2018/04/17

比叡&雌鉾岳

■ サボり?ゆとり?調べないで行く?

比叡&雌鉾岳は、初めて行く岩場でした。

1)トポだけを頼りに、
2)自分たちの調べられる範囲の情報だけで、なんとかする、いうタイプの山で、
3)登攀が含まれる山

は、私にとって、北アの明神主稜以来です。乾徳山旗立岩もか。しかし、なぜか、今回は、不安なく、ルンルン気分で、行きました。

…というのは、

1)相手が知っている人で、
2)自分より登攀力2、3ランクくらい上
3)ロープワークや下降、読図、運転などは、私がフォローできそう(私の意見を無視しない)
4)ちょっとしたミス(試行錯誤という)に、イライラしない、おおらかな性格の人、不安がるタイプではない

と分かっていたからです。実は、情報が乏しく、

・ニードル左稜線は人気があるが、フリークライマーに人気があるのであって、アルパインの人は、第一スラブとかだし、もしかしてトポに表れているよりグレードが辛いのでは???
・庵・鹿川の人と連絡がが取れず、場所も不明で、辿りつけるか?不安
・トポに下降が詳しく書いて無く、岩の3Dの姿が理解しづらく、下降(敗退)に不安
・トポのグレード感で、登れると思ったところを登っても、いいのか?

でした。

岩の登りも、山も、

 未知の部分

を自分たちの力で解決するのが楽しいのに、未知の部分を異様に怖がる人だと、何もかも、予定通りでなければ、精神的に動揺したりします。私はそういう人と行くと、未知の部分を楽しめないので嫌なのです。最低限、自分の身を守るスキル、ビバークとか、衣類とか、懸垂下降とか、ちゃんと携帯電話を持つとか、そういうことを達成したら、あとは、あまり調べこまず、未知の部分を楽しみたいなと思います。

が、これは、加減が難しく、全く何もかも相手にお任せ、の人と一緒だと、”何とかしてあげないといけない側”になってしまうし、”なんとかしてよオーラ”を出す人もいます。

それどころか、”どうしてくれるのさオーラ”を出す人もいるので、そういう人とだと、あまりにも、計画通りの山しかできないことになる…。

今回は、あまりベータを調べずに行って、その結果、分かったことは

《ニードル左岩稜》

・ニードルは超風強い。そのため声も聞こえない。すごく寒い!ウィンドブレーカー必携!
・下降は下降点が不明瞭。不安があったので、同ルート下降とほぼ同じサマーホリデー側から下降したら、ブッシュが多く苦労して、下降にだいぶ時間がかかった。
・ここはフリーでフェイスの相当のスキルがないと、リードは厳しい。突破力が必要なところが、登り始めなど、落ちれないところにある。
・ダブルじゃなくてシングルでもいいのかも。

《大長征ルート》
・ルートが錯綜して分かりづらいと思ったが、その通り
・スラブはインスボンよりもノーピン区間が長い
・登攀終了してから、一の坊主と二の坊主の隙間までのトラバースは2級だが、ザイルは必要、どこか支点にロープを通してさえいれば、簡易的なビレイ、グリップ程度で良いのでは? 屈曲が多くロープが流れない。
・隙間で、最後に短いハンドサイズのクラックが出てきてトップアウト 体感5.9
・下降は登山道だが、登山道がまた分かりづらい。薄い踏み痕が多い、荒れた登山道で、数回、獣道へ。
・ダブルが良いと思う。弱点を突くクライミング
・大滝左ルートの最初の5.6も5.7も、ショートの5.9は、最低ある感じで、かなりピンが遠い。出だしが核心で落ちれない。

■あってよかった自らを助ける技術

今回は、あってよかったロープワーク技術&総合力って感じ!!

・ニードルでコールが聞こえず、ロープアップもされず、ロープも動かないので、しびれを切らせて、登攀。とはいえ、そのまま上るわけにはいかないので、自己確保をロープクランプでとりながら、ニードル最終ピッチをセカンドで上がる。上がったら、やっぱり聞こえていなかった。たるんで余ったロープは、ループに巻いて回収しながら登攀したので、登攀がグレーディングより難しくなった。
・ニードルのてっぺんでの懸垂で、寒かったので、ロープワークが雑に。結局、きちんとたたんだほうが早かったと理解。
・ニードル終了し、正面壁へ最終ピッチの出だしは、フリーで超えられず、3回落ちたので、あきらめて、エイド。エイドもスリングで鐙を出すだけだと無理で、プルージック登攀も併用。あってよかった登り返し技術。ここは、デシマル変換で、5.7ならリードできるんじゃないか?などと、甘く見ていたところでしたが、一目みて、無理と思いました。フットスタンスの位置がどうみても、5.7レベルじゃない。ぬんちゃくはセカンドだったので、もっていなかったので、スリングで切り抜けました。こんな登攀をしたのは、初めて連れて行ってもらった小川山のクラックで登れずエイドに切り替えたとき以来…  屈辱(笑)?

