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2023/10/27

【情報提供】ツインで登る・ダブルで登る

 ■ ダブルでもツインでも使えるロープ

世の中は便利なもので、ダブルでも、ツインでも使えるロープっていうのが出ています。

実はインスボンは、ツインで行きました。その時、アイス以外でもツインって便利ね~と思いました。

■ ツインの出番とは?

屈曲がないルートでは、シングルで十分ですが、その場合、マルチでは、2本目のロープをセカンドが背負っていくことになります。

重たい=楽しめないというクライミングの法則があるので、トップもセカンドも双方が楽しんで登るためには、ツインと言う選択肢は良いかもしれません。

コツ)ツインで登る=ビレイヤーが2本目のロープを担いでいく必要がない

おすすめです。

両刀使いのロープであれば、屈曲のあるルートではダブルに変更して使えばよいです。

コツ)ピッチによってダブルに変更もできる (同一ピッチ内でダブル・ツインの混用は危険)

日本の花崗岩では、スラブとクラックが混同されている場合が多いです。スラブは屈曲が多く、クラックはほとんどのケースでまっすぐです。

■ 基本)シングルでしかみんな登ったことがない

「外岩、外岩」と言いますが、外岩クライマーのみんなが、一般的にやっているのは、海外ではクラッギング(Cragging)と言われる行為です。この言葉は日本では普及しておらず、日本ではショート、などと、みんな言います。

クラッギングは、ロッククライミングの中の一形態です。

基本的には、

・車が横付けできたり、携帯電話が入るような、下界に近い、気軽な岩場での行為

・大体20m前後の岩を登っては、ロープにぶら下がって降りる(=ローワーダウン)ということを繰り返す行為

です。

この行為に、日本では明示な名前が名前がついていません。”リード”、と言ったり、”ショート”と言ったり、”外岩”と言ったりで、どれも間違っていないが、どれも、その行為だけを特定的に示す言葉になっておらず、文脈によって使い分けることになっています。したがって発話者は分かっていても、聞く人の知識の度合いによっては、誤解が生まれる余地が大変大きいです。

<用語解説>

リード=自分がトップで登ること。インドアでもリードできるし、マルチピッチでもリードできる。ビレイの対比用語。リードできても、ビレイができない人も多い。余談だが、初心者は、まずは、リードではなく、ビレイを身につけなくてはいけない。

ショート=マルチピッチとの対比で使われる場合が多く、一般的ではない。ショートと言って通じる人は、結構クライミング歴の長い人であることが多い。

外岩=インドアとの区別に用いられるため、ボルダリングでも使う。

と言うようなことになっています。

さて、その岩場で行為はどのようなものか?と言いますと…

【クラッギングとは?】

まず、最低単位2名以上で岩場に行きます。

岩場には、すでにボルトと言われる安全器具があらかじめ、初登者と言われる人たちにより、開拓と言う行為によって打たれています。

そのボルトを使って、一人はリードし、一人はビレイと言われる、安全担保のための行為をし、終了点と言われる金具にロープを掛けます。クライミングはここで終了です。

その後、登りながら手繰ってきたロープに全体重を預け、ビレイヤーにローワーダウンしてもらいます。

岩場では、”課題”(ルートともいう)と言うクライミングの対象が設定されています。安全器具がすでに打たれ、難易度がつけられ、いくつも用意されています。例としては、5.9~5.12が一般的難易度です。

難易度がついているため、一般に、易しい課題から、難しい課題へ、順に登っていきますが、その途中で、能力の限界にきて、落ちることがあるため、ビレイと言う行為で、地面への激突(死や大けがを意味することが多い)を阻止します。

登れなかった場合、そこで安全器具のボルトにぶら下がります。これをハングドッグと言います。ハングドッグがやたら長いクライマーは嫌がられる傾向があります。落ちればアウト、登れれば成功というのが、基本的なゲームルールです。

一度ぶら下がってしまうと、レッドポイントという登りになってしまいます。クライミングというゲームの勝ち負けのルールでは、オンサイト(一発で登れる)がもっとも得点が高い登り方です。レッドポイントとオンサイトでは、全く実力が異なります。オンサイトは、初めて見た課題を全く落ちることなく、一回目から完全に登れるということです。

一般にクライマーたちは次々と難度を上げていくことを目的にしています。

これを海外ではクラッギングと言いますが、日本ではこの言葉は普及していません。

■ さて、この行為の中で学べることは何か?

