前提:
・ジムから外岩
・パートナーはジムで見つけ、初心者同士で登ってきている
・登攀自体は、中級者以上
↓
1)危急時をまったく想定していない
2)長ぬん使用法を知らない
3)基本的に自分のロープで登ることを教えられていない
4)指示を出し合って安全を向上するという関係性を前提にしていない
3)基本的に自分のロープで登ることを教えられていない
4)指示を出し合って安全を向上するという関係性を前提にしていない
5)周囲が教えないとずっと分かるようにならない
今回は、全部、相方に指摘してあげることができ、良かったです。
今回は、全部、相方に指摘してあげることができ、良かったです。
私の学びと言うよりは、相方の学びですが… いつまでたっても経験値が増えないというサイクルを少し打破できたかな?と思います。
このようなことは、どんなクライミングの教科書にも書いてありませんが、
それはやはり、スタイル重視とは言っても、スタイルの説明に、オンサイト、フラッシュ、レッドポイントなどの記載があっても、それ以上のいわゆる登攀の質…”あれやこれや”と言われる細部の記載がないからです。
仮に、師弟関係で登れば、まだ5.7しか登れない時代から、師匠から、”下のクリップを外せ”だの、”クライムダウンして回収してから登れ”だの、色々と、ただまっすぐ登るだけではない指示を受けます。
一方、私のような外岩からスタートしているクライマーは、インドアで鍛えた技がありませんので、高難度を登りません(登れません)。
教えると、基本的に嫌な思いをする、ということも師匠の場合は、あったそうでした…。
大事な点は、指摘してあげないと、分かるようにならない、ということも、大事な特徴かもしれません。
■ 1)危急時想定不在
フリーのクライマーの場合は当然ですが、セルフレスキューの知識がない。ので、ロープシステム(例えば、メカニカルシステム)は、きちんとは分かっていなさそうです。
これは、つまり怪我になったらどうなるか?想定がないということでもあります。
つまり、私は48Kgですが、つまり48kg以上担げないので、私と組んでも危急時対策にならない。外で怪我をした場合、レスキューが遅れるという認識がない。ので、そこから言ってあげないといけない。 つまり、山ヤじゃないのです。
捻挫したらどうなるか?骨折したらどうなるか? そういう想定がゼロなのが、ジム上がりフリークライマーの思考回路の抜け、です。
■ 2)長ぬん使用法 について
長ぬん使用法を知らないのは、ロープドラッグのために登れなくなったという経験値が足りていないためです。登れなくなって初めて人は気が付きます。最初からできる人は、少数派だと思います。
■ 2)長ぬん使用法 について
長ぬん使用法を知らないのは、ロープドラッグのために登れなくなったという経験値が足りていないためです。登れなくなって初めて人は気が付きます。最初からできる人は、少数派だと思います。
フリーや人工壁であっても、下手くそなビレイヤーにビレイされていると、ロープが重たい(1ピン目で屈曲が大きい)ので、変だな?と思って振り向いて気が付くと思います。
■ 3)ロープトラブルの対処法を知らない
ロープは購入するときに、自分の体重に合わせてロープ径やしなやかさ、などを選んでいることが多いです。私は小さく軽いクライマーで、下のビレイヤーが下手くそであることも多いので、細径のロープを選んでいます。
■ 3)ロープトラブルの対処法を知らない
ロープは購入するときに、自分の体重に合わせてロープ径やしなやかさ、などを選んでいることが多いです。私は小さく軽いクライマーで、下のビレイヤーが下手くそであることも多いので、細径のロープを選んでいます。
重たいクライマーは伸びが少ないロープを選んでいることが多いと思います。
今回は、トラブルが起きました。うどんの汁でロープを汚してしまい、そのあとの対処が悪かったです。水道水で洗ってしまったのです。雨の日でしたので、乾かない。乾かない=強度低下、です。
今回は、トラブルが起きました。うどんの汁でロープを汚してしまい、そのあとの対処が悪かったです。水道水で洗ってしまったのです。雨の日でしたので、乾かない。乾かない=強度低下、です。
こちらの資料では、15%の低下が報告されています。
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/hp-gijyutuka/shyohou2/08/08-01.pdf
■ 4)安全は二人で作っていくもの
安全は、パーティ全体で作っていくもの、です。これは初日に注意を言いました。私がクライマーとして登っているときに、安全監視を下のビレイヤーとしてやってもらえなかったからです。
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/hp-gijyutuka/shyohou2/08/08-01.pdf
濡れたロープは強度低下していますので、強度低下分を考慮して登るか、登らないか?になります。
選択肢は、
A)自分の濡れたロープで本気トライしない、
B)相方の乾いたロープで本気トライしない、
となります。
■ 4)安全は二人で作っていくもの
安全は、パーティ全体で作っていくもの、です。これは初日に注意を言いました。私がクライマーとして登っているときに、安全監視を下のビレイヤーとしてやってもらえなかったからです。
片方のロープを濡らしてしまったら、乾いたロープを持っている方は、自分のロープを提供しない訳にはいかなくなります。
■ 5)ポンピングはロープの痛みが大きい
その場合、ポンピングするスタイルで登るのは、ロープ提供者がかわいそうすぎです。
特に、自分がそのようなスタイルで登らないクライマーであれば、やはり、自分が登るわけでもないのに、ロープの痛みが最大級のポンピングスタイルと言うのは、避ける、というのが、せめてものマナーという気がします。その場合、ヨーヨースタイルで登れば、いいですね。
あるいは、登れるところまで登り、近くでオブザベーションする(自己確保で)、ロープに負担を掛けない登りを選択する、などの気遣いが可能と思います。
■ 書いていないけど、書いてある?!
