言っておきますが、クライミングジムビジネスでは
古いクライマーの価値観の押しつけ=淘汰の憂き目
ですよ?
こう言っては何だが、九州ではすでにクライミングジムの淘汰が始まっており、クライマーのやっていないクライミングジムは繁盛しているが、クライマーがやってるジムは繁盛していない。
のは、なぜか?というと、
古いクライマーのクライミングの価値観が、現代社会に照らし合わせるとほとんど虐待
だからですよ?
それを端的に描き出したのが今回の森選手のオリンピック。手が届かないんだから、スタートすらできない。
だれですか、私にエイドで鍛えてやる、とか言った人は? 手が届かないだから、土俵にも乗れないんですよ。
■ クライミングが大衆化するってことは、一般人の感覚でクライミングが楽しめる内容にならないといけないって意味ですよ?
これまでも小さい人いたじゃん?ってそれ、歴史に残る大天才のことでしょう。
リン・ヒル(158cm)、キム・ジェイン(153cm)… 男性で世間の標準身長がある自分だって、リンヒル並みに登れないんだから、リン・ヒルを持ち出すなら、あなたがリン・ヒルを超えてから言ってほしいわ。
日本人の遠藤由香さんだって、ショルダーされていますからね。
それにサフィアを見れば、分かりますが、ギンちゃん、世界最高難度を登るのに、地面にある石に載って、そこからスタートしていますからね。
あれをズルだというのなら、スタートできなくなります。
こちらにたけちゃんねるの解説がありますが、これを一般社会に受け入れさせよう、というのが間違いの元です。
https://www.youtube.com/watch?v=RHPW4sQFjDU
■ 昔の人のクライミングの価値観
さて、昔の人の価値観と現代の価値観が合っていない…というのは、登山でもあります。
例えば、「称名滝コースって急だと聞いているのですが、具体的な危険は何ですか?」など… 昔の人は、
「山ヤならそんなことくらい自分で調べてから来るもんだ」
くらいな勢いで、そっけないです。
しかし、偏差値74でガイド資格のある私が、山の専門サイトであるヤマレコで調べても、あいまいな情報しか出てこないんですよ?
つまり、
山小屋が、適切で正確な情報を出す一次ソース
なのです。
なのに、情報を出していないから、別の人が親切心で、あれやこれやと中途半端な情報を出して、憶測を呼ぶわけです。中途半端な情報に踊らされることになる。
これは、単なる小屋側の責任の回避です。
災害が起こりそうだ、というのに、災害の専門家が、住んでいる行政に従うように、と責任逃れをしているのと同じです。行政は災害の専門家ではないから、「正直、何をしたらいいのか分からない」と言っています。専門家は、国税で雇われているくせに、回答しない。
山小屋が、所轄の登山道の解説を出さないで、誰が出すんです?
■ ジムの運営
初心者に優しいジムです!
とホームページで歌っておきながら、
ムーブは教えません
とか、
課題が激辛で、初心者は登れる課題がない
など、
言行不一致
です。
言行不一致ってのがもっともマーケティング上の失敗
です。
だから、せっかく集客が奏功してお客さんがが来ても、初日以外来なくなるんですよ…
そりゃ登れる課題が、数個しかないなら、誰だって、一日で飽きちゃいます。
そして、サービスを向上させようと思って、常連さん向けの課題を充実させる…と、さらに激辛化。
初心者をどうしたら、常連にしていけるか?そこに寄り添ってください。
■ 成功しているジムは、何をしているか?
