2019/08/19

大衆化=クライマーの安全意識の低下

今回の長野遠征で良かったことの一つが奥村 晃史さんのKoWallへ行ったことです。

そこで、平山ユージさんのベースキャンプというクライミングジムで起きた、既成トップロープのアンザイレンの器具で起きた墜落事故について聞いてみました。

これはクライマーの間では有名な事故でした。

https://b-camp.jp/pickup/649.html

■エイトノットを知らないで済ませるか?と言う問題

私も体験クライミングなどのイベント的なクライミングをすることはあるのですが、その際はトップロープ限定です。当然。

その場合、エイトノットでアンザイレンするのが教科書通りですが、エイトノットをできない人に簡易的にカラビナを介してアンザイレンしてあげることがあります。

私もアイスクライミングでは、どんどん次々に順番を交代して登りたいため、シープシャンクに安全環付きカラビナ2個で登りますが…

一般的には、バイトのエイトノットに環付きビナ1つ、というのがよくあるケースです。エイトノットではなくて、ラビットノットにしているガイドさんもいます。

ベースキャンプでは、以前行ったときは、バイトのエイトノットに環付きビナだったと思いますが、このべアールのロックアップスクールと言う製品を使うようになったのはなぜだろうか?というのが最初の疑問でした。

ツインゲートって、環付きビナより、リスクが高そうな気がなんとなくします…

https://www.lostarrow.co.jp/info/notice/NT20190809_LA_RockupschoolNotice.html

奥村さんの説明では、ツインゲートは互い違いであっても、解除動作がワンアクションというのが問題に感じるそうでした。

■ 過剰なパターナリズムの国

自己責任と過剰なパターナリズムというのは、相対する概念だと最近、理解しました。

クライミングを世の中に広めたい!という思いが、強すぎて、

「エイトノット結べない?ああ、いいよ、いいよ~」となってしまうということです。

これは、まずい…。

というのは、スタートがこれだと一時が万事になる可能性があるからです。

エイトノットできない → いいよ、いいよ~!でバイトのエイトノットでアンザイレン

ビレイ習得していない → いいよ、いいよ~!で、トップロープオンリー、もしくは、グリグリ使用

ということが、どんどん積みあがって、最終的には、クライマーのレベル低下になる、ということです。

相手の良かれ、と思ってやったことが、全然良かれではない!という結果に…(><)。

それが、マズいビレイでも受け入れる習慣ということに結果としてなります。誰でも落とされて死ぬ羽目になるのは嫌なので、登れるところしか登らないクライマーとなることになりますが、そうなると、今度は成長が止まります。登れるところしか登らないと全然成長しません(笑)。

というので、これは文化的な問題でもあるのではないか?と思い始めました。

まぁ、べアールの製品は外国製品ですけど…よろしくない習慣まで外国から輸入することもなかろうと思います。

■ 例えば運転

私は、運転を習うのに、大阪で一番厳しいと評判の都島の教習所に行きました。ので、運転はとても安全重視タイプですし、都島みたいな交通量の多いところで教習したので、怖さと言うかそういうのが違います。

一方夫は、免許が取りやすいところで受けたそうで、その上、10年以上、一度も運転しなかったためにゴールド免許。

最初にぬるま湯で、免許が取れてしまうのと、どっちが良いのでしょう???

私は、アルパインクライミングに進んだ時、これはリスクがあることをするのだから、としっかりと勉強しました…

やっぱり、しっかりとリスクに向き合うほうが、「いいよ!いいよ!」と甘えるよりも、本人にとっても良いのではないでしょうか?

そこは、甘くしては、本人のためにならないのかも?

■ エイトノット、クローブヒッチ、ムンターくらいは最低限必修

クライマーでリードクライミングに進む場合は、岩場に出る前に、エイトノット、クローブヒッチ、ムンター、くらいは覚えてから出ましょう。

危険なことをするのですから、それなりに自分で自己防衛しなくては、誰も代わりに命を守ってやることはできません。

何も知りませんでは、雪の山に、冬の靴なしで行くようなものです。

■ 結び変え(通し八の字)

この件で思い当たるのは、結び変え、です。別名通し八の字とも言います。通し八の字を知らないクライマーが外岩に行くというのも、本来控えられるべきかと思います。

■ 懸垂下降

さらに思い当たるのは、懸垂下降です。懸垂下降ができない人がクライミングに来るのも、支点に問題がある場合に懸垂で降りることができないため、クライミングの基本的な安全管理教育の欠如と見なすべきのような気がします。

他には、当然ですが、ビレイ、です。

リードクライミングは、人工壁でリード慣れしてからが良いと思います。岩場のリードは、岩場しかなかった昔と比べ、今は人工壁でカラフルなプラスチックホールドを追いかける習慣ができてしまい、ルートファインディング力が必要になっていますので、ある程度のゆとりがないと、恐怖だけが先立つ経験になってしまうかもしれません。

■ チェックされて嫌なビレイヤーはいない

奥村さんのジムでは、リード壁だけのジムでしたので、ビレイヤーのチェックがありました。

ベテラン指導者の場合、マズイビレイをしていても、若年者がそれを指摘することはしづらいという問題があり、ビレイの相互チェックの網の目をかいくぐっている可能性があります。

とくにアルパイン出身のクライマーの場合、年配の人は、スポーツクライミングを経験していないことが多く、ご本人も気が付かないで、だらりんビレイになっていることがあります。それはその方の年齢だと今さらスポーツクライミングでもないし、フリーと言っても、昔の人のフリークライミングだと、そうシビアなところは登っていなかったので、ビレイで落ちるクライマーをキャッチするという行為が想定できないのかもしれません。

そのような場合でも、第三者から、ビレイの不備を指摘されて、嫌な顔をするビレイヤーはいないと思います。

どんなクライマーも、ビレイヤーが肝心だということは、肝に銘じられているものだからです。

とはいえ、失礼に当たると良くないですから、ここは、クライミングインストラクターなどの、定評がある人に第三者的な目で、ビレイチャックをやってもらうのが良いのではないか?と思います。

初心者によくあるミスは、上の手を重視して、下の手があまりよくないことです。クライマーが登っていて、ロープ操作が待機中みたいな時は、手は、ATCの屈曲部を保持していると楽ですし、すぐにロープを出す対応もできます。

落ちてもいいんだよ~愛の日向神 愛のエリア

■ 愛を感じるクライミングデー

昨日と今日と、日向神クライミングに行ってきました。

愛を感じるクライミングデーでした…。

というのは、

 ”落ちてもいいんだよ~、ちゃんとキャッチしてあげるよ~”

ということです。私は、アルパインで必要とされる安全マージンとフリーでの安全マージンを切り替える、というところで、躓いているクライマーだからです。
花鳥風月 5.11a 


歩いててっぺんまで行けますが、登山道はありません

槇尾山みたいな寿老人エリア

寿老人エリアのボルト

ここにラインを引きたくなった

まぁ、理由は、十分に根拠があるのです。

私は、スポーツクライミングを主体とする山岳会で、人工壁に通い、落ちるクライミングスタイルを身に着けた後に、ハイキングの会へ変遷中のよくあるオールラウンドの会に行ったら、落ちれない、あやふやなビレイしかできる人がいなかったのです…実際、引っ張り落とされました。

その後、フリーランス?化して、フリーで会った人でも、みんなが避けているババ引きのババ、となっているマズいビレイの人とは知らずに組んでしまい、落ちたのに、キャッチしてもらえず、頭を7針、縫ったなどがあります。

岩場は血みどろでした… 今もハーネスにその時の血痕が付いて、私を戒めています。

  体を張って得た経験値が強固すぎて、手放せない…(--;)

というので、今回の愛のエリアは、両日とも、登れないところを登ったため、トップロープでも落ちざるを得ない感じでした…。

■ 初日 愛は勝つ

初日は、私の次のリード課題となるだろう、”愛は勝つ” 5.10cを紹介してもらいました。愛は勝つも1ピン目が遠く、下が微妙なバランスのスラブで、落ちれません…。

2本目もシビア…。いや~これは!ちゃんとしたビレイヤーとでないと登れない。

その他、周辺の11を触ってみたりしましたが、どっかぶり課題で厳しい!足で登れる課題は、やはり出だしが核心で、1ピン目が遠いため、リードは勇気がでませんでした。

男性クライマーを見ていると足は切れて、手だけで保持でした…(汗)

