2020/03/16

ロクスノの知性低下の点

杉野さんの話題を共有したいと思って、ネット検索していたら、以下のような記事を見つけた。私は、この人がいう若いクライマー側に属していると思うが…年齢的には若くないが、クライミング歴は短い…ロクスノを読む気になれない…

のは、値段と内容のバランスが取れていないからだ、というのは、やはり理解というか、共感できる。

『岳人』なら、図書館でバックナンバーが拾える。『クライマーの食卓』という連載記事があるらしいと聞き、1984年あたりのモノを10冊ほど借りてきたが…目当ての連載なかったものの、将来、有望な若手クライマーとして、平山ユージさんが裕二というカタカナになる前、名声を確立する前にインタビューされていて初々しいし、遠藤由香さんも取材を受けていた。(遠藤晴行さんと離婚後だとは知らなかった)

言いたかったのはゴシップじゃない…(笑)。

当時の『岳人』の文章のレベルの高さ、だ。内容も多岐にわたっており、楽しい。

若い人の活字離れというが、彼らの知的レベルはかなり下がっていると思う… 客観的に見ても、昔は大学というのは、ある程度、選別された人しか行けないところだっただろう。今では9割が大学生で、誰でも行くものだ。

大学山岳部だけでない。一般クライマーも、ジムで登る人が多い。つまり、日曜にボーリングに行く感覚というわけなのだ。そういう人たちが9割という世界で、第一特集がチョーク…。 

こういう事態を見ると、”人は教えたようなものになる…”という言葉を思い出す。沢やの教育方法で、正反対の教育方針を取る似たような名前の会、”わらじの会”と”わらじの仲間”が、丁寧に教える、教えない、で揉めていた…その時に見た言葉だ。

クライミングにおいて、存在感が5%くらいしかないチョークを拡大視し、逆にデイドリームのような30数年ぶりの快挙を1ページで終わらせるなら、”人は教えたようなものになる”というルールが実現するのなら、どうなるんだろうか?

チョークにやたらうるさく、やたら詳しく、そして、歴史的なトライの意味が分からないクライマーを量産するに違いない。

ここで思い起こすのは、”起きていることはすべて正しい”、というどこかのベストセラー本のセリフだ。

そんな現実が出現しているが、せめてものブレーキとして、杉野さんのGoldBut Oldが出版の運びになることを切に願う。

あのクラスの文章が書ける人はそういないですよ。

ーーーーー

杉野さんの昔の連載、モンベルがまとめないかな?



なにかにつけて「昔のものは良かった」というのは、新しいものの良さを受容する精神の感受性が衰えている証拠であり、つまり精神が年老いている証拠のようで嫌だと思っていたが、でも実際に年老いてくると、そう言いたくなることが多くなるのも事実だ。




『ROCK & SNOW』という雑誌を、以前は楽しみにして、新刊が出れば購読していたのだが、ここ3年くらいはまったく買わなくなってしまった。もちろん、中には興味深い記事もあるのだが、いかんせん、値段と内容のバランスがとれていないと感じる。




若いクライマーが書いた中学生の作文のようなレベルの文章をそのまま?載せていたり、20年前(「岩と雪」時代)と同じ執筆者が、何度目かわからない焼き直し記事を書いていたり、Webサイトで載っていてタダで読める内容をほとんどそのままコピペして載せていたり、あげくの果てには第一特集が「ホールド」??

あきれるのを通り越して笑ってしまう。(ホールドについての記事があることは悪くないし、以前もあったが、第一特集でやる内容だとは思えない。ネタ切れ感があまり強い)




文章のレベルについてだが、クライマーが書く原稿のレベルが低いこと自体は仕方のない場合もあるだろう。クライマーは、クライミングのプロであるが、文章のプロではない。文章力は、クライマーとしての評価と何の関係もない。クライマーはクライミングで語ればいいのだ。




しかし、だからといって、中学生の作文のような顔文字入の原稿をそのまま載せておけばいいというものでもあるまい。中学生が書いてるならそれでいいだろうが、20歳を超えた成人が書いているのだから、読んでる方が恥ずかしくなる(専門誌の記事として)。

