2021/05/26

海外登攀に必要な英語力とは?

■海外登山に行きたかったおばちゃん登山者

以前、五龍山荘に勤めていたころ、一般登山者のベテランおばちゃん登山者で、山梨に遊びに来たり、色々となついてきてくれたおばちゃんがいた。なんでだろう?と不思議だった…。というのは、私とおばちゃんたちの間に、共通点がなく…つながる思いがなかったから…。(共通点というか、そういう心の絆がある人とは、そういうものは自然と分かるものだ…)

不思議だなぁ…と思っていたら、ニュージーランドのトレッキングに行きたいという話が来て、一緒に行かないか?と誘われた。

ご存知のようにニュージーランドは世界で一番美しい自然歩道で知られているが、小屋泊を自分で計画すると一泊30ドルくらい。10日あるから、300ドルくらい。同じルートでも、ガイドをつけると、3300ドルくらい。

予約してとか、あれこれ頼まれ、海外サイトを予約してあげようとしたんだが、海外は信用性のためにクレジットカードの情報がいることが多い。建て替えるのは、さすがにそこまではしてあげれないので、断ると…。おばちゃんたちは、なんと3300ドルを選んだのでした…。私は懇切丁寧に、自分で入力する方法を教えたのに、出来ないのだそうで…。その作業はあまりに簡単だったので、できない人類がこの世にいることがあり得ないレベル。つまり、できないというよりやりたくないのだと分かったのでした。自分で自分のパソコンから入力するより、3300ドルのほうがいいらしい。手間5分くらいのことだったのに。

この事件で、おばちゃんが欲しかったのは、一緒に遊びたい仲間ではなく、ただの旅行代理店代わりの人、私の人格が好きなのではなく私のスキルが好きだったのだ、と分かったのでした…。失礼な話ですよね。

ラオスで、私と同様に英語が話せるおばちゃんクライマーが、旅行代理店利用されているのを見ました…。あれをして、これをして、と周囲から利用されて、旅行代理店のように飛び回ってアテンドした上、通訳もさせられ、それなのに、わたくし、ビレイさせていただきます!って…。一緒に来ているクライマーのおじさん達、大名登山んじゃないけど、どっかと座って、何もしない。ラオスでは食事はセルフサービスなのに、上げ膳据え膳。

おばちゃんが、気の毒だと思って、そんな奉仕をするのはおかしいですよ、自分の好きなところを登っていいんですよ、ビレイヤーとクライマーは対等ですよ、と教えたら、おばちゃんクライマーは、なぜか私とは価値観が合わないとかいい、怒ってしまい、私とは登らない、と。驚いた。

人の世話に生き、その代わりに登らせてもらう、という関係性が好きな人もいるのだと…。

でも、仏教でいう自利利他って、クライミングしたいという気持ちを満たすために、自己犠牲して奉仕するって関係ではないですよね? おじさん達の側から見ると、登らせてやるから、通訳しろ、ということになる。

うーん… そのおばちゃんは別に登らせてもらわなくても、普通に自分でリードで登れるクライマーで、私と同じでしたが…。おじさんに付け込まれる理由はないのでした…。なので、なぜ、そのような関係性を望んでいるのか、よく分からなかった。虐げられる必要はない。

日本では対等の関係性で登るのが嫌な人もいて、たぶん、共依存を望んでいるのだと思います…

■ クライミング能力を高く売りつけると、海外での案内が買える

師匠の青ちゃんは、最初は良かったのですが、私が楽しそうにしているとどんどんと不機嫌になり…一人でラオスに行ってからですが…韓国では私が韓国の人に誘われたクライミングを阻止… いつも共依存を望む人とは最終的に登れなくなります。

私が師匠を尊敬できなくなったのは、登ってあげるから、案内してね、車出してね、という関係性で海外で登ってきたことが分かったからです。なんだ…。つまんないの。それじゃ海外へ行っても、自分で町の中や岩場の中で、現地の文化に触れたり、なんだりしたわけではない。ただのお客さんとしてもてなしを受けた、というレベル。そんなんで日本人クライマーに対しては自慢になるのは、単に日本国内が、国際化というレベル感では国際標準から遅れているからです。

ヨーロッパの若い人は、見知らぬ国でも、言葉が通じない国でも、気軽にバックパッキングに出かけていきます。日本では、男性が、ママボーイなので、そうなっていないけど…。

なので、日本で、海外で暮らしてた?すごーい!となるのは、日本しか知らない日本人の勝手な誤解で、世界中で日本ほど暮らしにくい国はないですから…ほんと。

■ 共依存

話は戻りますが、日本の、協力し合いは、共依存関係と似ているところがあるので、かなり要注意です。

 相手の能力を高めないで、自分に依存させたままにしようとしたり、
 自分の能力を高めて、自立しようとしない場合

は、要注意です。

クライミングトリップに英語力は要りません。いるのはコミュニケーションをしようという強い意志。

クライミングシステム自体が、そもそも、国際言語です。

まずは、ロープドラッグしたりしないような、きちんとしたクライマーに自分がなりましょう。きちんとクライミングの手順を分かっていれば、相手が次に何と考えるだろうか?っていうのは、大体、予想の範囲内に収まります。

コミュニケーションのミスで、墜落、などが怖い、という人は、そもそも、結び替えが分からないとか、自分の能力がない人です。

結び替えで、下のビレイヤーに、テンションと言って、ちゃんとビレイされているか不安、とか言うなら、懸垂でおりれば、自己完結できます。

そもそも、自己完結できるクライミングをしていないから、相手の能力が不足して自分を危険に陥れると不安になるわけです。