足が切れるというのが、私には、イコール恐怖、となっています。足がない=登れない、という公式ですが、ハンドホールドが良い=足は無くても登れる、という男性クライマーとの差になっています…。

この日は、新しくできた5.10bのリードが課題でした。曖昧なバランスを受け入れる気持ちがないとリードできないです。

■ 2日目 11以上の日

この日は、いつもの先輩とのクライミングデーで、まぁ強い人なので、先輩のリードした、私の実力とは、かけ離れたグレードのルートを登る日。

エレキバン11cをトップロープで触ったのですが、エレキバンの下部はちゃんと離陸できて良かった♪ 

先輩がいい人なので、私のムーブを役に立つ!とほめてもらいました♪ 強いクライマーでも、省エネで登れると役立ちますよね。女性クライマーは、省エネ登りが基本です。

上はなんとかテンションもらいつつ、ごぼうも交えつつ、上まで行きましたが、2本目はよれてダメでした。やっぱりパワーが問題。指皮も持って行かれてしまいます。

夜は指がじんじんして、指の具合が大変です(><)

エレキバンの後、もっと易しいハズの、”そこにガバがあるから”を触りましたが、いや~これは!離陸から、かなり不可能感強く、屈曲したルートでもあるため、途中で敗退。というかTRですら、やっとこさ、で途中までしか登れなかった…という状態です。エレキバンより難しかった。

良かったのはアップで登った、”愛はNGかなぁ”‥‥グレードは知らずに取り付きましたが、なんとか行けると思った部分はこなせた…。上はもう易しいと思ったので登らなかったのですが…実は上が核心だったのかも(笑)。また次回頑張りたいです。

■ 墜落を許容しながら登る登り

私は、フリークライミングの段階にきて、すでに3年ですが、いまだに墜落を許容するクライミングスタイルを外岩で採用することができていません…

贅沢にも、確実なビレイヤーでも、テンションにしてもらっています。

私は、最初にスポーツクライミングの会に所属して、スポーツクライミングを覚えたのですが、そう言う場合に考えられる、危険をすべて、教科書通り、シナリオ通りに総なめした感じです。

1)スポーツクライミングの落ちていい度とアルパインクライミングの落ちていい度が使い分けられず、落ちてよくないアルパインで落ちるクライマーを作ってしまう

2)いけいけどんどん(グレード偏重)

3)ロープワークの軽視

4)終了点、ビレイ点、ランニング(カム、ピトン、パッシブ)等の軽視

5)レスキューの軽視

です。大体、男性がその傾向が強いです。が、女性にもいます。

これの反対は、

ムーブの重視

ではないかと思います。パワーではなく、ムーブで解決するようになった時にクライミングの楽しさを理解したと言えるのかもしれません。

九州のリードはカチが多いですが、どちらかというと、ムーブで解決する課題が多いように思いますので、九州ではムーブの研究に来た、と思うのがいいのかもしれません。

それにしても、KoWallさん、楽しく登れたなぁ…

5.10aではありましたが、ただ直上するだけではなく、下ったり、トラバースしたりなど、少し考えないと登れない課題が多く、楽しかったです。



2019/08/16

クライマーのゲストハウス構想 進展について

 ■ 古民家

今回は、私は長野の佐久市に、見たいと思っている古民家が売りに出されていました。

見てきたのですが、なんと、クライマーの友達の家の、ほとんど隣!

しかも、土地が広くて、商用にしやすそう!

価格は398万円・・・青ちゃんが買おうとしている車のRav4より安い… 日本は人口減少で、4件に1件は空き家の時代なので、不動産はバカ安です。


 これは、土蔵と一体化している門です。立派!

この物件は、小学校の隣にあり、市中にあるため、クライマーのゲストハウスとしてではなく、普通にゲストハウスとして活用できそうでした。

ただ佐久市って、欧米人の観光客が来たくなるような観光ありましたっけ?

佐久に無知なため、判断つかず…。

クライマーのゲストハウスとして定義するとなると、ロケーション的に、送迎が必ず必要で、徒歩5分とは言わずとも、歩いて岩場にアプローチできる場所になくては、成立しがたいので、この物件はボツです。

しかし、現実問題として、

日本で随一の岩場

小川山
瑞牆

でクライマーのゲストハウスができそうな物件があるか?というと、ないと思います。

去年だいぶ見て回りました。

小川山に案内することを想定すると金峰山荘がそうなるべきですし、瑞牆だと、植樹祭広場の宿泊棟がそうです。

どちらも公営のため、クライマーを主たる目的としたゲストハウスとして運営する見込みはゼロです。

となりの空き地は畑として借りてほしいそうでした…なんと好都合な! 憧れの半農半X生活が可能。

私個人の理想のライフスタイルを考えると、アイスクライミングもでき、岩も近い佐久は、良い目の付け所です。

というのは、クライマーのメッカである北杜市は、太陽光発電の乱設を始め、よそ者いじめなど、行政の問題が少なくなく、そもそも暮らしに問題を抱えているからです。

それなら、甲府に住みたいと思ってしまいますが、甲府からは小川山は2時間半ですし、近所の岩場昇仙峡は、アクセス問題が山積しており、オープンな岩場となる可能性は非常に少ないです。

ただ、佐久市は甲府市と比べても、非常に経済規模が小さく、移住した若い人は、仕事に困ることになりそうです。

知っているクライマーは2名は農家、2名は医師です。その他の職業が成り立つ余地があるのか?疑問です。

また古民家と言う性質がら、ゲストハウスとして営業する際は、改修費が馬鹿高くなりそうである、という点は否めません…

まぁクライマーだけをターゲットにするなら、快適さより、安さを取りたい人が多いので、大した改修は必要ないと思いますが、それでも、トイレ、お風呂、キッチンの水回りは全面改修が必要でしょう・・・ 同行者によると1000万円規模の改修ということでした・・・うーん? いくら398万円でも・・・。

と決断を渋らなくて行けない感じです。まぁ最初は改修はなしでやりたいですが、民泊許可が出るかどうか?が核心化しそうです。

■ スーパーホスト

私は、民泊もとてもやりたいと思っているのですが、自分の近所に物件を持たないと絶対に無理だと思っています。

スーパーホストであるかどうか?が民泊の成功のカギなので… 

ただ物件を所有して、一棟貸しで収益を上げるだけの経営では、ゲストのニーズがよく分からず、それでは、オーバーツーリズムの温床になり、地域との軋轢が増えるだけです。

収益独り占め、騒音、買い占めなどのマイナス面は、地域押し付け、だからです。

大事なことは、ゲストハウス運営を通じて、地元の魅力をビジターに発信していくこと、つまり、おもてなし、だと思います。

■ 青ちゃんの家=実はすでにクライマーのゲストハウス?!

