2021/05/23

分業でスキマに落ちてしまった知識

■ 分業でスキマに落ちてしまった知識

一般登山、アルパインクライミング、フリークライミング、ボルダリング、スポーツクライミング、という分業(=縦割り行政)で、それぞれを実践するのに必要な必須知識でないために、スキマに落ちてしまい、教わる機会が著しく少なかったり、うっかりスルーしがちであったり、どこにもちゃんと書かれていないとか、書かれていたとしても、その書きようが、ザックリしすぎていて、きちんと必要不可欠な情報として、伝達されていない、というような情報…というか知識がある。

そのような情報は?というと…考え付くままに上げてみた。

1)フリークライミングにおける結び替え 理由:アルパインに結び替えはない 

2)フリークライミングでのストッパーノット 理由:普通すっぽ抜けと言えば、懸垂

3)アルパインクライマーに必要な登攀力のニーズ  理由:フリーをしなくていいと思っている

4)フリーでのロープ管理知識 理由:会のロープで登っているから

5)ボルダーでのアウトドアトイレ作法 理由:普通のアウトドアキャンプ経験がないから

6)フリーでの長ヌン使用 理由:トラッドもアイスもアルパインもしないから

7)アルパインでのビレイ(キャッチ経験がない)理由:人工壁をしないから

8)ボルダーでの試登のTR 理由:ロープを持っていないから

9)フリーでのボルト知識 理由:どこにも書かれたものがないから

10)アルパインでの支点劣化の知識(今のは40年前の) 理由:トポが更新されていないから

11)ボルダラーの歩き 理由:ボルダーが近所すぎ!

12)フリーのアプローチ難易度 理由:登山はしたことないから


こんなところかなぁ…。

現代のクライマーは、何系クライマーでも、ジムで登らない(登れない)人は、まぁ、とりあえずダメクライマーと決定して構わないかもしれません。

ある程度…というのは、どうもボルジム5級らしいですが…、どのような身長か?年齢か?に関わらず、最低限の登攀力でそこがないと、その人の力では、一般登山以上の山は、どの山でもこなせないので。セカンドでも厳しいというレベルが5級。

これらは、縦割り行政?みたいな感じでカテゴリーで教えるために、知識がすり抜ける危険がある、ということですので、入門書に書いたらいいですね。

例えば、ボルダラーの入門書に、野糞の仕方、を書いておく。スコップ持って行け、みたいな話になるかもですが…。一般的に言えば、森林限界以下なら、山にお返しするだけですけど…お帰りにならない場所でやるから、問題ですよね?例えば川のすぐそばとか…


もういっそめんどくさいので、クライミングと総まとめして、登攀、歩き、ロープワーク、読図、支点構築、とカテゴリー整理しなおしたら、いいのではないですかね? 

少しづつ階段を上がって行けるように…あらゆる登攀スタイルを列挙しておけば、トータルで力をつけて行けるのかも?

そして、その力を評価できるようにしないと、昔の人の教え方に任せておいたら、現代の40年前の支点のまま、レスキュー技術もなしで、ネットで見よう見まねで行ってらっしゃいという話で、屍の山が増えるだけのような気がします。

現代人の在り方…情報はネットで得る、仲間もネットで、と教える内容(昔のまま)が、あまりにもマッチしていない。


人のロープでポンピングしてはいけない

■ 命が一番直結している道具なので、やはり自分のロープで登るべき

会で登っていたら、会のロープなので、自覚が起きにくいと思いますが…

一般に自立したクライマーは、人のロープでは登らない。

自分のロープで登ります。それは、ロープの特徴も自分の特徴に合わせるためです。例えば、私は軽くて小さいクライマーなので、伸びの良いロープを使っています。

理由があってロープを借りて登ることはあると思いますが、普通は人のロープは絶対ダメです。

命が一番直結している道具なので、やはり自分のロープで登るべき。

特に落ちる可能性があるルートでは、なおさら、です。

http://blog.livedoor.jp/marvinjp/archives/51271559.html?fbclid=IwAR2YaFghz97jzVlyzgCqcNOTu8vJywcaUiW3yoQTRIShsBIv0lbavVXfoRo

■ ポンピング

また、落ちて元の位置に復帰するときは、現代のスポーツクライミングでは、ポンピング(ポンプアップ、吊り上げ)は不可欠になっています。

が、これを他人のロープでやられると「待ってよ!」となりますね。

どっかぶりのルートでは、ポンプアップでビレーヤーの手助けも必ず必要となります。

グリグリが以前にもまして普及し出したのは、これの影響があります。

チューバータイプでポンピングをやるのとグリグリでやるのはビレーヤーもクライマーも負担が全然違ってきます。

チューバはやはりポンピングで上がるときはずっとロープを引いておかないといけないのでビレーヤーは大変です。

そして引いていてもチューバーは少し滑るので、なおさらです。

ロープはこの作業をやると間違いなく痛みは早いです。

ですので、最低限岩場でトライする人は自分のロープでトライしないといけないです。

人工壁もかぶってくると同じです。

■ ロープを使い分ける

私は、

 ポンピングや長いハングドック、
 初心者クライマーの引き上げがあるようなロープワーク、
 あるいはぶら下がりっぱなしのトップロープフィックスで登るとき

は、くたびれた太径のロープとロープを使い分けしています。人工壁用に購入したもの。というのは、傷みが大きいからです。

①ムーブばらしトライ用   少し使い込んだロープかつグリグリ

②完登が期待できる本気トライ 柔らかくてしなやかなロープかつビレー器もチューバーに。


ですので、遠征で、自分が登れるグレード、オンサイトトライをする予定の時は、良いほうの②を持って行きます。

■ 指摘してやらないと気が付けない

今回の日向神も、自分のリードのために②を持って行ったのですが… うどん汁事件のため、相方にロープを貸さざるを得なくなり、その時相方が ①の登りをしたので、後で釈然としない思いがしたので、連絡しました…。

人のロープを使っていてポンピングはないよなぁ…と思ったからです。

相方に指摘してやらなくて、本人がみずから気が付くことができるか?というと、気が付けないだろうと思います。

自分が逆の立場に立つまでは…(笑)。

師匠クラスの人たちは、「若いクライマーは、いろいろ分かっていないから一緒に行くのはヤダ」と言いますが…、その中身は、つまり、こういうことです。


■ 濡れたロープで登るべきか?

さて、人のロープを借りて登らざるを得ない場合はあると思いますが…大抵は、借りたとしても、別にロープが痛むような登りをすることはなく、特にオンサイト出来たら、ロープは全然痛まないので問題ないですし…

オンサイト → ロープの痛みはほとんどなし
テンション → ロープの痛みはなし
ロープドラッグ → ロープ痛みまくり
ポンピング → ロープ痛みまくり
ハングドッグ → まあまあの痛み

つまり、ヨーヨースタイルで登れば、別にロープは痛まないのです。ハングドッグ長いとかしなければいいわけですね。

ロープを借りるべきか?無理して濡れたロープで登るべきか?…その場合の判断の仕方、というのも、若いクライマーはベテランから判断の仕方を伝授される機会がないのだろうと思います。

安全を優先

が正解です。今ある状況の中で、もっとも安全である、選択肢を取ります。

今回は、 濡れたロープで登るvs乾いた人のロープで登る、です。

濡れたロープは強度も落ちますし、滑るので、ビレイも正確にできませんので、危険ですので、まず第一に没です。

教訓: ロープを濡らしてはいけない

つまり、クライマーはロープをびしょ濡れにした時点で、ポンピング登りは放棄したのと同じこと、なのです。

人のロープで登らないと行けなくなった場合、長いハングドッグ、ロープドラッグ、ポンピングを避けた登りをすれば、OKです。

そこでいや俺は2時間粘ってRPするぜとなるのは、煩悩です。乾いた自分のロープで戻ってきて再トライするのが良いでしょう。

それより、そもそも、ロープを濡らしてはいけないという知識がなかったのが、今回は不思議だった気がしました。雨の日にロープをどっぷり水につけてしまっては、どうやって登る気だったのでしょう…

