2024/04/23

【クライミングアドバイス】宇宙クライミング…健全な市民クライミングに必要なこと

 2022年1月2日の記事です

■ 仏教説話

私は毎日仏教説話を聞いています。今日の仏教説は、願行具足、のお話でした。

願いと行いの両方が十分に満たされると

成就する

ということで、逆に言えば、

2つのことが揃わないと、成就しないということです。


願い=というのは、私がラオスで垣間見た、”健全な市民クライミングの実現” です。

海外の市民クライマーたちは

 ・5.10aテンションも、5.12aテンションもやっているのは同じこと
 ・誰だって低グレードから高グレードの順にステップアップする
 ・嫌がっている人、ビビっている人にリードを無理強いしない
 ・一般市民レベルのクライミングは、エリートクラスのクライミングとは別話
 ・クライミングを楽しむ

トニーなんて、リードを無理強いされている私を助けに来てくれたくらいです(笑)。

私が想像するには、単純に日本人が楽しい市民クライミングの在り方を受け入れられないのは、エゴによる干渉を受けているからだと思います。 

また、昔と今では、評価される基準が大幅に違ってしまってしまい、クライマーの間で尊敬を得られるレベルも大いに変わり、正当な評価が得られにくいと思います。

昔:山→沢→雪→岩→氷→フリー とオールラウンドクライマーがノーマルコース
今:ジムからいきなり外岩。結果、外ボルダーだけ、外リードだけ。

昔の人の中に、本当にすごい人がいたのは、その通りなのです。山や壁が要求する困難は、絶対値であり、その要求は、50年や100年そこらで変わるものではないので。

その絶対的なものに立ち向かっていた人たちに光が当たらず、先入観や誤解など、誤った基準でスゴイということになってしまった、本来はその敬意に浴すべきでない人に、光が当たっている…おかしな状況…なのも、その通り。

岩場再生で、5.11にグレーディングされた古い課題を登っていたら、有段クライマーがうんうん唸ってやっとこさ登れる、ということもあると思います。

”行”ですが、私の場合の行は、行政などへの働きかけです。

私の場合は、地域おこし、農業、林業、などの人手不足の分野に、若い人材を取り込める可能性を開く魅力としてのクライミングを行政に提案しています。飴ってことです。これは、私の前職である三井物産での新事業開発室勤務の経験をプロボノ中ということです。

■ 願と行の詳細





何のために → 事故を減らすため

正しく理解 → 市民クライミングと競技クライミングは異なる

技術を学んで → 知識を普及する手段を得る = 行政のパイプと繋がる

実践する →  様々な手段で、事情を説明して回る

です。

■ なんで自分の得にはならないのにやっているのか?


私は、すごく良い師匠に恵まれ、頼まなくても向こうから師匠がやってきました…。

なので、自分一人が楽しく登っている分には、何にも問題がない時代が山梨時代でした。

とっても楽しかったので、他にも人をお誘いしようとしたのですが、なかなかうまく行かなかったです。平たく言えば、師匠らのお眼鏡にかなう人がいなかった、です。

このボルトは、ペツルのハンガーが付いていても、カットアンカーであって、施工が良くて15kNしか強度がなく、ガンガン落ちるようなクライミングには耐えられないだろうから、テンション程度にしておこう…というような知識に基づく知恵が現代クライマーにはない、です。

グージョンとカットアンカーが見分けられなかったら、分かるはずがありませんし、落ちないように登る知恵も出てこないです。

ずばり、現代日本のフリークライミングに必要な教えは

1)3ピン目を取るまではクライマーは、決して落ちてはならない

2)本チャン(マルチ)は、2グレード下げる

3)山の支点(ゲレンデであっても)を全信頼してはいけない 残置は信頼してはいけない

です。

4)岩場のグレードを信頼してはいけない

5)ボルト配置が適正ではない課題を見極めて登らないといけない

5)ギリギリに迫っていいのは、人工壁のスポーツクライミングだけ

です。

外岩のボルトルートはスポートルートと呼ばれ、建前上、バンバン落ちながら登っていいという定義がされています。しかし、それは信頼できるボルトがある場合のみ。現代の岩場ではほとんどの岩場がボルトが40年経過しているし、しかも、当時のボルトなので、必要な強度がありません。しかも、異種金属とか、カットアンカーとかです。

ギリギリに迫っていいという建前は、現実のものではない。が、現実の岩場では、”3ピン取るまで落ちるようなクライミングをしてはいけない”、です。

ラオスでは、例外的に、ボルト配置が極めて安全志向で、近くに打たれています。つまり、5cというグレードなら、5cを登るクライマーのためにボルトが打たれています。

国内岩場では、ケミカルにリボルトされた岩場であっても、ボルト配置がそのグレードを登るクライマーのために打たれているとは限りません。また、安全なボルト配置は、登るクライマーのリーチによって変わります。