青ちゃんの家… よく考えたら、すでにクライマーのゲストハウスになっていました…。

彼の別荘は、ただクライマーのたまり場になっており、連日宴会が開かれるということになっているのですが、これを有料化すると、九州宮崎の庵鹿川になるのかなぁと。

庵は、一泊1000円、永久会員になるには3万円です。

青ちゃんは、自分がいない間の宿泊貸し出しはお断りしているそうですが、いない間に貸すのが、基本的にはAirBの考え方です。使っていないから使っていいよ、ってやつ。

佐久在住だと、東京方面のガイド仲間から、宿泊場所の提供をお願いされることも多いそうです。そうだよなぁ… なにしろ、佐久って、団体で宿泊できるところがすごく少ないです。

インターネット喫茶みたいなところとか、ビジネスホテルしかありませんが、佐久みたいな田舎で7800円とか払う気になります?払いたくないですよね。しかも、クライマーの定番、夜の宴会もできませんし。

となると、求められているのは、5~8名くらいの団体で宿泊できる施設なのかもしれません。これは、昨今のAirBで求められているスペックと同じです。

青ちゃんは、クライミングガイドをしていますが、今回もそうでしたが、クライミングのインストラクションをするわけではありません。岩場の案内と、食事、宿泊の提供です。特に食事には力を入れています(笑)。なにしろ、釣り上げたアマゴが出てくる宿です。

■ 八女のゲストハウス

今朝、福岡に戻りましたが、戻ってすぐ、知り合いのゲストハウスの人が、短期間のピンチヒッターを探している情報が目に留まり、渡りに船でしたので、お願いすることになりました。

こちらは、日向神という岩場に近いゲストハウスです。

https://www.skyteahouse.com/

私は日向神は、

 ・小川山の半分の規模の岩場とは言え、
 ・佐久の志賀の岩場と課題数300と同規模、
 ・九州一円からクライマーが集まる

良い岩場だと思っています。岩場へ徒歩でアプローチできる場所に、使っていない公営のバンガローなどがあるので、それが活用できれば、一度車で行くだけで、数日は岩場に徒歩で通って遊べます。

地域外から訪れる人には、足、が一番問題なので、そこが一番日向神の可能性があるところです。

ゲストハウス事業は、ゲストハウス自体を作ることよりも、そのゲストハウスを訪れる理由を作ることのほうが大きな問題です。箱というハードウェアよりも、何をしにくるのか?というソフトウェアの問題のほうが大きいということです。

現在問題になっているのは、中国人や韓国人の爆買い客で、ショッピングを目的に訪れる観光客の絡んだ問題ですが、本来、真の国際交流は、ショッピング以外の面であってほしいものです。









2019/08/15

本当のレスポンシブルクライミング

■ 呼ばれて行きました 

今回の遠征も、岩に呼ばれて行ったなぁ…。呼ばれた感、大ありでした…。

いわゆる、引き寄せの法則、というものです…。岩が私を手放ししてくれない。

正直、私は人生のほうが大問題を抱えており、いわゆるレジャーに時間を割いている場合じゃないような気がしますが、呼ばれてしまったので、行きました…。

起こることは、みな、意味があって起こっていると思うことにします。

呼ばれた感の最大は、行った岩場が、佐久の志賀の岩場…つまり、最近、有料化された岩場だからです。

■ 岩場の有料化について

昨今は、かつて無料で提供されていたことが、どんどんと有料になって行っている時代です。

例えば、新人教育は、かつては山岳会の中で、先輩から後輩へと無償で提供されていたものでした。ところが、昨今は高齢化で、山岳会はそれができませんので、山岳総合センターとか、都岳連とか、府岳連とか、各岳連で、山ヤ教育を担当しています。

新人教育の有料化は、すでに20~30年の経緯がある事柄のようですが、昨今、岩場の安全も、有料の時代がくるのかもしれません。

新時代の幕開けの可能性を感じた遠征でした。

クライミングが大衆化するということは、安全に対する基礎教育が欠けた人、つまり、クライマーではない、一般の人も、クライミングに来る、ということです。

そういう人たちには、

 ボルトを見極める、とか、

 ルートを見極める、

ということは通用しません。 たとえば、5.9と書いたルートで、5.10bであるのは、よくあることですが、そのような場合に落ちて死んだとしても、それは、クライマーの自己責任で話は済んでいました。

が、今後はそうでなくなる可能性がある、ということです。

有料化が先で、管理者責任が後だとは思いますが、有料のクライミングジムでの事故が、ジムの管理者責任であるのと同じことで、もし岩場が有料になれば、そこでの事故は、料金を取っている人の管理者責任ということになるでしょう。

つまり、ボルトを整備した人の責任が非常に重く問われるということです。今までのように、開拓者としての名誉だけがあり、責任は問われずに済んだ牧歌的な時代は終わりかもしれないということです。

■ もともと歪んだ仕組みではあった

開拓する人が、手弁当で開拓し、その開拓も、自分が登る都合だけを考えていれば良く、どんな風にボルトを打ったとしても、クライマーは自分のことだけを考えていれば良い、という哲学が受け入れられ、つまり、後続者は、嫌なら登るな、という価値観で、その価値観は、まぁ特権主義的であり、初登の名誉だけを受け入れていれば良い時代…つまり、今現在の在り方…は、ボルトの経年劣化によって、だんだんとほころびを見せつつあるということです。

誰もが登れるということについては、日本の岩場はそのような配慮をする必要自体が、そもそも希薄だったのではないでしょうか。

山岳会の伝統でいえば、会員の1割程度しか、登攀の要素がある、”本格的”という形容詞がつく登山、アルパインクライミングをやらないので、そもそも、登攀自体が、特権階級的に色彩を帯びたものでした…。

その特権階級に、仲間に入れてやる…狭き門だったのが、基本的なスタンスでした…が、その狭き門は、いまや全然狭き門ではないのです…

クライミングジムの到来によって、一日目から、特権階級者よりも、登れる新人、が出てくる時代に…。

そうなると、連れて行ってもらわなくてはならない人材は、先輩クライマーと言う特権階級が、少数の選ばれたエリート人材を、仲間に入れてやるという流れではなく、むしろ、連れてもらわないと外岩に行けない人たち…落ちこぼれ…を救済する、という活動になってしまいます。

実際、私自身を含め、自己完結したクライミングをするには、不十分である、と見なされたクライマーが参加するのが、クライミングガイドによる講習クライミングであるなぁと思います。

今の時点で、こうしたクライミング講習は必要ですが、それは、日本の岩場は、

1)岩場の質や安全性の情報であるベータが充実していないこと、
2)グレーディングがまちまちであること
3)そのグレードを限界グレードとするクライマーのためにボルトが打たれているわけではないこと
4)ボルトの質がまちまちであること
5)ランナウト(スポーツの岩場で、TRADの岩場でない場合)

と、岩場の性格を、一挙にまとめたサイト、コンセンサスが成立していないからです。

■ 登山ではガイドはババ引きのババです

クライミングに先行する、登山ガイドの世界では、すでに判例で、登山で死者が出た場合、引率登山では、引率者に責任があることが確定しています。

とくに商業登山では、ガイド側が敗訴して、莫大な損害賠償金を支払った事例も出ています。

私自身は、ガイドステージⅡの積雪期のライセンスを、取得途中でやめています。そもそも、私は一般登山時代に、誰かを連れて歩くことが嫌いだった、と思い出した(笑)ためですが…。

クライミングは、一人ではできない活動です。ので、誰かと組む必要がありますが、その場合、イコールのパートナーシップを築ける人と行くのか?そうではなく、引率者と行くのか?という問題があり、私は、つくづく引率者がいるクライミングには向いていないというか… まぁたくさん登れてトレーニングにはなるとは思いますが、ちっとも楽しくはないのですよね。私はどうも、自分の道を追求したいタイプみたいで。

今回は、引率クライミングに混ぜてもらいましたが、まぁついで感がありましたが、これは、佐久の岩場が、有料になり、今後どうなっていくのか?それを見極めていくために情報を得る、ということだったのだ、と思います。

■ 日向神

私は九州の日向神の岩場は、九州の中では、規模が大きく、例えば、わざわざ日向神をめがけてくるのではなくても、たまたま日本に来た人で、たまたまクライマーがいたら、ぜひ訪れたら良い岩場だとは思いますが、佐久のように有料化することに賛成か?というと、しばらくは静観したいというのが、本音です。

小川山は駐車料金がかかりますが、クライミングの整備代金として、料金を徴収しているわけではありません。ボルト整備のために料金を対価として取るのであれば、安全が求められてくるのが当然の流れだと思われます。

実際、クライミングジムという施設において、事故はジム側の管理者責任だからです。

ので、岩場が料金制になり、事故の責任が、施設管理者側に移動することは、

クライマーの自己責任

というクライミングの伝統に反していくことになります。

それはクライミングの世界にとってよいことか?というと、その点は疑問です。特に外の岩場資源と言うものは、大自然がもともと誰の所有物でもないように、空気や水と同じような存在だと思いますので、もっと根源的に私有の是非がさかのぼって議論しうる対象です。