■ ポンピングは下のビレイヤーは大変です

ポンピングですが…下のビレイヤーは大変です。

登っている方は分かっていないですよね。

私はいつも、思春期の元気いっぱいの男の子が、遊びを監視してくれる、お母さんをくたくたにさせて、そのことに全く気が付いていない図を思い起こします。

男性は、気を付けてくださいね。元気は年齢順で、若い男性は、自分でも気が付かずに、周囲を疲弊させていることが多いです。重たいものは自分から持たないと、より年寄りと登っている場合は、相手が先にバテ、相手が先に危険にさらされます。

登っている方は楽しくて気が付いていないけれど、下のビレイヤーはポンピングは大変です。

これも逆の立場に立つまでは気が付けないっていう事例ですかね…。

こんな感じなので、クライミングはいつも、弟と遊んでいるような気がしてくるんです…

クライマーは、一般的に、登れるグレードが上の俺のほうが上って思っているような気がするのですが、フリーの場合は、アルパインとは違って、登れるグレードが高い人のほうがより多くのリスクを背負っているわけではないです。

ので、実態はより多くの負担を背負っているのは、下のビレイヤーだったりします。



2021/05/22

インドアクライマーの外岩デビュー

こうすれば、安全に外岩デビューしてもらえるのではないか?というのを試案として出してみました。

■ギア編

1)外岩用ロープを購入。カラファテのような専門性のある店で、購入相談してロープを買う。すると、どんな登りをするか聞かれ、大体、体重などで、伸びの良さやアドバイスがもらえると思う。コーティングのあり、なしなどもある。

https://yamahack.com/1337

2)ロープに適したビレイデバイスのアドバイスも貰う。インドアのとは、同じシングルでも、ロープ径が違うことが多い。

3)ヌンチャクにもアドバイスをもらう。長ヌンだけでなく、スリングやチョンボ棒も。敗退の仕方も教わる。

4)支点構築用のギアセットを相談する。

5)ロープバッグを買う

6)ハイキング用以外のクライミングに適したバックパック(ギアけっこう重たいので)

7)アプローチシューズを買う

8)ヘルメットを買う

■周辺知識編

1)トポを購入する

2)下準備をしてもらう 登りたいルートを選ぶなど

3)交通機関の調査&手配

4)宿泊の調査

5)水場のチェック

6)トイレ場所のチェック

7)最終のコンビニ確認

8)携帯電波の有無

9)緊急連絡先の確認 

■知識編

1)季節のことを考慮する 害虫など

2)天候のことを考慮する

3)人工壁と外岩のボルト間隔の違いを勉強する。

外岩ではツッコんではいけないシーンがある=頑張るだけではなく、安全について、相互に安全を高め合っていく関係性で登る必要がある。(自分だけ安全ならよし、ではない。一歩踏み込んで、相手の安全も監視しないといけない。例えば労働の偏りで片方だけが疲れるとか。)

4)落石、湿度、日照、日陰/日向、気温… 

5)ボルトの品質について勉強する ハーケン、RCC,カットアンカー、グージョン、ケミカルなど… (オールアンカーも九州に来るまでは、見たことがなかった)

6)アプローチのリスクを考慮する 下りが先だとリスクが大きい、登山道では難路クラスに相当するアプローチが多い、アプローチの強さは年齢順、歩荷負担分散

■宿泊編

1)クライマーの伝統?テント泊(キャンプではない)を予習する 

2)車中泊スキルを高める 適地の選択など

3)外トイレのマナーを予習しておく (ペーパー残置などしない、見えないところに埋めるなど)

■クライミング編

1)トップロープが張れる易しい岩場を探す

2)とにかく外岩慣れを優先し、チャレンジは後程 回数を目指す 年10回以上

3)慣れたら、徐々にチャレンジへ移行する

4)パートナーができたら、リードへ移行しても良いが、スタティックに取れないと外岩リードはない。インドアでもスタティックムーブを優先して登る習慣づけにする

5)リードしたら、回収しながら降りずに、リードラインを見直す癖をつける

6)よりベターなドローの設置を吟味する (自分で回収便で登ってもいい)


■ シミュレーション能力なのかな?

総合的なリスク管理感覚っていうのは、普通に旅行に行くときでも、山登りに行くときでも同じですが…、日本の人は、どうも行き当たりばったりが多いような気がします。

未来のシミュレーションが苦手なのかな?

アメリカに行ってから、アメリカの語学学校には、アメリカ人がいない!と言って、驚いていた日本人がいましたが、日本語学校に日本人います?いないですよね?なんでそんな当たり前のこと、後で気が付いてんのかな?と思いましたが… 似たような面がクライミングにあります。



長ヌンとレッドポイント

これは、一流クライマーを育てた樋口先生のコメントです。

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 120cm,90cm,60cm,40cm,30cmそして一般的な20cmのものを使って、流れがいいようにセットしてます。

完登できない場合でも、ロワーダウンしてくるときに余分が有れば、さらに流れが良くなるようにセットを微調整して、次のトライに備えてます。

うちうちでは、短ヌン、中ヌン、長ヌンという呼び名で

「そこ、長ヌンがいいんじゃない」とか指示出し合ってますね。

少しでもローブは流れが良い方が、登る方にも負荷がかからなくて済むので。

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■ 精密度が高い!

私も、長ヌン、持っていますが…一本だけです。あとはスリングで対応、なので、120cmスリングと60スリングです。

この写真は小滝を登攀中の私ですが…やっぱり1本目は伸ばしていますね。


■ 登る場所を選びましょう

ノーテンションで登るのは、アイスでは当然というか、岩のように、”やった!オンサイトだぜ~!” とか ”レッドポイントだぜ~!”ってのはありません。

あまりにも当然で、スタイルの区別ないです。

そもそも、登る場所を見極めること、そこからスタートです。どこでも登れるので。

岩場の場合だと、ボルトにより、ココしか登れない、と登る場所が強制的に指定されています。

自由度? ひくーい。 

これでは、見る目が育たないですよね。だって最初から、登る場所を選ぶ、という発想自体がないですからね。

ブランクの岩を見て、どこをどう登ろうか?と発案できないということです。

一般にアイスでは、もっともアイスの硬いところを探します。プロテクションの都合がクライマーの都合より優先です。

■ 結果、ロープの屈曲についても、無知でいられる

岩では、ボルトが指定され、登るところも固定されて、いいなり状態、またオンサイトか?レッドポイントか?くらいしか、評価の物差しがない…ので、その結果、ロープが屈曲したら登れなくなる、ということについて、かなり長い間、無知でいられます。(昔はプロテクションはリムーバブルで好きなところを登っていたので違いますが)

レッドポイントした後の登りについて、吟味しない。

逆にスタイルが、クライミングの安全知識を学習する阻害要因になっていますね。

レッドポイントできた!と思ったら、ロープドラッグがあっても、成功!っていう結論にまとめてしまえます…。

なんで、そんなに下手くそなのに、皆自信満々なんだろう?っていう疑問が少し溶けた(笑)。

アイスだったら、みんなに「うーん…」 「あちゃ~」という顔をされるロープの流れであっても、岩登りだと? 「レッドポイントおめでとう!」です。

これでは、反省が生まれないです。

なるほど、こういう訳だったのか。

■ 登りのゆとりは関係なし

ロープドラッグを考える…などは、クライミング中のゆとりの量が必要になります。計算する項目数がそれなりに多いからですね。

美しいライン

これのどこを登ろうか~と考えて…

こうなる。

つまり、楽しみは、どこを登ろうか~と考えるところからです。 ここを登りなさい!ではない。ボルトルートは不自由ですなー。

■ 氷との対話

ワタクシが考えたライン 満足~ どこもランナウトしていない!流れが美しい!