本人が原稿を書けないなら、インタビューをしてライターがまとめればいいし、あるいは編集者が原稿に手を入れ、代筆なりをすればいい。それが雑誌編集部の仕事だろう。

もちろんそんなことは言われるまでもなく、編集部もわかっているだろうが、出来上がった記事を見る限り、編集者がなすべき仕事をしていないとか思えない。Webサイトの内容をそのままコピペで載せることについては、なにをかいわんや、である(その記事内容の正否自体は別の話しとしても)。




一方、自分が買っていた、50号くらいまでの『ロクスノ』を(そしてさらに遡って『岩と雪』などを)読むと、昔のクライマーは全体的に知的なレベルが高かったのだろうか、と感じる。これはバイアスがかかった見方だろうか? ちょっとしたコラムでも、それぞれ面白いのだ。それに較べて今の『ロクスノ』を見れば、これは世の中全体の知的なレベルの低下が、ここにも反映しているのか? と感じてしまう。




また、「グレード」や「ボルト撤去」「アクセス問題」などのように、クライマー間で意見が分かれる問題について、随時座談会や誌面での議論をしているのも、熱くてよい。もちろん、意見の違いはあり、それは埋められないままであったりもするのだけど、理想のクライミング、クライミング界を目指そうという熱気は、感じられる。そのような議論の場を提供することは、重要な専門誌の役割のはず。

いまの編集部に、クライミングそのものについて、クライミングの目指すべき姿について、深く考えようという姿勢は、あるのか。




以前の記事の中でも、杉野保氏の連載はピカいちだった。

杉野氏は言うまでもなく一流のクライマーだが、どこで身につけたのか、文章力も一流だ。一流のクライマーでなければわからないし、書けない内容が、一流の文章で表現されているのだから、これはもう、しびれる。

杉野氏の連載「OLD BUT GOLD」「Dig It」を、古書肆の店先に埋もれさせたままにしておくのは、あまりに惜しい。まとめて単行本にして出版することは、出版社の義務ではないか。

山と渓谷社がやらないなら、モンベルがやればいい。




そして、昔の『ロクスノ』なんて当然読んだことがない若いクライマーにも、ぜひ読んでもらいたい。読めばわかる。こういうものこそ、クライミングの記事だ、と。ーーーーーーーーーーー 引用終わり
https://seeyou44.exblog.jp/21640311/?fbclid=IwAR0D1IKsLi3EAa8UjGaFqG8_N2bG9Pui-PREh2qKxpyvdY3yjEtdcMjno_U
より引用

2020/03/15

やみくもにボルトラダーを作る前にもっとボルダーを登るべきだ

■ ボルダーで力をつけてからルートへ?

”やみくもにボルトラダーを作る前に、もっとボルダーを登るべきだ”と、かのOBGに書いてあり、

この理論で言えば、

1)フリー
2)ボルダーで強くなる
3)それでもフリーで登れないルートなら、エイド

っていう順番なのかもしれないと思案中。精進して登れないものがエイド。

精進していないのに、エイドっていうのは、ちょっといかがなものでしょうか?という話?

私はエイドルートは行ったことがないのですが…なにしろ、エイドルートって、チビはお呼びじゃないでしょうし…。

エイドのフリー化が主流だと、主従逆転して感じるようになるよなぁ…。フリー化できるなら、最初からエイドで登らなくても、良かったんじゃないのか?的な…?

OBG 柏木さんが載っていました。水俣のボルダーです。こちらは動画集

Death of Tamotsu Sugino

Death of Tamotsu Sugino

This week was so shocking and spend for nothing but thinking of the death of Sugino, a respected free climbing guide. He died while he was inspecting the cliff in Jyogasaki, a famous trad climbing sea cliff...

Police suspects a strong wind might have brown him away... but he died at the worst place at the worst timing. This death must have been his least wish... of course there is no climber who wants to die at age 55... still, the reason why I say it's worst place and worst timing is this place, the Jyogasaki Cliff is No1. Trad climbing destination in Japan which has a huge access issue.

Jyogasaki has Japan's first 5.14a crack called "Mars". The "Mars " was climbed by Kazumasa Yoshida, in 1988. Back them it was graded 5.13d but later by the second climber, it was re-graded as 5.14a. If so, it was the world's most difficult crack climbing at that time. This crack give a great influence to many climbers in Japan and the one of them is Sugino.

Kazumasa Yoshida had died a few years ago in 2016, and many climbers wrote a tribune to him... one of them was Sugino.

