■アルパインクライミングは支点を自作するクライミングですよ
これは、ふとした調子で出てきたある方の以前のコメントですが、
山岳地帯での本チャンクライミング(=雪のないアルパインクライミング)とフリークライミング、ボルトのあるスポートクライミングの混同
が、指導者クラスであっても、九州ではあるのではないか?と思います。
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核心部は抜けて、あと2ピッチで稜線というところで、「大岩溝」という所があります。相方の二人が恐いというのでその左にあった古い人工ルートを探って見ました。20mくらい登ったら、ボルトも無くなり、無理だと思い、クライムダウンしていて古いリングボルトに体重をかけた時ボルトが抜けました。その下の2本も抜けて、20mくらい落ちて止まりました。
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これは、ずいぶん昔に起こったことらしいのですが…10年以上前と思いますが、それでも
リングボルトに足を掛ける=問題外の行為 ではないのだろうか?と思います。
■アルパインでは支点を信用しない
私も山岳総合センターで、山登りの延長線としてのクライミングを教わりましたが、最初に教わった支点は、スノーボラート。その次が立木とかです。つまり、100%信頼するってできない。とくに朽ちたリングボルトやハーケンの類は、信用してはならないもの、として最初に教わるもののように思います。
私も初級の無雪期アルパインルートには行っていますが、支点を信頼したことはないです。アルパインでのロープは墜落からクライマーを守るためのロープというより、死体が迷子にならないためのロープです。
一度でも、前穂北尾根などに行けば意味が分かると思います。墜落したら、どこに落ちたのか、見つけられないようなのが山岳地帯での本チャンルートです。
■アルパインでどれほど支点を信頼しないか?というと??
三つ峠などのアルパインの本チャンに行くためにゲレンデでは、猫の頭ほどもある、懸垂支点がありますが、そんな支点ですら信頼すると怒られるくらいです。
■ 支点用ギアを持って出るのが普通ですよ
現代の無雪期のアルパインクライミングで、自分で支点を作ろうと、スリングやハーケン、あるいはカムなどを持って行かない人も稀です。
そもそも、そのような人には、フォローができないはずです。最初から残置を期待していくというのは、しないのが山岳地帯のクライミングの建前です。
もちろん、昨今は情報が充溢しているために、人気ルートでは、残置の存在があらかじめ分かってしまったりもしますが、それでも、一応は用意していくのがマナーというものでしょう。沢登りですら、ハーケンとハンマーは持っていくのが当然です。
その前提が崩れているのが、古いリングボルトに足を掛ける、という行為をしている時点で、見受けられます…。
■ マルチピッチが人気と言っても
マルチピッチというのは、複数ピッチ数があるというだけの意味ですので、マルチピッチと言う言葉でルートの性格を表せるわけではありません。
ルートは固有のそれぞれの性格があります。乾徳山旗立岩は、本州の本チャンクライマーのデビュー戦では定番ですが、ハーケンしかないです。つまり、全く支点に関する信頼性ゼロです。それで、登れないようでは、そのルートに行く資格がないということです。
そのようなルートもあれば、フリークライミングの対象として、ボルトが打たれたスポートのルートもありますが、これはボルトがあるだけに、安全であると勘違いされやすいです。
ボルトがあったとしても、どのような内容のボルトなのか?が昨今は問題です。さらに言えば、ランナウトの問題があります。
もっともよいスタイルは、クリーンクライミングができるルート、つまりクラックルートだと思います。残置を期待することなく、自分で、安全度合いの大小を自分でコントロールすることができます。
■ 事故から学ぶ
大事なことは事故から学ぶことだと思います。
登山という遊びは失敗の反省から始まります… 失敗をやってから、それでも、不味い支点を使い続けるというのでは、失敗から学んでいないと結論せざるを得ません。