■ 乾徳山旗立岩
乾徳山旗立岩は、アルパイン”ロック”クライミング、つまり無雪期の山の登攀の入門ルートです。https://allnevery.blogspot.com/2016/06/blog-post_20.html
これと、インスボンのようなスラブの登攀ルートとの違いが分かるようになるのが、
アルパインとフリークライミングの違いが分かる
ことになる、というようなことのような気がしますね。
■ リッジで落ちる=クライマー失格
乾徳山旗立岩はリッジ登攀です。3P。つまり、尾根です。ですので、足で歩く登山の延長戦にあります。でも落ちたら死ですね。まぁ、フリークライミングの視点で見れば、絶対落ちないような程度の難易度ですけど…。それでも、フリークライミングの能力開発なしで行けば、落ちてる若い男性います。
記録。https://allnevery.blogspot.com/2016/06/blog-post_20.html
■ 若い男子でも落ちる
若い男子なら誰でもフリークライミング能力があるか?というと違います。インドアジムでフリークライミング能力が上がっても、このルートには行けない…。ここに必要な能力って、西湖の岩場でボロい支点の5.8をオンサイトする能力と支点構築力のほうで、インドアジムで5.11を登る能力ではないです。必要十分条件が揃うのが難しいのです。
■ クラッギング
クラッギングの場合は、誰かに連れて行ってもらって、テキトーにお茶を濁して、能力開発したり、自立したりは、しないで済ませる男性もいる。
前の会で、そうやってフリークライミング歴5年と言いながら、全部リードがAゼロだった男性がいました。全然フリーになっていなかった…。
■ マルチ=遠隔地でもない
マルチという一言で、全部アルパインの論理…落ちてはいけない…が適用される、という風にクライミングの業界内でも誤解が著しいですが…。
しかし、ほとんど下界のような山もあり、インスボンなどはその事例です。地下鉄から登る山です。
切り分けポイントは、救急車が横付けできるか?どうか?のほうです。
誤解の発端は、偶然、マルチピッチは、遠く離れた山にあることが多いからです。
本来は、山であっても、どこでも、フリーで登れる、つまり、エイドせず、道具に頼ることなく登れるほうがスタイル的に優れている、良いのです。
ただ、遠隔地の山のマルチでは、救急車が横付けできないため、落ちて死ぬは許されないので、不安があるようなら、エイドが基本です。墜落が許容できる環境にないということです。
ということで、フリーで登っていい環境、道路が近くて救急車が横付け可能というのは、許された、恵まれた環境ということなのです。
アルパインのクライマーが日和ると言えば、下界に近くなることです。
■ インスボンを登るには、修行が必要
というわけで、インスボンが人気なのですが、シーズン中は、頻繁にヘリ飛んでいます。
どうも、韓国の人は、日本の人より技術レベルは低いように思いました。1本で懸垂している初心者の様子とか、インスボンで見ましたが、危なっかしいものでした。
でも、比叡では、ローワーダウンすら怖くてできない若い男子をみたので、それだとショートの経験もなく、いきなり比叡のマルチに連れてきたという意味で、連れてきた人の常識を疑う感じでした。
それでも、20代の若い男子だったとしても、クライミングは徐々に教育して行かないといきなりは無理って話だということだと思います。
さて、インスボン的マルチピッチと、 乾徳山では、全然意味が違います。
インスボン vs 乾徳山
岩の脆さ 脆くない vs 脆い
登攀のタイプ スラブ vs リッジ
です。 スラブっていうのは、1枚岩ですから、のっぺりとした巨大ボルダー出現みたいな感じです。
スラブ登攀は、たいていの場合ランナウトです。傾斜が緩いのから、きついのへ、垂直へオーバーハングへ、と初心者は上達していくのがセオリーなので、最初は誰でもスラブになります。
≪クライマーの成長段階≫
スラブ→フェイス→クラック→オーバーハング→さらにキツいオーバーハング(ボルダーなど)
スラブ登攀の完成が、インスボンでしょう。比叡は、ランナウトであまりロープが意味がないことになっているのとボルトの老朽化で人気がない。=インスボン人気になる、と思います。町からの近さでも、インスボンの方が近くて、色々なレストランを利用できます。
≪スラブ登攀の上達の仕方≫
西湖の岩場 (入門)→ 春の戻り雪(熟達練習) → ガマスラブ(オンサイト)
インスボンの場合は、クラックもあるので、湯川程度のクラックの能力開発は必要だと思われます。
≪クラック登攀の上達の仕方≫
小川山レイバック(入門)→ カサブランカ・湯川(熟達練習)→ 台湾(オンサイト)
台湾は、クラックでも易しいので、無理なくオンサイトを貯めることができそうですが、私はまだ達成していません。2度目の台湾が必要な段階で、岸良に切り替えて、そのままでいます。
■ 入門→熟達練習→チャレンジ
この流れが、不適切になっているのが、現代のクライマーです。
入門=ジム 熟達練習=ジム
で、結局、スラブを練習する場がない、クラックを練習する場がない、で、入門と言われるアウトドアのマルチに行くので、練習なし本番と同じことになっています。
例えば、日向神でいくら登っても、クラックが登れるはずがないですよね?日向神は、フェイスの岩場なので。
それと同じことが起こっており、結局、インドアでのオーバーハングの登りのほうは、上達しても、それを外で使う場がありません。日本の岩場はハングしていない岩場が大半です。
■ ラオス
インドアジムで入門期と熟達練習を過ごした人には、ラオスがおススメです。
課題の成り立ちがジムと同じです。
低グレードでは、たくさんのホールドの選択肢があり、どれを使っても良いので、身長やリーチに関係なく、楽しく登れます。
だんだん高グレードになる=選択肢が限られてくる、傾斜が強くなる、という意味です。
ルートファインディングは、つまり易しくなり、上半身のパワーがいるということになります。
これは、そのまんま、人工壁の作りと同じなので、人工壁でクライミングを覚えた人は、
石灰岩クライミング
がおススメです。現代に足りていないのは、入門と練習の岩場のほうで、チャレンジ用の本番ルートはたくさんあります。