このような充足というか、満足を長い間、味わっていません。

 いいルートだったな~というのの、中身が岩とアイスでは、ここまで違う

ってことです。

レッドポイントもオンサイトも、私には、あまり満足をもたらさないようです。

もっと細かい、ルートとの対話が私には必要みたいなんですよね。





2021/05/21

一泊二日日向神 奥壁&うどん汁核心

 県外クライマーを日向神に案内してきました。

あんまり負担になるような、本当の初心者クライマーでなくて良かった…というのが、正直なところ。最近は子供体験クライミングなどで、初心者にクライミングを教えることが多く、負担増で、メンタルお疲れモードだからです(笑)。服を持ってこないで寒いというレベルですからね。

■ 弟の死という喪失体験の癒し

私は、実は弟がいて、水泳のアスリートでしたが、24歳である日、突然死しています。お休み~と寝て、心臓発作で心停止し、朝、おはよう~がなかったというだけです。

私は、自分自身も若い時に、苦労しており、夜間大学に進学したので、若いころ、実家に帰る余裕がなく…就職氷河期です…、進学でお別れしてから、弟には8年会っておらず。大人になった弟に会ったのは、死に顔の彼でした…。

母は子供を亡くした親なので、人生で最も大きな喪失体験中で、私に寄り添うことは無理。私は私で、経済的にも大変だし、母に寄り添うことは無理。妹は、その後自殺未遂で私が引き取り…と、人の世話に忙しく、自分の喪失の癒しは、後回しだったのでした…

20年続けたバレエが山梨転勤で続けられなくなり、登山やクライミングへ転向…。

…すると、どうしても、”弟の遊びに参加している姉ちゃん”みたいな立ち位置。

そして、自分の知り合いの死や、クライミングで見聞きすることが多くなった若い男性の死。愚かと言って良い死が多い。

そんな中、県外クライマーが訪ねて来てくれました… 弟と遊ぶみたいな感じでした(笑)。

■ 反省を込めて、ロープ合わせから

今回は、海外クライマーとやるように、外岩だけ突然一緒に登るというのではなく、ロープ合わせから、丁寧に関係を構築していきました。自己防衛もあります。というのは、ホント、トンデモな人もいますからね。

しかし、そうすると、自分のためにやっているとはいえ、私は自己責任200%の人なので…、自分が疲れてしまい、自分のために力を使う余力がなくなることがあり、今回は、そうならないように、だいぶ気を付けました。

まずは、多久高校でロープ合わせ。なぜなら、多久高校しか、その日使える人工壁はなかったからですが…。

樋口先生がいるというのも、有力な助っ人要素でした。これまでロープ合わせで、ビレイの確認は、1対1でやっていましたが、KoWallの奥村さんのジムに行って、第三者が確認しないとダメだなぁと思ったため、です。

クライマーは、登りに一生懸命なので、ビレイヤーのビレイが良いかどうか?見れない…。

現に、山で先輩に支点ビレイされていたクライマー君は、その非常識さに全く気が付けなかったみたいですし…。

■ スタンプ

相方は、スタンプの近くに宿があったようで、福岡滞在中、スタンプ通いをしたそうです。

私が思うには、スタンプのような良質のジムで、クライミング教育というか、ロープクライミングの教育も実践したらよいのではないかと思いますが…現代のクライマーで、ジム通いがない人はいないので…。

スタンプさんでは、油山川の岩場は、ご存じないそうでした。やっぱり福岡でもオールドスクールのクライマーと現代のクライマーは接点がないのかな? 

近所の岩場は、筑紫耶馬渓ボルダーですが…難しすぎて、イマイチ、初心者はトライしづらいかもですが。

■ 雨の偵察

そんなこんなで、多久高校、雨の四阿屋、油山川、竜岩インドア、筑紫耶馬渓ボルダー見物、そしてスタンプ、ジップロック、日向神本番、と言うことになりました。

ずっと雨ばっかり。

■ 初日偵察 黒木ボルダー

初日は、結局雨で期待薄。とりあえず、時間稼ぎで黒木ボルダーを見せました。なかなか良い課題揃いだからです。結局、雨すぎて、登りませんでしたが。

しかし、お天気悪い上、私はボルダー詳しくないので、課題研究で、Wifiが欲しくなり、下界に降りて、八女のドトールへ。ランチタイムくらいまでいました。

その後、ダメもとで、トンネルエリアへ…。日向神では雨の日は、トンネルエリアと決まっているからです。なんと、フランベのメンバーに会いました。

あら~。こんな雨の日にも来ている人がいるとは…そりゃフランベくらいだわなーって感じ(笑)。

とりあえず、5.9と信じていた、けほぎルート10bでアップ。その後、牛子11bをぬん掛けリードで相方オンサイト。私もチラッと触らせてもらいました。

■ヌンチャク残置OKの九州

九州では、課題にぬんちゃくを下げッぱで、”どうぞ使ってください~”は、友好と歓迎の印です。

が…、他所では違うようで、相方は、”マスターが良かったな”と思ったそうです。一応、連絡って感じですが。(とりあえず、親切にしてくれて山本君ありがとう~)

スタイルに対する志向は色々ですね。ただ小川山だと、終了点独占とか、ヌンチャク残置だと、他のクライマーに怒らこられるかも?です。

ラオスでは、あんまりスタイルに対するこだわりはなく、ヌンチャクは共有財産みたいな感じでした。なにせ、どっかぶりのルーフ課題には、外岩なのに、人工壁みたいに、ヌンチャクがマイロンで固定してありました。途中で敗退可能なように、です。

ま、それも、入門課題や人気課題だけで、玄人は渋い好みを追求できるように、他は掛かっていませんでしたが…。エキスパートエリア、という言い方は、韓国だけですが、ラオスでも、そこはかとなく、ありました。残置されているのが嫌いなクライマーは、自分でマスターで登るルートへ行くべし。

そういうことを考え合わせると、トンネルエリアの牛子11bは、このエリアの入門ルートなので、ヌンチャクが残置されているくらいで、文句を言うべきでないのかもしれません。なぜなら、もっと難しい課題でヌンチャクがない課題はあったからです(笑)。13とかですけど…。超人を要求されるようで、つらいですねぇ…。

フランベメンバーは、12bc当たりのをTRでやっており、時間がかかりそうだし、こちらのパーティで登れるのは、もう登ったので、ランチがてら、道端へ。課題を見ないよりは、見たほうが良いからです。

そこで、うどん汁事件勃発… 

■ うどん汁がない!

壁を眺めながら、のんびり、鍋焼きうどんを食べようとしたわけですが…なぜか汁がない。

あれ?

というので、ストーブで鍋焼きうどん、味がうすーいうどんだったかもです(笑)。

結局、良く見たら、鍋焼きうどんのスープがザックの中で、破れて、どうもザックが鍋焼きうどん汁風味、になってしまっていたようです…。あちゃー。

とりあえず、相方のリクエストで、再度、けほぎルートの隣の11bを。いわゆる、”みじかしい”系です。

この日は、けっこうちゃんと雨が降っていましたので、まぁ、5本登ったら、ちゃんと登ったほうかな?