つまり、クラッギングで学べることは、

 リードクライミング

 ビレイ

 ローワーダウン

 難易度が徐々に高くなっていくムーブ

と言うようなことになります。逆に言えば、それ以外は知らない、と考えるべきでしょう。

つまり、

 盲点1)懸垂下降を知らないで済んでしまう

ことになります。つまり、リードで登れるだけで、一人で岩場から降りる技術は知らないことになる、ということです。

一般にクラッギングの課題は、まっすぐであることが多いので、屈曲があるルートの対応法も知らない場合が多いです。長ぬん、と言われる、長めのクイックドローを使いますが、

 盲点2)屈曲があるルートへの対応法も知らない

も、クラッギングでは、まっすぐなルートだけを登って難易度を上げていくことも可能なので、たとえ、5.12という難度が登れたとしても、知っているだろうと期待することはできません。

このように、クラッギングでショートの課題をレッドポイントと言うスタイルで登って、難易度を上げていく活動を何年繰り返していても、その活動の中に

 懸垂下降や屈曲がるルートへの対処

は出てきません。

それ以外にも、シングルロープ以外を使う機会が全くないので、ダブルやツインの使い方は、学ぶ機会がなく、屈曲したルートでは、長ぬんを使ってロープの流れを良くしないといけない(ロープドラッグを避ける)、なども知る機会がありません。

余談ですが、そのままの知識では、マルチピッチに出るべきではなりということになります。

■ 同音異義語

クライミングは、もともとはロッククライミングでスタートし、細かなカテゴリー…ボルダリングやインドアクライミングに発展してきたので、

 もともとは、皆が共有していた知識

を今も皆が共有している、という前提条件(=無意識)が働いています。

そのため、

 その細分化されたシチュエーションごとに、

 いまだに同じ言葉が使われると、

 具体的アクションや意味がまったく異なる、

ということがあります。

例えば、ストッパーノットと言う言葉では、

A)クラッギング時のストッパーノット=ローワーダウンで確保器からロープがすっぽ抜けるのを防ぐ

B)懸垂下降時のストッパーノット=懸垂下降で確保器からロープがすっぽ抜けるのを防ぐ

A)のストッパーノットは、相手のためです。なければ、デバイスからロープがすっぽ抜け、相手のクライマーが地面に落ちてしまいます。

B)のストッパーノットは自分のため、です。なければ、デバイスからロープがすっぽ抜け、自分が地面に落ちてしまいます。

■ 言葉が使われる文脈にまったく無頓着なクライマーが多数

特に昔からやっている人は、逆に

 経験年数があだ

になって、自分が理解していることが、クライマーとして全員が当然、理解すべきこと、と勘違いしてしまいます。

現代クライミングでは、ほとんどのクライマーが懸垂下降ができない状態で、岩場に来ます。また、5.11なり、5.12をインドアジムで登れるようになってから岩場に来ます。

すると、彼らは、自己申告では「私は5.12が登れます」と言います。これを聞いた側は、昔の常識では、5.12を登れるような人は、各山岳会のトップクライマーであり、当然ベテランの人だったために、5.12が登れるというのなら、大抵のことは理解しているだろうと想定してしまいます。また、10年登ってきました、と言う言葉も同じです。内容がインドアジムであれば、10年登っていても、懸垂下降は知らないです。

しかも、今日では高校生など、5.12という難度は、初めてクライミングした、その日のうちに登ってしまいます。この時代感の格差のために、次のような会話になってしまいます。

現代クライマー:「今度、外岩ご一緒しましょう!」(ベテランと登れば安心だ~) → 期待

旧世代クライマー:「いいですね!」(楽しみな若者だ~)→ 期待

現代クライマー:「〇〇さんはどのくらいを登るんですか?私は5.12を今やってるんですが…」(インドアジムの課題の5.12のこと)

旧世代クライマー:「12かい、それはすごいね。俺は、5.10bでやっとだよ。トップは任せたよ」

後日、岩場で…

現代クライマー:「登りまーす!」…「ローワーダウン、お願いしまーす」

   …旧世代クライマーを見ながら…、”げげ!なんじゃあのビレイ!壁から遠い!”

