2022/03/30

上級クライマーの世界観

■ その土地でできる最も良い活動を…

私のクライミングは、仕方なく行った山梨で

 山梨にいるかぎり、それが山梨という土地柄をもっとも楽しめる活動だから、やってる、

っていう風に位置付けていました…ので、土地が変わったら

 福岡では福岡でしかできない楽しい生活

を見出す気でいました…。

■ 運命に導かれて九州の事情を知ることになった

なので、最初の一年は、特にクライミングは頑張っておらず。師匠に遭いに長野まで出かけたりしていました。小川山で皆さんお久しぶりねクライミングなどをしていました。クライミングは年に一回のご褒美でいいか、と思っていたのです。

しかし、どういう運命の流れか、前の会の先輩が引っ越してきた。ので、2年目と3年めに岩場巡りをすることになりました。

そもそもクライミングをしないなら、しないでもいいか、ということだったので、特に登りたい!落としたい!みたいな課題があるわけでもなく、岩場にトポが置いてあったり、結び替えしないでロープ直がけがローカルルールだと言われたり、岩に人工ホールドが付けてあったり…と色々と小川山と違い、お目目まん丸…ということで、”JFAが見たら卒倒するね~”とか言い合っていました。

九州の事情が分かるようになったけど… 

 一体、それは何のため?

■ 意味は作るもの…

私は、意味とは自ら作るもの、と思っているので、色々と努力はしてみました。

八女、八面、長崎大村、色々と働きかけをしてみましたが、どこの岩場も動きが出て、良かった…と思います。

元JFAの井上さんも来てくれて、正しいボルトの解説を若い人にしてくれたし…。

あれは、ホントにうれしかった。

外岩クライマーのためのボルト知識:https://docs.google.com/presentation/d/1U9wQmwuxk38fPiqBEebrRldWjNLj3wlh3kpgE-jLmKY/edit

■ 時差が…

が、頂いた縁を次に繋ぐ人がなかなか現れず…。すごく困っていました…。

ほんとにどういう風に、頂いた貴重な縁を

 意味あるもの、

にしていくと良いのやら…と、途方に暮れていました。

今回、なんとなく繋がれたというか、私の目指したい方向性と同意してくれるクライマーがいたので、ホントにうれしかった。

■ 上級クライマーの世界観

九州では、私だけが分かっていて、みんなが分かっていない、ある種の側面がありました…。それをとりあえず、

 ”上級クライマーの世界観”

と呼んでおこうかと思います。

私はラッキーなことに、最初から、上級クライマーの世界観に接して登れたのだと思います。

■ 事例

山梨では、ジムのお兄さん、が、室井登喜男さんでした。ある時、5級の課題の中でどうしても私が登れないのがあり、相談したらあっけなくスタンスになっているフットホールドを捨て、好きなの使っていいよ、と言われました。あ、なんだ、そもそも届かなければ無理って話、とすぐに分かった。絶対に同じのを使わない限りダメとか、そういうのがないのです。九州の人は、ジムのセット=神のように絶対、と思っていると思います。

クラックは菊池さんと故・吉田さんの講習に行っています。菊池さんは、元々は講習生が結び替えができないと怒鳴って怒るくらいの怖い先生だと聞いていたので、行く前に結び替え練習をバッチリしてから行きましたが…山梨では、もともと公営の人工壁の使用者試験に結び替えが含まれているので、出来ない人はいないです… 一方こちらでは、結び替えを分かっている人のほうが少ないくらいな様子です…知らないのが当然視されている。

故・吉田さんは、歴史に残るクライマーです。特に何を教わったかな?という感じではありますが、講習に使った、クラックボルダーにはロープが掛けてあり、ボルダーだからマット、みたいな自動思考はなかったので、最初から、思い込み、という害がない状態でした。

こちらでは、ボルダーでロープ出していると非常識人扱いされそうです。

■ 九州でのアニキは、田嶋一平さんですよ

そういう”恩恵”に普通のクライマーは、浴してこなかっただけなのではないか?とは、思いますが…九州ではホントに嫌な思いばかりが続きました…。もう嫌…って感じ。

私は岩場に行く前から、当然ですが、懸垂下降できましたが、懸垂だって、自分の意思で学ぼうと思って講習会に行き、なにもせずに、棚ぼたで降ってきて、ラッキーなだけの奴みたいな扱いをされることは、不当だと感じました。

初心者のころから仲間を集めて講習会を開くような人でした。

今まで、こちらに来てから、私の教えた新人さんで、私が新人時代に持っていた情熱を持っている人は、いまだに見たことがなく、むしろ、ギアを無心したり、そんな人のほうが多かったです…。

登るほうは、私は年齢や筋力の不利があるので、すごいものは登れませんし。(そもそも登りたいと思ったことがないが…)

海外に行ったのも、自分に必要なものは、これだ!とひらめいたからであり、”誰かに連れて行ってもらった”ことはありません。一回目のラオスから集合は、”現地集合”です。

どうも九州の人の場合は、何か特別なラッキーガールと思われていませんか?