エリア偵察ができなかったので、明日登るルートが固められなかったですが…。これは私のこだわりで、自分が登るルートは自分が見て決める、という習慣が良いと思っています。

■ 温泉

その後、近所の道の駅へ…うどん汁の洗浄です。相方がロープを洗ってしまったので、あちゃーと思っていました… 明日、乾くのかなぁ…。ザックもびっしょり…。なかなか乾きが悪そうなザックでした…タオルで絞って水分を拭きましたが、結構かかりそう。

重たいですが、ホールバックはビニールでできているので、こういう時、便利ですね…。私も家にはあったのですが…。

(※PVC製のホールバックは環境に悪いようです。https://www.vec.gr.jp/lib/pdf/factbook.pdf)

いつも人工壁に行くときは、バケツにロープを入れており、アイスクライミングなどでロープが凍り付いてしまったときなど、バケツに入れておけば、車が水浸しにならず、大助かり、なのですが… 今回は軽量化というか、雨の中の車中泊になる可能性があり、スペースの確保で入れていない。残念。

それで、結局、脱水でしばらく待つことにしました。

というので、温泉着が19時になってしまい、温泉堪能は30分の特急コースになってしまいました… 残念ながら緊急事態宣言で、20時でファミレスも締まってしまい、コンビニ弁当の晩御飯…。なら、もっと温泉でゆっくりすればよかったねと互いに言い合いましたが…いや~時間配分は難しいですな。

でも、とりあえず、ジャージャーの雨ではなくて、良かったです。宿泊した道の駅たちばなは、他の車中泊組…ダンプの運転手さん達…もいて、かけ流しの湧水もあり、快適。

■ また雨

翌日は5時に雨の予報で、やっぱり雨…残念。ロープを大慌てで片付けました。だってロープが生命線ですからね…。ただ湿度120%すぎて、一晩ではほとんど何も乾いていなかったです(涙)。

とりあえずコーヒーを飲んだ後、朝食でコンビニへ。のんびり朝ごはん。8時雨の予報。だめだったら、昨日フランベメンバーが取り組んでいた、トンネルの12bcでいいか、みたいな感じ。もしやるとしたら、今の相方のスキルでは、けっこうギリギリのハズなので時間がかかるはずなので。

とはいえ、時間がかかるクライミングって、とりあえず、なんにも楽しくないですよねぇ…。それに、私はそんな難しいの、用ナシですし。

とりあえず、日向神で、主要エリアを案内しようということで、愛のエリアへ空荷で。初日に見れていないので、何を登りたいのか?固める必要があります。行ったら、乾いているルートもありました。

奥壁も私は、偵察したことがあるだけでしたが、乾いているのがあった。奥壁は、相方のグレードに合った課題があると思っていたのでした。

手前のエリアは、苔でグリーンで、古いリングボルトも見える…苔を取ったら良い課題になりそうなのになぁ…。誰も掃除する気になれないのでしょうかね?

10時頃には雨も上がってきたので、それで下にギアを取りに行きました。

途中で晴れ間を縫って登りに来たクライマー達にすれ違い…これは!同じエリアで登ることがないように…というので、急いで愛のエリアへ。

お昼ぐらいまで、花鳥風月。相方は、ジムで鍛えた華麗なムーブで、あっさりオンサイト。良かったです。

今回は、トンネルも花鳥風月も、ジムクライマーに向いた課題という気がします。

私はトップロープで触らせてもらいましたが、予想通り、行き詰まりました…(汗)。

とはいえ、前回、別の県外クライマーが来たときは、果てしなく無理に見えたので、そもそも取りつかなかったので、取りついただけでも、一歩前進です。花鳥風月は、隣と1本目が共有?らしく、長ぬんが要ります。

前回はどうしたんだっけな?

■ 奥壁

奥壁では、岩場独占で登れました。つくつく法師5.8と隣のアポロ11号11bです。

もう一つ左隣にきれいに乾いた課題があったので、相方にはそれを登ってもらえたらいいなと思いましたが、そうすると私が登れるのがなくなるので、相方には課題に配慮してもらったかもしれません。

しかし、つくつくほうし5.8も、途中遠いところがあり、テンション。うーん。これ5.8???

相方は首尾よく、2便でアッポロ11号11bをRPでした。これは、すでに詳述しているので割愛。

奥壁では、どこからか、他パーティの会話が聞こえて来ていました…不思議だったなぁ。山の会ルートか何かのマルチをやっているパーティがいたようです。

■ 道端

首尾よく、RPした相方は、ご機嫌で、そのご機嫌のまま、岩場を後にしたかったですが、最後の一本で、時間調整の岩場道端へ。誰もが落ちる11bがあるので、スラブも意外と得意だという相方に、試してもらいました(笑)。

これ、ホントみんな落ちますよね。落ちていました。というか雨上がりでコンディション悪すぎ!

となりは5.9なので、まぁ回収は問題ないので…。

私もたまにはリードしないとしゃっきりしませんので、左隣の5.9に取り付いたら…やっぱり雨後で、いつも楽勝なのに落ちることを察知…。フリクション、ぜんぜん効かない。

落ちる前に分かる感じでした…(汗)。

ので、本気シューズでトライ。やっぱ、いくら足が痛いからって、4回もリソールした靴では、スラブは、ダメですね…マルチ用にしているゆるゆるシューズは滑るの、ハッキリわかりました。

靴を変えて、普通に再登。これは登れないと困る系な感じです。

今回は、菊池さんのこのセリフを自分の成長の糧とします。

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「落ちる」を察知する

 クライミングで「登る」こと以上に重要なのは、「落ちない」ことです。というのは精神論や安全危険の話だけでなく、「神経系」についても言えることだと私は思っています。

 というのは、あるムーブを起こそうとする時に「これでは落ちる」と感知した場合、瞬間的にそのムーブを止める、あるいは微調整することができる。それが「登る」ためのテクニックとして実は重要で、かつそれは良く構築された「神経系」によってもたらされるものだと思うからです(とはいえ、落ちたくないだけで無我夢中にしがみつく、というのではさらにダメですが)。

 そのためにはまず「落ちる」を察知できる身体感覚が必要で、これは逆の場合を考えてみるとよくわかります。「落ちるかもしれない」を無視したムーブを不用意に繰り出す人、そもそもそれを感知しようとしない人が、いかに完登までに多大な時間をかけることか。また、なかなか上手くならないことか。挙句「力が足りない」と訴えて、私に「それは違います」と言われ、ムッとすることになります。

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■ はま寿司 リベンジ

帰りは久留米ラーメンで締めようと思っていたのですが、20時でどこも閉まってしまう!

というので、近場で妥協して、はま寿司。 

懐かしい、はま寿司… 城ケ崎の思い出が駆け巡る…クライマーの指は乾燥しているのか、タッチパネルが反応しなくて困りました(笑)。食欲旺盛な相方は、高校生?みたいな食べっぷりでした…いや~、男性は良く食べますね!