   → 失望

旧世代クライマー:「了解!」(あいつ、5.12が登れるって言ってたけど、ほんとかなぁ。へっぴり腰じゃんか?)

   → 失望

結果、互いに決裂。これは、相手への期待値が間違っていることに無自覚だったために起こっています。

後で…

現代クライマー:「Aさんってベテランだって言ってたけど、壁から2mも離れたビレイだったんだけど、ほんとにベテランなのかなぁ…」

旧世代クライマー:「Bって、5.12登るって言ったたけど、5.10bで落ちてたぞ?俺のほうが登れるって、どういうことなんだ?」

ということになります。

つまり、話をしているときに前提になっている経験の内容が、全く違うのです。

結局、”群盲、象を評す”、みたいなことになり、結局は双方が相手を悪く思ったまま、別れてしまい、平行線をたどることになります。

■ ロッククライミングやクラッギングという言葉の普及と分類

必要な知識の整理が、権威ある団体から発行される必要があります。

クライミング界は、皆が別々のかなり違う内容を語っているのにも関わらず、下手したら、全部まとめて、一緒くたに”クライミング”と言ったりします。

クライミングと言ってしまうとその指し示す内容が大雑把すぎて、その人の言っていることが、

 どういう行為なのか?

があいまいになり、誤解の元、喧嘩の元、クライマー界内部の分裂の元になっています。

クラッギングと言う言葉が、基本的には、現在最も普及している行為(岩場で20mくらいをボルトルートで登ってローワーダウンで降りるだけの行為)を最も狭義に意味している言葉です。



2023/10/11

【盲点】落ちれない遠いボルトは、ただの無駄なボルト

 ■ 5年前の投稿

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日本と海外

たぶん、日本にあるのは、エリートのためのエリートによる、エリートだけのルート。エリートだけが登れるように作ってある課題 =「1ピン目が遠い?そう思うような人は来なくて結構」

たぶん、海外でクライミング文化が花盛り、なのは、

一般の人も楽しめるルート、

があるから、というわけなのだろう。現代は過渡期にあり、旧来の考え方をする人は、”価値観を尊重されていない”と主張し、新しい考え方の人は、”命の価値”を主張する。

命がけであること自体に価値を見出してきたわけなので、そうでないクライミングがあれば、両者は永遠に平行線で価値観が交わることはないだろう。

たぶん、海外が私は好きなのは、そういう問題にいやおうなしに巻き込まれることがなく、ただ普通に危険はできるだけ排除しましょう、という原則が不動なわけで、単純明快だから、だろう。

価値観を持つのは良いことだが、それを人に強いることはできない。

権利があるところには、責任があるが、責任について検討されることが日本では少ない。

ノブレスオブリッジ…特権階級には責任がある…ということなのだ、本当は。

常人とかけ離れた能力があることで尊敬を受けたいという気持ちがあれば、能力が、常人とかけ離れている、ということを受け入れざるを得ないだろう。それをほかの人に強いることはできないということだろう。

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■ 年配者のコメント

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「1ピン目が遠い」は日向神の愛のエリアのことでしょうね。

これは、開拓者のポリシーであって、エリートどうのこうのではと思います。隣のルートからクイックドローを掛けるとかチョンボ棒を使うなど登ろうと思えば登れますが、どちらにしても1ピン目で苦しむ人は核心では全く歯が立たないと思います。

自分の身の丈か、そのちょっと先を登れば良いのでは?