Sugino himself was a great climber and also was a great climbing guide who teach trad at Jyogaki and he wrote so many great articles...called "Old but gold" in Japanese climbing magazine... which inspired a lot of climbers.

Now Sugino is also gone and it happened at the Jyogasaki... which had 3 serious accidents in the beginning of the this year... people were worried for this crag might be closed.

Actually even now, relatively small amount of people know about Jyogasaki, it is a open secret that no beginner is welcomed there.

Japanese trad climbing is considered as a very small community yet I think, considering what it is now in Japan, very bad bolt situation and such, I think the safest choice is the trad climbing.

I am so sorry that his death happened in the exact place that he wanted most, to protect as a trad crag.

Sugino was a sort of opinion leader of free climbing ethics, or should I say, clean climbing ethics.

So there must be some other people too, not just me, are curious about how his death play a part in protecting this too famous crag from further access issues. 

My friends climbing in Jyogasaki trad.

Old but Gold  Ninja5.14a

■ OBG単行本化を望む

杉野保さんのOBGをお送りいただいて読んでいます。こんな素晴らしい記事が連載されていたとは…。私がクライミングを始めたころのロクスノには、あまり私が読んで楽しいような記事はなく、まぁお金の無駄遣いと思えることの方が多かったんですよね。

ロクスノや岩雪は図書館に置いていない。その上、価値ある記事ばかりではなく、まぁクライミングの流れ的にちょっといかがなものか?と思える記事もあるわけなので、良い連載は、単行本の形にして、抽出しておいてもらいたいものだ。その一つが杉野保さんのOBGであると思う。

■ シュテファン・グロヴァッツのNinja 5.14a

で連載は、クラック時代の名課題から、当然ながら、フェイスルート全盛時代へ移っていくわけだが、その皮切りが、Ninjaでした。小川山のお殿様岩の裏にあるそうです。

Google先生に、お殿様岩と入れても、別のマルチがアップされるし、Ninjaと入れても、第9登を誰かがした、ということしか出てこないため、まぁこのルートの歴史的位置づけというものを知ることがネット上から可能か?というと不可能でしょう。

ネットというものは、最近誰かどこを登ったか?というような、近視眼的情報は得意ですが、歴史的アーカイブというのは、まぁ今から。Ninjaが登られた時代を知らない人は、それを知ることができる立場… 有力山岳会につながり、先輩たちから正しい情報を受け取る、と言うことがない限り、それは難しいのだろうと思います。

私が知っている、ちゃんとしたクライマーと言うのは、大体、もともとちゃんと機能している山岳会の出身クライマーであることが多いです。山梨で言えば、白鳳会レベル。長野であれば、CMC。

ハナシが逸れましたが、シュテファン・グロヴァッツのNinjaは、当時日本の基準を大きくかけ離れ、様子に誰も登れない課題だったそうです。日本男児の矜持ピンチ? かどうかよく分かりませんが、日本の男性には、ものすごく根強い、”外人コンプレックス”があるような気がします。それは肉体的強度において、です。

でも、世界的に見て、地図のはしーっこにあるような、辺境の国、日本までわざわざ来るような人たちって言うのは、市井の普通の人であるはずがなく、ドイツ人の中の最強クライマーじゃないかぎり、そんな辺境の地まで来ないわけで、そういう人たちと、市井の人間を比較する思想自体がそもそも、無理って言うことを思います。なんで、それで奮闘しちゃうのか分かりませんが、おかげで、日本のクライマーは現在、世界列強列伝に名を連ね中で、ひょうたんから駒?的な展開を遂げていますが、それは佐藤祐介さんレベルだけの話ですからね。一般クライマーは、冷静になって、普通の市井のクライマーと普通の市井のクライマー同士で位置づけを理解してください。そうすると日本の一般クライマーは、アメリカなどの一般クライマーと考えると、まぁどっちかというと頭がお花畑っぽいようです。

Ninjaですが、検索では11登者の情報が出てきます。こうした歴史的ルートの再登情報こそ、無料のアーカイブ空間が広がるインターネットが適しているかと思いますが、その前の再登者名はにわかには出てこない。

佐藤祐介 11登
https://www.climbing-net.com/news/satoyusuke_181118/
渡辺海人 9登目
https://www.climbing-net.com/news/ninja_171113/

