■ 山ヤの成長
私の強みと弱みを考える。
山は、フリーを身につける段階に来た。一般に、一般登山者が山ヤになるには、
1)一般縦走 ・・・ 日帰りハイキングで初めて、1週間程度のテント泊縦走が卒業課題となる。
2)読図山行 ・・・ 脱・一般ルート 2万5千の地形図をきちんと読めるようになったら卒業
3)雪 ・・・ 雪山の危険認知(主に風、濡れ、雪崩)ができるようになったら、卒業
4)沢 ・・・ 丹沢は一通り終わるべし
5)岩 ・・・ 5.9だったら、どのようなタイプの5.9でもオンサイトする能力がある
6)フリー ・・・ フリーはアルパインの基礎能力。クラック、スラブ、ワイドを岩にプラス
7)冬壁 ・・・ ザ・キングオブ山 鹿島槍北壁 など
8)アイス ・・・ アイスは基本的には冗長、遊び
9)山スキー ・・・ 春の余興 年を取っても楽しめる
10)海外登山 ・・・ お金がかかる 憧れや売名と密接なかかわりがある
11)トレラン ・・・ トライアスロン系 競技なので、冒険より名誉を求める人に
普通は1)から入って、7)の冬壁まで行けば、普通に、山屋が出来上がり、8)~11)は本人の志向次第でオプション追加・・・と言うのが、一通りの山屋育成教育かなと思う・・・が、大体の登山者は、テント泊縦走は出来ても、2)でつまづいてしまう。
一生、山小屋泊の山しか知らない、というのが、おおよその人の限界かと思う・・・実際、夫はそうだ・・・
世間的状況を見ると、山の玄人である山岳会であっても、一般登山のハイキングしかしないのが、すでに常態化している。
たとえ、山岳会に所属する機会や山をステップアップする指導があっても、2)読図へ進む意欲と意思を持つ人は少数派だ。
しかるに、私のように趣味で山を始めた一般登山者が、登山歴6年で、6)のフリーへ進んでいることは、非常に珍しい事象と言える。しかも40代で。大学山岳部なら、良くあることだが。
ちなみに端的な現象として、以前は山ガールと揶揄されていたが、今では誰も私を山ガール呼ばわりする人はいない。
・・・という世間の事情なので、まったくのゼロから、登山歴3年で一般登山は終了し、雪・岩・沢へ進んだことには、少々の自負がある。
決して与えられた道を選んだわけではなく、意識的に選んだ道だ。
■ 自発的で、意識的なゴールの設定
自負を持つ理由は、独学でそうしたから。
もちろん、山の神様の導きがあったと思うし、多くの人の小さな親切がここまで私を導いてくれた。
たった一人の力だけでここまで来た、ということは真実ではない。
だが、協力を引き出す力や人とつながる力という、私独自の強みがなければ、ここまで来れなかった、ということも、真実だ。
自発的かつ意識的に自らを教育して歩んできたと思う。決して、運だけのシンデレラストーリーではない。
自発的で意識的なゴールの設定。”誰かが作った道”を歩んだわけではないってことが、自信の源だ。もとより、レールの上を歩むのは好きではない。
意識的に、
・どうあるべきか?というゴールの調査
・そのためには、今の自分には何が必要か?という分析、
・今、手にある資産(環境、人、コト)をどう生かせるか?なにをどう学ぶべきか?
