さて、出ていない人のために簡単に流れをまとめておきます。
1日目:座学 グージョンボルト打ち&ナット締め体験会、温泉後、夜座学 1H
2日目:壁への施工。 職人志望者以外は見学
です。
■ グージョンもしくはケミカル
岩場で見る様々な支点…見るのが初めてだと、どう評価して良いものか???分からないのが普通だと思います。
小川山は、ランナウトはしていますが、ボルトは比較的整備されている方と思いますし、色々な人がたくさん登って人体実験後なので、
誰かが登って大丈夫だったボルト=自分も多分大丈夫なボルト
という経験則で、大体大丈夫系、ですが、それでも屋根岩2峰のセレクションの最終の懸垂終了点など、ハンガーがグルグルになっていたそうです。
リングボルト、ハーケン、オールアンカーぐらいは、さすがに誰でも見て、変だな、と思うと思いますが、ハンガーがかかっていて、ボルトで留めてあれば、”多分、だいじょうぶなんじゃないか”と思ってしまいます。
右がオールアンカー NG |
ボルトであっても、全信頼はできないと言われていますが、
実際問題、ボルトの質が見分けられないと、
どれも不安 vs どれも肯定
のどちらかしかできませんよね?
したがって、正確に見極める目を持つことが、
落ちる勇気への第一歩
です。落ちて安心ボルトという確信が必要です。
なんとなく肯定、というのは、根拠がない。根拠がない=リスクテイカーです。
■ ボルトであっても全信頼はできないとなると…
ペツルハンガーなのに異種金属の事例 右がステン |
ペツルであっても、ケービング用で売られていたものは、鉄、アルミ、ステンレスの3種の異種金属で、ガルバニックコロージョンの問題があるそうです。
見た目、ペツルで、ですよ???
これはショックですね!
グージョン |
ボルトのタイプですが、
オールアンカー → NG
カットアンカー → NG
グージョン → OK
グージョン 頭の見た目 |
です。30年前に打たれたものは、今後全部打ち替え予備軍となっています。新規開拓であれば、グージョンという選択肢もあるかもしれませんが、打ち換えるなら、ケミカルになります。
■ サイズ
M8 → NG
M10 → たぶんOK
M12 → ほぼほぼOK
曖昧な書き方なのは、施工不良や経年劣化などのほかの問題もあるためです。
あくまでサイズ的に、良いと認められるのは、10ミリ以上のボルト、ということです。
あとはケミカルです。新規に打つのではなく、打ち替えとなったら、選択肢はケミカルです。理由は後述します。
■ グージョンボルト打ち体験&ナッツ締め体験
現在施工されているM10グージョンの良さは、後から、施工の良しあし、岩への効きをナッツを締めることで、感じることができる、チェックすることができる、ということだそうです。
10ミリのビットで 穴をまっすぐあけたら、Hiltiの手動エアブラシで、削りカスを丁寧に払います。このHiltiのエアポンプがリボルト職人検定を受けると、もれなくついてくるそうです。優れものグッズです。ブラシもついてくるそう…
大事なことは、ハンガーとナットを通してから、ハンマーでたたくこと…
ハンガーの向きは後で調整可能です。
これをやる理由は、効いているかどうか、を締めることで確認できるのがグージョンだからです。
■ ケミカルもやります
効きをたしかめたら、後は、打ち込んで、その打ち込み痕に、ケミカルで化粧してみます。
へらでそっと撫でるのがコツ。ケミカル剤は、劇薬ですので、特殊なグルーガンを使います。これもHilti。グルーがあちこちについたりしないような、細かな神経が必要。
空気に触れると固着始まりますので、まぁ家でアロンアルファしているときと同じで、用心が必要です。
■ リボルトのほうが大変
ゼロからの開拓より、リボルトのほうが実は大変…。
なぜなら、
・既存のボルトの撤去
・その穴を生かした絶妙なドリル使い
の2点が必要になるからです…(汗)
つまり、基準に満たないボルトを打ってくれるくらいなら、何も打たないほうがマシ…
という事態になっている。
同じ穴を使う場合、グージョン等の撤去の後はケミカルになります。
これは、現在考えられるベストチョイスのボルトがケミカルだから、という理由になります。別に堕落でもなんでもありません。
ケミカルも薬剤が何種類かあるそうですが、そこはリボルトする人以外必要なさそうな知識なので端折ります。
最大の問題は、強度不足、将来確実にガルバニックコロージョンを起こすこと確実のボルトを新たに打ち込むと、遠くない将来に二度手間、で環境にも、人にも悪いということです。
まさに安物買いの銭失い…
リボルトの場合、ケミカルが高いですが、結局はもっとも安くつく選択、ということです。