例えば、今、杉花粉は社会問題ですが、私有地に生えている杉が、花粉をまき散らしたからって、所有者責任が問われることはありませんが、それも、もとを正せばおかしな話です。所有には権利が生じますが、権利が生じれば義務も生じるはずだからです。公害になるのであれば、処分する責任が生じるはずですがそうはなっていません。結局、植林して、利益は所有者持ち、不利益は公共持ち、というのが現在の形ですが、ちょうど同じように、今までのクライミングの世界では、課題を所有している責任は問われないまま、名誉だけにあずかることができた時代でした。

それはおかしいにしても、クライマー本人が、課題やボルトの質を見極め、自分がそれを克服できるかどうかという、安全とリスクを天秤にかけて、より良きスタイルを求めて、クライミングを向上させていく、という伝統が壊れ、安全管理は、施設管理者持ち、楽しみだけがクライマー持ち、となるのは、クライミング界にとっては、後退となる話のような気がします。

本当のレスポンシブルクライミング、は、クライマーと岩との駆け引きにあったのでしょう。




クライマー別プロテクション(カムの配置)の考察

■ 安全は、個人の資質次第

アイスクライミング歴40年ベテランである師匠に説明しても、どうしても理解してもらえないことの一つに、

   安全なプロテクション位置は、それぞれ人によって違う

ということがありました…。

その理由はなぜか?と考えると、平均的な身長があり、自分がリードするばかりで、セカンドで登る経験値が低いと、気が付く機会がないものなのかもしれません。

私は自前で行ったアルパイン1本目の明神主稜ですぐに気が付きました。相方の設置したカムが遠くて、手が届かない…(^^;)

■ 屈曲したクラックは、初心者のリードに向かない

クラックの場合、カムの設置の難易度は、クラックの形状によります。

そのため、プロテクションの設置に不慣れな初心者は、セットが難しいクラックは、登攀は易しくても、リードさせられません。

以下が一般に初心者のリードに向かないクラックです。

1)フレアしているクラック  (カサブランカなど)
2)素直な直上ではないクラック (愛情物語など)
3)パラレルな部分が見極めづらいクラック 

これらは、基本的に初心者のリードには向きません。

じゃ、どれが向くの~?ということは、クライミングの世界では、標準的な、これが登れたら、次はこれを登れ、ということは、ほとんど指南されていません。

関東であれば、一般的には、三つ峠などでカムセットを覚え、湯川や小川山の5.9で初心者時代を過ごし、5.10代のクラックを一通りRPする、ということになりそうです。

■ プロテクションを覚える時期

クラックの場合、プロテクションの信頼は、5.10Aが登れるようになったくらいから作り始めます。

それくらいからが、フリークライミングの技術領域で、それ以下で落ちるようなクライマーは、そもそもフリーに来てもらいたくないからです(笑)。つまり、下手くそは、お呼びでないのがフリークライミングの世界です(笑)。最低限は、5.9で落ちない登攀力、です。

ですから、5.7や5.8のクラックでは、オンサイトで構いません。オンサイトというのは、プロテクションには、まったく頼っていませんから、プロテクションの技術は、結果として、ゼロでも結構です。とりあえず、真似事でも、どっちにしろ、そのプロテクションにテンションすることはないんで。そこで落ちるなら、フリーには素質無しです。

というわけで、結局、5.10Aあたりから、本格的にクラックの修行が始まることになります。この段階では、カムは、本当に文字通り、プロテクション…身を守るもの…です。そのカムにぶら下がるということが前提ですので、カムへの信頼を作っていかなくては、今後、一か八かクライミングをやることになります。

したがって、テーマはカム設置となるハズです。

■ 事例

以下の写真は、背が高く、体重が重いクライマーがセットしたカムの配置です。

1ピン目が高く、
2本目は、屈曲部に入る前の水平部
3本目は、屈曲の後、ガバが持てるところのすぐ上で、2個、固め取り
4本目は、傾斜が変わる落ち口の直下で1本です。

固め取りしたのは、落ちる可能性があるところでは、固め取りが基本だからです。落ち口も、ロープの流れを考えると入れたくはないですが、安全のためには入れざるを得ません。

結果、ロープの流れが良好なカム配置になっています。

背が高く、重たく、ガバ得意なクライマーのカム設置

■ ちびのカム配置

こちらが、私のカムの配置です。

1ピン目が、1枚目の写真と比べて、はるか下であることが見て分かると思います。
2本目は、1枚目と同じです。
3本目は、ハンドジャムバチ効きだったので、ジャムしながら入れたところです。ランナウトを避けた格好です。
4本目は、1枚目の写真の3本目と同じです。
5本目も、同様に1枚目と同じです。


背が低く、軽く、ジャム得意なクライマーの設置したカム配置

■ 考察

見て分かると思いますが、1枚目は3本目がランナウトしています。これは、このクライマーにとっては、ガバを取ってから、プロテクションを入れるほうが、むしろ、不安定なジャミング中に入れるより安全だからです。

実際、登攀中、”手汗で滑る!”と言いながら登っていました。そのような場合、不安定な部分は、速やかに通過したほうが安全です。

ガバ=プロテクションチャンス、です。

私のカムセットでは、明らかに違うのは1本目の位置です。

これは、ボルトルートでも同じと思われます。

日本では、現在でもクライマーの9割は、男性です。女性は増えてはいますが、1割から多く見積もっても、1.5割程度です。昔はさらにそうで、95%は男性だったと思われますから、日本に現存する多くのボルトルートは、男性の標準身長における安全、のみを考慮して打たれた配置だと思われます。

これは、安全志向のクライマーにとっても理解が難しいと思います。誰にとっても相手の立場に立つのは、想像を超えたものだと思うので。

2本目は大きな横クラックで、ラインが変わるので、いれますが、人によるかもしれません。縦のクラックでプロテクションが取れるなら、そのほうが流れがよいのかもしれません。

3本目は、すでに述べました。安全とはその人によって違うという事例です。ガバがすぐ持てる人にとっては、取ってから入れるほうが良いですが、私はランナウトする前に入れます。

4、5本目は同じ配置なので、取れるところでは必ず取る、という原則に従った形です。

こうしてみると、やはり、核心は、

 1)1ピン目
 2)ガバを安全と感じるか、ジャムバチ効きを安全と感じるか
 3)ランナウト

です。私は握力が低いクライマーなので、ガバよりは、握力を使わないで済むジャムのほうが、プロテクションのチャンスです。

また体重の重さもリスクになるので、重たいクライマーは、どか落ちの可能性がある個所では、カムは固め取りしたほうが良いと思います。

以上考察でした。

知的なクライミング

色々考えて、私の理想のクライミングは

 知的なクライミング

だろうと。

私は、正直、命が惜しくてビビっているわけじゃないと思う…。人生を振り返って、私が取っているリスクを取れないでいる人は多い。海外でも、クライマーとそういう話になったが、定期的に安定収入が入るという安心を手放すことができない人は多い。大体、命知らずを誇示しているクライマーって、前の会のN安さんもだし、F屋会長もだし、公務員。つまり、

  現在の日本社会で、もっとも人生上の安全安心に魂を売った人

もう、リスクなんてゼロなんである。クライミングに例えたら、トップロープもいいところだ。リスクゼロの代わりに、超退屈な仕事をしているとは思われるが。

現代の一流クライマーは、そのような選択肢は取らない。登攀においてのみならず、社会的にも、リスクテイカーな人が多い。

もちろん、リスクを取る、という1点だけがクライマーの価値ではないが、何のリスクをも、冒しておらず、冒険的な生き方すらしていない人が、登攀においてだけイケイケでは、リスクテイカー気取り、冒険家気取り、であるな、との印象は、免れまい。その人の本質は、リスクテイキングでも、冒険家でもないからだ。

■ 知と力

”取れるところで取らないプロテクションはバカっぽい…”

というのは、以前読んだ、『教科書にない登山術』にあった言葉だ。私が、向こう見ず礼賛の風潮に感じるのは、まさにそれ。

バカっぽい、つまり、知性が低いということだ。

”取れるときに” 取らないプロテクション…ということは、つまり、逆に言えば、取れないときもある、ということだ。取れないときに登攀力不足で、落ちてしまったら、それは大事故につながるわけで、

