■父なき子
私は、実は、若い男性…クライミング仲間のことは、
”ともに父なき子”
と感じていました。現代ではきちんとした指導者は大変少ないので、指導が得れることは大変ラッキーな境遇で、そのような人は大変少ないからです。
師匠を持たずに成長する=父を持たずに成長する
です。クライミングの初期においては、基本的にクライマーは、自分が何が分かっていないのか、分かっていません。それが分かるようになるまでに、必ず必要な、自分より、よく深くクライミングを分かっている人からの庇護、父親的存在からの庇護、そういうものがなく、やってこないといけない場合…これが現代ではほとんどなのですが…、
どうしたらいいか?
■ 弱気が自分を守る
私は子供のころと同じことをしているような気がします。私は母子家庭の育ちなので、親がいない状況で、すごく心細く、子供時代を過ごし、一緒にいるのが弟と妹でした…心細さを何とか、兄弟の世話で紛らわし…そして、無力な子供に必要な保護や庇護を、なんとかして得ないといけませんでした。
戦略的には
1)負担にならない程度、隣の家のお父さんを拝借…
です。より分かっている人、大きな視点で見れる人に聞く。聞くというのは、助けを求めるということですから、助けを求められて、答えてくれない人は稀です。
その際のポイントというかマナーは、
2)唯一絶対視しないということ
です。つまり、複数の意見を聞く、ということです。
3)分かる範囲のことは自分で予習してから聞く
というのもマナーです。
これは、私が個人で持っている生き方のコツ、で、小さいころのサバイバル生活で身に着けたことでした。
クライミングでも、同じことをしているがために、そうした戦略をしていない人よりも、楽にクライマーの常識を身に着けたかもしれません。
同じような境遇…指導者を持たずに成長していかなければいけないクライマーに対しては、
”こうすればいいよ~”という感じでした。
なので、一緒に成長して行っている男性クライマーに対しては、同志、つまり親がいなかった私と、一緒に育っている弟、という視点を私は持っていました。手探りで進まないといけない。
■ あまり良くない戦略
一方、クライミング業界で、あまり推奨できない戦略としては
周囲と同じことをする
があります。というのは、現代では、9:1くらいの割合で、間違っているほうが多勢だからです。
つまり、朱に混じれば赤くなる、です。周りと同じにしていれば、俺オッケーと思っていると、悪い環境にいれば悪くなる…
この戦略の欠点は、悪い環境だということに気が付けないこと、です。みんなも同じなのですし、その”みんな”も間違っていることを分かっていない…。
■ こうしたらいいよ
1)最初に理想のあり方(羅針盤)を模索する
2)自分の現在地を知る 足りないところ
3)現実的にその羅針盤で進めなくなったら、アドバイスを求める、
こうすると、”周り”は、あまり関係なくなります。
色々考えると、九州に来る前も、結び替えができない男性クライマーがいたような気がしますが、私は?と言えば、”クライミングに行くなら、結び替えができないと危険だ”と言われれば、単純に、”そうか”と、実践しただけです。
”周りの人が出来ていないから、やらなくていいのでは?”とは考えなかった。
なにせ、雪山をするために無線免許まで持っています。今どき携帯電波でOKです(笑)。あれは無駄な準備だったな…失敗です。
”弟として他クライマーを見る”ということの意味は、私にとって、こういうことです。つまり、
”指導者がいない中で、暗中模索しながら進む”仲間
ってこと。
可愛がる、って意味ではないのですので、念のため(笑)。
トリセツをちゃんと見れば、クライミングの安全は基本的に確保できる |