京屋仁さんの記録
https://www.karrimor.jp/ambassador/k-1.html

吉田さん 2登
https://micki-pedia.com/yoshida-kazumasa.html

シュテファンのHP
https://www.glowacz.de/en/?fbclid=IwAR3TZAleIus-MG7Y42k0I9GiVKMEI4deYCuqqycSoFoeU2kN_4gdnGSu_mY

Ninjaのリボルトについて
https://freeclimb.jp/news/news2012_3.htm?fbclid=IwAR1fC88ikf-L6BhH0mlUOlgZ-v149Bx4P6kimynkW3f_1f26sWU9M76riiY#ninja

とまぁ上記のような情報が得られました。

■ ラッペル+グランドアップ=ドイツ人方式

OBGによると、ボルト位置の悪さは、ラッペルでボルトを打ちながらも、あえて、適切なボルト位置にせず、グランドアップでのトライで、完登を目指したという、ドイツ人の心意気を見せてやる!というような話らしいです。22mで5本しかボルトがないそうですが(笑)。

冒険的=心理的に怖い

という公式になっているようで、なんだか「お前階段何段飛べる?」と同じで少々がっかりしたような気もします。落ちることができないらしく、JFAのリボルトでは位置が改正されています。 今や、5.14も楽しんで登る時代ってことですかね。5.12は上級者ではなく、中級者ですから。

そして、Ninjaは

ボルダームーブをルートに生かせる課題

だそうです…高難度ボルダー3連発。

こういう世界トップレベルの人が取り組むべきゲームが、ラッペル+ボトムアップ=ランナウトあり の世界。

フリーはアルパインの基礎力だから、という理由でフリーをするクライマーとはまた違う話のような気がします。世界レベルの人が世界レベルの難度でやるゲーム理論を、安全管理能力が未熟であることが当然の、初級者がやるのは超無理がありませんかね?と思ったNinjaの紹介記事でした。吉田さんの偉大さをかみしめ中です(笑)。

Ninjyaは『Rocks Around the world』という本の取材目的で取り上げられたそうです。

https://amzn.to/2TZXprK

1500円行かないぐらいで入手可能です。









2020/03/13

85年から数年

■ 石灰岩時代=ボルト時代

85年という年がどうもクライミング界では、分水嶺だったみたいで、以後、どっかぶりの石灰岩(フェイス?っていうのかしら)へハードフリーの場面は移動していき、どうも、石灰岩クライミング=ボルト連打、となったようです。

そりゃそうか。ハングした岩場でボルトがないとすぐさま、グランドフォールですし…
というので、時代の流れ的に、第一期ボルト時代が85年から数年らしいです。全国にあっという間にボルトの岩場が広まったのだそうです。

現在は2020なので、2020-1985=35年。 

30年から35年経っているボルト=こわーい。

という法則みたいです。

■ 今も昔もオーバーハング大好きみたい

ボルダーに行って分かったのですが、男性は、やっぱりオーバーハングが大好きみたいで、それはやはり強みである上半身の筋力が生かせるからなのではないか?と。

ボルダーってかなり強傾斜です。 逆に言えば、傾斜がないと面白くない、みたいな??

そんな感じなので、ボルダーや石灰岩での強い傾斜に取り組む男性たちの根源的な願いは

「持って生まれた生命力を燃焼させたい!」ってものじゃないか?と想像しました

だって、今男性のパワーが活躍する場って、そんなにないですし…。

女性から頼られるっていうのも、体力面で女性が男性を頼らないといけないケースって、ほんとに探さないと無いくらいで、頼りにし、頼られるという関係が築きにくい。

時代は悪平等すら漂っていますし…

■ 得意不得意の分担

というので、男女で組む場合、得意不得意を考えてみました…

ラオスで、登った時、ルートの適、不適が色々あるということが分かりました。

一手が遠い課題=男性向き
スラブ&カチが細かい課題=女性向き

ということで、そういう課題が交互に出てくるようなマルチのルートがあると、役割分担するようなことになって、スピードも速くていいのかもしれません。

クラッカーは杉野サイトを見ましょう

■ ロクスノ=会報代わり説

杉野保さんが不慮の事故で亡くなり、今『Old But Gold』という連載記事をいくつかいただいて読んでいます。

そして、ああ、ロクスノと言うところは、山岳会の会報だったのだ…と理解しました。

ロクスノは、現代の山岳会が機能しなくなった時代に、山岳会の会報紙に代わる位置づけなのだ…とデイドリの記録を見て思いました。デイドリの彼が、杉野保氏の文章が書ける岳人になるか?ならないか?将来が楽しみです。

■ クラッカーは杉野サイトだけ見ていればいいのかも?