 取れないときに、落ちる実力で登るクライミング

も、同様にバカっぽい。取れないのであれば、落ちるくらいなら、最初から登るべきでない。

同様にバカっぽいのは、

 ・敗退を考えないで行くクライミング

 ・プロテクションの能力を養成しないで行くクライミング

 ・十分な安全マージンを取らないで行くクライミング

だ。簡単に言えば、勝算の目途が立っていないクライミング ということで、簡単な言葉で言えば、

 一か八か

であり、

 ギャンブル

である。リスクに対する中毒症状というのが、そこにはある。リスクがあれば、そこには興奮があり、ホルモン、アドレナリンだか、なんだかの影響がある。その同じ刺激をより強い強度でどんどんと高めたくなってしまうという側面がクライミング、とくにアルパインの伝統には含まれる。

もちろん、楽しい!というホルモン刺激の時もあるのだが、多くの人は、アディクションと良い意味の楽しい!という、ヤル気回路を、なんとなくしか切り分けられていないだろう。

私にとっては、日本でそのような状態になったことはなく、ラオスでの登攀がそのような良い意味でのアディクションの端緒となったわけだが…。

どうやって、それを引き出すか?というと、やはり私にとっては

知性…つまり探求心

と言うこと以外ないだろうと思う。

適切な安全マージンの考察

■ バカ女

今回のクライミングは、対照的な二人の女性クライマーに出会った。

便宜的に、バカ女と謙虚すぎる女と区別することにする。

一人目は、志賀の岩場で会ったバカ女だ。バカ女と言って、憚らないのは、彼女が

 イケイケ強気の自分に自己陶酔

していたからだ。山の世界では誤解が多い。やんちゃや向こう見ずを武勇伝扱いする風潮だ。例えば、クラックのリードについて。

「私、すーぐ取り付いちゃうの!考えないで行っちゃうよ~(さもそれが素晴らしいことであるかのように)」

「へぇ~登る前にオブザベするの?なんで~?!行けばいいのに!」

と言う具合だ。私は終いには

「あなたはそうかもしれないけれど、私は嫌なの。無理強いしないで!」と釘を刺さないといけなかった。言いたくないことを言わされた。

しかし、つまり、5.9を登らない判断をするワタシをチキン扱いされたため、一矢報いておかないといけなくなった。私は彼女のせいで、この日、自分がオンサイトしたいと思った5.7のクラックが登る時間も、ビレイヤー資源も奪われた。

山の世界では、イケイケどんどんの人は注目を浴びれる。なぜなら、誰かが制止してやらないと、死んでしまうようなことも、やってしまうからだ。分かっていない人。向こう見ずを武勇伝化する人だ。男性に多いが、女性にもいる。

彼女は、そう言う事情で、男性…といっても、定年後のおじいさんたちだが…からの注目を一身に集めるという幸福を謳歌中だった…。大家族の一人っ子状態だ。ギャーギャーとうるさい。

こう言っては何だが、女性としてあまり容姿が良くない人だったので、様子から、そういう注目を集める機会があまりなかったがために、注目を集めて舞い上がってしまっているようにも思えた。

実際、年配のパートナーが、「あんな娘っ子が登りたい登りたいというんでよ、俺も頑張る羽目になってよ」と言っていたので、男性にとっては、相手がどんな女性であっても、”娘っ子”なんだーと認識を新たにしたくらいだ。

そうだとすると、モテるなら、誰でもいい、つまり、相当な幅で、どんな容姿の女性でもいいわけで、そういう男性心理のせいで、私も登ってもらっているのかもしれない?

その可能性は、女性である限り、100%は否定できない。

私は、そういうクライミング…男性の歓心を女の武器で使うクライミング…には、陥りたくない。と言う訳で、今回、年配の男性のもてたい心理には、用心の必要を感じた。

今、私と登ってくれている人たちは、私が女性だからという理由で、登ってくれている人ではないとは思う。

一言で言えば、

 ”舞い上がっている”

それが彼女を形容するのに、ふさわしい言葉に見えた。パートナーのおじさんも、私の師匠も、登りたがりの彼女の対応に、てんやわんやだった。

こういう人は一人いると、周囲が大迷惑をこうむる…。おかげで、私はあまり自分の課題には取り組めなかった。私は彼女のせいで、自分のテーマにしている、易しいクラックのリードに取り組めず、あとでリベンジで、青ちゃんに付き合ってもらった。彼女のほうは、私がリードした5.9のクラックをリードしようとして周囲に止められていた。実際、登れていなかった。「あれ~ほんとだ。登れない」とか、言っていた。

彼女はよくいる競争心丸出しのイケイケタイプなので、私と自分を比べていたと思われ、どれだけ舐められていたんだろう…私は(笑)。

私は、人からの評価を気にしないタイプではあるが、”評価に気が付かない”わけじゃない。そこまでバカなわけじゃない。

というわけで、イケイケのバカ女に舐められて、自分の課題消化がおろそかになるという、私にとっては、好都合とは言い難いクライミング合宿となった。

このタイプの人は私の天敵だ。

いれば、私は自分のために時間を使えなくなる。私にとっては、子ども時代に、妹がギャン泣きするため、親が妹ばかりを優先せざるを得なくなり、私にとっては、早すぎる自立を強いられることになった子供時代を思い出させられ、うんざりさせられるタイプ。だから、お子様は嫌いだ。

でも、山岳会には、必ず一人はいる。周囲を振り回してハッピーな人。

青ちゃんは、「あの子、あの様子じゃ、いつか大怪我するで」と言っていた。

しかも、彼女のパートナーのおじさんは、アルパインのクライマーとしてスタートした人だったので、とてもいい人だったが、フリーは高齢になって始めたそうで、ビレイでの立ち位置が遠すぎる人だった。私だったら、ビレイにもっと注文を付けるか、彼と登るのは断念するだろう。

■ 謙虚すぎるオンナ

一方で、大阪へ帰ってくると、千石岩と金毘羅に連れて行ってくれた女性がいた。

謙虚すぎるオンナだ。

Mさんとは、今度、龍洞で登るんだが、せっかくはるばる行く龍洞で、5.7のクラックでいいというから、私と同じくらいの段階のクライマーかなーと思っていたら、大違いだった…(汗)。

FBの投稿での内容がすごいので、薄々、感じていたことだったが…10年分くらいの実力差がありそうだ。

今回は、KoWallでのリードと、外岩でのロープ合わせをした。

海外で一緒に登攀するのに、ロープ合わせは必須だ。なので、この機会が持てて良かった。新保ガイドと行ったときも、登れる登れないは、ともかく、登る以外の面で、お互いの意識合わせをしておくと、後が楽だ。海外では、国内以上に怪我が許されない。

登攀は、特に2日目の千石でのスカイライン5.10Aのリードは見事で、カムの設置技術もバッチリ。私はトップロープでも1歩目から、テンションが入る始末。かなり被ったラインであるのだった…。

フェイスも、金毘羅でやったが、私は5.10cをムーブ分解して登れるかどうかレベル、彼女は11cをムーブ分解して登れるかどうかなレベル。

彼女は今夏小川山に行き損ねて、今回の外岩になった。小川山では、小川山レイバック(5.9)をやりたい!などと、そんな実力の彼女がのたまうので、Mさんには、もはや小川山レイバックは簡単すぎるよ!と言うと、「思い出のルートだから」とのことでいたって謙虚。

わたしだったら、そうかな~ルンルン、と次のルートを考え始めるだろう…。

地元だった私としては、彼女に適切なクラック課題をアドバイスしてあげたいところだが、私も、今見えているのは、ジャク豆(5.10b)や5.10cの笠間ピンキーが終わった程度のため、もっと上級者向けのクラックは分からない。Mさんは、クレイジージャム5.10dは、たぶん一撃だと思う。

■ 千石 スカイライン 5.10A

千石岩のスカイラインは、たかだか5.10Aだが、何十回も登って熟達したのだそうだ。岩場資源が少ない土地のクライマーは、同じ課題に繰り返し登るしかなくなる…。私も自分のホームの岩場の課題で、そんなのがあるが、スカイラインのような難しさがある課題ではない。

スカイラインは、クラックと言うより、アルパインっぽい、どっかぶり課題で、腕力とカムの設置能力のち密さの両方が試される。腕力尽きて落ちて、カムが効いておらず、プロテクションが飛んで、大墜落、がありうる事故だ。

Mさんは、かなり上級者なので、私の師匠の青ちゃん…現在、怪我の療養中…よりも、おそらく現時点で登れる。ので、本格アルパインの、錫杖の注文などを勧めてみたが、「私なんて、まだまだ」とのたまう…。

■ 私は適正マージンです!