雌鉾岳
・一般ルートの地図を持っていくべきでした。ゲレンデ感覚で、下降も明瞭だと思って調べずに行ったので、なんとなく歩いていると、薄い踏み後に導かれ、ルートを外すこと数回。毎回すぐに気がついて補正しました。山歩きの経験値のたまもの。
・一枚岩のスラブが素晴らしく、ほんとにインスボンみたいでした。登攀はインスボンより、若干易しかったと思う。クラックはほとんどなく、スラブのみ。スモールカムで支点構築したことが2回ありました。
・インスボンよりもランナウトはひどい

どちらも、適度なスレスレ感があり、楽しめた。ニードルの登攀は、アップアップ感がありました…(汗)最近アップアップ感があることよりも、確実感で登っていたので、久しぶりのアップアップ感でした…。

成長を実感する山で、なおかつ、山が素晴らしくきれいで、アケボノツツジ、ミツバツツジなど、お花がいっぱい。新緑が美しく、素晴らしい場所でした。

どこかに泊りこんで登攀三昧でもいいな、という感じ。


2018/04/09

5.10a オンサイトへ移行中

初夢 撮ってもらえてありがたい!
■ 5.10a オンサイト2個

昨日は2度目の日向神でした♪

■ 成績

愛のエリア
 夢中歩行 5.9 再登 MOS
 初夢 5.10a  OS

道端エリア
 スラブ 君のために 5.9 OS
     ルネッサンス 5.10b 3トライ 完登ならず
    
手前の壁 ビギナーズラック 5.10a MOS
               となりの新しい5.10b OS

ということで、なんか充実した♪

最初の初夢は、指がかじかんで大変でした…しかも、1ピン目遠い。

しかし、オンサイトはうれしいです。


愛のエリアは、この日寒かったので、2本で、そうそうに、暖かいとうわさの道端エリアへ移動しました。

道端のほうは、日が照って暑いくらいで、ウエアを脱ぐ… イチゴのような花がかわいかったです。スラブで5.9を登ったら、まぁ特に問題がなかったので、となりのルネッサンスへ… うーん。ワンムーブが出ない…。これは靴の問題もありそうでした。立ちこみに向いた靴とそうでないのがあり、今日は緩いアルパイン用しか持ってきていない。

■ 城乃井温泉 赤ちゃんの頃のデジャブー Hot Spring 250Yen!



私は菊池生まれ。(とはいっても、3つまでしかいない)

せっかく、その菊池へ行くというので、何か、アクティビティを足そう、ということで、菊池水源を訪れること、近所のおいしいお店、温泉、柚餅子、神社を訪ねる、などを考えた。

しかし、土曜日は、非常に寒く、また家事も、はかどっていたので、家を出るのがおっくうに…。

というので、出発が遅かったため、肝心のアクティビティをする時間はなく、用事であった、呼ばれていた会の総会出席になった。

が、いつもの習慣で早朝に起床。かつて、鹿島槍鎌尾根の時に、温泉は10時くらいからしか営業していないと思って、山で開店を待っていたら、実は7時営業の温泉もあった。

そんなこともあるので、ちょっとグーグルしたら、すぐにヒットした。

ので、そそくさと温泉へ。

いきしなにセブンで朝食ゲット。おにぎりが売っておらず、しかたないので、サンドイッチ。

7:00に城乃井温泉についたら、なんかデジャブー…。

どうも、赤ちゃんの頃に入った温泉のようだ。菊池神社に続く表参道に見覚えがある…。

入ってみると、温泉だけれども、生活感があり、銭湯と言ってもいい、地元密着感があった。数人がすでに入浴中だった。

入浴料も250円と安く、温泉は組み放題。菊池神社を散策もできるので、おすすめ。

ただ温泉水を組んだ容器が、紫外線で劣化していたらしく、持ち帰りの衝撃で、壊れてしまった… いつも入れている、タブバケツがあってセーフ…。

優れモノを持ち歩いていてよかった。

タブバケツは、冬は凍ったロープを入れるのに、ないと車がびしょびしょになってしまうし、無雪期はクライングのガチャ入れになっている(笑)