私は杉野さんから教わるのではなく、吉田和正さんから教わる気でいたので、杉野サイトをさしてチェックしたことがなかったのですが、今回サイトチェックして、へぇ~と言うことになりました。

クラックの名作、勢ぞろい中。なるほどね~これをみんな追っかけてたのかしら~なんて、過去に出会ったクライマー君たちが何を目指して頑張っていたのか、なんとなく、見えたような?見えないような?気持ちでいます。

■ クライマーのタイプ

私は記録や写真を見て、それに触発されて、登りたい!ってないんです。人の記録を読んで、それからどこかに登りに行きたいタイプではなく、地域研究派と言うか、自分の置かれた地域での山と言う自然、岩場と言う自然について詳しくなりたいってタイプなので… 

こんなところにこんな岩場が…という発見が好きなタイプ。

というので、クライマーには2タイプあるのかもしれません。

タイプA …インスピレーション型。岩の造形を見て、登りたい!というインスピレーションが沸くタイプ

タイプB… 地域研究型。すべての尾根とすべての谷とすべての岩を知り尽くしたいという全方位タイプ

登のが目的ではなく、知るのが目的だったりもするので、けっこう旅タイプと間違えたりもします。

タイプAの方は、見た岩が遠くにあったりすると、必然的に旅をしないといけなくなりますが、旅自体に適性があるわけではないかもしれないので、旅を苦痛と捉えて、その苦痛を減らそうとする傾向にあるように思います。

ので、タイプAの方は、豪華になりがち。

私はタイプBなので、知るということに掛けるコストは小さいほうが好き。最初から、知りたいという原動力みたいです。登ることに固執が少ないみたいです。

というので、上達となるとやはり早いのはタイプAなのかなと言う気がしますが、手段を選ばずに陥りやすいのもAかもしれません。






2020/03/12

ロクスノ 087号

■ 087号のロクスノ

は、私のために助け船か?というような内容でした。

とくに東さんの特集…。要するに、東さんが13を登っているころ、奥さんは長年5.10代をさまよっていた話。女性と男性は違うんですと、そこはなく伝えたい。

一般に男性は男性の基準でしかモノが見れないケースが多い。特に家に男の子の兄弟しかいなかった家庭の子。

デイドリの記事は初々しかったが、やっぱり”男子”って感じで、”男性”ではなかった。”カムを発射”と書いてあり、まぁ、要する、体力のゆとりがグレードにつながっているだけなんだなーと思った。若さだね~って感じ。若い時に取れる糊代を取っておくことや、努力をいっぱいしておくことは、悪いことではない。念のため。ただそれを誰しもがやらねばならぬという意味じゃないです。

下り坂に差し掛からないと分からないことがいっぱいあり、それは上り坂の男子には分からない(分かる人もいると思う)。両方を経験しないと分からないのが、大体の男性で、最初から分かっている人は、かなり人間力高めの人だと思う。

チョークの記事の力の入れように驚いた。クライミングに占めるチョークの存在感は5%くらいなもので、その細部にかけるページ数が、デイドームの記録に掛けるページ数の数倍であることが世界の現実を示しているようだった。

フリークライミングって、肉体以外のほかのモノを使わないって意味じゃないのかね?と意地悪を言いたくなっても無理はないであろう… つまり、チョークごときに力入れすぎだ。

ジャミング技術の特集…とりあえず知っていることだけだった。ワイド特集のほうに期待したい。

チョークより、ジャミンググローブを国産で誰か開発してほしい…なんで、あんなものに4000円?!とお高い。原価数百円と思う。適正価格は1500円だと思う。

倉上君の食事の記事。でしょー連発。私と考えていることが同じでうれしかった。

北方稜線・・・行きたい。単純に私は山が好きなんであって、美しい自然の造形美が好きなので、岩とか山とか、区別なく、自分が歩ける場所で美しい景色を見たい。

雪の山が好きだったので山をやっていたのに、いつの間にか、雪も氷も関係なくなり、なんとなく、騙されたような?キツネにつままれたような気持だ。なんであまり美しいとも言えない、いかつい岩と格闘中なんだろうか(笑)? 私は雪の妖精が出そうなメルヘンな世界を愛していたのに?