さて、以上のことを踏まえて、考察する。

たかだか無名の12,3メートルの5.9クラックを屈曲しているからと固辞して、5.7をオンサイトして、

「用心深いクライマー」

「安全マージンが大きすぎるクライマー」

つまり、”ビビりでチキンクライマー”と、言われている私なんだが、その指摘は正しいのだろうか?

いや、正しくない。

Mさんの安全マージンは、私の3倍くらいありそうだった。

今回は、この二人の女性の安全マージンの大きさの差が、鮮明だった。

考えると、私の安全マージンは、常に男性クライマーの安全マージンと比較されて、チキン扱いを受けている。

とはいえ、この強い女性クライマーMさんの安全マージンよりは、確実に薄いと思われる。

ということで、私の現在の安全マージンの幅は、適正マージンだという結論に至った。

私をチキン扱いする皆さん、フェイスで11が登れるレベルで、そこまで確実性を上げてから、5.9や5.10Aをリードするものらしいですぞ?世間では(笑)。

色々な人と登るとすごく勉強になる。

それはつまり、こういうことだ。

まぁ、安全マージンをどれくらいとるか?ということは、それこそ、そもそも、個人的なもので、他人がとやかく言うようなものではない、と思う。

そして、そのような質のことに、とやかく言われて嫌だ、というのは、正常な反応であると思う。


2019/08/14

金毘羅山&千国岩

■金毘羅

さて、KoWallの後は、金毘羅山と千石岩に誘ってもらいました。

ロープ合わせです。

金毘羅では、お一人で登っているクライマーと出会い、結局3人でワイワイと登ることになりました。

私が苦労したのは、5.10cのアラプリーズハング。いや~ 夜指が痛くてタイヘンでした(笑)。

お隣は11cだそうでした…



■ 千国岩

こちらは千国岩です。

看板ルートのスカイライン5.10Aにロープを上げてもらいましたが、いや~アルパインなルートでした。

クラックは使いましたが、クラック登りというよりは、プロテクションのセットにクラックが使えるというだけで、基本、クラック登りではなく、オーバーハングでした。

結構、しびれました…


■ 関西の岩場

これで、道場、槇尾山、につづき、金毘羅、千石岩、と関西の岩場は4つを知ることになりました。

とても限られた岩場資源を多くの人口で分け合って登っているということが分かりました。

私は、山梨にいるから、というのが登っている理由でした…要するに恵まれた環境、強みを生かす、ということで発想して出てきたのがクライミングだったわけです。

しかし、そうではなく、小さな岩場で繰り返し繰り返し同じ課題を登るという登り方が、大体の日本の地域では主流なわけなので、改めて、山梨時代は恵まれた環境だったなぁと…。

今回は、ご自宅に泊めていただき、車も出していただきました☆

ありがとうございました☆

Ko Wall

■ おもしろくない人工壁

九州に来てから、リード用の人工壁は悩みでした…。

最初にピラニアで育ってしまったのがまずかったのか、ピラニアですら、しぶしぶ行っている人工壁が、九州に行ったら、なおのこと、面白くない…(汗)。

手のひらが痛くなり、前腕が張るだけのことで、お金を払うだけの意味を見出せずにいました。

そんな感想を持つのは、私の舌が肥えてしまったからなのか?という問いを持っていましたが、それはその通りのようです。

■ 滋賀のKoWall

大阪では登攀の予定は立っていなかったので、クライミング関連のギアはすべてザックに入れて送り返してしまっていました…が、何のことなしに連絡した、関西のクライマーさんと繋がり、急遽、KoWallに行くことになりました。

この壁は、「日本で一番良いリードクライミングの指導をする壁」と教えてもらっていました。

ので、関西にいる間に一度行っておきたかったのです。実は、私はクライミングジムオーナーにならないか?という話も来ているのです。ただ、私はまだクライマーとしては進化中で、課題の良しあしは分かるにしても、高グレードは登れないので、なんだか、それでは、ただの財布役というか、お飾りオーナーにされてしまうようで嫌だなーと。

一方、今度、台湾の岩場で組む人と、安全・安心な環境で、互いにビレイしあう経験を先に積んでおきたい!という事情もありました。

だいたい自己完結できるクライミングをしている人は大丈夫ですが、クライミングは命がかかる活動なので、一応、クライミングにおいて、登る以外のことがきちんとできているかどうか?というのを、互いに分かりあっておく必要があります。

登るのは、クライマーは、ほっておいても、経年で上手になっていきますが、それ以外のことは、教えられたり、意識が高くないと、永遠に分かっていない人のまま、です。

■ ビレイチェック

KoLeadは、ボルダリングエリアがなく、リードのみのジムなので、最初にビレイチェックがありました。

これは素晴らしい!と思いました。

というのも、今回外の岩場でのガイドでは、リードしてくれるガイドさんは、捨て身というか、下のビレイヤーがしっかりしているかどうか?見ていないということが分かったからです…

そうなると、リードするということは、なんか自己犠牲ちっくです…(><)。

私はそういう自己犠牲ではないクライミングを紡いでいきたい…。

■ いい課題でした



今回は、KoWallでは、5.10A祭りにしました。が、課題が良くて面白かったです。私はベースキャンプへ行くと、ピラニアでは、5.10bまでしか登れなくても、10cや10dが登れてうれしくなっていました。登れる課題がたくさんあって楽しい~って感じです。

しかし、福岡のボルダリングジムでは今一つ楽しくなれない…なんでなんだろうなーと思っていました。

KoWallさんの壁では十分、新鮮で、とても楽しかったので...もしかして、やっぱり課題の質では??

まぁ、そんなに口が肥えるほどのクライミング力は、まだないんですけどね。

■ クライミングがレジャーになってしまった…

そして、とても勉強になったのが奥村さんのお話でした。

クライミングが、レジャーになってしまったという話です。レジャーになったということは、努力が不要で、誰にでもできる、と言う意味です。

クライミングは、そもそも危険なので、その危険をマスクするために、それなりの技術と知識の武装が必要なわけですが、レジャーになる、ということは、それらがなしでも許されるという意味です。

レジャーになれば、墜落やグランドフォールなどは、施設側の問題になるということです。

これは、佐久の岩場を見てきたばかりの私にとって示唆に富む話でした。

佐久の岩場は入場料を取ります。しかも、1000円と高い!それならば、当然管理者責任が出てくるハズですが、そのことは想像していないのではないか?と思われました。

なにしろ、1ピン目が偉く高く遠い課題ばかりでした… プロテクションと言うのは、プロテクションとして機能して初めて、存在意義があると思いますが、最初からその存在意義を放棄しているのが、遠い1本目であるのではないかと思います。

そのような課題は、管理者責任を全うしているとは言えず、グランドフォールで落ちたら、誰の責任と言うことになるのかなぁ…。

クライミングの事故は、クライマーの自己責任という伝統は、入場料を取る岩場とは、基本的に正反対です。

2019/08/12

マズイビレイを受け入れる悪習慣を反省中

■ まずいビレイを受け入れる習慣

今回、私が思ったことは、ベテランに限らず、誰でも自己犠牲は辞めるべきだということです。

マズイビレイを受け入れる

ということを、ベテランは、自らの義務として課していると思いますが…、そう思うのは、私自身が、後輩を連れて行くときに、

”将来、この子にビレイしてもらうためだから”

”もうこのルートでは落ちないし”

我慢して、下手くそなビレイを受け入れるからです。

それは、自分も初心者時代にそうしてもらったんだから、という思いがありますが、別に私のビレイは最初から良かったです…。

人工壁で最初に正しく覚えた人は、外岩でも同じように良いビレイをしそうです。まずいのは、アルパインしかしない人のフリークライミングのビレイかも…?

