2025年9月24日に発表された玉龍ナシ族自治県政府および麗江老君山国家公園管理局による通告は、中国国内外のクライマーにとって非常に大きな衝撃を与えました。
この通告は、世界的なトラッドクライミングの聖地である**黎明(Liming)**でのクライミング活動に事実上のストップをかける内容となっています。しかし、「中国でクライミングが禁止されたのか?」という問いに対しては、冷静に事実と未確定要素を切り分ける必要があります。
1. 通告から確認できる「事実」
現在判明している公式通告の要点は以下の通りです。
活動の停止: 老君山国家公園内(黎明エリアを含む)でのクライミング、ハイキング、キャンプなどの野外活動を一時的に停止する。
名目上の理由: 生態系の保護、地質遺産の保護、および安全管理体制の再構築。
対象範囲: 特定の岩場だけでなく、管理局が管轄する保護区全域に及ぶ。
罰則の示唆: 無許可で立ち入った場合、関連法規に基づき処罰の対象となる可能性がある。
2. 一次情報が不足している「不透明な点」
現時点では、以下の点が公式には明言されていません。
期間の限定: 「一時的」な措置なのか、実質的な「永久閉鎖」なのか。
再開の条件: どのような安全基準や環境保護策が整えば解禁されるのか。
既存ルートの扱い: すでに打たれているボルトや設置された終了点の撤去が行われるのか。
他エリアへの波及: 麗江以外のエリア(陽朔や格凸など)に同様の規制が広がる予兆があるのか。
3. 「黎明が登れない」の本質とは?
今回の事態は「中国全土でクライミングが禁止された」わけではありません。本質的には、**「国立公園内のレクリエーション管理と、政府によるリスク管理の強化」**という側面が強いと考えられます。
| 視点 | 内容 |
| 環境保護 | 黎明の赤い砂岩(丹霞地形)は非常に脆く、地質学的に貴重なため、保護の優先順位が上がった。 |
| 法的責任 | 事故が発生した際、管理当局が責任を問われるリスクを避けるため、一旦すべてを停止させた。 |
| 商業化の再編 | 自由なクライミングではなく、ガイド同伴や有料許可制など、管理下でのアクティビティへの移行を狙っている可能性。 |
重要な視点:
中国のクライミングエリアは、多くが「風景名勝区(国立公園相当)」の中に位置しています。今回の黎明のケースは、アウトドア活動が「自由な冒険」から「管理された観光資源」へと変質していく過程の衝突と言えます。
4. 結論:中国でクライミングは禁止ですか?
いいえ、中国全土で禁止されたわけではありません。
しかし、黎明のような「国立公園内にある世界クラスのエリア」が、行政の一存で閉鎖され得るというリスクが顕在化しました。今後、中国でクライミングを継続するには、現地コミュニティからの最新情報を常に確認し、現地のルール(LNT: Leave No Traceなど)をこれまで以上に厳守することが求められます。