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この問題に対して、一般的な回答だとは思いますが、それで

 事故が防げるか?

っていうのが、インバウンド(外国人クライマー)を日本に受け入れようという場合の問題点です。

なんせ、日本人クライマーの事故ですら防げていないのですから、コミュニケーション力がさらに低い外国人クライマーならなおさら。

■ 地元に事故が増える=医療体制が必要

まとめると

 開拓者のポリシー尊重のまま、ピン遠い問題放置

 →

 来訪クライマーが増える

 →

 ほとんどが5.9や5.8に取り付く

→ 日本の5.9はほとんどピンが遠い 

→ 落ちれないことが外国人や新人クライマーには分からない

→ 事故が増える

→ 地元に医療体制が必要

と現状ではなりますが、こんな状態で、地元にメリットになると思います?

これが、すでに現時点で予見できる。

■ メタアウトカム

意図したことと違う結果が出てくることを メタアウトカム、と言います。

私は、生涯スポーツとしての和気あいあい市民クライミングを推進したい、クライミングは国際言語、を推進したいと思っていますが…

上記のことが分かっているのに、そのまま放置で、クライミングによる地域おこしを推進したとしたら?

…私の尻尾が黒くて三角である、としか思えませんよね。

 けが人倍増計画、

と地元の人から非難されても、仕方ありません。

まぁ、そのような立場に立ちたくないのは、人間ならば、当然のことですね。

あの岩崎師匠も、自分がテレビで中高年登山を指南したせいで、山で遭難者が増えた、と言っています。

■ グレードが目安として機能していない問題

この方の提案にある

 自分の身の丈か、そのちょっと先を登れば良いのでは?

ができないのが問題なんですよね…

遠さ(危険)をグレードのスケールの中に入れてきたのは、

  エイドクライミングの伝統

であって、今ではビッグウォールくらいでしか使われていない特殊クライミング…

クライミングの歴史上の流れで、過去の遺物として残っていますが…。

日向神はエイドのフリー化の岩場ですから、より色濃く残っているということなんでしょう。

盲点その2は 出自としてもともとエイドの岩場は、外国人に紹介するには向かない、ということです。

■ 盲点3 岩場の閉鎖の経験値が低い人たちは、危機意識が希薄

山梨では、背の低い私ですら、え?!と驚くようなところに1ピン目が足されていました…。事故があったからです。

つまり、開拓者は事故を防ぐ努力をし、自己顕示は後回しです。そこが九州との最大の違いですね。盲点3です。

これは、岩場が登攀禁止になってきた歴史による反省があるからでしょう…。 

九州にはそれがないです。大体が名士と言われる人や県庁職員の尽力で一般市民クライマーは、岩場が閉鎖になるリスクには無頓着、です。

■ 盲点4 初心者グレードのほうがピンが遠い

当然ですが、事故になる確率がより高いのは、初心者グレードにおいてであって、エキスパートグレードにおいてではないですよ。

■ 現実問題

・佐世保の海軍に従事する30代クライマーでも、夢中歩行(5.9)は登れない

・10年登っていると自己申告してくる外国人クライマーでもATC持ってこない 持っているのはハーネスとシューズ、ドロー2本だけ。

■ 盲点5 遠い=危険=登れない、登らない

対策なのかどうか、夢中歩行は、5.10bにグレード改訂されていましたが、グレードを変えたとしても、同じことですよね。

だって5.10bが登れると思っている人たちが来ても、”遠ければ登れない”、ですから…。

5.12が登れても、”遠ければ登れない(登らない)”ですよね。

なんせ、問題点は遠い、にあるので。

■ 盲点6 ”落ちれる”遠いと”落ちれない”遠い

同じ遠いにも、

 落ちれる遠い

 落ちれない遠い

があります。遠いの中で外すべきは、

 落ちれない遠い 

です。落ちれない遠いは、そもそも、安全装置としてのボルトの役目をはたしていません。

なので、落ちれない遠いボルトは、ただの無駄なボルトです。



2023/10/10

【盲点】昔の5.12と今の5.12 リスクテイキングゼロの5.12

■[クライミングを語ろう68]同じグレードやのにジムと岩場はなんで難易度が違う?