帰りは、のんびり福岡帰着10時みたいな感じ。

弟が天国から送ってきた心優しいクライマー君と登れた二日間でした。

やっぱり、教育が不足しているのであって、現代のクライマーが分かっていないというのは、違うんじゃないか?みたいな感想になった。

すごく楽しく充実した日向神二日間でした。

九州を代表する岩場なので、県外クライマーを案内できる程度は知っていてよかった。

楽しく終了…とりあえず、雨の二日間だったので登れてよかったなぁ…。

今回は濡れ濡れでしたが、エリアも下見して、相方に登りたい課題を総合的に選んでもらって登ってもらえてよかった。

奥壁は古いエリアなので、やはり辛いと思います。奥壁の5.8はテンション入れないと登れなかったが、道端の5.9は当然ですが登れました…。トンネルエリアのアップ課題10bは、登りたくなくて登らなかった…きょん足は膝に悪いので…のですが、5.9は前から辛いと思っていたんですよね…10bに改定になっていました。普通に11が楽勝で登れる男性でも、恐怖グレード高かったみたいデス。

牛子11bとアポロ11号が同じ11bというのも、納得感のないグレーディングだった。

愛のエリア夢中歩行5.9が10bに改定されたら、やっぱり初夢5.10Aも5.10cに、愛は勝つ10cも11Aに改定しないと、つじつまが合わないのではないだろうか?

愛は勝つが11Aになったら、花鳥風月は、11Aではなく、bかcなのではないでしょうか?途中までしか行けませんでしたが…。

そんなこんなでグレーディングについて知見が高まった二日間でした。写真は奇跡的に青空が除いた、雨間の日向神です。

■ 貯まった知見

1)ジムクライマーは外岩でも、ガンバ>安全  頑張ってはいけないところが分からない

2)長ぬんについてしらない

3)RPはしてしまうので、ランニングのミスに気が付かないで成功体験になってしまう

4)ロープについてよく分かっていない (=休ませない、濡らす、汚す等)

5)互いに安全を守り合うという関係性を普段していない 

6)指摘をしてあげないと、点と点の知識が、面の知識にならない

https://allnevery.blogspot.com/2021/05/blog-post_63.html


現代ジム上がりクライマーの特徴と対策

■現代クライマーの特徴

前提:
・ジムから外岩
・パートナーはジムで見つけ、初心者同士で登ってきている
・登攀自体は、中級者以上 


1)危急時をまったく想定していない
2)長ぬん使用法を知らない 
3)基本的に自分のロープで登ることを教えられていない
4)指示を出し合って安全を向上するという関係性を前提にしていない
5)周囲が教えないとずっと分かるようにならない


今回は、全部、相方に指摘してあげることができ、良かったです。

私の学びと言うよりは、相方の学びですが… いつまでたっても経験値が増えないというサイクルを少し打破できたかな?と思います。

大事な点は、指摘してあげないと、分かるようにならない、ということも、大事な特徴かもしれません。

■ 1)危急時想定不在

フリーのクライマーの場合は当然ですが、セルフレスキューの知識がない。ので、ロープシステム(例えば、メカニカルシステム)は、きちんとは分かっていなさそうです。

これは、つまり怪我になったらどうなるか?想定がないということでもあります。

つまり、私は48Kgですが、つまり48kg以上担げないので、私と組んでも危急時対策にならない。外で怪我をした場合、レスキューが遅れるという認識がない。ので、そこから言ってあげないといけない。 つまり、山ヤじゃないのです。

捻挫したらどうなるか?骨折したらどうなるか? そういう想定がゼロなのが、ジム上がりフリークライマーの思考回路の抜け、です。

■ 2)長ぬん使用法 について

長ぬん使用法を知らないのは、ロープドラッグのために登れなくなったという経験値が足りていないためです。登れなくなって初めて人は気が付きます。最初からできる人は、少数派だと思います。

フリーや人工壁であっても、下手くそなビレイヤーにビレイされていると、ロープが重たい(1ピン目で屈曲が大きい)ので、変だな?と思って振り向いて気が付くと思います。

■ 3)ロープトラブルの対処法を知らない

ロープは購入するときに、自分の体重に合わせてロープ径やしなやかさ、などを選んでいることが多いです。私は小さく軽いクライマーで、下のビレイヤーが下手くそであることも多いので、細径のロープを選んでいます。

重たいクライマーは伸びが少ないロープを選んでいることが多いと思います。

今回は、トラブルが起きました。うどんの汁でロープを汚してしまい、そのあとの対処が悪かったです。水道水で洗ってしまったのです。雨の日でしたので、乾かない。乾かない=強度低下、です。

こちらの資料では、15%の低下が報告されています。
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/hp-gijyutuka/shyohou2/08/08-01.pdf

濡れたロープは強度低下していますので、強度低下分を考慮して登るか、登らないか?になります。

選択肢は、

  A)自分の濡れたロープで本気トライしない、
  B)相方の乾いたロープで本気トライしない、

となります。

■ 4)安全は二人で作っていくもの 

安全は、パーティ全体で作っていくもの、です。これは初日に注意を言いました。私がクライマーとして登っているときに、安全監視を下のビレイヤーとしてやってもらえなかったからです。

片方のロープを濡らしてしまったら、乾いたロープを持っている方は、自分のロープを提供しない訳にはいかなくなります。 

■ 5)ポンピングはロープの痛みが大きい

その場合、ポンピングするスタイルで登るのは、ロープ提供者がかわいそうすぎです。

特に、自分がそのようなスタイルで登らないクライマーであれば、やはり、自分が登るわけでもないのに、ロープの痛みが最大級のポンピングスタイルと言うのは、避ける、というのが、せめてものマナーという気がします。その場合、ヨーヨースタイルで登れば、いいですね。

あるいは、登れるところまで登り、近くでオブザベーションする(自己確保で)、ロープに負担を掛けない登りを選択する、などの気遣いが可能と思います。

■ 書いていないけど、書いてある?!

このようなことは、どんなクライミングの教科書にも書いてありませんが、

ロープは各自が持ち寄り、
自分のロープで登るべきもの…
ロープの管理まで含めて自己責任、

ということは書いてありますし、

ポンピングがロープが痛む

ということも教科書に書いてあります。

長ぬんの使用法を詳述した書籍は見たことがありませんが、

ロープドラッグが危険であること、
ボルトに対しても悪いこと、
ロープにも悪いこと

は、どの本にも3行くらいは書いてあります。

パーティ行動についても、一般的な常識の範囲で書いてあります…

というので、一応、知識は、書籍においても提供はされているのですが…、問題は、それでは不十分な情報量だ、ということなのかもしれません。

というのは、今回ご一緒した彼が特殊な人とは思えないからです。ごく一般的なクライミング大好きな青年、と言う感じでした。

「窓が開いているね」と言って「寒いから締めましょうか?」と発想できる人が少なくなったのと同じ原理で、それだけの記述では、知識を与えるスタイルとして、もはや大卒エリートではない現代クライマーには、踏み込み不足なのだろうと思います。

彼は一人目ではないですし。私の以前のパートナーも、自分の本気ルート(クラックでロープがこすれてロープが痛む…)を私の新品のロープで2度もやったので、2度目は抗議しました。一回目は、小川山レイバックに連れて行ってもらったときのクレイジージャム、2度目は大堂海岸です。さすがに2度目はお目こぼしなしよねぇ…というので、指摘しました。ロープ買い取る!と言っていましたが、買い取ってくれる気配はありません(笑)。

こうしたことは、パーティ外のクライマーからは見えません。どちらがどちらを登らせてあげている関係か?ということが見えないということです…。大堂海岸の時は、私のロープで登った相方が他クライマーから、”良し!”みたいな確認を貰って、私がダメクライマーみたいな烙印を押され、なんだか釈然としない気分になったのを思い出しました…。甘えているのは、あちらで、こちらじゃない。

■ 自己責任=各自勝手に登るになっている

私は高難度は登りません(登れません)し、まだクライマーとして学ぶことがあるという自覚が自分にあるため、自分が登るときは、互いに、安全を相互協力で作れる相手と登りたいと思っています。それくらいは望みすぎではなく、人として当然、です。ところが、現代人の感覚の自己責任、というのは、自分さえよければよい、みたいなことになっている…。

