2021/05/21

一泊二日日向神 奥壁&うどん汁核心

 県外クライマーを日向神に案内してきました。

あんまり負担になるような、本当の初心者クライマーでなくて良かった…というのが、正直なところ。最近は子供体験クライミングなどで、初心者にクライミングを教えることが多く、負担増で、メンタルお疲れモードだからです(笑)。服を持ってこないで寒いというレベルですからね。

■ 弟の死という喪失体験の癒し

私は、実は弟がいて、水泳のアスリートでしたが、24歳である日、突然死しています。お休み~と寝て、心臓発作で心停止し、朝、おはよう~がなかったというだけです。

私は、自分自身も若い時に、苦労しており、夜間大学に進学したので、若いころ、実家に帰る余裕がなく…就職氷河期です…、進学でお別れしてから、弟には8年会っておらず。大人になった弟に会ったのは、死に顔の彼でした…。

母は子供を亡くした親なので、人生で最も大きな喪失体験中で、私に寄り添うことは無理。私は私で、経済的にも大変だし、母に寄り添うことは無理。妹は、その後自殺未遂で私が引き取り…と、人の世話に忙しく、自分の喪失の癒しは、後回しだったのでした…

20年続けたバレエが山梨転勤で続けられなくなり、登山やクライミングへ転向…。

…すると、どうしても、”弟の遊びに参加している姉ちゃん”みたいな立ち位置。

そして、自分の知り合いの死や、クライミングで見聞きすることが多くなった若い男性の死。愚かと言って良い死が多い。

そんな中、県外クライマーが訪ねて来てくれました… 弟と遊ぶみたいな感じでした(笑)。

■ 反省を込めて、ロープ合わせから

今回は、海外クライマーとやるように、外岩だけ突然一緒に登るというのではなく、ロープ合わせから、丁寧に関係を構築していきました。自己防衛もあります。というのは、ホント、トンデモな人もいますからね。

しかし、そうすると、自分のためにやっているとはいえ、私は自己責任200%の人なので…、自分が疲れてしまい、自分のために力を使う余力がなくなることがあり、今回は、そうならないように、だいぶ気を付けました。

まずは、多久高校でロープ合わせ。なぜなら、多久高校しか、その日使える人工壁はなかったからですが…。

樋口先生がいるというのも、有力な助っ人要素でした。これまでロープ合わせで、ビレイの確認は、1対1でやっていましたが、KoWallの奥村さんのジムに行って、第三者が確認しないとダメだなぁと思ったため、です。

クライマーは、登りに一生懸命なので、ビレイヤーのビレイが良いかどうか?見れない…。

現に、山で先輩に支点ビレイされていたクライマー君は、その非常識さに全く気が付けなかったみたいですし…。

■ スタンプ

相方は、スタンプの近くに宿があったようで、福岡滞在中、スタンプ通いをしたそうです。

私が思うには、スタンプのような良質のジムで、クライミング教育というか、ロープクライミングの教育も実践したらよいのではないかと思いますが…現代のクライマーで、ジム通いがない人はいないので…。

スタンプさんでは、油山川の岩場は、ご存じないそうでした。やっぱり福岡でもオールドスクールのクライマーと現代のクライマーは接点がないのかな? 