あるいは、登れるところまで登り、近くでオブザベーションする(自己確保で)、ロープに負担を掛けない登りを選択する、などの気遣いが可能と思います。
■ 書いていないけど、書いてある?!
このようなことは、どんなクライミングの教科書にも書いてありませんが、
ロープは各自が持ち寄り、
自分のロープで登るべきもの…
ロープの管理まで含めて自己責任、
ということは書いてありますし、
ポンピングがロープが痛む、
ということも教科書に書いてあります。
長ぬんの使用法を詳述した書籍は見たことがありませんが、
ロープドラッグが危険であること、
ボルトに対しても悪いこと、
ロープにも悪いこと
は、どの本にも3行くらいは書いてあります。
パーティ行動についても、一般的な常識の範囲で書いてあります…
というので、一応、知識は、書籍においても提供はされているのですが…、問題は、それでは不十分な情報量だ、ということなのかもしれません。
パーティ行動についても、一般的な常識の範囲で書いてあります…
というので、一応、知識は、書籍においても提供はされているのですが…、問題は、それでは不十分な情報量だ、ということなのかもしれません。
というのは、今回ご一緒した彼が特殊な人とは思えないからです。ごく一般的なクライミング大好きな青年、と言う感じでした。
「窓が開いているね」と言って「寒いから締めましょうか?」と発想できる人が少なくなったのと同じ原理で、それだけの記述では、知識を与えるスタイルとして、もはや大卒エリートではない現代クライマーには、踏み込み不足なのだろうと思います。
彼は一人目ではないですし。私の以前のパートナーも、自分の本気ルート(クラックでロープがこすれてロープが痛む…)を私の新品のロープで2度もやったので、2度目は抗議しました。一回目は、小川山レイバックに連れて行ってもらったときのクレイジージャム、2度目は大堂海岸です。さすがに2度目はお目こぼしなしよねぇ…というので、指摘しました。ロープ買い取る!と言っていましたが、買い取ってくれる気配はありません(笑)。
彼は一人目ではないですし。私の以前のパートナーも、自分の本気ルート(クラックでロープがこすれてロープが痛む…)を私の新品のロープで2度もやったので、2度目は抗議しました。一回目は、小川山レイバックに連れて行ってもらったときのクレイジージャム、2度目は大堂海岸です。さすがに2度目はお目こぼしなしよねぇ…というので、指摘しました。ロープ買い取る!と言っていましたが、買い取ってくれる気配はありません(笑)。
こうしたことは、パーティ外のクライマーからは見えません。どちらがどちらを登らせてあげている関係か?ということが見えないということです…。大堂海岸の時は、私のロープで登った相方が他クライマーから、”良し!”みたいな確認を貰って、私がダメクライマーみたいな烙印を押され、なんだか釈然としない気分になったのを思い出しました…。甘えているのは、あちらで、こちらじゃない。
■ 自己責任=各自勝手に登るになっている
私は高難度は登りません(登れません)し、まだクライマーとして学ぶことがあるという自覚が自分にあるため、自分が登るときは、互いに、安全を相互協力で作れる相手と登りたいと思っています。それくらいは望みすぎではなく、人として当然、です。ところが、現代人の感覚の自己責任、というのは、自分さえよければよい、みたいなことになっている…。
例えば、見慣れぬボルトに不安を示すと、「クライマーなら自己判断で登れ」と言われるし… カットアンカーとグージョンの差が分かっているクライマーに、今まで会ったこと自体ないですけど…みんな使い分けて登っていたんですか? 私の師匠でも、たぶん、なんとなく、という虫の予感以上のことは、分かっていないで、リスク回避してきた、その程度の曖昧な知識ではないか?と思います。
海外のトポには、課題の長さ、必要ロープ長、ボルトに関しては、使用した型番、設置日まで書いてあります。そうなって初めて自己責任が可能です。
ロープに関しても同じで、自分のロープは来歴が分かりますが、人のロープだと分かりません…。私は大墜落の後は、ロープを休ませるように教わっています。当然ですが、ロープは濡らしては良くないです。泥も良くない。