海外では、どんなリーチのクライマーにも安全なように、ボルトが打たれた岩場が登場しています。

が、日本の岩場はそうではありません。文句を言っても、今後10年以内に状況が変わる可能性は、ほとんどゼロです。

ならば、建前に拘るのではなく、現実に合わせた方針を新しいクライマーに指導するほうが現実的です。

実際、クライミングがメッカの山梨では、そのように指導されていたと思います。

それでも、無知なクライマーによる事故が完全に防げていたとは思えず、無防なチャレンジで事故る若いクライマーは後を絶たないようでした。しかし、だとしても、事故は、中山尾根とか、阿弥陀南稜とか、本格的なアルパインの入門ルートであり、ある程度、ジムデビュークライマーならば、無知も仕方がないなという、高度な場所でした。しかし、九州では、事故が起こっているのは、四阿屋とか、比叡のような”ゲレンデレベル”の場所です。

この記録は、私の2018年4月22日の四阿屋でのグランドフォールを目撃したときのものです。

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グランドフォール

今日は四阿屋の岩場でグランドフォールをみました。

インディアンフェイスというルートで、2ピン目から3ピン目までがランナウト気味、つまり、

(最終クリップから出ているロープ長)と(それより下で出ているロープ長)が、ほぼ同じくらいになっていました。

背の高いクライマーを同じくらい背が高く、細身のクライマーがビレイしていたのですが、たぶん、体重は釣り合うくらいですが、クライマーが落ちると、ロープの伸びがあるので、結局伸びの分でグランドフォールしていたと思います。腰を打ったようで、病院へ行く、ということでした。

私は岩場でグランドフォールを見たのは、自分が落ちて頭を7針縫った以外は初めてです。(アイスは2度見ている)

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理由は、グレードが適切でないため、です。

別にジム出身クライマーでなくても、5.10bだったら誰でも取り付いてしまいますよね。

これらの事情により、九州福岡では無謀な人だけでなく、普通に慎重に正しいビレイで登っているクライマーまでもが、取り返しのつかない事故を回避できないということになっています。異様にグレードを辛くつける習慣は、おそらく九州の文化的なもの…一か八かがクライミングなんだ、という誤解…によると思われます。どうも、大阪から西はそうらしいです。

さらに、ボルト位置の問題、適正ボルトではなく、ボルト間の距離が遠い問題は、全国で共通しています。

これはリーチの問題が、多くのクライマーに理解されていないためです。誰にとっても、難易度は同じである、という間違った前提に立っていて、ジム上がりではないクライマーでも、そのことを理解していません。

ボルトの配置が適正でない場合、正しくビレイしていても、ランナウトしていれば、落ちればグランドフォールになる。そのような、ルートの作り、岩場の作り、のために、適正にビレイしていても、落ちれば、この四阿屋のように腰椎骨折の事故に遭うことになります。

その原因は、クライマー側の無知を有知に変えてやる、指導者側の一種の手薄さ、があると思います。

つまり、”3ピン目取るまでは決して落ちてはいけない”、とか、”マルチでは2グレード下を登る”、ということを明示的に教えることです。


■ クライミングは楽しむために登るもの、自慢するために登るものではない


楽しくなかったらクライミングではない!なぜなら、クライミングは余暇、レジャーだからです。楽しく登る=上達の秘訣、でもあります。

そもそも、自尊心を守るために登らなくてもいいのです。すべての人は存在だけで生きる価値があるからです。

それよりも、クライミングは、過度に集中を要求する活動なので、他がおざなりにならないように気を付けないといけません。

■ 事故を減らす
今までの経験で行くと、私は弟を早くに亡くしているので、いわゆる、

”登れるだけで危険認知が伴っていないクライマー”

に同情的すぎる、甘い傾向があります。それは私の弱みとなっています。

自分自身を振り返っても、私も分からない時代があったので、人に厳しくするのはどうか…という気持もあり、つい脇が甘くなりがちです。

クライミング事故のすべてが無くなり、すべての人を救うのは無理だとしても、”3ピン目を取るまでは決して落ちてはならない”という教えを普及することで、多くの人が事故らず済むような気がします。

昨日は、JFA発刊のフリーファンの『安全ブック』を精読していましたが、あの書き方では、たぶん、現代のクライマーは、どう行動に落とし込んでいいのか?分からないのではないかと思います。

行動に落とし込む、というのは、”3ピン目を取るまでは決して落ちてはいけない” など、具体的にどうすればいいのか?を教えた内容です。