■ この動画、3回も見てしまいましたよ(笑)

私は、アルパインクライマーとしてクライミングをしていたので、全くフリークライミングには詳しくないのです。

なので、フリークライミングの人に、「フリークライミングとは、こういうもんだ!」と自己主張されると、”そうなんだー”と思うしかありませんが、現れてきた現象については、まぁ、当然ですが、普通に事実を捉えることができます。

  事実: ”今の男子の5.12登れます”は、瞬間風速のこと。

具体的には、何分も、ある場合には、何時間もハングドッグで粘って、やっとこさ登れた5.12が、”5.12登れます”、です。なので、5.10bでも落ちたりします。油断は禁物です。

これはマシな人のことで、ひどい人だと、ジムグレードのことです。

■ 昔のクライマーの5.12は、どうだったのだろうか?

昔の人は、分厚いマットが敷かれたクライミングジムなどなく、5.12が触れるだけでも、そこへ積み上げるには、

 怖さ

をかなりな状態で克服しないといけなかったはずです。というのは、外の岩で、自分のギリギリにチャレンジするのと、インドアジムの分厚いマットや落下係数0.3に調節された人工壁で、5.12にチャレンジするのでは、

 心理グレード

が全く違います。

ので、私自身も、はじめっから外岩の小川山ストーリーは別にトップロープでいいのなら、普通に登れていたわけなんですが、5.9のオンサイトが確実になるまでには、2年半かかりました… 山梨時代です。それで、こちらに来てからも、命拾いした感じはあります。

同じ5.9でも中身が違います。その中身の差は、恐怖で、だいぶ違うわけですが…そこが、グレードだけで実力を測ると、捨て去られてしまうわけですね…。

 昔の人の5.12は、中身のぎっしり詰まった相当の実力

■ 日本の岩場は、”あるクライミング”理論に貫かれている

安易に…と私からは見えますが…男性はグレードを上げますが、それは安全のためです。

日本の岩場では、
 
 易しいグレードほど、恐怖グレードが高く設定

されており、

 難しいグレードは、ボルト配置が下手したら1mおき

で安全です。これは、クライミングで有名な論文があり、それに倣っているんですよね…名前は忘れましたが…。

その忘れた論文によると、リスク+難度で、5.12も5.9も同じになるように調整されているのです。

なので、日本の岩場は、基本的にはこの理論に貫かれている、ということなんです。

そこは、フリークライマーでも、古い人、昔からやっている人しか共有されていません。

ので、新しい人は、えー?!ってなりますね。

■ リスクは除外して、ムーブだけの難度表記にするのは新しい潮流

たしかに、外岩では、ムーブ自体は簡単で、リスクがやたら大きい…のが、一般的な入門ルートです。

ので、アルパインルートは2グレード下、と言われていますが、

 登攀力にゆとりをもっていても、防げないリスク

はある。その1は、ビレイヤーが下手っぴってリスク。大体、落ちないで登るのがルールであるアルパインクライミング育ちのビレイヤー(例:往年クライマー)は、ほぼ全員ビレイがダメです。

落ちたクライマーを確保した経験がないんだろうなと分かるビレイ具合…壁から2mも離れ、しかもダラリンで、フリークライミングのルートをビレイしています。

■ アルパインの外的リスク

だれかアウトドアのフリークライミングのリスクを検討したクライマーがいないのかなぁと検索したら、こちらの論文がヒットしました。

称名の滝フリーソロの時のリスク検討
https://www.jpnsport.go.jp/tozanken/Portals/0/images/contents/syusai/2020/tozankensyu.vol35/tozan35_1-2nakasima.pdf


しかし、これもアルパインのリスクなんで、フリークライミングのゲレンデのリスクとは違うんですよね…

アルパインのリスクを理解して取ってきた人にとっては、フリークライミングのゲレンデってリスクフリーと言ってイイくらい安全安心感があります。

■ フリークライミングの外的リスク


サンプルとして、またしてもアイロンさんが提供してくれました…

ーーーーーーーーーーー
最近は東股沢の開拓やってます。

私が発見した美しい(けど浅くて途切れ途切れ)のクラックにラインを引かせてもらったんだけど、プロテクションが取れん。。。

核心のプロテクションが足下3メートルの良い音がするフレークにセットしたカム、なんてやりたくないよね〜

TRでは一撃できているからプロテクションに問題がなければ登れそうなんだけど、登るためにボルト打つ? それともボルトレスで登れるように鍛えてから登る?