■ くねくねロードに辟易

いい気分で朝風呂の後、8時出発で、日向神へ。ナビに従い、ひどい目にあった。

堰堤の上を走るとは驚き
新しくできた道ではなく、どうみても峠越えの1車線の道を自信たっぷりに案内するカーナビ…。

以前、金峰山に行くのに、観音峠越えを強要されたことを思い出す…。登山口についた時点で、吐きそうだったのだった…。

落石注意なんて看板がある道を走るはずがないのだ。

とはいえ、無事についたが…

雰囲気は、奥秩父の一ノ瀬のようだった。人が去った山村という感じ。


けほぎ岩


たしか、甲府幕岩に行くときも、狭い林道に案内され、悲惨な経験を…(笑)。

よみがえる思い出…しかし、まぁ行けるところまで行くことに。

どうも取水地があるようで、水汲みの人が来ていた。空の容器がもうないので、スルー。今思えば、一口で言いから飲んでおけばよかった。水容器は複数必要。(焼酎の入っていた4リットル入りの取っ手付き容器が一番使いやすい)

調べてみるとカヌーが良い場所のようだ。

■ 八女祭り … 思わぬラッキーで三等賞

無事、日向神ダムへ着くと、なにやらお祭りのようで、トイレ休憩に入りたい、道の駅で、草餅や手作りのお漬物などを買う。漬物は、こうしたところ以外では、添加物満載すぎて買えないからだ。

ヨモギ餅は出来立てで、今丸めているところだった(笑)。

抽選権をくれ、三等賞を当ててしまう(笑)。わるいなー。ブルーベリーの苗木だった。

■ 基山PA

岩場では、無事、楽しくクライミング。

今回は、知っている人とだったため、量的にも質的にも、脳内クライミングパズルスイッチがオンになった。

帰りに、JAで野菜を少し買う。

こういうところで買っておかないと、福岡市内に戻ると、なかなか野菜が手に入りづらい。

高速に入ると、運転が退屈なのもあり、急激に眠気が襲ってきた…。あきらめて基山パーキングへ入る。

そういえば、今日は、血糖値が乱降下しやすいものばかりを食べたからなぁ…と思いつつ、また、コーヒー100円と梅が枝餅120円を食べてしまう。

基山PAは、九州各県の扇のかなめであるためか、各県のお土産が取り揃えてあった上、韓国語の記述がいっぱいあった。

韓国の人を案内するのによさそう、と思ったら、女の子二人グループが韓国語…。

どこから来たのかしら?と見やると大型観光バスが…。観光業界は、韓国人ツアーで荒稼ぎ中なんだよな~
 
あとは、渋滞につかまりつつも、7時ごろ帰宅。2時間ということで、まぁ小川山と変わらないかなぁという感じだ。

楽しく登り、充実した。今日は広背筋が筋肉痛で痛い。

・城乃井温泉 
・基山PA
・道の駅八女
・鯛生金山 中津江村 http://taiokinzan.jp/
・カヌー&カヤック http://gonature.jp/index.html

  

2018/04/01

アイスはワルツ

アイスは私が一番好きなクライミングなのですが…理由は、リーチ以外にもあります。

アイスのムーブって、1軸の体軸と2軸を使い分けなんです。

2軸だとスラブとかと同じです。1軸だと側体でツイスト。で、これは、バレエのワルツ(1軸)と、日本のナンバ歩行(2軸)と同じと思うんです。

岩のクライミングでは、音があまりしないので、音を気にすることが少ないと思いますが、アイスでは音が聞こえます。

イチニッサン、ニーニッサンっていうのが、アイスの登り方…怖いところでは、これに加え、アックス2点で、足を閉じる閉じる開く開く、です。

音がある、というので、バレエの時の感覚が生かせ、アイスがより楽に・・・ アイスがワルツと一緒だ!と理解した瞬間は、感動モノでした。

ワルツステップは、バレエでも、インサイドフラッギングとアウトサイドフラッギングがあるくらい、です(笑) アイスでインサイドを使うことはめったにないと思いますが…

考えてみると、アイスが進化したと言えるドライツーリングでは、インサイドフラッギングの進化系がフィギュア4なのではないか?と思いますが、どうなのでしょう???