支点の作り方も同様で、迷いがあるときに相談できる、ベストプラクティスを二人で作っていける関係性というのは、大事であるような気がします。
■ もう頑張ってる
また、互いに無理を押し付け合うのは禁物です。
ガンバ!というのは、クライミングではよくある掛け声ですが、私は、外岩の時は、「無理をしないように」と声を掛けます。安全とガンバ!では、インドアと外では違い、外岩では、安全が常に打ち勝つようにしないといけません。
濡れたロープを干し中 |
ガンバ!を優先していいのは、人工壁だけです。
外岩で、安全が後回しになるような声掛けは、禁物です。頑張ってツッコんで、怪我した場合、どう責任を取るのでしょう?
私が思うには、心根が優しくても、読解力不足と言うか、点と点の知識が、線や面となってつながり、きちんとした構造的な知識につながっていかないのです、現代のクライマーは。
私が思うには、心根が優しくても、読解力不足と言うか、点と点の知識が、線や面となってつながり、きちんとした構造的な知識につながっていかないのです、現代のクライマーは。
例えば
A)人工壁で登るときはガンバ!
B)外岩は危険が大きい
C)外で一緒にいる人はレスキュー出来ない
= A)+ B)+ C)
= D)答え 外では無理強いはいけない
AとBとCを教えられても、Dが導けない、ということなのです。
A)ロープは各自が持ち寄り、
B)自分のロープで登るべきもの…
C)ロープの管理まで含めて自己責任、
D)ポンピングがロープが痛む、
=A)+ B)+C)+D)= 答え)人のロープでポンピングしてはいけない
とか、
A)ロープドラッグが危険であること、
B)ボルトに対しても悪いこと、
C)ロープにも悪いこと
=A)+ B)+C)= 答え)長ヌンが必要
とか、10年以上クライミングをしていても、答えそのものを教えてもらわない限り、合成できない、ということなのではないか?と思います。
それは、記録をつける習慣が無かったり、反省を記述する習慣がないから、というのもあるかもしれません。
ただ、ブログ等で有名で、記録をつけている有名なベテランでも、間違った写真を堂々と載せていることからすると、初心者の側からすると、それでいいのか~と思ってしまいますし… 経験者にしても、やはり、間違ったことをしていても、その自覚がない、ということではないか?と思います。
■ スタイルに安全に関する情報が欠如している
■ スタイルに安全に関する情報が欠如している
それはやはり、スタイル重視とは言っても、スタイルの説明に、オンサイト、フラッシュ、レッドポイントなどの記載があっても、それ以上のいわゆる登攀の質…”あれやこれや”と言われる細部の記載がないからです。
仮に、師弟関係で登れば、まだ5.7しか登れない時代から、師匠から、”下のクリップを外せ”だの、”クライムダウンして回収してから登れ”だの、色々と、ただまっすぐ登るだけではない指示を受けます。
(それどころか、ここを登れ、あれを登れ、と登る場所まで指定されるのは、疑問です。なぜなら、師匠と言えども、どの程度のリスクを取れるか?は、当人以上に正確には判断できないと思うからです。当人が自主的に判断できるよう、支援すべき、と思います)
私は、米澤さんと行った野北で、カムで取った1ピン目を設置する場合に、自分で設置した場所に指摘を貰いましたが、私が回収する予定だと返事をすると、そのまま行かせてくれ、2本目を取ったのち、回収してから登りました…こうしたやり取りの中で、”同じ安全を見ているのだな”と、信頼が生まれてきます。安全とはこうして作るもの、という気がします。
質の良いベテランと登ると、そういうことが、登攀歴の初期から起こりますが、現代のクライマーで、そのような環境にいるクライマーは、大変稀です。
中には、ランニングの失敗を指摘してあげると、親切な行為なのに、怒りだす人もいます(前の先輩)。
現代は、山岳会で登っていても、山岳会自体がそのような知識…適切なランニングの取り方やロープの休ませ方、あるいは、パーティ全体での安全の管理のノウハウ…を持っていません。また、ジムで会った初心者同士だと、当然ですが、知識を持っていません。
現代は、山岳会で登っていても、山岳会自体がそのような知識…適切なランニングの取り方やロープの休ませ方、あるいは、パーティ全体での安全の管理のノウハウ…を持っていません。また、ジムで会った初心者同士だと、当然ですが、知識を持っていません。
