ったりするもので、えいや!と覚悟を決めて使うものではない。
懸垂下降のオーダーを知らない人が昨今は多い。重い人はバックアップをつけている状態で降り、軽い人がそのバックアップを回収して降りる。そうすれば、安全が確保されている。
かならず、バックアップを取るつもりでギアは持って行かないといけない。
■ モチベーションの高いクライマーにシラケた顔をされたら?
仮に、いわゆるイケイケクライマー、別名”モチベーションの高いクライマー”に、面白くない顔をされたとしよう…それでなんぼのものであろうか? その場では、多少、チキン扱いされて嫌かもしれないが、そのほうが命を守る。
そもそも、モチベーションの高いクライマーとは、どのようなクライマーの事なのだろうか?
私の脳裏に浮かぶ人が一人いる。女性だ。結局、宝剣で300mの滑落をしてしまったんだが… パートナーが欲しいということだったのだが、師匠の清高さんに制止された。
というのが、彼女の不満が、石尊稜を天候敗退したことにあったからだ…。先輩の判断に不服ということだが…。
誰でも知っていることだが、八ヶ岳は天候核心で、主たる脅威と言えば、寒さであり、寒さは、日本国内の一級品である。-25度は日常だ。
不満の中身も、会から山行許可が下りず、これでは、いつまでたっても山に登れるようにならない、というのがあった…実際、共感するというか、会のほうが説明能力がないことが多いので、会に入っていると山に行けなくなるのは、その通りなのだが…。
その反省の中身が問題で、会から許可が出ない原因は、先輩の判断が保守的過ぎるのではなく、リスクを凌駕できる体力や登攀力が本人にまだないことにあるはずなのだ。
というのは、私自身の会(御坂山岳会)は、私が毎週ビレイの習得のために人工壁に通い、クライミングジムに通ったり、フリーで基礎力を磨いていたり、朝から歩荷訓練を毎朝していれば、なんとかしてでも、少し背伸びのルートにでも連れて行ってくれたからだ。会が連れて行ってくれないのは、どこかに実力の不足を疑ったほうがいい。(実際は、会の先輩は、後輩を連れていくには、力不足を実感したようだ。昔、簡単に登れたところも年を取れば登れなくなる)
山のリスクは個々人で違う。〇〇さんに行けたから、君も行ける、は、あてにならない。
私は体格が小さいので、大きい男性に取れるリスクは取れない。例えば、エイドなど、その最たるもので、エイドが得意なのは、背が高いクライマーである。
その中で、フリークライミングが上手であれば、さらに先へ進み、そうでなければ、エイドルート止まりのクライマーになる、という風に過去は、選抜が起こっていた模様だが…幸いなことに昨今は、エイドクライミングでルートを落としていなくても、普通にフリーに進むことができる。まぁ、当時の余韻で、ピン間隔が遠いので、背の低いクライマーは、高いクライマーにはない、不条理なリスクにさらされるわけだが…。それが国内ではだれにも理解されないので、不条理なことがないラオスに行った。
モチベーションは、もちろん誰にでも必要で、私も、夫と二人で、八ヶ岳権現に厳冬期に通っていたころは、イケイケ過ぎて分かっていないクライマー扱いされていた… 分かっていないのは、あちらの方だったわけなのだが…。その人たちは一般登山のレベルで言えば、上級の山に私たちが行っているのが気に食わなかったのだが、”気に食わない”は、根拠として論理的でないので無視した。
大事なことは、敗退が確保されていて、誤りに気がついたら、すぐに敗退できる体制にあることだ。
権現は、そのような山だったが、根子岳は、脆さに気がついた=落ちたとき、みたいなことにならないのだろうか?