2018/03/24

ひさしぶりにジム壁

■ ジム

今日は久しぶりにクライミングジムへ… 

フリーに強くなる、ためには、ジムが近道というのは、分かるのですが、なかなか触りたい気分になれないジム壁…何しろ、人工ホールドと外の岩場では、雰囲気が違いすぎて、共通点が見つけられない…

でも、今日は、行って良かったです。友人が店長をしていて、楽しく近況報告して過ごせました。ジムの課題も、楽しく登れました。

分かったこと…疲れてくると、頭が働かなくなり、ムーブが出なくなること。

初心者のころ、トラバースばかりを何度もやっていたのは、良かったってこと。持久力系トレーニングです。

今は、リード練習が必要で、私に必要なのはズバリ、自信、みたいでした。

アクシオンの壁とジム壁では、別人みたいに動きが良いのだそうで、それは、やはり恐怖心の有無が、ムーブに影響しているのだろうと。

それを思うと、私の恐怖心を払しょくさせてくれるラオスの岩場はすごい!

クライマーズサンド
人工壁はラオスよりも、ピンが近いはずですが、やっぱり怖い。のは、なんでだろうか?かぶっているから?というのは、ラオスもかぶっているので、あんまり当たらないはずなんだけど…

とりあえず、今日は楽しく登れてよかった☆ 

クライミングが好きだということが理解できた。

私のクライミングの優先順位は

本チャンルート>アイス>マルチ>クラック>スポーツ>ボルダー>インドアジム

です…


日向神

 連れて行ってもらったのに、記録をまとめていませんでした。反省。

初の日向神です。

夢中歩行 5.9 最初にヌンチャクをかけてもらって、オンサイト。そのあと、マスターでオンサイト。

■ グレーディング感

土地が変わるとグレーディング感が変わるのだそうです…

一般に、都会から離れると、グレーディングは辛くなるそうです(笑)

”辛い”、というのは、同じ5.10Aでも、難しくなるということ。

グレーディングというのは、そもそも、自分のスキルに適した課題を登るための目安として使うモノなのですが、”辛い・甘い”があると、思わぬ痛い目に(笑)?!

5.9だと思って取り付いたら、すっごい難しかった… などという羽目に陥ることもある。

というのが、土地が変わるリスク…

実際、私も、ラオスに行く前に、石灰岩の奥多摩の岩場いったんですが、5.8が怖くてリードできなかったんですよね…

岩の質も磨かれて、鏡のようにピカピカだったという… ラオスでは、今年は初の6Bオンサイトだったのになぁ… 岩場は不思議です。

今回は、真ん中にあるルートがきちんとマスターで、登れてよかった♪

■ 5.10b は、難しい

その後、近所の「狸のモモ子」や「本命チョコ」へ行ったのだが、なかなか厳しい…。

こ、これは…ワンランク上のムーブの切れ、的なものが必要と理解・・・。

なんだか、ムーブ的に、5級の壁を越えた先にありそうです。(5級はボルダリンググレードの5級、今、そこで詰まっているので…)

ボルダリング5級は、急にそこから難しくなる、というグレードです。 

■ 5級って?どんなスキル?

以前、ピラニアに通っていたころ、5級は、パワーで登る男子も、これ以上はパワーを頼りにできない、というグレードのように思いました。

9級とか8級とか、誰でも初日で登れるグレード。それでも、女性だとかぶりは、結構、正対しか知らない時期だと、ええ~?!となります。が、男子はたいてい平気。腕力で、さしたる努力もなく登れる。

ので、7~6級くらいも、同様に押し切る人もいます。クライミングはパワーだ!とおもうんですよね…そのころは。

女性だと、7-6級でも、ムーブを使わないと全課題制覇は、ないかも?背の高さにもよりますが…指力もないしね。 私は、このグレードをほぼ網羅的に登れるようになり、ムーブも分解して、2通りくらいは登れるようになったあたりで、5級は、登れる課題と、まったくダメ課題とに分かれる感じでした。

これは、以前、属していた山岳会の女性の先輩が、久しぶりにジムで会って、登っていたグレードと同じだったので、自転車に乗れるようになった系の、ひと段落したスキル、のようでした。