スタイルとか安全性とか悩むときりがないけど、みんなどうやって折り合いをつけているんでしょう???
ーーーーーーーーーーーーーー引用終わり 太字当方

これ、フリークライミングで良く起きます。

■ 現代クライマー的解とオールドクライマー的解

 登るためにボルト打つ = 現代クライマー的解
 ボルトレスで登れるようになってから登る = オールドクライマー的解

です。

そこで、今いさかいが起きているんですよね。私はいさかいが起きるより、説明しろ、と思います。

例えば、トポに

 核心のプロテクションが足下3メートルの良い音がするフレーク

と書くか、Rをつけておけば良いです。RとかXってそのためにあるんでしょうし。

個人的には、ボルトを安易に打つのには反対意見です。

■ 誤解を受けることと無理強いされること

私がクライミングで、特に少し前まで登っていた人との間で起きたことで嫌だったことは、

 TR派だと誤解を受けて非難されること
 
 と

 すでに無理しているのに、もっと頑張れと無理強いされて心がすり減ること

の2点でした。

この誤解は、誰にとっても、5.9は同じ困難度だ、という誤解に基づくもの、だからです。

落ちたときのリスクも、誰にとっても同じだ、というは誤解です。おばあちゃんがこけただけで5か所も骨折するのは、30代男性がこけたときと同じリスクと思いますか? 女性のほうが男性より、壊れやすい、です。

過去に、私が連れて行ったアメリカ人クライマーは佐世保勤務の軍人さんで、33歳でごっついパワーの人です。

その人は、愛のエリアの5.9夢中歩行はオンサイトできなかったんですよ?

私は念のため彼が現地の岩慣れできるように、別の5.9トップロープを張ってあげ、さらに5.10Aも登らせてあげたのに…。これだけの好待遇で、彼が怖いというのなら、私がいきなり一本目でオンサイトできたのは、すごいことでしょう。

私の日向神一本目は、この課題で、1ピン目はるか遠くです。

降りて来たら、クライマーに、

「これが遠いって文句あるなら、この岩場に来るな!って意味だよ」

と言われました。男性です。しかし、5.12で同じ状況か?全然、ボルト近いです…

■ 身長が低いというハンデ=恐怖グレードが上がるですよ?

私は身長が152cmなので、同じスタンスに立っても届くところ違います。

マスターとぬんがけリードはエライ差です。

しかも、一回リードで落とされて、頭縫っています。血みどろの岩場になって救急車です。身をもって安全とは何か?学び中です。

クライミングで、新人さんや、その岩場に詳しくない人は、何を登るべき段階か?分からないというのは真実です。なので、これを登ったら、どうお?というのは親切ですが、それを無理強いするのは…。

 虐待です。

■ 人に勧められて登ったルートは印象が薄くなる

私も大堂海岸で、スーパークラックはやっておいてよかったなとは思っていますが…。

これは、私は疑似リードで取りついた課題です。

しかし、自分で選んで登った5.8のほうが印象に残っている。登って楽しかった。何が課題か見えた。

長いハンドのスーパークラックのほうが私向きと分かりました。

■ 自分の基準で人を裁くとは?