とは言っても、岩場に行ってしまえば、変な脳内物質が出て、そのために、膝の痛みも忘れ、知らない間に頑張っちゃうんだよなー。

というので、そういう脳内物質がなぜ出るのか?ということに研究の軸足を移していこうと思った次第。

2020/03/11

キンクしないトップロープ終了点

■ RI

本日のRIの記事です。

https://rockandice.com/climbing-gear-tips/kinks-be-gone-how-to-rappel-and-lower-without-twisting-the-rope/

上の画像がキンクしないトップロープ終了点。 下の画像は、カラビナが固定されてキンクする終了点。

余談ですが、トップロープは、自前のヌンチャクに掛け、終了点に自家掛けするのはやめましょう… 

カラビナが回転しないのでキンクする手作りハンガーの終了点。

こちらは

ハンガーを省略して、ボルトにチェーンを直付けしている手作り終了点。

チェーンがスイベルの役目をはたして、キンクはしにくいとされるようです。

フリークライミングを教える機関がどこにもないってハナシの続き

■フリークライミングの教育機関? 

さて…今日は、穏やかな晴れで、なんだか気分が良いです。

というので、色々と、考察の続きを書きます。

フリークライミング、を教える機関がどこにもないってハナシ

ですが…、やっぱり、フリークライミング協会、が基本的にフリークライミングの教育機関たるべきなのでは…???

ちなみに、私は実はフリーは、全然フリー(自由)じゃないから、あんまり好きではないのです…

■ 注文の多いフリー と 節操のない岩場 の考察

とは言っても、九州に来て、岩場に人工ホールドが取り付けてあったり、木っ端が取り付けてあったりすると、「これは、フリークライミング協会の人が見たら、悶絶&気絶するなー」くらいのことは分かります。

大体、フリークライミング協会のイメージって、”なんだか色々と注文多そう”というもので(笑)、私が、”フリーは全然フリーじゃないから好きになれない”というのと同じ理由です(笑)。

なんでフリークライミング協会が、そんなイメージを持たれるに至ったのか?

それは、たぶん、卵が先か、ニワトリが先か?みたいな話になると思いますが、結局のところ、岩場に人工ホールドとか、岩場に木っ端みたいな岩場が増えて、結局、外岩が過剰に人工化されてしまった=外岩のインドアジム化 が起こったということみたいなんですよね。

そういうのを見たら、そりゃ~誰だって、えー人工ホールドをつけてまでそこに登りたいなんて、それ、ズルでしょーと思うわけです。 ええ、それは、私みたいな、まだ10台でひいひい言っているクライマーだって、ちょっと変ねーと思うのは道理なのです。

付け足しホールドがないと登れないつー話なら、登れるまでトレーニングして帰ってくるか、登らなきゃいいじゃん、ってハナシで。

■ なぜ岩場が人工壁化したのか?

一方で、岩場の整備者の側の事情も分かる。 昨今のクライマーは、安全管理が未完なまま岩場に来ます。

昔はアルパイン全盛だから、懸垂下降やプルージック登攀ができないで岩場に来るクライマーがいるわけはなかったのですが、あれやこれやが分からないまま、基本的に入門の岩場っていうのは、誰しもを受け入れる岩場、です。

となると、初心者だけで登らせられない訳です。経験者も何か楽しむことがないと、連れてくる気にならない。ので、1本くらいは12台や11後半が欲しいとなります。

その人工ホールドがないと13になってしまうようでは、経験者が来ても登るものがない=初心者も岩登りに来れない=両者Lose Loseの選択肢…

というわけで、これを避けるために、岩場に木っ端、みたいなことになってしまうわけですね。

なので、入門者用の岩場というのは、人工壁みたいなものです。

の割には、ボルト間隔が、成人男性に合わせてあり、あまり万人向けとは言えませんが、それは、今後デビューしていくだろう、フリークライミングの岩場、がそうなので、それはそれでいいのかもしれません。恐怖にも慣れないといけないわけですし。