近所の岩場は、筑紫耶馬渓ボルダーですが…難しすぎて、イマイチ、初心者はトライしづらいかもですが。

■ 雨の偵察

そんなこんなで、多久高校、雨の四阿屋、油山川、竜岩インドア、筑紫耶馬渓ボルダー見物、そしてスタンプ、ジップロック、日向神本番、と言うことになりました。

ずっと雨ばっかり。

■ 初日偵察 黒木ボルダー

初日は、結局雨で期待薄。とりあえず、時間稼ぎで黒木ボルダーを見せました。なかなか良い課題揃いだからです。結局、雨すぎて、登りませんでしたが。

しかし、お天気悪い上、私はボルダー詳しくないので、課題研究で、Wifiが欲しくなり、下界に降りて、八女のドトールへ。ランチタイムくらいまでいました。

その後、ダメもとで、トンネルエリアへ…。日向神では雨の日は、トンネルエリアと決まっているからです。なんと、フランベのメンバーに会いました。

あら~。こんな雨の日にも来ている人がいるとは…そりゃフランベくらいだわなーって感じ(笑)。

とりあえず、5.9と信じていた、けほぎルート10bでアップ。その後、牛子11bをぬん掛けリードで相方オンサイト。私もチラッと触らせてもらいました。

■ヌンチャク残置OKの九州

九州では、課題にぬんちゃくを下げッぱで、”どうぞ使ってください~”は、友好と歓迎の印です。

が…、他所では違うようで、相方は、”マスターが良かったな”と思ったそうです。一応、連絡って感じですが。(とりあえず、親切にしてくれて山本君ありがとう~)

スタイルに対する志向は色々ですね。ただ小川山だと、終了点独占とか、ヌンチャク残置だと、他のクライマーに怒らこられるかも?です。

ラオスでは、あんまりスタイルに対するこだわりはなく、ヌンチャクは共有財産みたいな感じでした。なにせ、どっかぶりのルーフ課題には、外岩なのに、人工壁みたいに、ヌンチャクがマイロンで固定してありました。途中で敗退可能なように、です。

ま、それも、入門課題や人気課題だけで、玄人は渋い好みを追求できるように、他は掛かっていませんでしたが…。エキスパートエリア、という言い方は、韓国だけですが、ラオスでも、そこはかとなく、ありました。残置されているのが嫌いなクライマーは、自分でマスターで登るルートへ行くべし。

そういうことを考え合わせると、トンネルエリアの牛子11bは、このエリアの入門ルートなので、ヌンチャクが残置されているくらいで、文句を言うべきでないのかもしれません。なぜなら、もっと難しい課題でヌンチャクがない課題はあったからです(笑)。13とかですけど…。超人を要求されるようで、つらいですねぇ…。

フランベメンバーは、12bc当たりのをTRでやっており、時間がかかりそうだし、こちらのパーティで登れるのは、もう登ったので、ランチがてら、道端へ。課題を見ないよりは、見たほうが良いからです。

そこで、うどん汁事件勃発… 

■ うどん汁がない!

壁を眺めながら、のんびり、鍋焼きうどんを食べようとしたわけですが…なぜか汁がない。

あれ?

というので、ストーブで鍋焼きうどん、味がうすーいうどんだったかもです(笑)。

結局、良く見たら、鍋焼きうどんのスープがザックの中で、破れて、どうもザックが鍋焼きうどん汁風味、になってしまっていたようです…。あちゃー。

とりあえず、相方のリクエストで、再度、けほぎルートの隣の11bを。いわゆる、”みじかしい”系です。

この日は、けっこうちゃんと雨が降っていましたので、まぁ、5本登ったら、ちゃんと登ったほうかな?

エリア偵察ができなかったので、明日登るルートが固められなかったですが…。これは私のこだわりで、自分が登るルートは自分が見て決める、という習慣が良いと思っています。

■ 温泉

その後、近所の道の駅へ…うどん汁の洗浄です。相方がロープを洗ってしまったので、あちゃーと思っていました… 明日、乾くのかなぁ…。ザックもびっしょり…。なかなか乾きが悪そうなザックでした…タオルで絞って水分を拭きましたが、結構かかりそう。

重たいですが、ホールバックはビニールでできているので、こういう時、便利ですね…。私も家にはあったのですが…。

(※PVC製のホールバックは環境に悪いようです。https://www.vec.gr.jp/lib/pdf/factbook.pdf)

いつも人工壁に行くときは、バケツにロープを入れており、アイスクライミングなどでロープが凍り付いてしまったときなど、バケツに入れておけば、車が水浸しにならず、大助かり、なのですが… 今回は軽量化というか、雨の中の車中泊になる可能性があり、スペースの確保で入れていない。残念。