本があっても、文字列の羅列で、一般にクライマーはすぐに挫折してしまいます。
同じ10年のキャリアであっても、登れない時代から外岩経験を積むのと、インドアで鍛えてから外岩にデビューすることの間には、このようなギャップがあります。
■ パートナー的なミスマッチ
■ パートナー的なミスマッチ
一方、私のような外岩からスタートしているクライマーは、インドアで鍛えた技がありませんので、高難度を登りません(登れません)。
ので、一緒に出掛けても、自分は登らない(登れない)ので、一緒に出掛けた場合、ビレイを提供したり、ロープを提供したり、と知恵を出す一方になってしまいます。
自分のクライミングの成果としては、得るものがない…、気がついたら、引率の先生みたいなことになってしまった…というような帰結になってしまいがちです。それは、相手に理解力がないから、ですね。
アドバイスを出すほうは、その成果…安全なクライミング…を自分の登攀向上の成果として受け取ることができない、という現実があります。
師匠クラスのクライマーは、なぜかインドアジム上がりのクライマーと組みたがらず、私が連れて行くと、腹を立てることが多かったのですが…、それはこういうことで振り回されるからですね。なるほど。
師匠クラスのクライマーは、なぜかインドアジム上がりのクライマーと組みたがらず、私が連れて行くと、腹を立てることが多かったのですが…、それはこういうことで振り回されるからですね。なるほど。
つまり、安全管理の貢献と言うのは、目に見えない。
本人は、もっとも安全なノーテン登りなので、ビレイされる時間も短く、かといって、ハングドッグ&ポンピングのクライマーの方は、それが当然だと思っているので、長い時間がかかる…と言うことになります。
なるほど、こういうわけで…と、私自身も、師匠がジム上がりクライマーと出かけたくない、その気持ちが分かったかもしれない。安全管理はこちら持ち、成果はあちら持ち、みたいなことになってしまう…
しかし、どこにも悪人はいない…。
しかし、どこにも悪人はいない…。
無知こそが原因、なのです。
■ ベテランの言うことを聞かない
教えると、基本的に嫌な思いをする、ということも師匠の場合は、あったそうでした…。
些細な点をあげつらって、さして重要でもないことを、さも重要であるかのように言っている…と一般的には感じられることが多いからです。例えば…
”ザックにボトルを外付けしてはいけない”と、指摘した時に無視され、そのクライマー君は案の定、ボトルを山道で落としたそうなのですが…。師匠とピオレドール賞クライマーは、顔を見合わせて、”こりゃダメだ”、と思ったそうでした。
私は、最初から、あまり山での行動自体は、問題視されないクライマーだったので、あまり強い指摘を受けたことはありませんが…。(一度、確保に変Dカラビナを使っていて、それはダメだと言われたことがあります)
アウトドアの基本…と言うようなことは、フリークライミングでは、環境がシビアでないので、大目に見られることができます。
アウトドアの基本…と言うようなことは、フリークライミングでは、環境がシビアでないので、大目に見られることができます。
例えば、”ボトル外付けダメよ”は、アプローチゼロ分の岩場で言われてもなぁ…となります。(なので、誰も指摘してくれない)
しかし、アプローチ6時間の前穂北尾根でボトルを落としたら登れなくなります…ので、昔は、簡単なところで、そういった良き習慣を身につけることにしていたのでした…。
良き習慣は身を守るといいます。
しかし、アプローチ6時間の前穂北尾根でボトルを落としたら登れなくなります…ので、昔は、簡単なところで、そういった良き習慣を身につけることにしていたのでした…。
良き習慣は身を守るといいます。
簡単なところは習慣づけの機会として使って行くのが良き考えかな?と思います。
良き習慣は身を守る、を念じながら、
良き習慣は身を守る、を念じながら、
良き習慣作りに励んでいくのが、セーフクライミングのベストプラクティス
になるのではないかと思います。
今回はリスク管理の肝は、うどん汁、だったのでした(笑)。
めっちゃ、ひょんぐっていた奥壁手前の天然クーラー |