これより上に行かないと、まぁクライマーと呼ぶにはおこがましいだろうな。入門者時代が終わって、初級者クラスになったという段階で、まだまだ先がありそうです。

■ 一番多い人口

デシマルグレードだと、私は、5.9はオンサイトでき、5.10bRP、最近初めてオンサイト、というレベル。

5.9~5.10Aというグレードが、アメリカのクライミング雑誌、Climbingによると、クライマー人口の中で、最も多いグレードでした。

取り立ててトレーニングに血眼にならずに、楽しんで登る、というタイプのファンクライマーは、おおよそ、このぐらいのグレードに落ち着くのではないか?と思います。

ラオスでは、大体6Aは登れたので、一般的なファンクライマー人口の、ど真ん中?くらいに位置している実力ではないか?と。

■ さらなる精進が…

というわけで、なんとか平均値まで来たので、これから先は、またまた更なる精進が必要な時期に突入です…

去年、2017年は、ジムは全くクライミングできなかったのですが…、遠征で楽しんで、登れた。

■ 遠征

遠征は、カンフル剤ですね~ほんとに。遠征だと、毎日その期間は登るので、とっても上達します☆

クライミングは何といっても、二日目が良く登れますから・・・

遠征ばかりで、やりくりしたい・・・・というのが本音…でも、ジムにも行かないと、ここより上に行くのは、なかなか身体能力を上げる意味で難しいだろうなぁ。

身体能力って、毎日取り組むことで上がること、だからです。

■ おまけ

気候面では最高のコンディションだった♪

夢広がる景色を見て、帰ってきました。

楽しみながら、取り組むことが大事。

この日はプチ国際交流もできてよかった♪



スーの思い出 初の6Bオンサイト

スーは、スーザンの略称です。スーは、イギリス人のおばちゃんクライマーさんでした。欧米の伝統的なお人形、ラグ人形のアンを思わせるカーリーヘアのスーは、とても内向的で、静かな方でした。アメリカの人みたいに騒々しくない。それが、とってもイギリス人らしいな、という気がしました。

何歳になっても、まだ上達したいと望んでいる、I still want to get better... という言葉が印象的でした。背中は丸まって、完全にクライマー体形…というか、行き過ぎ感あり、でした。

彼女と登った6Bが、私のラオスでの、ベストクライム、でした。

Cannyonに行く、というのは、私の提案でした。前夜、夕食を食べているときに、オスカーが、じゃあ、みんなで一緒に明日はクライミングに行こう、と言ったとき、私が提案したのです。

Cannyonは、去年トニーと行き、11くらいから10代、9アンダーまで、幅広いグレードがあるエリアだから、グレードがまちまちな混成部隊にぴったりと知っていました。水がないゴルジュみたいな地形の場所で、狭い岩と岩の間にルートがひしめき合っているので、最大6人くらいかな。

混成パーティだと、易しいのだけがある場所だと、上級者は楽しめないし、逆だと初級者は楽しめない。それで、ここを思いついたのでした。ロープは80mを借りました。

スーは、きちんと教育されたクライマーだ、と私を判断したようで、私のビレイで、6Bを登ってくれました。その”静かな闘志”がみなぎる、後ろ姿を見て、「私も登れるんじゃないか?」という気になり…なぜか… 登ってみたら、なんかいい感じ~。

隣で登っていたオスカーからも、ムーブがかっこいいね~などと、ほめられ、スイスイと行かないまでも、さしたる困難なく、登ってしまった6B。初のオンサイト!

6B(5.10b)でのオンサイトは初めてだったので、うれしかった♪

あれは、なんで登れたのかなぁ~?

スーの登っている姿を見て、イメトレが良かったのでは?なんて思います。

こんな風になりたいな、と思える女性クライマー像を垣間見せてくれた、スー。

叶うことはないと思うけれど、もう一度組みたいクライマーです☆ 

なんか生き方的に、あり方的に、憧れました☆

生涯、夢中になれる趣味を持つ、というのは、ステキなことです。

2018/03/19

クライミング=リスクコントロール

■ 「9割、落ちてる」

知り合いの13登る男性クライマーは、落ちるのが怖くて、登攀力を上げれないでいる私に「9割、落ちてる」と教えてくれました。

これは、致し方ない面もありました。アルパインでは、”落ちる”=”死”だからです。しかも、私がパートナーにしていた人は、師匠以外はみな、ダメビレイヤーだったから、落ちて止めてもらえる確信ゼロ。

それを教えてくれたのが、丸1年と少し前。11月の小川山屋根岩1峰でした。その時は、短い5.10bがレッドポイントできたのですが、初めて外岩でたぐり落ちしました。落ちるつもりがなくて落ちました。あれ?!って感じ。

たぐり落ちは一番してはいけない落ち方です。たぐり落ちするくらいなら、手繰らないで落ちたほうがいい。

ビレイヤーが優秀で助かった。女性で12まで登る人です。彼女もバンバン落ちている。

■ 不意落ち

こういう ”不意落ち” をする人には、上手なビレイヤーが必要です。初心者のビレイヤーは、止めれないことがあるから。

普通は、クライマーは墜落をコントロールしていて、不意落ちしない。

私がたぐり落ちた原因は、クリップ動作の時に、手足が2点支持のバランスになっていなかったからです。つまり、クリッピング体制を作れていない。

それ以来、

・落ちそうと感知したら、自分から先に落ちる
・下に声をかけて落ちる
・クリップ体制のときは、2点バランス厳守

が、課題。昨日は、その3点が、なぜかできた!

