■ 初心者ルートのボルト整備 事例:赤岳主稜
良い点
・さながら、ヒマラヤの氷雪壁のよう
・技術的には簡単
・周囲に誰もおらず、初登気分が味わえる
・楽しい冬のクライミング
悪い点
・ルートのいたるところにボルト
・簡単にナチュラルプロテクションが取れるところでボルト
・頼りない露岩にボルト
結論:本当の魅力をダメにしている。
本当の魅力: 自分自身の力でラインを見出し、プロテクションを取ることの重要性と面白さを伝えるべき
■ 残すべきルート 例:ヨセミテ ミドルカシードラル
・気楽にオンサイトトライできる(5.11d)と思ったら、跳ね返された
・グラウンドアップ開拓 = 魂とセンス
・再登者はほとんどいないが、ボルトが打ち換えられていた
・クライマーの確固たる哲学と信念
■ 何を残し、何を捨てていくか… 事例:錫杖
1)残すべきルート
ロケーション、ムーブ、緊張感、どれをとっても素晴らしい
2)捨てるべきルート
ボルト連打の単調なアブミ架け替え リングボルトを残すと事故になる事例
3)捨てるべきルート
無理やり割り込んで開拓した、一部に危ういエイドを強いられる緊張感の高いルート
価値観: フリーで登れるのなら、それが最も良いスタイル。
価値観:自分自身が登ったルートが消滅したとしても、岩場全体が良い方向に向かっているのだとしたらそれで構わない。自分が納得がいくスタイルで登った事実は消滅しない。
価値観:良かれと思った行動が数十年を経て間違っていたと気が付くこともある
打ったボルト跡も 本人の思いが伝われば受け入れられる。
残すべきとされたフリールートにしても、将来ボルトレスで登られるのであれば、その議論が生まれてしかるべきである。
■ まとめ
この文章は、ルートの再整備とクライミングエシック(スタイル)について議論しています。
赤岳主稜の良い点と悪い点について述べられ、ボルト整備の過剰さがルートの魅力を損ねていると指摘されています。
ヨセミテのミドルカシードラルでは、グラウンドアップ開拓の精神や再登者の少なさ、ボルトの状況について語られています。
最後に、錫杖を例に挙げて、残すべきルートと捨てるべきルートについて考察され、フリークライミング(エイドではなく)で登ることの重要性や登山の哲学について述べられています。
結論として、ボルト整備や登山スタイルの選択には個々の価値観が関わることが強調されています。
■ 感想
開拓は簡単でやりっぱなしでいいけど、再整備には円熟したクライマーの高度な洞察力とクライミング界の歴史の流れについての体験知に基づく経験が必要。しかるにルートの再整備ができるクライマーは、
・クライミングに対する深い理解と経験に基づく、ルートに対する高度な審美眼
・クライミング史を生きた生の経験値に基づく、倫理観や哲学に関する洞察力
・世界的ルートを含めて登ってきた広い見地
・コミュニケーション能力
の4点が必要で、これらを備えた人材は、非常に限られてくることであろう。そういった人材を今後育成していくことを考えないといけない。
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誰でも登れる山から見た槍 とってもきれいでした☆ 11月最終週がおすすめです