ビレイは人工壁で覚えないと覚えられないです。

今回、Kowallに行ってビレイチェックを受けて、これらは

 悪習慣

だったのだ…と認識を新たにしました。

第三者によるビレイチェックですが、受けてみても、別に、悪い事とは感じませんでした…、そりゃそうよね~!というのが感想です。

自分も登るときにビレイヤー見れないですから、誰か見てくれると嬉しいですよね。

初心者の人にビレイさせると困るのが、

「ビレイはできますか?」と聞くと、
「できます!」と元気よく答えることです。

しかし、

「墜落をキャッチした経験はありますか?」と聞くと
「ないです!」とこれまた元気よく答えます…

じゃ、ビレイが習得できているかどうか、分からないじゃーん!と思いませんか??

私は思いますので、そういう人のビレイでは、落ちるところは登らない作戦にしています。

しかし、これは、あやふやなビレイでも登ってくれる人を作ってしまうということですので、非常に良くないということが、今回理解できました。

師匠の青ちゃんも、ぜんぜんビレイしてくれる人のビレイスタイルを確認していない…ということが観察していて分かりました…。オールドクライマーは落ちないところしか登らないのが前提なのです。なので、落ちないから、ビレイヤーは誰でもOKってことです。

それは、あやふやなビレイヤーが世の中にのさばる原因になっていると思われます。

今回、あるおじさんクライマーが1本目のピンから、ずいぶんと離れているところで、ビレイをしており、私と別のクライマーがツッコミを入れたことがありました。

すると… 「(登っているクライマーを指して)彼は安定しているクライマーだから、まぁ、大丈夫やろ」という答え…

そのとたんに2名のクライマーから 「そーゆー問題じゃない!」とツッコミが。

クライマーが安定してるからいい、という問題ではありません…(汗)。安定しているクライマーしかビレイできないビレイヤーだったら、ビレイしていないのと同じです。

これは、保科ガイドも同じで、アイスのビレイで師匠の鈴木さんのリードクライミングを始めてビレイするので、責任重大だと感じ、ビレイを教えてくださいと言って、参加したら、ただロープを持たされただけで、何も教えてはくれませんでした。アイスこそ、支点が微妙なので、ビレイテク要りますよね?

ビレイのチェックは、Kowall形式で、クライマーではなく、第三者がチェックするのが良いと思いました。


2019年の遠征 終盤 魚釣り

さて続きを書きます…

合宿が終わった後は、お片付けですが、よくあることですが、なんか気が抜けてしまい、一瞬、「何してたんだっけ?」となります。

私もゲストをホストしていると良くなります…やってたことを忘れてしまいますね。

■ 8月 8日 大岳川

今回、私も青ちゃんも、いったい何をしていたのか?思い出せなくなり、とりあえず、疲れたので、癒される必要があり、涼しい沢にお魚釣りにいくことにしました♪ 

というのは、私がアマゴとイワナの食べ比べをするためです(笑)。愛されてる~(笑)。

双子池から派生する、大岳川に入渓したかったのですが、下の林道で混乱…。おかげで、有名な蓼科とか、赤岳の周辺の当たりではなくても、別荘地がいっぱいあることが分かりました…。

北八つは実は登山の初期のころ、『北八つ彷徨』で読んでいるので、多少知識があります。

蓼科山付近も、実は長い裾野で、川上村みたいな高原野菜の畑が広がっているような土地柄でした。へぇ~です。同じ八ヶ岳連峰のすそ野でも、反対側、茅野側の原村などよりも、規模が小さいので、あまり目につかないだけでした。

入渓後は、沢を2回変え、100mくらい遡行したところで、大きめのイワナ2匹。

思ったより、かかりが悪かったです。名人芸の青ちゃんで、2匹なので、私は坊主です。うーむ。まぁ、ピーカンに晴れたうえに、入渓したのが昼頃でしたもんね。日が高いと、お魚にバレバレです。

午後は夕立でした…このころの季節は、これが定番です。

■ 8月9日

翌日は昨日の悔しさがあり、再度同じ沢へ入渓…というのは、ジャージャー振ったから。しかし、これは失敗でした。昨日より、より小さなイワナちゃん2匹でした。水量増えたと思ったのになぁ…。

もっと釣れるところ知ってるよ!ということで、八千穂レイクの岩場に行きましたが、禁漁区になっていました…残念。

コケコケ
八千穂レイクの岩場は、まるで九州の岩場みたいにコケコケでしたし、ボルト位置が異様に高く、これは…(汗)。という課題でした…。一瞬で、私には無い、と理解。

もともと岩場資源に乏しい場所で、無理に作られた岩場というのは、こんなものなのかもしれません…。

これを見極める目ができたことが、九州へ行った成果ですかね…。

もちろん、標高が高く、お魚釣りと両立できる岩場なのですが…。前回は同じ理由でカサメリ沢に行ったのでした…。


■ 夏は沢

私が思うには、真夏はもう外岩しなくていいのでは?と思います…岩は、暑いとぬめって悪いからです。

クライマーの定番小川山への遠征も、実は、避暑、が目的で、クライミングは、目的としては、2番目だったりしますしね。

残念ながら禁漁
夏は沢をやっているのが、正しい山ヤでしょう。沢をやらないなら、お魚釣り。今回お魚釣りは、沢登りよりも長い時間、同じところに停留するので、天然のクーラーをより長い時間、味わうための口実だと思いました。私は、ぼ~っと沢の水の流れを見ているだけのことでも、十分に幸せなので…。

沢を遡行出来たら、とりあえず、それだけでも、とても楽しいです。

■ 電波悪い!

そうそうに、この日の用事が済んでしまったので、臼田図書館に立ち寄ってもらいました。小さな規模で、一日をつぶせる感じではなかったです…残念。

別荘地というものは、とても電波状況が悪く、持って行ったポケットWifiも無力で、ソフトバンクは常にアンテナ1本…(汗)。 簡単なメッセンジャーすら、入りづらいという状況で、ストレスが溜まっていました…(笑)。

私の場合は、山行の記録をつけているので、記録につけなければ!という思いが溜まると、吐き出さない限り、溜まりづつけることになります。

現に大阪に戻ってPCで記録をつけることが可能になって、だいぶ気持ちが楽になりました。

私は自分の記録何本も持っているブログ類…を大事にしているクライマーです。

私にとっては行く前のベータの調査や行ってからの記録の書き残しに、ネットが必要で、ネット環境は必須でした。ネットがないと生きて行けませんね。

というかラオスではネット無いですが!ただ、やることがない!となったとき、ネットが有ると、行き先を探すのに、とても便利です。

今回は、色々と調べては行ったのですが、どうしても環境が悪くて残念でした。どうも少し離れてはいますが、落ち着いて、もの書きができそうなスタバが佐久にもできたようです。

■ 8月10日

うっかりお魚に夢中になってしまったため、忘れていたのは、クライミング(笑)。

私は、志賀の岩場での最終日、特に早く切り上げる理由はなかったのですが、他のメンバーの都合もあり、早く切り上げて終わってきたため、ロープが上がった課題でも、登れなかったものがありました…

私は全体のことをまず考えてしまうタイプです…。まぁ元が学級委員長とか、お姉ちゃん、なんで仕方ないですね。

今回も全体の最適解のために、自分のクライミングの都合は、遠慮してしまい、自分が登りたい課題はまったく触れず…(><)。

…という終わり方だったということを、ハッと思い出し、1000円払うのを嫌がる青ちゃんにお願いして、再度、佐久の岩場へ…。やっぱり1000円は、高いですよねぇ?

