2024/08/13

初心者向けのルート選択方法

今日は秋晴れの大快晴で気持ちが良い一日です。

■ かっこいいクライマーでもセーフクライマーではないことは起こる

奥村さんはちゃんとしているし、かっこいいクライマーだけど、記録がPRする内容はセーフクライマーじゃない。

ちゃんとしているし、オピニオンリーダーでもあるけど、セーフクライマーではない、ということは、どんなクライマーにも起こりえる。杉野保さんもそうでした。

私自身も記録の上では、タブーである単独ソロを行っていて、記録の上ではセーフクライマーではない。

自分が危険を凌駕できると思わない限り危険には挑まないのがクライマーの資質なので、記録の上ではイケイケクライマーでも、登りはセーフクライマーなのかもしれない。そうかどうかは、相手を見るまでは分からない。

思うに、

 男性同士の競争の中で、

 アルパインから脱落した男性が、(昔は全員アルパインスタート)

 フリークライミングに転向した場合、(スポーツクライミングはオリンピックレベルの世界)

 最高難度で勝利を勝ち取れなかった場合は、(若さの勝負)

 戦略的に、危険度を上げて自己PRするしか、仕方ない (ほかに勝てる要素がない)

のでしょうが…。

しかし、現代では5.13にRをつければかっこいいけど、5.9にRをつけても…。

 昔 : 5.9にRをつけてもカッコよかった

 今 : 5.13にRをつけないとカッコつかない

現代では記録的なクライミングは、13から上なので、危険度を加えるというカテゴリーでオンリーワンになっても、カッコはつかない。

歴史的に見ると、クライミングの歴史は、

 未知(冒険性)

 困難度

と進化してきており、困難度の追求は若い人の世界にならざるを得ない。

時間の不可逆性はだれしも襲うものなので、トップを走り続けているクライマーの発展は、困難度ではなく、例えば、

 インタレストグレード。

登って面白い課題に発展していく、それが次なる発展だろう。どうせ登るなら面白いルートのほうがいいですよね。

つまんなくってタダ危険なルート、誰が登りたいんです?

■ インドアジム出身化

ほとんどのクライマーが、インドアジムスタートのクライマーという現代化で、ジム出身のクライマーは、インドアで5.9が登れたら、外の5.9にも同程度のリスクで取りつけると思って外岩に来る。

ので、むしろ 外岩課題の5.9にリスクを付けたら、想定される以上に危険になり、それはもはや5.9とは言えなくなる。

落ちれない時点で、もはや”初心者向け”とは言えないです… なぜなら、5.9というのは、初心者向けグレードだからです。そこのところの理解が難しいんだろうな。

要点は、

  リボルト = ボルトの更新だけでは、安全性はアップしない

です。

クライミング界は、

ボルトが遠いリスクも含めてグレーディングしてあるルート 例:ニンジャ)と、

(単なるサボりで5.12が登れる人が作った、ボルトが遠い5.9 例:斜陽)

の見分けがつかないことになっており、

 初心者が登るグレードである5.9に5.12の実力を要求するようになっている課題

との区別がついていない。

ので混同して議論される結果、ニンジャを容認したため、斜陽も容認しないとならない、ということになっているのです。

なので、ジム出身クライマーの外岩デビューについて、本当を言えば、安全マージンという面で見れば、外岩5.12がトップロープで登れるようになるまでは、外岩の5.9をリードするべきではない。

もっと具体的に言えば、

5.12の実力前提で打たれた5.9の課題が見分けられるようになる

それがどのようなものか?自らの実感で分かるようになるまでは、全員トップロープで登れ、というほうが本当なのです。

おそらく、昔はそういう風に育てられていたのでしょう…。私は比較的昔風の育てられ方をしたと思うのですが、例えば、アルパインのゲレンデと言われる岩場に朝から夕暮れまで通って、一日中マルチピッチを先輩のセカンドで登るということをしていました。

クライミング界の初期レジェンドのガメラこと菊池さんなんて、バリエーションルートに出たい人は、5年はトップロープ限定でセカンドで先輩のあとをついて登れ、とか言っています。

ところが、クライミング界は、クライマーの自己責任論が闊歩して、誰も初心者の安全を見守る人がいないわけです。5年連れて回る先輩なんていません。私ですら、連れて回ってもらったのは、1年ですし、それも、月に1回みたいなレベルです。(それでも非常に勉強になったので、先輩には感謝していますが)

そうした5年の修業期間がいらないから、フリークライミングが愛されるようになった、というのが正しい順序なのかもしれませんが。

さて、現代で、その一人前になるまでの5年間、レッドポイントクライマー(5.12波状攻撃型のクライマー)からの厳しい追及に耐えられるクライマーっているのかなぁ???

現実的には、5.12波状攻撃では、瞬間風速で5.12が登れたというだけで、実際の登攀力はついていないと思われます。

ところが、5.12という数字はクライマーの最低能力と目されているため、1本でも登れたら、5.12クライマーだ!という風に自己申告する、というクライマーが量産されてしまいます。

私の知っている事例でも、俺5.12登れる、と自己申告していた30代のクライマー君は、外岩の5.10c(5.9と書かれた実質5.10c)で2時間半もかかってエイドも出してやっと登れるというクライミングを見せてくれました。しかし、それでも挫折や経験と言うよりは、楽しく登れた記録になっており…、自分の自己イメージと実力の乖離についてはあまり自覚がないような気がしました。

他のクライマーもそうで、同じく5.12は登れますというクライマーが、5.10bで落ちていたり、などなのですが、この、”落ちる”という事実をもってしても、「この岩場には俺にふさわしい課題はない」と言うほどの実力過信を改めさせてやるだけの現実認知には至らないみたいだった。その岩場では、10bで落ちているのですから、実力は10b程度と考えるのが相応ですよね。そうは考えない人が一定数いるのがクライマー業界です。

もう一つの事例としては、ロープの屈曲です。長ぬんで伸ばさないといけないところで、伸ばさない人でも、グレードだけなら、5.12。ロープの伸縮性で安全は確保されるのでいあ角にロープが当たっていたら、安全なビレイにはなりません。

というので、(現代のジムだけで登攀力を上げたクライマー)と、(日本の古い岩場)の組み合わせは、非常に危険をはらんだことになっています。

日本の岩場は昔風に先輩に見守られながら育ったクライマーには安全だったのです。

その上、自分の無責任を相手の責任に転嫁する形の、”クライミングは自己責任という合唱”が、成長過程にあるクライマーを追い詰めると思います。

それもこれも、5.9をリードできる能力がある人が安全にリードできる課題が日本国内に用意されていないから…。

以下が私が考えた対策です。

1)初めての岩場では、マルチではなくても、2グレード下げたところから登る

2)トポから課題を選ぶ際は、20mなら5ピン以上の課題を選ぶ

3)1ピン目はプリクリップする

4)3ピン取るまで落ちないで登れそうな課題を選ぶ

5)下部に核心がある課題は登らない

6)岩場に詳しい人にどの課題を登るのが安全かのアドバイスをもらう