私は、成功しているジムと言えば、平山ユージさんがやっているベースキャンプか、内藤さんがやっているアクティバしか知りませんが…。
どちらも、店舗拡大して、平山さんは、もはや大企業のオーナーと言っていい様相ではないかと思いますが…
ちなみに、山梨の内藤さんのアクティバも店舗拡大しました。
どちらも特徴は、初心者でも登れる課題がいっぱいあるってことですよ。
アレも登れる!これも登れる!たのしー!ってなります。嘘だと思うなら行ってみてください。
ラオスも同じだし、カリノモスアイランドも同じです。
同じ1700円払うなら、一日目一杯遊べるほうが楽しいに決まってる。
たった1本の5.12に、うんうん唸りながら一日中波状攻撃をする、っていうのは、古い登り方です。菊池さんもそう言っています。
海外では、昔から、誰もそんなことしない。
楽しくなければ、成長ホルモンも出ません。
一方で、先細っていっているのが、昔の倫理観に固執している岩場です。
トラッドの激辛の岩場で育った私が言うのもなんですけど…。
■ 適切な難度
人が成長するには、適切な難度、というのが、もっとも早いペースなんです。
その適切な難度…が、
クライミング黎明期の方の基準に合う=天才に合わせてあり、一般市民レベルには合わせていない、
です。
大衆化というのは、一般の人も登るっていう意味で、一般の人が天才になる、って意味ではありませんから、
天才の側が、無才の一般人に向かって、これくらいクライマーならできて当然
と要求するのは無理があります。
それくらい分かりますよね?
ですから、
クライマーなら、自力でムーブをばらせ
とか、
クライマーなら、リーチ問題くらい、自分で解決してから来い
とか、
登山するなら、危険個所くらい自分で判断しろ
とか、
セカンドなんだから、ダラリンビレイでも登れ
とか、
全部、ムリゲーなんですよ。それでお金くれる人いると思います? いません。
そりゃそうだ、昔のクライマーはみな、お金払わないで登っていただけなんで。
サービスの対価としてのお金が欲しかったら、お客さんが喜ぶことをしないといけないんですよ。
ビジネスと、クライマーとしての自分のポリシーは分けましょう。
じゃないと、ジム倒産ですよ。
大体、古いクライマーがクライマーの価値観に固執している場合に、倒産している。
かといって、外に岩に、ボルト連打しろ、って言っているんじゃないですからね!
九州ではイケイケの癖に、ボルト連打のエイドルートをフリー化したら1m置きにボルト。これの、どこがまともなクライミングなんだ?って感じでした。
古き良きクライミングの価値観は、あなた個人が守るべきもので、他の人に押し付けるものではない…ってことです。
あくまで、今の力に適した難度の課題を与える、と考えてください。
■ 一般女性のレベル感
一般女性は、9級や10級でも、一か月そればっかり登ってるくらいですよ?
ピラニアで見ました。
男性でも、昨今は、大学生でも私が登っている課題を登れないのは、普通です。
私は初心者向けの外岩講習ができるくらいな技術レベルです。私個人は、例外で、人工壁を登り始めて3カ月で外岩5.8が登れました。それは、おそらく以前にバレエとヨガをやっていたからです。運動神経は中の上、通知表で言えば4くらいです。それでも、ジムの4級はまだ登れません。5級止まりです。
私は谷口ケイでも、リン・ヒルでもありませんが、そこいらのジム上がり男性クライマーが到達できない程度のクライミングに対する理解は持っています。かれらが私が登った場所を登れないのは、そもそも、ロープワークがおぼつかないから危険で連れて行けないだけです。人的ミスでチョンボする可能性が高い。連れていく人だって、死にたくはありません。
そのクライミング知識と、クライマー界では珍しい堅気の一般社会人の知識を合わせて言えば、
クライミングジムが淘汰されるのは、寄り添うべき相手を間違えているから、
です。
トップクライマーや常連さんは、ギンちゃんの例を見れば分かりますが、ほっておいても勝手に成長していきます。
じゃなくて、勝手に成長できないのが、普通のお客さんなんですよ。
他のスポーツではコーチには名誉があります。クライミングジムは、
入門者のコーチとしての自覚
を持たないと、淘汰されます。
入門者はだれだって、クライミングを分かっていないジムにコーチされるより、分かっているジムにコーチされたいでしょう。
クライミングを分かっているジムは、自信を持ちましょう☆