例えば、見慣れぬボルトに不安を示すと、「クライマーなら自己判断で登れ」と言われるし… カットアンカーとグージョンの差が分かっているクライマーに、今まで会ったこと自体ないですけど…みんな使い分けて登っていたんですか? 私の師匠でも、たぶん、なんとなく、という虫の予感以上のことは、分かっていないで、リスク回避してきた、その程度の曖昧な知識ではないか?と思います。

海外のトポには、課題の長さ、必要ロープ長、ボルトに関しては、使用した型番、設置日まで書いてあります。そうなって初めて自己責任が可能です。

ロープに関しても同じで、自分のロープは来歴が分かりますが、人のロープだと分かりません…。私は大墜落の後は、ロープを休ませるように教わっています。当然ですが、ロープは濡らしては良くないです。泥も良くない。

支点の作り方も同様で、迷いがあるときに相談できる、ベストプラクティスを二人で作っていける関係性というのは、大事であるような気がします。

■ もう頑張ってる

また、互いに無理を押し付け合うのは禁物です。

ガンバ!というのは、クライミングではよくある掛け声ですが、私は、外岩の時は、「無理をしないように」と声を掛けます。安全とガンバ!では、インドアと外では違い、外岩では、安全が常に打ち勝つようにしないといけません。
濡れたロープを干し中

ガンバ!を優先していいのは、人工壁だけです。

外岩で、安全が後回しになるような声掛けは、禁物です。頑張ってツッコんで、怪我した場合、どう責任を取るのでしょう?

私が思うには、心根が優しくても、読解力不足と言うか、点と点の知識が、線や面となってつながり、きちんとした構造的な知識につながっていかないのです、現代のクライマーは。

例えば

A)人工壁で登るときはガンバ!
B)外岩は危険が大きい
C)外で一緒にいる人はレスキュー出来ない

= A)+ B)+ C)
= D)答え 外では無理強いはいけない

AとBとCを教えられても、Dが導けない、ということなのです。

A)ロープは各自が持ち寄り、
B)自分のロープで登るべきもの…
C)ロープの管理まで含めて自己責任、
D)ポンピングがロープが痛む、

 =A)+ B)+C)+D)= 答え)人のロープでポンピングしてはいけない

とか、

A)ロープドラッグが危険であること、
B)ボルトに対しても悪いこと、
C)ロープにも悪いこと

 =A)+ B)+C)= 答え)長ヌンが必要

とか、10年以上クライミングをしていても、答えそのものを教えてもらわない限り、合成できない、ということなのではないか?と思います。

それは、記録をつける習慣が無かったり、反省を記述する習慣がないから、というのもあるかもしれません。

ただ、ブログ等で有名で、記録をつけている有名なベテランでも、間違った写真を堂々と載せていることからすると、初心者の側からすると、それでいいのか~と思ってしまいますし… 経験者にしても、やはり、間違ったことをしていても、その自覚がない、ということではないか?と思います。

■ スタイルに安全に関する情報が欠如している

それはやはり、スタイル重視とは言っても、スタイルの説明に、オンサイト、フラッシュ、レッドポイントなどの記載があっても、それ以上のいわゆる登攀の質…”あれやこれや”と言われる細部の記載がないからです。

仮に、師弟関係で登れば、まだ5.7しか登れない時代から、師匠から、”下のクリップを外せ”だの、”クライムダウンして回収してから登れ”だの、色々と、ただまっすぐ登るだけではない指示を受けます。

(それどころか、ここを登れ、あれを登れ、と登る場所まで指定されるのは、疑問です。なぜなら、師匠と言えども、どの程度のリスクを取れるか?は、当人以上に正確には判断できないと思うからです。当人が自主的に判断できるよう、支援すべき、と思います)

私は、米澤さんと行った野北で、カムで取った1ピン目を設置する場合に、自分で設置した場所に指摘を貰いましたが、私が回収する予定だと返事をすると、そのまま行かせてくれ、2本目を取ったのち、回収してから登りました…こうしたやり取りの中で、”同じ安全を見ているのだな”と、信頼が生まれてきます。安全とはこうして作るもの、という気がします。

質の良いベテランと登ると、そういうことが、登攀歴の初期から起こりますが、現代のクライマーで、そのような環境にいるクライマーは、大変稀です。

中には、ランニングの失敗を指摘してあげると、親切な行為なのに、怒りだす人もいます(前の先輩)。

現代は、山岳会で登っていても、山岳会自体がそのような知識…適切なランニングの取り方やロープの休ませ方、あるいは、パーティ全体での安全の管理のノウハウ…を持っていません。また、ジムで会った初心者同士だと、当然ですが、知識を持っていません。

本があっても、文字列の羅列で、一般にクライマーはすぐに挫折してしまいます。

同じ10年のキャリアであっても、登れない時代から外岩経験を積むのと、インドアで鍛えてから外岩にデビューすることの間には、このようなギャップがあります。

■ パートナー的なミスマッチ

一方、私のような外岩からスタートしているクライマーは、インドアで鍛えた技がありませんので、高難度を登りません(登れません)。

ので、一緒に出掛けても、自分は登らない(登れない)ので、一緒に出掛けた場合、ビレイを提供したり、ロープを提供したり、と知恵を出す一方になってしまいます。

自分のクライミングの成果としては、得るものがない…、気がついたら、引率の先生みたいなことになってしまった…というような帰結になってしまいがちです。それは、相手に理解力がないから、ですね。

アドバイスを出すほうは、その成果…安全なクライミング…を自分の登攀向上の成果として受け取ることができない、という現実があります。

師匠クラスのクライマーは、なぜかインドアジム上がりのクライマーと組みたがらず、私が連れて行くと、腹を立てることが多かったのですが…、それはこういうことで振り回されるからですね。なるほど。

つまり、安全管理の貢献と言うのは、目に見えない。

本人は、もっとも安全なノーテン登りなので、ビレイされる時間も短く、かといって、ハングドッグ&ポンピングのクライマーの方は、それが当然だと思っているので、長い時間がかかる…と言うことになります。

なるほど、こういうわけで…と、私自身も、師匠がジム上がりクライマーと出かけたくない、その気持ちが分かったかもしれない。安全管理はこちら持ち、成果はあちら持ち、みたいなことになってしまう… 

しかし、どこにも悪人はいない…。

無知こそが原因、なのです。

■ ベテランの言うことを聞かない

教えると、基本的に嫌な思いをする、ということも師匠の場合は、あったそうでした…。

些細な点をあげつらって、さして重要でもないことを、さも重要であるかのように言っている…と一般的には感じられることが多いからです。例えば…

”ザックにボトルを外付けしてはいけない”と、指摘した時に無視され、そのクライマー君は案の定、ボトルを山道で落としたそうなのですが…。師匠とピオレドール賞クライマーは、顔を見合わせて、”こりゃダメだ”、と思ったそうでした。

私は、最初から、あまり山での行動自体は、問題視されないクライマーだったので、あまり強い指摘を受けたことはありませんが…。(一度、確保に変Dカラビナを使っていて、それはダメだと言われたことがあります)

アウトドアの基本…と言うようなことは、フリークライミングでは、環境がシビアでないので、大目に見られることができます。

例えば、”ボトル外付けダメよ”は、アプローチゼロ分の岩場で言われてもなぁ…となります。(なので、誰も指摘してくれない)