今まで、どんなビレイヤーを変えても、なんだか、それができなかったんですよね…。

ラオスに行って良かったなー。怖くない外岩環境って、やっぱり必要です。

ラオスでは、落ちることなど考えもせず、バンバンリードしていたからです(笑)。

自信、それが私に必要だったもの。ちょっとリーチが遠くて、クリップしづらいとか、そんなことでも、自信は揺らぐもの・・・私にとって揺らがないラオスは、ありがたい存在です。

Full Metal Jacket:オスカーとの思い出

■Full Metal Jacket & AgroYoga

フルメタルジャケットは、ラオスで去年登って、今年も再登した6A(5.10a)の課題です。

"Full metal Jacket 6a" was my very personal climb. I had climbed it with Tony last year and re-tried this year again with Oscar from Sweden.

去年登った時は、いったん棚に上がってから、上のヌンチャクが、どうしても、反転するので、安心できず、なんども整え直して、レッドポイントした課題でした。これは、トニーと登った課題。

Last year I had climbed with Tony, and after I got on a terrace, the draw kept turning to wrong side and I had to climb down so many times to tidy up the draw... it was the draw, that made the climb so difficult. I felt I can not fall in the draw unless I make it sure that will hold me, otherwise, I will hit the terrace.

今年は、自分の成長の確認のために、再登したい!と思っていました。6Aのどっかぶり課題だからです。フルメタルジャケットは、ずっとがぶっており、ツイストで登るパワー系課題です。

This year, I wanted to climb the same problem again to see how I grow as a climber this year. The last year I was a total beginner but I felt I had done my share of endeavor so I wanted to see how it goes. 

Full metal jacket is power route, it is overhang and you need a power and move. 

今年は一人でヨガでもしようかなーとしていたところに、偶然オスカーが通りかかり、午後の最後の一本を一緒に登りに行くことに…。

This year, I was doing yoga alone and Oscar came by, and since he was also alone, we went off for a climbing for the last one for the day. 

オスカーは7Aを登れるので、フルメタルジャケットの隣の、アグロヨガ6Bをやることになりました。6Bは私はリードできないからです。しかし、このアグロヨガが曲者…

He climbs 7a so we decided to climb 6b "AgroYoga" right next to "Full metal jacket" for him. we both kind of satisfied.

7Aを登れるオスカーも、2ピン目かけるだけで必死なのです。1ピン目はどっかぶりのルーフで、ルーフから2ピン目までが・・・マントリング課題。ひいひい言って、やっと2ピン目をかけました。後は大したことはなかったのですが…

But to my surprise, 6B "AgroYoga" was so difficult, Oscar had a struggle till he got 2nd pin(draw).  

I tried and could not make it till 2nd draw. To get to first pin, it was already hard, you have to hang on your right arm only... wow! 

Wow! This is hard!  so we both cried!  

さて、私の番ですが、トップロープでも、1ピン目が、落ちると非常に振られるのです。でも、ヌンチャクからロープを抜かないと登れないし… 

隣のクライマーが 「Do you need spotter?」と言ってスポッターに駆けつけてくれたくらい。スポットしないと、おちたら振られて、岩にぶつかる・・・のが怖くて登れない…(汗)

While I struggle, someone next to us came to spot me!  Because if I fail, I will be banged to the rock wall... so scary! 

私はだいぶ粘ったのですが、結局、登れないので、オスカーは回収に行く羽目に。しかも、7Aが登れる彼が2度目でトップロープでの回収なのに、また同じ個所で苦戦…

After all, I spend so much time, I could not make it... just get tired and tired.

なんだか下部核心な課題だなー

So Oscar had to go retrieve the draws... but even he had to struggle on top-rope. 

その後、本命のフルメタルジャケット6Aに行ったのですが、アグロヨガを頑張りすぎたせいで、すでに腕力使い果たしており、去年リードしたフルメタル…に四苦八苦。6ボルトしかないのに、休み休み行って、6テンション、みたいな登り方でした…(汗)

Then I went to my "Full metal Jacket 6a " and it was... disaster! It only has 6 bolts but I had to ask him to take me 6 times!

