■アイスクライミングやトラッドをしないから、山がステップアップできない
論より証拠。
こちらをご覧ください。これは中島健郎さんの、トレーニング動画からの一枚です。
https://youtu.be/qTiVzzFT7gY?si=BlXtSNLCVP2DphBH より引用。
支点は?
ビナは軽量の。ゲートがモノフィル…ペツルのアンジュですが、これも古い山やさんには不評で、構造が弱すぎると言われて敬遠されていましたが、初心者でない限り、そもそも落ちないので、これでいいと私は思います。
もちろん、人工壁に出かけて、バンバン落ちる日にこのカラビナを使うとか…そういう用途はしないのです。
あとナイフも見えていますね。今時、ザイル切断して仲間を死なせる代わりに自分が生き延びるとか、そんなシナリオないですよ?普通に、「自己確保で上がってきて」とか「ホーリングであげるわ」と言えばいいだけなんで…
いつまでたっても誤解が深いのは、たぶん、クライマー人口の9割が、レスキュー技術、ロープアクセスを学ばないで、つまり保険なしで、クライミングに行こうとするからですね。
私も同じことをやらされそうになり、ビビった…。九州では、登れるだけでロープワークゼロの人をセカンドにして、マルチに連れていく人が、良い先輩、扱いでした。それを期待されます。
魚ではなく、魚を釣る方法を教える人が良い人ですが、全く逆。
男性たちは、ものすごく依存的で、女性に、魚を釣る方法、つまり自分で自立して料理を作る方法を教えてもらいたいのではなく、料理そのものを作ってもらいたいと思っている、ということが山小屋で分かった(笑)。
でもね、クライミングで難しい山に挑むとなると、甘えられる女性はいません…谷口ケイさんはとっくに亡くなりました…ので、自分で料理しないといけないんですよ(笑)。
■ 技術が古いまま、なのでは?
新・高みへのステップも調べましたが、どうも、アックスで、岩と氷のミックスを登る、ということが、この登山教科書でも理解されていないみたいでした。
私は山、古い時代のは知らないので、勝手に想像するだけですが、ピッケル=歩けるところ、それ以上のところは、手袋で登っていたのでしょうか?
しかし、垂直以上になると、ピッケルのまっすぐのシャフトでは、逆にアブナイくらいで、非常に登りにくく、シャフトがカーブしている必要があります。
そして、ピッケルとして滑落停止にも使いたい、となると??? 反対側はストレートでないといけないし…となり、結果、雪稜バリエーションの人は、みな
クォーク
って結論になります。だから、ウーリ・スティックもクオークでしたよね?
■ 岩と氷のミックスを安全に登れるようになるには?
アイスクライミングを行います。
アイスクライミング=ミックス・クライミングのスポーツクライミングみたいな安全バージョン
です。なんせアイスクライミングでは、確実一歩以外出さないのですから。トップロープで登っても、フリーソロと同じくらい安全でないと一歩出しません。
欠けそうな氷に手を出すと、落ちますが、どの氷が欠けそうか?を学ぶのがアイスクライミングなのです。
というわけで、九州では、
・アイスクライミング=壊れる氷瀑を登るゲテモノ
・トラッド=支点が危ういゲテモノ
と日本海溝より深い誤解がされています。この誤解は、一般ハイカーの誤解と同じです。
山岳会に入っていたとしても、一般ハイカー並みの登山理解しかない、ということです。
■ 標高が高くても、4級程度ですよ?
最初の写真を見れば、分かりますが、クライミングムーブとしては、登っているのは、傾斜が寝ていて、4級です。
マークアンドレの『アルピニスト』という映画も見ましたが、えー!と思う傾斜でした。しかもロープを付けないフリーソロで、5級、あるいは、10bくらいはありそうな傾斜をアックスで登っていました…
距離が遠く、体力度が高い山、標高が高い山、で出せるムーブレベルは、たぶん、10bそこそこなのではないでしょうか?
それより、ギンちゃんの世界最難のアイスクライミングでは、超どっかぶりで、オーバーハングの連続です。標高2700で酸素75%でこれをやったのは、8000と変わらないかも?です。
そういうトレードオフ具合を各岳人の記録やルートを観察して、知ることが大事だと私は思います。
そういう省察なしに、表面だけの雰囲気で、〇〇スゲーとなっている…実はほんとはすごくない。
そういうギャップを見つけた、ちゃっかりした人は、楽にスゲーと周囲の敬意を得られるチャンス!とみなしてしまう…そんな事態が起きています。