レアメタル(希少金属)は、産業や先端技術に不可欠な資源ですが、その種類ごとに生産・供給の状況は大きく異なります。以下、主要な金属ごとの国際的なシェアの概況をまとめます。
1. レアアース(希土類元素)
- 中国:
- 世界の採掘量の約60~70%を占め、精錬工程もほぼ独占している。
- その他の国:
- オーストラリア、アメリカ、ロシアなどが少量ずつ生産しているが、中国の影響力が非常に大きい。
2. タングステン
- 中国:
- 世界のタングステン生産量の大部分(場合によっては80%以上)を占める。
- その他の国:
- ロシアやボリビアなどが生産に関与しているが、中国のシェアが圧倒的。
3. コバルト
- コンゴ民主共和国(DRC):
- 世界のコバルト採掘量の約60~70%を占める。
- 加工・精製:
- 採掘された原料の精製や加工は中国が主導しており、実質的なサプライチェーン全体では中国の影響が大きい。
4. リチウム
- 主要生産国:
- オーストラリア: 世界最大のリチウム生産国。
- 南米(アルゼンチン、チリ、ボリビア): 「リチウム三角地帯」として知られる地域が重要な供給源。
- 加工面:
- 中国はリチウムの加工・バッテリー製造でも大きなシェアを持っている。
5. タンタル
- 主要供給国:
- コンゴ民主共和国やルワンダが主要な供給国となっている。
- その他、中国やブラジルも一定の供給量を持つが、アフリカ地域の影響が大きい。
6. プラチナグループ金属(PGMs)
- 南アフリカ:
- 世界のプラチナ生産量の70%以上を占めるとされる。
- ロシア:
- プラチナやパラジウムなど、複数のPGMsを生産。
結論
レアメタル全体のシェアは、金属ごとに大きく異なります。
- 中国: レアアース、タングステンなど採掘・精錬工程で圧倒的な支配力を持っています。
- アフリカ諸国(特にDRC): コバルトやタンタルの採掘で重要な役割を果たしています。
- オーストラリア・南米: リチウム生産において主要な供給源となっています。
- 南アフリカ: プラチナグループ金属の生産で世界市場に大きな影響を与えています。
このように、レアメタルの市場シェアは金属ごとに分散しており、一国が全体を支配しているわけではなく、用途や供給チェーンの各段階で異なる国が主導的な役割を担っています。