ラオスへ行ったとき、13を目指しているヒロさんは、私が6Aでテンションして、スイマセンと言ったら、「俺らも同じよ」、と言いましたが…

体の性能は人それぞれです。その性能の限界にチャレンジしているときに、感じている感情は同じです。

ですから、ギリギリにチャレンジしているときのグレードは違っても、みな同じです。

私のギリギリが5.10Aで来ることは、クリップする余裕がなくて、ノークリップで抜けてしまう、ということからも分かると思います。

日本の大体の10Aではそんなことはありませんが、米澤先生の課題は辛いことで知られ、一本そんな課題があって、それは米澤さんの10Aだったので、多分10Aじゃない(笑)。
…cとかだと思う… 

これがグレードで騙される弊害というか、リスクです。辛い上にランナウトしていると、もっと最悪です。

あー、ホントあれは落ちなくて良かった…と思いますが、トポにその旨書いてあるか?というと書いてありません。本人が、俺の課題は、Rです。と書くかというと?書かないでしょう。

開拓者と言うものは、自分の作った課題を登ってほしいものだからです。

…という事情なので、頑張っていない子呼ばわりされると、大変、腹が立ちます。

その頑張っていない子呼ばわりですら、そもそも、そう呼ばわってくる人が、共感力というよりも、そもそもクライミングに対する理解力が低い、ということに起因するのですから…。

つまり、自分は全然ギリギリを登っていないくせに言っているのですから…。

■ エリートが作った岩場

日本の岩場は、基本、昔のアルパインクライミングのエリート族が作ったものが多いです。

で、5.12を登れるようでないと、そもそも楽しめないようにできている、とあの北山真さんも著書の中で述べています。

この問題の回避のために、初級クライマーはみんな海外に行くんですよ?

理由は海外では、5.9は5.9のクライマーのためにボルトが打ってある岩場があるからです。

でないと、5.12を登る前に死んでしまいますよね?

私はすでに頑張って、心がすり減っただけでなく、右膝や左のアキレス腱は、もう生贄に差し出した的な様相です…、つまり頑張りすぎ、です。

クライミングではまるでお荷物みたいな扱いを受け、なんだか頑張りを理解してもらえなかったので、納得がいかなかったです。

その上、なんで私をお荷物扱いする人に、国際ガイドをしてやらないといけないのでしょう??? 私のスキルはハードアーンドです。仲間でしょーとあなたが主張するだけ仲間待遇は、もらっていないです。仲間でしょう、を主張する人ってテイカーですよね?基本。

今水泳で、他の人からみたら、ホントに初めてですか?と言われるくらい上手に泳げるので、クライミング、別に下手くそでないんじゃないかと、先述の米国人クライマーと比較しても思いました。

ただパワーがないだけなのです。そんなの女性であれば当然です。女性は男性にはなれませんし、なりたいとも全く思いません。

私は握力17Kgなんですよ?握力65kgの人がクリップ飛ばすガバで、飛ばせずクリップしたいのは当然かも?

というわけで、理解力が問題だという結論です。こんなの、ジム壁登っていても分かるようなことですけど?

2023/10/04

【盲点】 カテゴリー問題 アルパインvsフリー の区分では区分できないルートが出る ロッククライミング

 ■ 山下さんも指摘しているが…

日本ガイド協会の会長の山下さんもご自身のブログで指摘されていましたが、日本の登山の世界が、伝統的に

 アルパイン、スポーツ、フリー

と区分してきたこの区分だと、バンバン落ちていいのかどうか分からないルートが出てくるんですよね。

■ 白亜スラブや比叡は、フリーなのかアルパインなのか問題

関東で言えば、三つ峠。関東では、伝統的にアルパインクライマーの練習用ゲレンデという認識がされていて、本チャン、と言えば、三つ峠のことではなく、北アや南アの登山を数時間こなしてから、たどり着くルートのことです。

三つ峠も本チャンも落ちてはいけない、アルパイン”ロック”のルートです。

しかし、九州では、なんか 白亜スラブは、本チャンみたいな扱いなんですよねぇ。

でも、とりつきは徒歩5分(汗)。(めちゃ甘?)