というので、結局のところ、入門者用の岩場というのは、特殊な立場にある岩場というわけです。大体、都市部から近い近郊の岩場がそうなります。

いわば、クライミングジム代わり、というわけです。余談ですが、クライミングを難しくするのは簡単で、限定を増やせば、同じ課題でもどんどん難しくして行けます。

簡単すぎて登るところがないという人は、靴を悪くし、ザックを重くし、チョークを悪くし、プロテクションをギリギリまで減らして行きましょう。

■ 入門者への教育用岩場

というわけで、インドアジムスタートが主流の昨今の岩場においては、基本的に、入門の岩場では、フリークライミングの掟やイロハは、諸般の事情のために、先輩みずからが目をつむるということにならざるを得ません。

それは段階的な教育が必要ということです。例えば、城ケ崎のスカロップ5.12dに憧れるような男性クライマーは、正しく成長していると思いますが…そのプロセスで死んでもらっても困るわけです。

私は甲府時代に、親しくしていた、あるガイドさんから、「俺、先輩をビレイしていたら、その先輩、カム3つ飛んでさ」という話を聞かされていますが、そういう話を聞いても、それがどういうことか?というのが、基本的には、連想したり、空想したりできないのが、最近の若者のようなのです。

ちなみに上記のセリフを翻訳しますと、”カムのプレースメント技術を磨く前に、限界グレードに挑んではいけないよ”って意味ですよ。

つまり、リスクの取り方、というのを、言葉でストレートに伝えないと多分、分からないのでは?

というので、今というか、ここ30年くらい?求められているのは、たぶん、基本的なフリークライミングの掟を語った話です。

私は、今のところ、山岸尚将さんが書かれた『教科書になかった登山術』という本が一番いいかなと思っています。

https://amzn.to/2IypH7E

■ 入門者向けルートガイド

杉野さんのOldButGoldは、いぶし銀のような渋くて古いルートが、実はとても楽しいルートだということを紹介している良きルート紹介だと思いましたが、それは5.12代のクライマー向けであって、あまり万人向けであるとはいえません…

5.12にたどり着く人は、クライマー人口のうち数割だと思いますが、5.9を通過する人は、クライマー人口のほぼ100%です。

ですので、世の中に必要なのは、”5.9 But Gold”と言うようなルート紹介の記事であり、それがないから、まぁクライマーらは、ボルダーで糞詰まりを起こしているってことです。

ボルダーで初段を落とした後に、リードに来ても、5.8で登れない人はたくさんいます。

私の後輩だったO君は、元気よく「エイハブ船長登れました~」と言ってくれた(
エイハブ船長は1級の基準課題です)ので、じゃあ、そろそろ外でもリードしないといけないなと思い、私がオンサイト出来た5.10aを勧めましたが、登れず。若いクライマーにとってボルダー1級のほうが、リードより易しいのです。

”5.9ButGold”なルートは、実は、ガイドさんと開拓者、あるいは、山岳会のリーダーが握っています(笑)。 たぶん、その知識をできるだけ高く売りたいというのが、ガイドさんと山岳会のリーダーたちで、自分は無料で得た知識を、恩売りに使いたいみたいです。

そういう姿勢ではなく、この岩場の”5.9ButGold”なルートはこれだよ!という知識がもっと多くシェアされるようになれば、おそらく、日本のクライミング界は花開くに違いありません…

海外のトポの外岩分類

■クライミングのスタイル分類

いつも思うのですが、なんで日本のトポにはスタイルの分類がついていないのでしょう?? 私なんかより、フリークライミング界の大御所は一杯海外の外岩のトポを見て、分かりやすいな~ こうしたらいいな~と日本の岩場の情報不足の、具体的に何がどう情報不足なのか?ということは分かっているでしょうに…。

例えば、The Cragにはこのような記述でその課題やエリアがどんなスタイルで登るべきかを指南してあります。

ボルダー
トラッド
スポーツ

トップロープ
ディープウォーター
ヴィアフェラータ
アイス
アルパイン
トラバース

とくにアルパインの思想をフリーに、そのまま持ち込んでいることの摩擦や矛盾が大きいなと思います。

例えば、日本のフリークライミングのルートでは、5.9が登れる人のためにボルトがあるわけでなく、5.12の人が楽勝だからと言う理由でボルトは飛ばしてあったりするので、どこで落ちてもロープとボルトに守られるわけじゃない…。そのような状況の中で、プリクリップに文句をつけられている状況なので、驚きました…。文句をつけている人たちは、ボルダーではSDにすると2段、たってスタートだと5級っていう課題があるのは知らないのでしょうか…。

