2023/04/29

「五歳児の大人」とそのまわりの人のための心理学

■ ”5歳児の大人”

クライマーってこんな人が多いんですよね…

私は趣味でクライミングをするようになって、”?”と感じる出来事が増えました。

例えば…

・山登りに行っているのに、「オレ○○高校卒」。

・子供が6人いるということが、なぜかオレってかわいそうだよね~ってノリで周囲の同情を買うためのネタになっている。

・もうメタボになって登れないのに一升瓶を担いで雪山に行き、仲間を凍傷に陥れる

菊地さんの本によると、昔はクライマーって、社会不適応者の集まりだったのだそうです。たぶん、それがかっこいいって価値観になっていたみたいなんですよね…。

昔はタバコ吸っていたのがかっこよくて、今はタダの迷惑行為になってしまったのと同じなんだろう…

なので、フィクションではなく、ほんとにココに書いてあるように

 5歳児の大人

です。

 

 

結果、

  アクセス問題という社会問題

になっているのです。

その解決の糸口を掴みたくて読みました。

正常な他者の目には、”自分で招いた結果”にしか見えないことに対して、その事件を引き起こした当事者は、被害妄想を持っているってことです。

そして、同情を求めています。

■ だめクライマーは、”脱抑制型アタッチメント症候群”

大人としての正常な社会性や責任感を身につけそこねた人は、嬉しい、悲しい、から始まって、豊富な感情ラベリング… ”これは嬉しいという感情だ”、とか、”悲しいという感情だ”、という感情への名前付け(ラベリング)を養育者から、もらえなかった人たちなのだそうです。

だから、例えば、自分のほうが間違っているのに、逆に権利意識や被害意識を持つことになります。

権利意識だと、盗人猛々しい、ですし、被害意識だと卑屈です。日本の自虐史観みたいな感じです。

小鹿野の件をロクスノで読んで、それが起こっていることを確認しました…。

業界で、かなり有名な人が、そうだったので驚いた…。

尊敬していた人もいたので、残念に思いました。

たぶん、クライミングというのは、現実逃避やアディクション(依存症)という一面があるので、クライミングの上手下手は、現実逃避の量や依存の量でしかなかったのかも知れません。

どんな活動も、その人の人間的成熟を高めるために行われると、良い方向に働き、そうでないなら、結局は、社会の厄介者、迷惑としかなり得ないもの、のような気がします。

■ 解決に向けて

この本には、解決案は示されていませんが、昨日アタッチメント障害のセミナーに出て解決案を教えてもらいました。

おそらくアタッチメント理論でいくと、そういう大人は、

 脱抑圧性アタッチメント症候群

 なのです。親から基本的な良し悪しのフィードバックが得られなかった人たちです。

そのため、主体性を与えてしまう、と通常の大人が考えるような反応ではなく、感情が満たされていない子供としての反応…駄々っ子…をしてしまいます。

しかも、大人の屁理屈でやるので、コミュニケーションが裏面化、つまり、言葉上の本音と裏の真意がちがう、という心理学上の現象が現れます。

裏面化すると、その人の言う通りに、こちらが要求を飲んだところで、結局は、文面上の要求とその人が本当に願っていること=構ってもらうこと…は、ちがうので、問題は解決しません。

子供だったら、”よしよし”して欲しい、というのが真意なのです。しかし、大人はそれをストレートに言うことができません。

そこで、コミュニケーションは、袋小路化してしまいます。

つまり、こちらが相手を尊重しても、相手はこちらを尊重しない(平たく言えば、舐めていると言われる状態)が生まれます。

ああ言えばこういう、こう言えばああいう、と返され、出口のない、現状維持が続くだけになります。そうなると、相手のペースにこちらが踊らされることになります。

ので、相手に先手で、あり方を指示することが正解です。

”○○というあり方、態度をすると、ポジティブなフィードバックを返しますよ”と、こちらが価値観を示し、リードして、導いていく必要があります。

いわゆるリーダーシップってやつ。誤解しないでほしいのは、オレの言うことを聞け!とか、そういうのではないってことです。

■ 反応事例

例1)「俺、一高」 「俺、○○会社社長」

という人に対しては 一高とか、学歴を持ち出す前に、

「山登りは、学歴とか関係なく、自然と向き合って、自分自身と向き合うことなんだよ。

 安全に山を楽しみたいから、みんなで協力しあおうぜ。」

と最初に教えてしまいます。

例2)無謀な計画

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「阿弥陀北稜に行くぜ。一升瓶持っていき宴会した後、のぼろうぜ」

に対しては、

(子供バージョン):

「あのね、メタボで山登りに向いてない人が、こんなアグレッシブな計画たてても、それはちょっと危ないっていうか、ちょっと現実的じゃないよ。

山には、事前準備とか、体力とか、気象条件とか、いろんなリスクがあるから、危険だから、やめたほうがいいと思うよ。」

(大人バージョン):

「すみませんが、その計画は非常に危険です。

山登りは十分な準備と経験が必要であり、酒を飲んで登山することは危険極まりない行為です。山岳事故を引き起こす可能性が高く、他の人々の安全にも危険をもたらします。

私たちが山を楽しむためには、自己責任を守り、安全な行動を取ることが大切です。」 

…と返すだけの対応力が必要です。(ちなみに私には、この対応力はなかったです)

例3) 無謀な計画

「○○ルートに行こう!敗退無しで!」

(子供バージョン)

「ちょっと待って!敗退用ロープを用意しないのは、とても危険なことだよ。万が一に備えて、ちゃんと準備してから行こうね。安全第一だよ!○○は、またの機会に挑戦しよう!」

 (大人バージョン)

「敗退用ロープを用意せずにマルチピッチに挑戦するのは、非常に危険です。

もしも落ちたり、故障した場合、救助が困難な事態になりかねません。

登山は危険を最小限に抑えるための準備が必要です。

敗退用ロープや他の安全装備を持参することが、自分だけでなくパートナーと周囲の人々を守ることにも繋がります。

安全に楽しむために、適切な装備を持参しましょう。」

例4) 無謀な計画

「俺、インドアクライミングジムで、人工壁で、5.11が登れるんだ、北岳バットレス四尾根に行こう!」

「人工壁での技術と、自然の岩場での登りは異なるから、実際に岩場での経験が必要だよ。北岳バットレス四尾根は、かなりの難所だから、登山経験と技術が必要になるよ。

今は、自分の技術に合った山から挑戦していこう!」

例5)倫理逸脱

「登攀禁止の岩場だけど、誰も見ていないから登っていいよね!」

「周りに人がいなくても、登攀禁止の岩場は絶対に登らないようにしよう。

そのルールは危険を減らすためにあるんだ。

自分だけが危険を冒しているわけではなく、他の人にも迷惑がかかることがあるからね。登山は楽しいけど、安全第一で行こう。」

例6)倫理逸脱

「ねぇねぇ、この残置カラビナ、持って帰ろう!」

「カラビナを持ち帰ることは盗難にあたります。

登山者として、岩場を守り、他の人々の安全を考えるようにしましょう。

カラビナはその場所に置いておくのが適切です」

■ 子供の頃の自動反応

と、このような感じで、私の身に起きたことには、回答ができたハズです。

その場にいた私には、このような反応はできず、黙ってその場を立ち去るのが、精一杯の挙動でしたが…。

これは、子供時代に経験した、大人の大人げない行動に対する自動反応です。

子供は無力で、大人に反論したり、抵抗したりすると逆に、立場が悪くなるからです。

というわけで、”?”なクライミング業界は、私にとっても試練でした(笑)。

いい勉強になったってことかな。