新しいトポに、歩かない九州人っていうセリフがありましたが、そんな文化が分かるほど九州の人と登っていませんが、その程度しか一緒にいなくても分かったことは、

 白亜スラブに登ることが憧れらしい

ってことですが、みんなボルトを追っかける山しかしていないのに、これが登れることがすごいことだという価値観は、どこで形成されたんだろうかな?な感じです。

ってことなので、アルパインvsフリーで、白亜スラブはどっちなんでしょうかね?

というか、この区分がまずいんではないですかね?

■ ロッククライミングと言う括りでくくり直しが必要

なんせ、こっちの人は、40年経過したボルトであっても、バンバン落ちろ落ちろ、と言いますから…。

たぶん、白亜スラブのボルトがカットアンカーで信頼性が低いことも、九州人自ら知らなかったんじゃないかなぁ?

というのは、日向神で、開拓者とある会の指導者に進められて登ったルートがありました。

『大蛇山』

です。私は、てっきり、開拓者おすすめってことは、これは、安全なルートだと思っていました。それでも、ピンが遠い箇所があり、長ぬんを垂らしてもらって、2,3便でRP。

一回目は登れなかったので、降りた。ヨーヨースタイルです。地上で心を静めて、核心へ再トライしたら登れました。

すると…後日… 

後日と言っても数か月程度ですが…

なんと、大蛇山はリボルト対象だったんですよ…(汗)

開拓者と会の指導者自らが、リボルト寸前の課題を、その岩場に詳しくないと明らかなクライマーに進めてくるって…(汗) 何?

一体どう考えたらいいんでしょうかね?

尻尾が三角で黒いやつ?それとも、単なる無知?

まかりなりとも、その岩場で開拓している人から勧められたわけですから…登るほうは相手を普通に信頼しているでしょう…

しっかし、その問題となっている開拓者への開拓手法に関する助言は、言いたくないことを言うというババ引きのババで、誰からも行かなかったみたいです。

もうこの事件で、九州の指導者クラスへの信頼は、樋口先生を除いては、誰も信頼できなくなりました。

もう考えていないとしか思えない。

ボルト=フリークライミング、スポートルートと考えると、1ピン目から落ちていい、となりますが、日本の岩場の現状は、全然表せない。

もう、この時点で私の命の危険への恐怖はマックスで、自分のリミット超えました。

■ 山梨でのスタンダード教育

 ・外岩では3ピン目を取るまでは決して落ちてはいけない

 ・マルチピッチ=落ちてはいけない

 ・アルパイン=支点は手作り 山に支点はきのこのように生えているわけではない

でした。

 ・初心者はボルトがしっかりした落ちてもよいルート

 ・初心者は、直上の素直なルート 

 ・初心者は、下部核心ではないルート

というルート選択も、当然のルートの選び方でした。

そういうロッククライミングの括りで、当然のことが、フリークライミングの原則で教えると、抜け落ちてしまいます。

なんせ、日本のフリークライミング、特に日向神のルートなんて、ほぼほぼエイドルートのフリー置き換え、で、エイドの理論で作られたルートなんで、フリークライミングの理論では最初から作られていないんですよ。

エイドっていうのは、大昔のアルパインクライミングって意味です。

そこにフリーの原則を当てはめれば、危険になるに決まっています。

■ ロッククライミングの括りで教科書を書く

何か教科書的なものを書いてくださる方は、

 ロッククライミング

という括りでやってくれると、もれなく、抜けなく、のMECEが達成できると思います。

今のアルパインvsフリーの区分では、

 盲点だらけ

になってしまいます。

例えば、いつだって水がかかってボルトの腐食が加速すること必須の沢にボルトを打って、

 スポートルートみたいな沢ルート 

とか言ってしまうんですよ?それって、

 ロシアンルーレットみたいなルート

って方が正しいです。そんなところにリスク認知せず、たった二人で行って来たら?って勧めるなんぞ、指導者のすることとは思えません。

沢だったら、最低3人以上いないと、どうやってレスキューするんです?日本のほとんどの沢では、携帯電波届かないのに。

これらは、全部、

 区分が盲点を作っている事例

だと思います。


 ペツルって刻印があるけど、危険なカットアンカー