それで、結局、脱水でしばらく待つことにしました。

というので、温泉着が19時になってしまい、温泉堪能は30分の特急コースになってしまいました… 残念ながら緊急事態宣言で、20時でファミレスも締まってしまい、コンビニ弁当の晩御飯…。なら、もっと温泉でゆっくりすればよかったねと互いに言い合いましたが…いや~時間配分は難しいですな。

でも、とりあえず、ジャージャーの雨ではなくて、良かったです。宿泊した道の駅たちばなは、他の車中泊組…ダンプの運転手さん達…もいて、かけ流しの湧水もあり、快適。

■ また雨

翌日は5時に雨の予報で、やっぱり雨…残念。ロープを大慌てで片付けました。だってロープが生命線ですからね…。ただ湿度120%すぎて、一晩ではほとんど何も乾いていなかったです(涙)。

とりあえずコーヒーを飲んだ後、朝食でコンビニへ。のんびり朝ごはん。8時雨の予報。だめだったら、昨日フランベメンバーが取り組んでいた、トンネルの12bcでいいか、みたいな感じ。もしやるとしたら、今の相方のスキルでは、けっこうギリギリのハズなので時間がかかるはずなので。

とはいえ、時間がかかるクライミングって、とりあえず、なんにも楽しくないですよねぇ…。それに、私はそんな難しいの、用ナシですし。

とりあえず、日向神で、主要エリアを案内しようということで、愛のエリアへ空荷で。初日に見れていないので、何を登りたいのか?固める必要があります。行ったら、乾いているルートもありました。

奥壁も私は、偵察したことがあるだけでしたが、乾いているのがあった。奥壁は、相方のグレードに合った課題があると思っていたのでした。

手前のエリアは、苔でグリーンで、古いリングボルトも見える…苔を取ったら良い課題になりそうなのになぁ…。誰も掃除する気になれないのでしょうかね?

10時頃には雨も上がってきたので、それで下にギアを取りに行きました。

途中で晴れ間を縫って登りに来たクライマー達にすれ違い…これは!同じエリアで登ることがないように…というので、急いで愛のエリアへ。

お昼ぐらいまで、花鳥風月。相方は、ジムで鍛えた華麗なムーブで、あっさりオンサイト。良かったです。

今回は、トンネルも花鳥風月も、ジムクライマーに向いた課題という気がします。

私はトップロープで触らせてもらいましたが、予想通り、行き詰まりました…(汗)。

とはいえ、前回、別の県外クライマーが来たときは、果てしなく無理に見えたので、そもそも取りつかなかったので、取りついただけでも、一歩前進です。花鳥風月は、隣と1本目が共有?らしく、長ぬんが要ります。

前回はどうしたんだっけな?

■ 奥壁

奥壁では、岩場独占で登れました。つくつく法師5.8と隣のアポロ11号11bです。

もう一つ左隣にきれいに乾いた課題があったので、相方にはそれを登ってもらえたらいいなと思いましたが、そうすると私が登れるのがなくなるので、相方には課題に配慮してもらったかもしれません。

しかし、つくつくほうし5.8も、途中遠いところがあり、テンション。うーん。これ5.8???

相方は首尾よく、2便でアッポロ11号11bをRPでした。これは、すでに詳述しているので割愛。

奥壁では、どこからか、他パーティの会話が聞こえて来ていました…不思議だったなぁ。山の会ルートか何かのマルチをやっているパーティがいたようです。

■ 道端

首尾よく、RPした相方は、ご機嫌で、そのご機嫌のまま、岩場を後にしたかったですが、最後の一本で、時間調整の岩場道端へ。誰もが落ちる11bがあるので、スラブも意外と得意だという相方に、試してもらいました(笑)。

これ、ホントみんな落ちますよね。落ちていました。というか雨上がりでコンディション悪すぎ!

