2021/06/05

詐欺的支点が出来てしまう歴史的経緯

 ■ 詐欺的支点 ボルトなのに危険

無雪期の本チャンルートに行くのに、強固で、落ちれる支点があることを期待して行く人はいない。

だから、ピトンが抜けようが、伸びたリングのリングボルトがあろうが、あるだけラッキーで、”あー、ここでルートファイあってたんだ~”と思うだけだ。

もちろん、残置ピトンは、使わないか、使っても、目印にするだけで、カムを一式持っていく。

私自身も乾徳山でそんなルートをしました。大先輩にフォローしてもらいました。

■ ボルトルート=スポートルート=落ちれるはず、なのに、落ちれない?

変、というのは、ボルトルートなのに、アルパイン、ってやつかもです…。ボルトを見れば、十分な強度があって落ちても大丈夫と、当然のように、100%の信頼をしているのがクライマー。特にフリークライミングしかしない、ジム上がりクライマー。

なのに、そのボルトが強度不足で、落ちれないんだって!ってなったら、詐欺ですよね。

それがピトンだったら、なんも問題ないけど…ピトンってリムーバブル、なんで。

だから、古いボルトで信頼ができないのだったら、抜いてしまえばいいんじゃないかと思うのですが…違うんでしょうか…。

最初からリムーバブルで登るのが、昨今のクリーンクライミングの流れなので。

グージョンが欲しいなら、お金を払えるようになったら、設置すればいいのでは…。

■ インスボンのこと

まぁ、インスボンもそんなルートではありますが…。

もともと、ボルトは、ピトンのステップアップだったからかもしれませんね。

そんなインスボンも、新しい時代の波に合わせて、ボルトは打ち足され、

 恐怖の大ランナウトを楽しむ岩場、から、

 花崗岩の快適なフリクションを楽しむ岩場

に変貌しつつあります。

大ランナウトを楽しみたい人は残念かもしれませんが…自分が楽しむだけだったら、ボルトを飛ばして登れば、問題なし…。

自分が味わった恐怖をほかの人にも味わってもらい、あれがリードできるんですね~すごいですね~と言ってもらえる、という喜びは、過去の遺物となるかもしれませんが… 

他者承認が得られなくなること と、死者が減ること を天秤にかけたら、やっぱり後者が社会の全体善に貢献するわけなので…。

■ 脳の仕組み

命がけでリードできるタイプの人は脳の仕組みがどこか通常人と違うのだそうです。

師匠の青木さんは、腰椎骨折でボルトが何十本も入っている大手術が必要な大事故の回復後でもインスボンリードできたし、その上、そのクライミングで再度墜落して、かかと骨折していましたが、それでもリード。もう、危険認知、という面で見るとスイッチがオフ状態だったのかも?ですが… そんな人でも、11とかいうショートではテンションですから。(時間が余ってショートもやった) 自分の限界はわきまえていました。

韓国人の人たちの話でも、インスボンでは登攀能力が高くてもリードする人としない人が分かれるのが当然という話でしたし… 韓国人と言えば、一般日本人が真っ青になる危険なクライミングスタイルの方たちです…アイスご一緒しましたが…1ピン目地面(笑)。なんじゃこりゃ?ってビレイです…。後ろに取るビレイヤーのセルフの代わりなのだそうです。

そんなんで、登っているアイスだから超危険ですが… 5級がず~っと続くという、やさしくて長ーい系アイスなので、落ちるわけない。ただ楽しいだけなのです。日本みたいに切り立っていて短い、という超危険アイスとはわけが違います。

 易しくて長い=安全管理はおろそかでも登れる

 短くて難しい=リスク管理をきちんとしないと即死亡事故

です。クライミングは地面に近いほど危険なんですよ?だから、高いほうが危険という一般人の誤解とは逆です。

そんなこんなで、私はアイス楽しいだけで、韓国のクライマーにも、上手に登るね~と言ってもらえた…ので、危険ビレイを見ても、自分に害が及ぶことがないなら、そんなに問題と思わないのです。

短くて難しい=危険、なのに、ボルト落ちれない系、だとやっぱり、ロシアンルーレットでしょう…。それはショートで落ちれないボルトって意味ですから… ショート=ラッペルで開拓されている岩場、ってことなので、そういう岩場では、基本的にはフリークライミングのルールに則ってボルトを打ってあるだろう、と想定されることになります。

がその想定と違うことが、事故多発を招いているとしたら、それは想定と違うことが誤りであるのではないかと思います。