こうした標準体型&5.12クラス以上から楽しく登れるという日本的事情は、遠藤由香さんが、男性にショルダーされてエイドルートにクリップしている姿を見て理解しました…。登攀力があっても、身長がなければ、クリップできない(=自分の身を守れない)ので、私が、トムとジェリーが登れないのは当然みたいでした…。

(余談ですが、その後エイドルートのお誘いを受けても断っています... 背が低いことのハンデが分かっていないパートナーと行くと危険だと思う。誘ってくれる人は、私がエイドルートをリードするにはショルダーが、あるいはプリクリ棒が必要になると分かっていないと思います。そのような人と行くと非常にマズイ結果になることが予想されますし、セカンドなら、普通のフリーのルートでいいわけですよねぇ)

日本では、人工壁のことだけをスポーツルートと言うことになっているようです。

海外のトポには、スポーツ、という記述があり、それはたぶん、このルートはランナウトしていないですよ、5.9だったら、そのグレードが限界グレードであるクライマーに適したボルト配置になっていますよ、ということなのだろうと想像しています。

日本のトポは、スタイルを分類していない。

■ フリークライミングの教育機関がない

また、フリークライミングの教育機関がない。フリークライミングを教えます、ということには、クライミングジムでもなっていないし、登山学校に行けば、当然アルパインクライミングを教わって、フリークライミングを教わるわけじゃない…。人工壁があるじゃん、となりますが、人工壁はスポーツクライミングを教えるところで、フリークライミングを教えるところじゃない。

となると、フリークライミング、を教える機関がどこにもないってハナシですね。

■ サボっているのは誰だ?

まぁ、ちゃんとガイドさんがフリークライミングの、フリークライミング足るゆえんや本質をきちんと教えてこなかったのが良くないと思いますが…。ちなみに私はアイスですが、保科さんスタートのクライマーですが、そんな話は聞いたことがありません。保科さんが悪いと言いたいのではないですが。

登ってトップロープ張ってあげて、ムーブだけ洗練させてあげて、リードのビレイをしてはあげないのがガイドさんは一番楽です(笑)。

私も後輩には、よほどのことがないとリードはさせません。自分が登った課題にトップロープをさせてあげるだけです。

死なれたら困るので(笑)。

ので、後輩にリードしていいよ、というのは大変なご褒美と言うか譲歩と言うか、そんな感じです。

大体、デッドで取りに行っているような人は、「まだまだリードさせられないなー」と思って見ています。


2020/03/10

Rock In Japan Vol 0 to Vol 14 By Tamotsu Sugino

杉野さんのGold But Old からスカラップ

■スカラップ

杉野さんのGold But Oldがどのような特集だったのか知りたくて、送っていただいた記事を拝読しました。

城ケ崎スカラップ12dの記事。

1)課題の位置づけ
85年が時代の代わり目だったこと…
私は2016年から登っているので、1985年なんて中学生?なんですが…当時はハードフリーと呼ばれていた時代だそうです。そういえば、前の会の先輩らもそう言っていました。ハードフリー。今ではなんていうのかね??? で、ハードフリーなクラックから、ハードフリーなフェイスへの転換点が85年あたりなのだそうです。

2)グレーディングの機微
名ルートなら、初登、第二登、第三登くらいまでは書かれていないと(笑)。
初登の池田功さんと、二登の橋本覚さん、3登の吉田和正さん、それぞれ強みが違い、正確なグレーディングというのは、大変難しいのだろうということが分かった…と言うのは、やはり得意だと易しく感じるから。

スカラップは、片腕懸垂大得意、天井レイバック大得意の人に向いた課題らしいですよ☆ 

3)名文とは?

パワー&デリケートなムーブということで、男性的でもあり、女性的でもあり、プロテクションのセットに不条理な恐怖があるわけでもないそうで、とっても魅力的なルートに感じられました。

杉野さんの書いた文章が素晴らしいのは、

そのルートを登りたい!という気持ちにさせる力がある、

ということです。

そう言う文章を良い文章だというのだ、ということが分かりました。

お送りいただいた方、本当にありがとうございました!!