しかし、アプローチ6時間の前穂北尾根でボトルを落としたら登れなくなります…ので、昔は、簡単なところで、そういった良き習慣を身につけることにしていたのでした…。

良き習慣は身を守るといいます。

簡単なところは習慣づけの機会として使って行くのが良き考えかな?と思います。

良き習慣は身を守る、を念じながら、

 良き習慣作りに励んでいくのが、セーフクライミングのベストプラクティス

になるのではないかと思います。

今回はリスク管理の肝は、うどん汁、だったのでした(笑)。

めっちゃ、ひょんぐっていた奥壁手前の天然クーラー


長ぬん使用法を学ぶアッポロ11号

■長ぬん使用

先日、梅雨の合間の晴れ間を縫って奥壁で登ってきた。これはパートナーの写真。
ルーフ下のボルト負担大 ロープ痛み大



ご覧のように、ルーフ下で、ロープが屈曲し、岩角でロープがこすれています。

これでは、じきにロープドラッグで登れなくなりますし、落ちてもビレイヤーに全く衝撃は伝わってこない=ルーフ下の支点が全衝撃を吸収中、です。

ボルトにも悪いですし、クライマーも危険、ロープにも悪いということになってしまいます。

初回は下からビレイヤーの指示で、上の支点にかけたあと、ルーフ下のヌンチャクは解除して登ってもらいました。

しかし、RPしている間は、クライマーが長ぬんというギア自体を持っていないので、この状態で登りました。60スリング+ヌンチャクでロープドラッグはなくなるそうです。

■このクライミングは、”成功”なのか?

ノーテンションで登ったので、一応RPですが…。

一般に、教育をきちんと受けていないフリークライマーは、長ぬんを使ってロープドラッグを解消しながら登るということについては、意識が広がっていないような気がします。

その証拠に、昨今、ベテランや開拓者でも、このようなクライミングをする人もいます。

まして、クライミング教育が欠如していることが確実な、ジム上がりのクライマーだと、これが危険なクライミングだとは、RPしている手前、なかなか気が付けないのではないかと思いますので、注意喚起の意味でアップします。

■ 1ピン目 長ぬん と言うケースは多い

このようなルーフ下以外にも、ボルト数を節約し、岩を傷つけないために、1ピン目が隣と共通になっている課題もあり、そのような場合も、長ぬんで伸ばす必要があります。

パッと思いつく有名課題では、花鳥風月の1ピン目がそのような状態でした。上記のルーフは、奥壁のアッポロ11号です。

また、こちらの動画は、長ぬん使用法について参考になります。

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120cm,90cm,60cm,40cm,30cmそして一般的な20cmのものを使って流れがいいようにセットしてます。
完登できない場合でも、ロワーダウンしてくるときに余分が有ればさらに流れが良くなるようにセットを微調整して次のトライに備えてます。
うちうちでは、短ヌン、中ヌン、長ヌンという呼び名で
「そこ、長ヌンがいいんじゃない」とか指示出し合ってますね。
少しでもローブは流れが良い方が登る方にも負荷がかからなくて済むので。
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どうぞセーフクライミングのご参考にされてください。

■ 参考情報

カラファテの長ぬん記事

http://calafate.co.jp/qd-sling/

おススメランナー(ドッグボーンのところ)13mmダイネックスラビットランナー

https://www.lostarrow.co.jp/store/g/gBD14100001/

アマゾン購入サイト

 https://amzn.to/3fDpuQD

軽い長ぬん

https://goodbouldering.com/?pid=144836941&gclid=CjwKCAjwtJ2FBhAuEiwAIKu19tHo0mj7GF6cNSbgBc0HUQylqYimy3o89AMq1PN9z8KuEjmAioXZLxoCzUAQAvD_BwE


ボルトのベクトル分解

 東さんから回ってきたので、転載します。算数苦手…誰か分かる方、解説してくれたら嬉しいです。


2021/05/16

クライミング事故が減らないのはなぜか?

■バグ管理DB

みたいな感じの事故情報データベースがないのが問題なのかなぁ…。クライミング界は…。

時々ネット上で、それらしきものは見かけるのですが… 立ち消えしている形跡のものばかりだしなぁ…

ソフトウェア開発で、ダメソフトができる原理というのは、出たバグを管理しないで、適当にフィックスしては放置、というものです。

どのように発見して、誰がどう解析し、それをどう直したのか、記録がなければ、延々と同じ間違いが繰り返される…それが、最初に入社した会社で、延々とダメソフトが繰り返されている理由でした… 

普通のソフトウェア開発にはバグ担当者がおり、バグ管DBが普通にあるのに…私が行ったところはなかった…ので、自分で作りました。それが評価されて私は雇用をゲットしたのです…。DBを作ったのは、それより以前に、ほんの短期間属した、きちんとした開発部には、バグ管あったので…2か月くらいしかいなかった開発部から知恵を入れたのでした。 

しかし…クライミングで死者の数を数えない…のは、何か現実逃避のような気がするなぁ…。

■ 今どきのクライマー & 説明力不足

今どきのクライマーは、ジムで登って5.11以上を登れるようになったら、次は外岩、と思っています。

一方、昔の育て方は、5.9も、まともに登れない時代から、セカンドオンリーで5年はマルチの修行、みたいな流れで、”連れていかれる”、もの。

そんなやり方だと、俺の方が登れる!って思っている現代初心者は、オールドスクールクライマーには、ついていきません。

勢い、昔の杵柄、を取り出して、”連れていかれるべき”だ、”俺が上だ”と、相手を納得させようとしてしまいますが… それでは説明のパワーがないので、セカンドで登っている現代初心者クライマーは、納得しないです。

例えば、

「リードに必要なルートファインディング力が、君にはまだないから、トップは任せられない」

とか、きちんと相手に 

何のスキルが不足しているからさせられないのか?”

を伝えるべきです…。それが、99.999%の熟達クライマーには出来ていない

それをやってこなかったので、”11のクラックは登れるから”と出かけてしまって、ボルト1本に仲良く2名でぶら下がる羽目になる…と思います。

そうやってヒヤリハットで済んでいるうちに、技術が身に付けばいいですが、解釈を逆にしてしまい、成功体験になってしまうと、いつまでたっても技術は身につかないままで、さらに困難なルートにステップアップしてしまう。つまり、リスクはもっと大きくなるということです。

私が思うには、現代の事故が減らないのは、このような男性心理と情報不足の組み合わせ、です。

■ 情報不足

御坂にいるときに、先輩は、城山ばかりに行きたがっていたのですが…その理由をきちんと解説できたか?したか?というと?していない。

JFAがケミカルに整備した岩場なのですが…それしか言っていないので、日本中の岩場で、特に初心者が取り付く5.9というグレードが、ほぼほぼすべてランナウト中で、5.9が限界グレードの人が取り付いて良いわけではない、と言うことを一言いえば、なるほどな~となったかもですが…。

あるいはジム通いの必然性も、日本の岩場では、ジムで5.11が登れる程度(ボルダーなら5級以上)でないと、危険が多く楽しめない具合になっている…ときちんと解説するなど。私はしてもらったことがなく、自分で謎解きしています(笑)。ま、謎解きも面白いからいいっちゃいいんですが…。

なので、初心者は基本的な説明を受けていない。昔の初心者はジム壁などなく、いきなり外の岩からなのが普通なので、ダメだと言われても意味が分からない。となります。

この謎の答えは、昔の初心者が登っている壁はフリーのグレードではなく、まだ4級とかの易しいグレードってことなんですが…関東なら三つ峠、福岡なら野北みたいな感じですね。

そういう易しくてランナウトした怖いルートで落ちない登りを身に着けて、グレードを徐々に上げていけば、成人後にクライミングを始めた男性でも、(10年程度の)時間を掛ければ、取り立てて才能がなくても、5.12までは到達できます。