I was tooo tired already... 

私は数日前に6Bを、ヌンチャクがかかっている状態で、ですが、オンサイトしており、その時の思いが残っていて、6Aのフルメタル…なら、今年は去年より楽勝だろう…くらいに思っていたのです…なんの、なんの。

I had on-sighted 6b a few days before this, and I felt I might be able to climb 6b already, somehow, without so much struggle... no way! I was just arrogant and stupid to think that way! I was just so completely being realized there are a lot to go...

ステキだったのは、そのあとの出来事です。

After that, my best time came... Oscar was so gently talking about climbing... it is not just the grade, the fun of climbing is just so important and, sometimes 7A climber can struggle on 6b... it is no use of sticking to what does not make you happy...

帰りにしょんぼりしている私を、先輩のオスカーが慰めてくれるのです。クライミングには、課題の室によって、損得があること、グレードだけが能力ではないこと、グレードはただの目安であること、7A登れても、6Bで苦しむこともあるんだよ…と。無理に自分の楽しめない課題を登ることもないのだ、ということも言っていました。

完全に山岳会の先輩後輩でした(笑)。向こうが年下だけどね

It was a gift and advice from him... him who is better climber than me, who has just started....

オスカー、スイス人の超イケメン!声も素敵な方でした.

Oscar was such a good looking man, and he was such a young gentleman! 

5.9マスターについて

■アルパインクライマーの最低条件の一つ

このブログは、フリークライミング向けにまとめているので、アルパインクライマーとしての一通りの完成の一端である5.9マスターを書くのもどうか?と思いますが、記載します。

(余談ですが、アルパインクライマーの最低ラインは、歩荷力、踏破力、と登攀力、生活力、読図力、条件判断力、など多岐に渡りますが、登攀力は、そのうち踏破力と2大重要ポイントな感じ)

5.9マスターというのは、5.9ならどんな課題でも登れる、というような意味です。調子が良ければ登れるとか、登れる5.9もあるけど、登れないのもある、ではなく、

”安定して5.9が確実に登れる”

という意味。

スティーブ・ハウスさんは、これをザイル不要で登れる、と表現しているそうですが、同じことです。絶対に落ちないグレードということ。

■ フェイス、クラック、ワイド、オーバーハング

フェイスの5.9はもちろんのこと、クラックも、ワイドも、5.9なら登れるというのを、クライミングを始めて以来、当初の目的にしていました。

この目標達成は、まだ道半ばです。今は、5.9は、確実な登りを身につけつつありますが、まだスピード感はありません。

先日はベテランクライマーの5.9を見ていて、だいぶ感動しました。すいすい、とは、このことね!って感じ。

■ 5.9のいろいろな質

5.9にもいろいろな質があることが、去年2度目のインスボンで分かりました。

…というのは、フリーの5.9とアルパインの5.9は違う…登山靴で開かれていたり、もともとザックを背負って登ることが前提だった5.9と、クライミングそのものに特化した5.9では、もちろん、後者のほうが登攀そのものの質的に、難しいのです。それは、前者の5.9はザックを背負うことを前提にしてグレーディングしてあるからです。

登攀のムーブ的に5.8くらいの難しさでも、それがものすごく怖いところにあったり、えらく長くて体力を消耗したりすると、難しさが加味されて5.9になったりします。

ラオスでも、ただの長い6A=6Bという公式が成り立つ場合がありました。

■ 10台に入るとフリーのトレーニングが必要

5.9と5.10台では、質的にかなりの開きがあります。5.9というのは、たぶん、平均的な身長、体重、体格の人にとっては、ムーブなしで登れる、正対しかいらない課題のように思います。もちろん、ムーブを使って登ってもいいのですが。ムーブがあると楽になります。

一方、5.10aというのは、ある意味、フリーのトレーニングなしには、難しいというか、平均的な人にとっては、ムーブがいるような気がします。

■ スポーツクライミングの意味

海外では、どっかぶりも、正対で超えるパワークライマーが多く、ビックリ!

ラオスは、どっかぶり系ですが、正対ひきつけオンパレードでした。スポーツクライミングとは、このことなんだー!と開眼。つまり、パワーで登ることが目的なんだなと。

私は、フィジカルは弱いので、それでは無理で、フラないと登れません。このフリ、というのが、自転車に乗れるようになる系のことなので、私にとっては習得に、だいぶ時間がかかりました。フリなどは、年齢が早いほど習得も早いと思われます。

■ 岩を見る目

それとは別のスキルで、岩を見る目。…が育っていないということで、5.9がオンサイトできるまでに2年半かかりました。

岩を見る目が育っていないと、すってんきょうなところを登ってしまって、進退窮まり、危ないです。プロテクションから離れすぎる、ということも、初心者では良くあります。

その結末は、アンコントロールな墜落です。アンコントロールな墜落だけは、なんとしても、避けなくてはなりません。

■ どのような質で自分が強いのか?