クラックなら、別に湯川でもいいので、湯川も提案されましたが、今登りたいのは、登らせてもらえなかった5.7のクラックのマスターリード。

私はトップロープで触った5.9は、自分のカムを入れながら登り、特に悪い感触ではなく、登れそうだと思っていたので、あまり執着はなかったのでした。

それよりも、なんで”マスターでリードします”って朝一から宣言しているのに、誰もビレイしてくれないのか?そっちが謎でした。

誰もっていうのは青ちゃんのことです。というのは、他は全員初対面なんですから…。

結局、誰もビレイに来てくれないので、私はビレイヤーがいないために登れなかったのです。

その5.7は、岸良でオンサイトした課題よりも、どう見ても、簡単で、楽勝そうだったから、登るほうはどっちでもよかったんです…。まぁ、実際、登ったら楽勝でした。

しかし、問題はそこではなく、私が登りたいときに、ビレイを申し出てくれる人が一人もいなかったということのほうが、全くをもって不満でした。

これは、たぶん、私は5.7なら別にビレイヤーは誰でも登れるので、俺じゃなくてもいいだろうと思われてしまったせいかもしれませんが、私はそういう問題じゃないと思うタイプのクライマーです。体を張って覚えた(笑)。

しかし、行って見たら、この日は、青ちゃんがクライミング絶好調で、5.10cがスイスイ登れていました… 合宿中の絶不調は何だったんでしょう?だいぶ心配してしまいましたが、良く寝たら、元気になったそうでした。

逆に、この日は私のほうが寝不足でした。不調でも、まあ、7なら登れます。

とりあえず、やりたかったことは半分くらいしか達成はしていませんが、まぁ、あまり執着するようなステキな課題ってわけでもない…

主体性を大事にされなかったという自尊心の問題のように思います。

2019夏の遠征 中盤 志賀の岩場

■志賀の岩場

今回のメインディッシュは、佐久の志賀の岩場です。
JFAの終了点

師匠の青ちゃんはレスキュー隊長だったため、支点構築やロープワークに長けており、私は、九州で、本州では見たことがない支点を見るたびに不安になって相談していました。

■ 支点への意識

支点への意識というのは、私にとって、九州に行って初めて身に着けた安全意識です。

それまでは、大体経験者との同行で岩場に行くケースが多く、私が連れて行く場合でも、自分が連れて行ってもらったところを復習山行で連れて行く、ということがほとんどでしたので、支点は安全で確実である、ということは前提でしかありませんでした。

九州では、数多くの山岳会のドアも叩いてみましたが、所属することに不安が拭えず、個人で登ることを選択せざえるを得ません。

そうなると、

支点の見極めも自分持ち、

と言うことになります。

これは、経験の浅いクライマーには、なかなか難しいことです。経験者と同行していても、どう経験者が支点を見極めているのか?と意識して、見ていなければ、身につかないでしょう…

佐久の志賀の岩場は、JFAが本格的なリボルトに入ったことで、興味深い岩場でした。

メンバーは、東京方面から、山岳会からはみ出し者である、似たような境遇のメンバー5名です。

■ 8月5日 1本杉エリア

5.10Aをぬん掛けしてもらって、リードし、オンサイトできましたが、なんか調子は悪かったです。お疲れかな?

一本杉エリアは、日陰で涼しく、暑いだろうとかなり防御してノースリーブで行った割には大丈夫でした。

半ズボンの人は、たくさん蚊に刺されていました。


■ 8月6日 神社エリア もとい、??エリア

私にとっては懐かしいエリア。岩田さんとかと登ったなぁ…あのレイバック怖かったなぁ…という課題でした。

10cのスラブは初心者時代にも怖かったですが、今回も怖かった。

いくつかオンサイト出来る課題もありました。


■ 8月7日 ひなたエリア

ひなたエリアは、初めてのビレイヤーで今後海外で組めそうな人と。5.9はオンサイトできましたが、なかなか厳しいです。1本目が、となりの5.10Bより遠いってどういうことよ?

ガンバって、プリクリ無なので、心がすり減って大変。


■ 連日 雨

この時期の佐久の岩場は、標高が低いので、お勧めではありません。私のように支点を見学するとか、そういう特別な用事でない限り、暑いので、小川山のほうが標高の分良いと思われます。

しかも、連日昼過ぎからはお天気が崩れ、3時には雨なので、登れる時間も限定されてしまいます。

ただしエリアを選べば、日陰は比較的涼しく登れます。ウエアはそれこそ、短パンノースリーブかもしれません。上裸がいいと思われますが、日本の岩場では蚊に刺されるリスクのほうが快適度より高いような?

■ 責任問題

整備のため、入場料で一人1000円取られます。これは、ボルト代というのは分かりますが、入場料と言うのは、ただ積算されるだけなので、整備にかかったお金を取り戻すという話なら、損益分岐点があるハズです。それを知らされもせず、永遠に1000円払い続けるというのは、嫌だなー。

周辺のクライマーにも声をかけて見ましたが、一様に高すぎるという意見が優勢でした。駐車場代で1台1000円なら分かる、と言う意見が、もっとも妥当なラインと思われました。

一般に、入場料などとして、施設使用料と取った場合、インドアジムと同じで、そこで起きた事故は管理者の責任となります。

それなのに、なに、この1ピン目の高さ、という整備具合でした。

落ちれるフリークライミングではなくて、落ちてはいけないフリークライミングである、という点は、せっかく整備が入ったのに改められていません。

リボルトの場合、リボルトの質の話として、ボルトが品質向上して、ハンガーボルトからケミカルになった点ばかりが強調されます。

が、それでいいのでしょうか?そりゃ40年前、30年前に打たれたボルトより、現代のボルトのほうが強度が上なのは当然です。しかも、志賀の岩場なんて、日本の最内陸なんで、海からは最も遠いので、塩害に耐えるボルト、つまりチタンなんて、オーバースペックではないですかね?まぁ、お金に余裕があれば、チタンでもステンレスでも、なんでも使えばいいと思いますが…。

私は昔の人の話を聞いていると、乏しい資源の中で、よく工夫して必要な強度を引き出してきたなぁと思うことが多いのですが、過剰な安全を求め過ぎる風潮には、ちょっと疑問があり、ケミカルもその一つです。

まぁ私も落ちるならケミカルがいいですけど…(笑)。

それよりも、リボルトでお願いしたいのは、そもそもの支点の適性配置です。

ボルトの質以前に、そもそも

・落ちそうなところに支点がないとか、
・1本目が遠いとか、
・2本目が1本目より遠いとか、
・3本目が、1本目プラス2本目の距離より遠いとか、

そもそも論的なバッドな配置、辞めてほしい。わざとRルート、作っているんですか?って配置が多いです。それがグランドアップで、仕方がないからそうなっているなら、いざ知らず、ラッペルダウンでも、上手すぎる人が作っているために、ガバ=支点飛ばし、という論理はおかしい… 5.9のボルトは、5.9を限界とする人のために打ってもらわないと。俺にはいらねーから打ってないってのは、その開拓者が作った同じ岩のほかの課題を見れば分かります。なぜなら、自分にとってボルトが必要な、つまり、落ちるかもしれない、…課題は適正ボルトになっているからです。

例えば、5.12と題されたルートは、両足で立てるところに1本目が打たれています。つまり出だしのムーブから、5.12だからですね。 ですから、いくらガバでも、出だしのムーブが5.6ではなくて、5.9だったら、5.9でも両足で立てるところから打たないといけません。

が現状はそうなっていませんよね。5.9と並べて見れば、5.10bなのに、1本目は、80cm下にありました…つまり、5.9を登る人は一本目掛けるまで落ちれない。5.10bの人のほうがその距離は80cm下であるからには、落ちれない時間は5.10bの人が短いわけです。

これは登山理論ではトレードオフですが、易しい課題ほど心理負担が大きいということです。難しいのをやる人は、怖い思いはしなくて済んでいるっていうことなんですね、簡略化すれば。難しいだけで怖くはない(危なくはない)。

ということで、日本では実力に見合ったルートというのが初心者ほど用意されていないという現状になっており、それはリボルトで是正されるか?というと是正されないということが分かったのが今回の収穫でした。

どうせ岩を傷つけなければいけないのであれば、意味ある打ち方にしてほしいです。