そうなって初めて、フリークライミングの岩場の初級5.9が安全にリードで取りつけます。

なぜなら、(アルパインの岩場ではなくて)フリークライミングの岩場の初級5.9は、ときに10cであり、ランナウト著しく、決して落ちてはならぬ、落ちることがあり得ない力量の人のみがとりつき可能、という意味だからです。フリーソロ出来ないとダメって言う意味なのですよ。 

まとめると、全く登れないゼロスキルの人も、ボルジム5級しか登れない正対、側体オンリーな人も、どちらも結局、岩場では当分TRしか許されないということです…。

(なので、この段階の人は、リードが楽しいインドアジムがいいだろうと思いますが)

上記のような事情なので、基本的に、初心者は主体的に成長するということが不可能になっているばかりか、説明がないため、5.9と思って出かけたら違う、詐欺に騙されるみたいな話になってしまいます…。それが自己責任という他責の習慣のために放置されています。

たしかにムーブは5.9かもしれませんが、ランナウトしている、ということが語られていないのでは情報不足ということ…です。

同じことがボルトの質に言えます。ボルト強度はきちんと出ていますか?それを自分で見極められる知識はどこにも転がっていません… 情報がないのに、自己責任、というのは、ほとんどペテンですが…なんでそんなことになってしまったのか、歴史的経緯についての説明もほとんどないのです。

現代のクライミング教育は、ムーブを中心に教えられており、クライミング技術の根本であるロープで身を守るすべについては、ビレイ以上のことは教えていないですね…。それで登れるだけで安全管理が未熟なクライマーが来ている!とか文句を言われても…ですねぇ…。

起きていることはすべて正しい、ということなのです…


2021/05/15

試登が先か?地権者許可が先か?

■ 岩場の開拓 

 試登が先か?地権者許可が先か?

ボルダーなら登って痕跡は残らないわけで、ちょっと登ってみるくらいは問題ないと思うんだが…ボルトを打つとなると、試登でも、地権者の許可が先みたいですね…。

懸垂で降りれる壁なら、別にボルトを打たなくても、TRで登れるのですが… 五木は懸垂で降りるにしても、マルチプル懸垂が必要となれば、ボルトを打たないでは懸垂でも降りれない…。まぁ、今どき120mロープってのも、販売はされていますが…。でも、被っていたら壁から離れてしまいますよねぇ…。カムとかで登れる岩場ってホント、地権者の面からも楽なんだなぁって…しみじみ。

吉田さんが登らせてくれたスラブは、まったくボルトはなかったが…当然だが…あれ、私が登って色々工夫したら後、ボルト打つ予定だったのかなぁ… 山梨を出たときは、まだ釣り糸張りっぱなしだったような気がするけど…。

油山川も見晴らし岩も、開拓者本人はボルト使わないで、普通にトップロープフィックスで登る。ので、リードにこだわらない限り、岩場に何も傷を残さず登れる。

つまり、リードにこだわる=地権者許可、と言うことになると言えないでもない…。

まぁ、リードしないと大してやる気が起きないのが、クライマー困ったちゃんな点なのだが…。なんかスイッチ入らないんですよねぇ…。

ま、五木はボチボチしか進まないでしょう。なにせ、地元が田舎すぎて、クライミング?なにそれ、おいしいの?レベルかもしれず、もしそうだとしたら、クライミングって、こんなことですよ~と教えるところから…になり、かなり果てしない道のり。

それにしても、日本に残された、貴重な石灰岩の岩壁である可能性もあるので、しくじらないように時機を待つほうが、大事のような気がする。

下手にいじくって永久に葬り去ることがないようにしたいものだ…。

ボルト連打など、もう最悪だ。

ーーーーーー

メインストリートの角地に位置している空き家があったとして、その利活用について、みんなで議論をしたとしても、その「空き家の所有者」が認めない限りはどんな企画も通らない。

(略)

自分たちのチームが所有者と話をつけやすいかどうか?が、事業の優先順位をつける際に重要になる。(略)

このように「所有権」と言う視点で、議論をロジカルに整理するだけでも、「そもそも自分たちには活用できないもの」を対象に妄想の議論をするという無駄な時間を省くことができる。

ーーーーーー

ということで、五木は、地権者の許可が出るまでは、どんな議論をしたとしても時間の無駄になるかもですね。



皆の行動原理が見えない

■自分を拠り所とせよ

という教訓なのかなぁ…結局。私は、15歳のころ、人生最大の失敗…熊本高校への進学…をしてしまい、それを取り戻そうと退学と高専への入り直しを大人に願い入れたことがあるのですが、聞き入れられず、その後30年以上苦悩することになりました…。大学は夜学へ進学し、経済的に長い間苦しみました…。

当時、経済的見通しが立たない進学校である熊本高校への進学は、単純に、”先生がうちの中学から出た”と言って嬉しいってだけ。大体、各中学から一人か二人しか合格しない学校なので…。

人生に必要な意思決定に、親や大人の優越感を満たすという”私の役割”が入っていて、不快でした。行為の結果は、私が刈り取るので、先生が誇らしいってだけのために、その後、何年も苦労しないといけなかったので…。(ちなみに逆に私が先生の立場ならそのような判断はしないでしょう…)

以後、人生の決定権を他者に委ねないようにと、自立率200%な感じで進んできていますが…。

クライミングの世界で確認していることは…特に九州に来て以来のことですが…、「困ったら、誰かを頼っていいんだよ」ではなく、「やっぱり自分が一番頼りになる」ってことのような???そんな気がしていますが…。

一般的には、自立率が200%みたいな超自立型の人は、本来は、”そうじゃないよ、頼っていいよ”というのが、教訓のハズなのですが。定型的には…。

■ 返さなくて良い親切

こないだ…車がパンクして、タイヤ交換をしてくれた路上の人にお礼をしようとしたら、受け取ってくれませんでした…。たしかに…。私も、”いいよ、いいよ”と言いそう…。

誰かが困っていて、自分が簡単に差し出せるスキルがあったら、喜んで差し出しますよね…。

私にとってクライミングを教えることやビレイは、そのようなものですが、そうじゃなくて高く売りつけたい人は、なんでそうなのかなぁ… ほとんど理解ができないのです。

故・吉田さんのビレイヤーをしていたころは、たくさんの、ツヨツヨクライマーに声を掛けたけど…そんなビックな人とは登れない、とか何とか言って、みんな協力するなんて毛頭無理、みたいな反応でした…。でも、登るグレードとビレイは関係ないですよねぇ。ビレイヤーがいないと登れないんだし…。

みんなの行動原理…皆を動かしている意図が私には理解できない…。私の意図と全く違い過ぎて、宇宙人とお話しするみたいになっている。

そこが問題なような気がしてきました。

■ 今日の名言 世阿弥の初心忘るべからず

クライミングも、ギュリッヒは、同じように、書いていますよね… あるグレードを登れる人は、そのグレードにおいて、初心者、中級者、熟達者と進むと…
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「是非の初心忘るべからず。」が説いているのは、「未熟だったときの芸も忘れることなく、判断基準として芸を向上させていかねばならない」ということ。
「時々の初心忘るべからず」は、「その年齢にふさわしい芸に挑むということは、その段階においては初心者であり、やはり未熟さ、つたなさがある。そのひとつひとつを忘れてはならない」ということ。
そして「老後の初心忘るべからず」は、「老年期になって初めて行う芸というものがあり、初心がある。年をとったからもういいとか、完成したとかいうことはない」ということ。
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