5.10Aは、質によってオンサイトできたり、できなかったり、今でもしています。

とはいえ、トップロープでは、11Aが登れたことも一度だけあり、クライミングについては、どのような質の課題で、自分が強いのか?いろいろ思案中です。

基本的にカチは苦手です。指力は弱いです。

5.10Aがコンスタントに登れる、というためには、確実に登れる5.9の登り貯め…、いわゆる ”5.9貯金” を外岩でするだけでは、全く不足です。

ジムで、”ムーブ貯金” が必要だ、と先日、外岩に行って思いました。

というわけで、なんだか、クライミングスイッチがオンに…な今日この頃。

2018/03/12

ヘンリーのこと

■ ヘンリーのこと…

ヘンリーは、ラオスで今回一番世話になった人です。コロラド出身の素敵な74歳!生き方としてブラボーなクライマーです。指は外れてしまっており、ちょっと力を入れると、並びがずれてしまう。膝は登っていると、カクカクと音がする、アンザイレンはダブルボーラインというオールドクライマーでした。

ヘンリーが登れる課題は、基本的には、寝ているか垂壁ということになるのですが、彼は3Dに行きたがるので、少々不思議でした。あるとき、長い5cのマルチに行ったのですが、ルート取りが私と全く違い、驚きました。

私が楽々で登ったところが彼には難しく、私がこわごわ登ったところが、背の高い彼には楽勝で、クライミングは、損得あるから、うまいこと、質的な損得を組み合わせることで、スピードアップになるなあ…と思いました。

どんな人とでも、長所と短所を組み合わせて、エンジョイ・クライミングができる事例というか…そんな感じです。

一つ印象的だったのは…6Aのリードです。代わりばんこに行きたいところに行くということにし、彼が選んだ6Aは、彼は登れなかったんですが、回収のため、私がロープをかけた後、かぶりで落ちて宙づりになり、ローワーダウンか?と思いきや、プルージックしていました。しかも、シット!とかファック!とか言いながら、四苦八苦。あれって、執念??? セカンドの務めを何としても果たす!ってやつなのかなぁ。

あれはどういうことだったのか、いまだに謎です…。ビッグウォールアピールでもないでしょうし・・・ 私でも登れそうなマルチに誘ったら、6bの箇所はフォローもできないから…と断ってきたので、プルージック自慢ではなさそうです。

一番目の師匠は、かつて、「夢は助さん角さんを従えて登ること」と言っていたのですが…そんなことではないだろうし…

という疑問を持っている思い出のパートナーです。

彼とのベストクライムは、ケーブマン!


ヨセミテボーラインのリスク

Risk of Yosemite Bowline Knot from Masa Sakano on Vimeo.

2018/03/10

2018年3月現在のまとめ

■ フリークライミングについて

私が最も好きなのは、アイスクライミングではありますが、アイスクライミングのスキル向上にフリークライミングが役立つことは否定できませんので、フリークライミングでも成長し続けることが必要です。

フリークライミングでの成長は、一般に、スラブ、フェイス、かぶり、ワイド、クラックと、様々なタイプを分けて考える必要があります。一般に初心者はスラブでスタートです。

1)スラブ ひと段落 5.10b
2)フェイス 苦手系 5.10A
3)かぶり なんとか 6A
4)ワイド インスボンレベル 5.8~5.9
5)クラック プロテクションの安心 5.9登りだめが課題

というわけで、タイプに沿って意識的に登り分けて行くことが、今後はいいかなぁ、と思っています。

クラックは、今年、カサブランカがリードできれば御の字ですが…。まずは、龍の子太郎かな。太刀岡左岸稜、積み残し中です。湯川、今年はいけそうにない(涙)ので、残念。クラックは、今のレベルだと、湯川で課題をほぼ全課題リードすれば、いい感じですが…。機会に恵まれるかどうかが核心です。
スコーミッシュは、今年は少々背伸びにあたるのではないか?と思っています。

とりあえず、平素は、パワーとフィジカルの向上が課題。つまり、ごくふつーの運動能力をアップするのが良い時期にいます。