2020/01/06

JFAリボルト講習会 DAY1

■ JFAリボルト講習会

さて、出ていない人のために簡単に流れをまとめておきます。

1日目:座学 グージョンボルト打ち&ナット締め体験会、温泉後、夜座学 1H
2日目:壁への施工。 職人志望者以外は見学

です。

■ グージョンもしくはケミカル

岩場で見る様々な支点…見るのが初めてだと、どう評価して良いものか???分からないのが普通だと思います。

小川山は、ランナウトはしていますが、ボルトは比較的整備されている方と思いますし、色々な人がたくさん登って人体実験後なので、

 誰かが登って大丈夫だったボルト=自分も多分大丈夫なボルト

という経験則で、大体大丈夫系、ですが、それでも屋根岩2峰のセレクションの最終の懸垂終了点など、ハンガーがグルグルになっていたそうです。


リングボルト、ハーケン、オールアンカーぐらいは、さすがに誰でも見て、変だな、と思うと思いますが、ハンガーがかかっていて、ボルトで留めてあれば、”多分、だいじょうぶなんじゃないか”と思ってしまいます。
右がオールアンカー NG


ボルトであっても、全信頼はできないと言われていますが、

実際問題、ボルトの質が見分けられないと、

 どれも不安 vs どれも肯定

のどちらかしかできませんよね? 

したがって、正確に見極める目を持つことが、

 落ちる勇気への第一歩

です。落ちて安心ボルトという確信が必要です。

なんとなく肯定、というのは、根拠がない。根拠がない=リスクテイカーです。

■ ボルトであっても全信頼はできないとなると…

ペツルハンガーなのに異種金属の事例 右がステン
まずは、材質問題。

ペツルであっても、ケービング用で売られていたものは、鉄、アルミ、ステンレスの3種の異種金属で、ガルバニックコロージョンの問題があるそうです。


見た目、ペツルで、ですよ??? 

これはショックですね!










グージョン
■ ボルトタイプ

ボルトのタイプですが、

オールアンカー → NG
カットアンカー → NG
グージョン → OK







グージョン 頭の見た目

です。30年前に打たれたものは、今後全部打ち替え予備軍となっています。新規開拓であれば、グージョンという選択肢もあるかもしれませんが、打ち換えるなら、ケミカルになります。

■ サイズ

M8 → NG
M10 → たぶんOK
M12 → ほぼほぼOK

曖昧な書き方なのは、施工不良や経年劣化などのほかの問題もあるためです。

あくまでサイズ的に、良いと認められるのは、10ミリ以上のボルト、ということです。

あとはケミカルです。新規に打つのではなく、打ち替えとなったら、選択肢はケミカルです。理由は後述します。

■ グージョンボルト打ち体験&ナッツ締め体験

現在施工されているM10グージョンの良さは、後から、施工の良しあし、岩への効きをナッツを締めることで、感じることができる、チェックすることができる、ということだそうです。

10ミリのビットで 穴をまっすぐあけたら、Hiltiの手動エアブラシで、削りカスを丁寧に払います。このHiltiのエアポンプがリボルト職人検定を受けると、もれなくついてくるそうです。優れものグッズです。ブラシもついてくるそう…



参加者それぞれが1本づつ、ボルトを打ちます。

大事なことは、ハンガーとナットを通してから、ハンマーでたたくこと…

ハンガーの向きは後で調整可能です。

これをやる理由は、効いているかどうか、を締めることで確認できるのがグージョンだからです。

■ ケミカルもやります 

効きをたしかめたら、後は、打ち込んで、その打ち込み痕に、ケミカルで化粧してみます。

へらでそっと撫でるのがコツ。ケミカル剤は、劇薬ですので、特殊なグルーガンを使います。これもHilti。グルーがあちこちについたりしないような、細かな神経が必要。

空気に触れると固着始まりますので、まぁ家でアロンアルファしているときと同じで、用心が必要です。


■ リボルトのほうが大変

ゼロからの開拓より、リボルトのほうが実は大変…。

なぜなら、

 ・既存のボルトの撤去

 ・その穴を生かした絶妙なドリル使い

の2点が必要になるからです…(汗)

つまり、基準に満たないボルトを打ってくれるくらいなら、何も打たないほうがマシ…

という事態になっている。

同じ穴を使う場合、グージョン等の撤去の後はケミカルになります。

これは、現在考えられるベストチョイスのボルトがケミカルだから、という理由になります。別に堕落でもなんでもありません。

ケミカルも薬剤が何種類かあるそうですが、そこはリボルトする人以外必要なさそうな知識なので端折ります。

最大の問題は、強度不足、将来確実にガルバニックコロージョンを起こすこと確実のボルトを新たに打ち込むと、遠くない将来に二度手間、で環境にも、人にも悪いということです。

まさに安物買いの銭失い…

リボルトの場合、ケミカルが高いですが、結局はもっとも安くつく選択、ということです。