・それらが適しているかどうかの思考錯誤
を行う。これが私の自信の拠り所となっていて、それは、私自身の強みに由来する。
私の強みは、戦略性、収集性、最上志向、親密志向、責任感の5つだ。最も強い資質、戦略性、つまり、”こうしたら、うまく行くのではないか?”という戦略に基づいて、行動している時が、強みを生かしている時だ。
■ フリークライミング習得への戦略
ハイキング、雪山のステップアップ、テント泊縦走、読図、といった登山の基礎を身につける、ことと違い、フリークライミングは、肉体的な不利をかかえるため、私にとって特に難しい。
それでも、「私は岩はやらない」と捨てずに執着して登っている。
フリーは登山の基礎力であることは、間違いない、と納得しているからだ。将来、高難度のフリーを含んだアルパインをやらないにしても、5級が滞りなく登れるというのは、最低限の山ヤ基礎能力だ。
そこで、フリークライミング習得に当たって、これまでの戦略を振り返る・・・
その①・・・ボルダリングジム 9~8級
岩稜帯の縦走をしようかなと言うころ、つまり登山2年目の頃、ボルダリングジムに行くといい、と言われて、10回程度通った。
なるほどね、ということで、この時は、インドアジムで、9級や8級程度に慣れておくと、一般縦走路で出てくる程度の鎖場(たとえば不帰の険など)では、鎖は全く不要で登れるのだ、ということが理解できた。
その②・・・アイスクライミング
冬の稜線歩きを楽勝化するためもあり、冬に悪天候の時の代替えアクティビティとして、アイスクライミングを始めた。
結果的には、アイスの方がリーチが必要になることがないし、全部ガバだし、雪が好き=白い環境が好き、という強みも生かせ、愉しく登れた。
つまり、難しく感じているフリークライミングへ進む前に、アイスへ進んだことは、戦略的に正しかったと言うことだ。楽しさが証明している。
その③・・・クラック
それは、クラックも同様かもしれない。クラックもリーチが、あまりイラナイと言えば要らず、小川山レイバックは、初めての時にも、意外に登れた感があった。
クラックなんて、世間的には、フェイスが相当登れてからやる、危険なクライミングに分類されているものらしいのに、まだフェイスの5.9もリードしていない初心者の段階で、クラック開眼してしまった(笑)。
それだけフェイスは苦手ってことなんだろうな。
≪まとめ≫
・ボルダリングジム 9級 → 岩稜帯楽勝化
・アイス → 入門
・クラック → 入門
■ 現在地
さて、今はどのような段階にいるか? そこを正しく認識するのが大事だ。
成長の指標となるものの一つとしてインドアジムがあるが、インドアでは10級からスタートし、6級程度までは、取り立てて指導や才能がなくても、登れる場合が多く、自主練課題だ。
クライマーというか、クライミング技術が必要になるのは、ボルダリンググレードの5級から下。
登山ではデシマルグレードで5.9が登れれば、つまりローマ数字のⅤ級が全部登れればOKで、それはデシマル換算すると、”5、10a~dにトライ中で、5.9なら、考えなくても登れる”ということを意味する。
が、フリークライミングの世界では、”5.12”から先がクライマーの領域。
じゃ、間の5.11代はどうなるの?ということになるが、このレベルにいるのが、山岳会にいる大抵の先輩たち。
5.11~12の間というのは、フリーのクライマーとしてみると、すごくはない。が、クライミングを知らないと、登れないグレードだ。ボルダリングのグレードだと、1級で5.12くらいだ。
5.13や14、15へと、現代では世界は先鋭化&競技化している・・・ので、競技人生が終わりだなぁと感じるような年齢の人たちが、この先鋭化したトップレベルを目指すことには合理性がなく、したがって、11代は、手堅い中堅層と言える。
5.9(-も+も)が安定して登れることを目指す人が、5.10代を触るように、5.10代を安定して登れることを目指す人は、5.11代を触らなくてはならない。同じように5.11代を安定して登るには、12台を登っている必要がある。
というわけで、私の壁は今ボルダリングの5級ということは、ムーブを身につけ、11へステップアップする、クライマー化するかしないかのボーダーラインにいるとも言える。
大きな壁である。
■ 作戦
私自身の岩での強み弱みをまとめると・・・
1)岩を怖がっている (落ちれないビレイヤーという事情により、恐怖が強化されてしまった)
2)岩を楽しんでいない 1)の延長
3)腕力が弱い 正対引付系(つまり垂直のフェイス)は、苦手だろうことが予想できる
4)リーチが短い リーチの遠い課題は不利
裏返すと、強みになる。
1)プロテクションの安心がクライミング力のアップにすぐにつながる
2)楽しめる易しい課題を数こなす 安心できるビレイで一緒にいて楽しい人とだけ岩に行く
3)被っていても、一瞬なら越えられるハズ
4)スラブは弱みとなる要素がないはず (足で登るので基本ハンドホールドはあまり関係ない)
5)クラックも弱みとなる要素が少ないはず 指が良く入るシンクラックなど小柄な方が有利
クラックやスラブはフェイスよりも強みに当たる可能性が強いので、強化した方が良い。一方、フェイスも、基本的には最低限のところはマスターしておかないといけない。が弱みの克服となるので、あまり傾注しても得るものは少ないだろう。
前傾壁はむしろ強みと弱みのコンビネーションなので、やればやるだけ、強みが強化され、弱みが克服できる、ということになる。
前傾壁=ツイストでの登り、腕力がアップということだからだ。
インドアでは、ムーブ解決力を上げないといけない。外岩では、ムーブ解決が必要になるレベルの岩はまだ出てきていないように思う。一度、理論通りに登れば登れるハズと言われたが、謎だった。
■ Today's word
Surround yourself with dreamers and doers
and believers and thinkers
but most of all,
surround yourself with those who
sees greatness within you,
even when you don't see it yourself.
強み以外にフォーカスしても仕方ないわな。