2019/08/12

2019夏の遠征 中盤 志賀の岩場

■志賀の岩場

今回のメインディッシュは、佐久の志賀の岩場です。
JFAの終了点

師匠の青ちゃんはレスキュー隊長だったため、支点構築やロープワークに長けており、私は、九州で、本州では見たことがない支点を見るたびに不安になって相談していました。

■ 支点への意識

支点への意識というのは、私にとって、九州に行って初めて身に着けた安全意識です。

それまでは、大体経験者との同行で岩場に行くケースが多く、私が連れて行く場合でも、自分が連れて行ってもらったところを復習山行で連れて行く、ということがほとんどでしたので、支点は安全で確実である、ということは前提でしかありませんでした。

九州では、数多くの山岳会のドアも叩いてみましたが、所属することに不安が拭えず、個人で登ることを選択せざえるを得ません。

そうなると、

支点の見極めも自分持ち、

と言うことになります。

これは、経験の浅いクライマーには、なかなか難しいことです。経験者と同行していても、どう経験者が支点を見極めているのか?と意識して、見ていなければ、身につかないでしょう…

佐久の志賀の岩場は、JFAが本格的なリボルトに入ったことで、興味深い岩場でした。

メンバーは、東京方面から、山岳会からはみ出し者である、似たような境遇のメンバー5名です。

■ 8月5日 1本杉エリア

5.10Aをぬん掛けしてもらって、リードし、オンサイトできましたが、なんか調子は悪かったです。お疲れかな?

一本杉エリアは、日陰で涼しく、暑いだろうとかなり防御してノースリーブで行った割には大丈夫でした。

半ズボンの人は、たくさん蚊に刺されていました。


■ 8月6日 神社エリア もとい、??エリア

私にとっては懐かしいエリア。岩田さんとかと登ったなぁ…あのレイバック怖かったなぁ…という課題でした。

10cのスラブは初心者時代にも怖かったですが、今回も怖かった。

いくつかオンサイト出来る課題もありました。


■ 8月7日 ひなたエリア

ひなたエリアは、初めてのビレイヤーで今後海外で組めそうな人と。5.9はオンサイトできましたが、なかなか厳しいです。1本目が、となりの5.10Bより遠いってどういうことよ?

ガンバって、プリクリ無なので、心がすり減って大変。


■ 連日 雨

この時期の佐久の岩場は、標高が低いので、お勧めではありません。私のように支点を見学するとか、そういう特別な用事でない限り、暑いので、小川山のほうが標高の分良いと思われます。

しかも、連日昼過ぎからはお天気が崩れ、3時には雨なので、登れる時間も限定されてしまいます。

ただしエリアを選べば、日陰は比較的涼しく登れます。ウエアはそれこそ、短パンノースリーブかもしれません。上裸がいいと思われますが、日本の岩場では蚊に刺されるリスクのほうが快適度より高いような?

■ 責任問題

整備のため、入場料で一人1000円取られます。これは、ボルト代というのは分かりますが、入場料と言うのは、ただ積算されるだけなので、整備にかかったお金を取り戻すという話なら、損益分岐点があるハズです。それを知らされもせず、永遠に1000円払い続けるというのは、嫌だなー。

周辺のクライマーにも声をかけて見ましたが、一様に高すぎるという意見が優勢でした。駐車場代で1台1000円なら分かる、と言う意見が、もっとも妥当なラインと思われました。

一般に、入場料などとして、施設使用料と取った場合、インドアジムと同じで、そこで起きた事故は管理者の責任となります。

それなのに、なに、この1ピン目の高さ、という整備具合でした。

落ちれるフリークライミングではなくて、落ちてはいけないフリークライミングである、という点は、せっかく整備が入ったのに改められていません。

リボルトの場合、リボルトの質の話として、ボルトが品質向上して、ハンガーボルトからケミカルになった点ばかりが強調されます。

が、それでいいのでしょうか?そりゃ40年前、30年前に打たれたボルトより、現代のボルトのほうが強度が上なのは当然です。しかも、志賀の岩場なんて、日本の最内陸なんで、海からは最も遠いので、塩害に耐えるボルト、つまりチタンなんて、オーバースペックではないですかね?まぁ、お金に余裕があれば、チタンでもステンレスでも、なんでも使えばいいと思いますが…。

私は昔の人の話を聞いていると、乏しい資源の中で、よく工夫して必要な強度を引き出してきたなぁと思うことが多いのですが、過剰な安全を求め過ぎる風潮には、ちょっと疑問があり、ケミカルもその一つです。

まぁ私も落ちるならケミカルがいいですけど…(笑)。

それよりも、リボルトでお願いしたいのは、そもそもの支点の適性配置です。

ボルトの質以前に、そもそも

・落ちそうなところに支点がないとか、
・1本目が遠いとか、
・2本目が1本目より遠いとか、
・3本目が、1本目プラス2本目の距離より遠いとか、

そもそも論的なバッドな配置、辞めてほしい。わざとRルート、作っているんですか?って配置が多いです。それがグランドアップで、仕方がないからそうなっているなら、いざ知らず、ラッペルダウンでも、上手すぎる人が作っているために、ガバ=支点飛ばし、という論理はおかしい… 5.9のボルトは、5.9を限界とする人のために打ってもらわないと。俺にはいらねーから打ってないってのは、その開拓者が作った同じ岩のほかの課題を見れば分かります。なぜなら、自分にとってボルトが必要な、つまり、落ちるかもしれない、…課題は適正ボルトになっているからです。

例えば、5.12と題されたルートは、両足で立てるところに1本目が打たれています。つまり出だしのムーブから、5.12だからですね。 ですから、いくらガバでも、出だしのムーブが5.6ではなくて、5.9だったら、5.9でも両足で立てるところから打たないといけません。

が現状はそうなっていませんよね。5.9と並べて見れば、5.10bなのに、1本目は、80cm下にありました…つまり、5.9を登る人は一本目掛けるまで落ちれない。5.10bの人のほうがその距離は80cm下であるからには、落ちれない時間は5.10bの人が短いわけです。

これは登山理論ではトレードオフですが、易しい課題ほど心理負担が大きいということです。難しいのをやる人は、怖い思いはしなくて済んでいるっていうことなんですね、簡略化すれば。難しいだけで怖くはない(危なくはない)。

ということで、日本では実力に見合ったルートというのが初心者ほど用意されていないという現状になっており、それはリボルトで是正されるか?というと是正されないということが分かったのが今回の収穫でした。

どうせ岩を傷つけなければいけないのであれば、意味ある打ち方にしてほしいです。