■ 誰でも気軽にクライミングに接する世界

クライミングをスタートしてから、ずっと気にかかる嫌な面がありました。

クライミングしている人の優越感、一般のハイカーや登山者を馬鹿にする傾向…です。

クライミングは、たかだか、”遊び” です。

例えば、ポーカーが上手でも、それで人間が優れていることにはならないですよね。

熊本高校は、熊本県のトップ高校ですが、勉強ができることは優れた人間である、ということにはならない、とちゃんと学生に教えていたと思います。

なんで、低いレベルで、競い合いになるんだか…。

海外に登りに行って、海外のクライマーと登っていたら、そんなアホなこだわりを持っている人は、ほとんどいませんでした。競争社会、というのは、むしろ西洋の方が強いのではないか?と思われるにも関わらず…。

北海道で登っていたアメリカ人のクライマーのトニーなんて、私が嫌がっているのに登らされているのを見て、助けに来てくれたくらいです…

あるいは、台湾で一緒にマルチに登ったタオは、セカンドしてくれる?という聞き方でした…

ラオスで一緒に登った唯一の日本人のヒロさんは、私が6Aでテンションしてしまって、「すいません!!」というと、「おれらも延々同じことしているだけよ」という返事でした。

はあ~?これくらい登れよ!みたいな人はいない…。

なんせ、クライミングなんて、接している時間の長さだけの話なのです。若い時に接すれば、誰だって上手になってしまいます。

そんな程度のことなので、楽しく登ったほうが誰にとっても良いのです。

やっとそれを理解しているクライマーで、トップレベルの人がいました…。

私がもらってどうしよう…と思っているご縁をつなぐことができ、なんだか肩の荷が下りました…。

■ クライミングカースト 間違った技術も正すことができない

日本人は文化的に上位下達なので、(女性)×(小さい)という、クライミングカーストの最下層に属している私が、何を指摘しても、若い男子はスルーです…。

山梨にいたころの山岳会で、クライミングの下手くそなワタシより登れない男子が、とんでもなく遠く離れたビレイをしたので、危険だと指摘しても、そして、その指摘を周囲の複数の人がバックアップしたとしても、その指摘を受け入れないくらい、クライミングカースト上位の ”若い男性” の ”おごり” は、強大です…。 

その点は、師匠の鈴木さんも、青木さんも分かっていたようでした…。40年、50年と登っている師匠らですら、もはや11以下しか登れないため、クライミングカーストの下位に属しているので、自分より登れないような若い男性ですら、俺の言うこと聞かない、という経験が豊富だったようです。

そういう状況だからこそ、師匠らが私と登りたい、というほうが正しかったかもしれません…

■ トップクライマーになれば王様になれる? なれません

登れさえすれば、どんな横暴でも許され、みんなから人気の自分になれる…あるいは、誰からも尊敬される…注目の的になれる…そんなことは、ありません。

トップクライマーに聞いてみれば、そんな夢物語は、発生しないことが分かります。

トップレベルの人ほど、責任は重く、発言に非常に気を使い、誰のことをも馬鹿にしない発言をしなくてはならなくなります。手足を縛られるようなもので、自由に発言できることはより少なくなる。

菊池さんや中根さんなど厳しいことを言ってくれるクライマーは、評判を気にせず、発言してくれているということで、ありがたい存在です。

存在しない青い鳥を求めて高難度を登ろうと、お買い得課題を探すより、一般レベルの人は、エゴの声を手放して、みなで楽しく登る世界を作るほうが、どれだけ素晴らしいか、と思います。

そういう世界が、ラオスにはありましたし、龍洞で私が一緒に登った人たちも同様でした。

この緑のシャツの子は、フランスのセユーズ出身ですが、初心者でまだ私より登れない人でしたが、だからどうってことはない世界でした。左からフランス人、シンガポール人、アメリカ人で、誰が登れるか?競争している人はいなかったように思います。誰かがリードした後は、それをトップロープで登りたい人がいないか?聞いてからロープ抜くだけの話でした。

■参考

福岡時代の全記録 https://allnevery.blogspot.com/p/log-2019.html

ラオスのベストクライム https://allnevery.blogspot.com/2018/03/b.html

オスカーとトニーの思い出 https://allnevery.blogspot.com/2018/03/blog-post_19.html

台湾の思い出 https://allnevery.blogspot.com/2018/10/12.html

すべてのスタート https://allnevery.blogspot.com/2016/04/blog-post_25.html

アイス 伊藤さんとの初クライム https://iceclmb.blogspot.com/2017/03/blog-post_50.html

https://iceclmb.blogspot.com/2017/03/blog-post_17.html