となりは5.9なので、まぁ回収は問題ないので…。

私もたまにはリードしないとしゃっきりしませんので、左隣の5.9に取り付いたら…やっぱり雨後で、いつも楽勝なのに落ちることを察知…。フリクション、ぜんぜん効かない。

落ちる前に分かる感じでした…(汗)。

ので、本気シューズでトライ。やっぱ、いくら足が痛いからって、4回もリソールした靴では、スラブは、ダメですね…マルチ用にしているゆるゆるシューズは滑るの、ハッキリわかりました。

靴を変えて、普通に再登。これは登れないと困る系な感じです。

今回は、菊池さんのこのセリフを自分の成長の糧とします。

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「落ちる」を察知する

 クライミングで「登る」こと以上に重要なのは、「落ちない」ことです。というのは精神論や安全危険の話だけでなく、「神経系」についても言えることだと私は思っています。

 というのは、あるムーブを起こそうとする時に「これでは落ちる」と感知した場合、瞬間的にそのムーブを止める、あるいは微調整することができる。それが「登る」ためのテクニックとして実は重要で、かつそれは良く構築された「神経系」によってもたらされるものだと思うからです(とはいえ、落ちたくないだけで無我夢中にしがみつく、というのではさらにダメですが)。

 そのためにはまず「落ちる」を察知できる身体感覚が必要で、これは逆の場合を考えてみるとよくわかります。「落ちるかもしれない」を無視したムーブを不用意に繰り出す人、そもそもそれを感知しようとしない人が、いかに完登までに多大な時間をかけることか。また、なかなか上手くならないことか。挙句「力が足りない」と訴えて、私に「それは違います」と言われ、ムッとすることになります。

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■ はま寿司 リベンジ

帰りは久留米ラーメンで締めようと思っていたのですが、20時でどこも閉まってしまう!

というので、近場で妥協して、はま寿司。 

懐かしい、はま寿司… 城ケ崎の思い出が駆け巡る…クライマーの指は乾燥しているのか、タッチパネルが反応しなくて困りました(笑)。食欲旺盛な相方は、高校生?みたいな食べっぷりでした…いや~、男性は良く食べますね!

帰りは、のんびり福岡帰着10時みたいな感じ。

弟が天国から送ってきた心優しいクライマー君と登れた二日間でした。

やっぱり、教育が不足しているのであって、現代のクライマーが分かっていないというのは、違うんじゃないか?みたいな感想になった。

すごく楽しく充実した日向神二日間でした。

九州を代表する岩場なので、県外クライマーを案内できる程度は知っていてよかった。

楽しく終了…とりあえず、雨の二日間だったので登れてよかったなぁ…。

今回は濡れ濡れでしたが、エリアも下見して、相方に登りたい課題を総合的に選んでもらって登ってもらえてよかった。

奥壁は古いエリアなので、やはり辛いと思います。奥壁の5.8はテンション入れないと登れなかったが、道端の5.9は当然ですが登れました…。トンネルエリアのアップ課題10bは、登りたくなくて登らなかった…きょん足は膝に悪いので…のですが、5.9は前から辛いと思っていたんですよね…10bに改定になっていました。普通に11が楽勝で登れる男性でも、恐怖グレード高かったみたいデス。

牛子11bとアポロ11号が同じ11bというのも、納得感のないグレーディングだった。

愛のエリア夢中歩行5.9が10bに改定されたら、やっぱり初夢5.10Aも5.10cに、愛は勝つ10cも11Aに改定しないと、つじつまが合わないのではないだろうか?

愛は勝つが11Aになったら、花鳥風月は、11Aではなく、bかcなのではないでしょうか?途中までしか行けませんでしたが…。

そんなこんなでグレーディングについて知見が高まった二日間でした。写真は奇跡的に青空が除いた、雨間の日向神です。

■ 貯まった知見

1)ジムクライマーは外岩でも、ガンバ>安全  頑張ってはいけないところが分からない

2)長ぬんについてしらない

3)RPはしてしまうので、ランニングのミスに気が付かないで成功体験になってしまう

4)ロープについてよく分かっていない (=休ませない、濡らす、汚す等)

5)互いに安全を守り合うという関係性を普段していない 

6)指摘をしてあげないと、点と点の知識が、面の知識にならない

https://allnevery.blogspot.com/2021/05/blog-post_63.html