■ Kさんの言葉
さて、本格登山を志向する方には、このKさんの言葉を送ろう…。
私の友人が穂高屏風岩で、生死が関わる遭難を起こした時のメールのやり取りである。(太字、当方)
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GW直前の集会で、4人で即席パーティが組まれたようです。お互いに相手のこと良くを知らないのは、トラブルが起きやすいです。
Y〇〇のK辺さんは、同志会のW田ともう一人で、プロガイドグループ・ドムを作っていました。w田さんともう一人の人は1985年にアコンカグア南壁で行方不明になりました。w田さんの奥さんのk代子さんは、1990年に追悼集を出版した後に、グランドジョラス南面に慰霊碑を作りにいき、岩雪崩で亡くなっています。ドムのお客さんに難波康子さんがいます。
新人と初めてパーティを組み、K辺さんは1987年3月に不帰Ⅰ峰尾根で亡くなっています。
新人がルートを外し、怪しげな灌木でビレー。これでは降りられない。K辺さんが登り、墜落。灌木が折れ、二人共尾根の右側唐松沢に転落。K辺さんは意識はあったが動けない。脚を骨折した新人が、何とか下山して救助要請。経験の少ない新人に、確保条件に不安があるルートを、リードさせたのが間違いでした。(確保条件に不安がある=根子岳)
私が新人と組んで唐沢岳幕岩のS字に行ったときの話です。新人がルートを外し、ハーケンを打ちながら人工で登り、ハーケンを1本打ち、腰からみでビレー。私がハーケンに乗ったら抜けて、木の枝に落ちて止まりました。新人は引き込まれそうになったそうで。引き込まれたら、セルフビレーのハーケンは抜けなかっただろうか(*_*; (ハーケンは2本打つべきですね…)
火事場のバカ力というのは、見込みが甘かったということでしょう。それが多いのは、反省、分析ができていないということ、です。
事前に訓練したことが役に立つ= そうならないことが大事、です。
・宙吊り=最悪
・スニーカーで高難度ルートに取り付く神経がおかしい
・ボルトキットとハンマーも置いてきた=おかしい
・ボルトを打ち足し、ビレーポイント補強をすべき
・小窓尾根で取り付きを見過ごし、落石でガス缶に穴が開き敗退=アホ過ぎ
事故者は復帰するまで相当の日数がかり、結局引退しました。大きな後遺症もなく(足の指を少々切断)生活できたので良かったです。
事故者は、当会では、それほど経験がない者が多いです。
ーーーーーーーーーーーー以上引用終わりーーーーーーーーーーーーーーーーー
いかがでしょうか?
私の中では、
”モチベーションの高いクライマー”
=”予想できる危険について備えがないクライマー”
&ルート外しをするクライマー
&”自分の能力について過信もしくは自分の実力を客観的に位置づけられないクライマー”
&”経験値がないクライマー”
&”ヒヤリハットから推測による危険回避ができないクライマー”
&”未来予知力が乏しいクライマー”
&”女性の前ではかっこつけてしまうクライマー”
&”ロープワークが雑で時間がかかってしまうクライマー”
&”まだ分かっていないことを分かっていないクライマー”
&”有名になりたいクライマー”
&”インドアグレードをそのまま外岩に持ち込むクライマー”
&”師匠がいないクライマー”
です。山の世界は温かく、登りたい気持ちは共通なので、互いにお互いの安全を見守り合う関係にあります。
それで誰からも、声がかからない…というのは、自分の実力がそこまでに達していないのではないか?ということに思い至る能力…というのが現時点では核心、ということなのではないか?と思います。
■ 成長戦略の立案には、古い雑誌『岳人』を片っ端から読む
そうは言っても、アルパインで成長していくのは、なかなか困難が伴います。
お勧めは、古い岳人のバックナンバーを取り寄せて読み込むことです。現代のロクスノには、役立つ情報は載っていません。
私が参考にした号のバックナンバー情報は、少ないですが、こちらです。
図書館へ行けば、揃っているので、どんな号でもいいので、適当に古いのを取り寄せてみましょう。
■ フリーが上達すると、そんなしょぼいところは、登る気が無くなる
ぶっちゃけトークですが、少しでも、脆いリスクがあるところは、フリーが上手になれば、お得感が全然ないので、登る気がしなくなります…。
つまり、根子岳のようなのは、思春期の恋、中二病のようなもの、です。
なにしろ、例えば、前穂北尾根に行くまでに6時間の歩荷…アルバイト…がありますからね。その上、登るルートが、登攀は易しく(つまり、しびれない…)、その上、脆い(命の危険がある…)となれば、なんでわざわざ6時間歩いて、そんな簡単(つまり、しょぼい)ルートを登るの?って気になったりします。
ジャンダルムとか、一般登山者の憧れ、は、行っても仕方ないところ、だだの自己顕示欲の発露、という風に感じられるようになります。
それまでに、2,3年しか私の場合ですら、かからなかった感じです。40代の女性が、2,3年で退屈する、という話なので、若い男性だったら、もっと早いと思います。
普通に支点のしっかりしたマルチに行く方が、充実する、と感じるようになります。それから、登っても男子の場合は全く遅くないと思います。
人工壁で5.11、ボルジムで最低5級がスイスイ登れるレベルで、マルチのロープワークが言われなくても分かっており、登れなくなっても、ライジングされることなく、自分で解決でき、ギアは借り物が一切なく、救急救命のイロハは分かっている程度…が、次なる目標です。
雪をやる人は、労山の雪崩講習は受けておくべきです。
そうすれば、命の危険があるような脆いルート、低グレードの場所で命がけにならずとも、順当にステップアップできると思います。
一般にアルパインの憧れは、フリークライミングのレベル感のクライミングをするようになると雲散霧消します…
フリーのマルチで記録を立てる方が価値があるからですね・・・ 男子はそこまで女性の私と違って、一息なので、低グレードで命を落として、もっと楽しいご褒美を味わい損ねることがないほうが、トータルでお得度が高いのでは?
お得なだけでなく、賢い選択なのではないかと思います。