https://www.karrimor.jp/ambassador/k-1.html
より、NINJYAを事例に、トポで課題の価値を伝えるときに、何を伝えると良いのか?を考察。
前提: 課題には、ほかよりも意味がある良い課題、と ふつーの課題がある。味噌くそで保存活動するのは、ナンセンス。
■ 抽出
1)1年間を費やして自分のフリークライミングの限界にチャレンジ
→ 一つのルートを登るだけに、一年間かかる (長時間の法則)
2)一般フリークライミングの楽しみ方 との差 (こだわり強度の法則)
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これまで1つのルートの為にトレーニングをしたり、何日も通ったりなどはしてきませんでした。簡単なルートでも純粋にクライミングを楽しみたかったし、同じルートをずっとやるよりも色々なルートを沢山登ってみたかったから
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Ninjyaが特殊であるという意味
3)あるルート → 特定のルートへの愛着 (愛着の量=感動の量の法則)
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あるルートに出会い、限界に挑戦することの素晴らしさや登れたときの感動の大きさ
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4)最初に失敗する → 楽でない (簡単な壁ではない法則)
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最初のトライをしました。結果は惨敗。分かってはいたことですが、圧倒的に実力が足りていませんでした。
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5)実力が足りない → 楽でない (自覚の法則)
引用箇所 同上
6)諦めてしまうところを通う → 執着心(不屈の法則)
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いつもならこれで辞めてしまうところですが、どうしてもこのルートを登りたかったので、それからも休みの日は毎回このルートに通いました。
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7)「コスモス」は手段 (ほかのルートは手段の法則)
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暑くてトライも出来なくなったので、トレーニングとして、夏の間はマルチピッチクライミングをしていました。この写真はお隣の瑞牆山というところにある「コスモス」というルートです。
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8)ほかの活動は手段の法則
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筋力を落とさない為にボルダリング
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9)ちょっと前進 → 自己観察と自己向上の法則
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夏のトレーニングのお陰かちょっとずつ前進し、あと少しで登れそうな惜しいトライを何回もしていました。
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10)このグレードを登るのにかけた日数は → (トライ量の法則)
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今回は、この14というグレードを登るのに費やした日数は12日間、
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■ まとめ
1)長期トライの法則 ★
2)一般フリークライミングの楽しみ方との差(ルートの特殊度) ★
3)特定のルートへの愛着度 ★
4)簡単な取り組み課題ではない法則 ★
5)自分の現在の実力の自覚の法則
6)不屈の法則
7)ほかのルートは手段として努力する法則 ★
8)ほかの活動を手段として努力する法則
9)自己観察による自己向上の実感の法則
10)トライ量によるスタイル向上の自己計測の法則 ★
★がついているものは、開拓者がトポを工夫することで、取り組むクライマーにスタイルへの認知をもたらせそうだと予想できるポイントだ。
■ トポへの反映方法 7法
1)長期トライの法則
「この課題はじっくり通ってもらいたい課題だ」「〇〇氏が〇日かかった」「季節が夏だった」「夏から秋になってしまった」等
2)一般フリークライミングの課題と楽しみ方との差(ルートの特殊度)
「○○を登ろうとする人の入門に丁度よい」「中級者の実力試しに丁度よい」「熟達者にこそ味わってみてもらいたい好ルートだ」「雨の日に良い」「これが登れるようになれば一人前」等
いきなりジャック豆に行かず、小川山レイバック、カサブランカの後みたいな。
3)特定のルートへの愛着・思い入れ度
「開拓中に○○を落としたという思い出のルート」「このルートのために〇〇した」「○○のために何度も登った思い入れのあるルート」「一目ぼれしたルート」等
4)簡単な取り組み課題ではない法則
「開拓に○○日もかかった難ルート」「コケがひどく○○日」「指皮がなくなり血まみれになって登ったルート」等
5)ほかのルートは手段として努力する法則 ルートの関係性
「このルートは〇〇へのステップアップに良い」「このルートを登る前にプロテクションを確実にしてほしい」「この課題には正確な立込み技術が必要だ」「○○が終わっていない人には、このルートはまだ早い」「○○が楽勝で登れたら、これを登ってみてもらいたい」等
6)ほかの活動を手段として努力する法則
「器械体操出身には簡単に感じられる可能性がある」「体幹を鍛えてからトライして欲しい」「指力が非常に必要になる」「特殊なバランス感覚が必要」等
7)トライ量によるスタイル向上の自己計測の法則
「開拓には〇〇日を要した」「初登には試登を含め、〇〇日を要した」「初登はピンクポイントでリハーサルされ、のちレッドポイントされた」「合計100トライでやっと登れた〇〇な課題」「あまりの難しさに○○が根を上げた」等
■ 感想
これはNinjyaを例にとってみたのですが、ステファン・グロバッツの初登時の記録と比べると、当時のグロバッツと自己の差がより鮮明になって、
クライミング史に残る偉大な課題を登った
という感動がよりひとしおなのかもしれません。
■ 余禄