今日は雨で、お客さんも、予約がありますが、おそらくキャンセルになる予定で、お天気に沿って生きる、という山の暮らしを味わっています。これこそ、まさしく下界で失われた、お天気とともに生きる生活です。
■ 初の試み
ところで、最近、地方の過疎化の対策で、過疎地では盛んに、”ワーケーション”という試みが各地で試されています。ワーケーション=”働きながらバケーション”みたいな意味です。
今回、私が来ているのも、そのような試みの一つで、初の試みということで、
「ネット環境があれば、山小屋で自分の仕事ができるかも?」
な感じです。
小屋側からは、平日に小屋に住んでくれる人…お客さんがガラガラで困るんだよねーな状況の改善対策が作れるかも?な試みではないかと思います。
そのお客さんに週末だけ小屋の仕事を手伝ってもらえば、Win:Winですよね。
そこで、その是非の面を実体験から考察してみたいと思います。実体験と言っても、まだ、5日目ですけどね。
■ 個人的背景
私は小屋バイトは3件目です。小屋バイト全般に言えるのは、”山にいるのに山に行けない”。”山にいるのに運動不足”です。
山登りって、普段は下界で、超・健康優良児な生活をして、体力アップした体を山に持ち込んで、山での消耗に耐える、という活動なのです。
ところが、小屋にいると、消耗生活がベース。食事も乏しく、お風呂などのコンディショニング系の活動も手薄に。基本、耐久・窮乏生活みたいな生活になります。
岩根の時は、岩場の隣にいるのに、急に非番になったところで、クライミングパートナーがいなければ、岩に登れず、とても残念でした。いっぱい甲府にクライマーの友達はいましたが、みんな、そんな急に言われても…なんですよね。
■ 小屋でネットを通じて働くメリットを考察
1)山の清らかな空気の中で働くことができる… 高地療養
2)下界の夏の猛暑から逃れられる
3)空気が薄いので、アスリート向けの高所トレーニングとなる
4)景色が美しい
5)運がよければ、仲間や知り合いが出来て、楽しく過ごせる
他にもあるでしょうか? ぜひご指摘、お願いします。
■ デメリット?必要な資質?
1)下界並みの快適性(お風呂やトイレなど、清潔を得るのに必要な配慮)
2)下界ほど、利便性は得られない(欲しいものがすぐ手に入るかなど)
3)日射による日焼け
4)小屋の清掃時間や食事出し時間があるので、その時間はネットが必要な場所は、仕事しづらいことがある
5)粗食に慣れる必要がある (今日の朝は、ジャガイモと米とブロッコリーひとかけ、で、全部糖質…汗)
6)質素な暮らしが肌に合うかどうか?
7)共同生活に対する適性 (多くの人と寝食を共に)
■ 何と比較すればいいのだろうか…?
うーむ。ここ数年、天草や和歌山へ出向き、自給自足暮らしを経験していますが…、山の上でなく、下界でも、僻地は不便です。なので、耐乏・窮乏生活というのは、結構、同じ。
しかし、大阪のど真ん中で、しばらくモノ最小限の暮らしをしてみましたが、食事は…
朝: 卵1個、玄米レトルトがゆ、梅干し
昼: 外にランチに行く
夜: おすし、お惣菜、を組み合わせたスーパーの品
でした。のどを痛めて、喉通りが大事でしたので、卵豆腐、豆腐、大活躍。あとは、プロテインドリンクで、たんぱく質は補充していました。
たんぱく質は、現代の生活では、どんな素敵な献立にしても、日本人の献立は、主食6:おかず3:他1に設定されているので、どうしても、糖質過多で、ビタミン・たんぱく質不足になります。これは、下界にいても同じです。学校給食や病院食のような管理栄養士が、献立を立てた食事でも同じなのです。
また、新鮮な野菜・フルーツが得られる下界でも、現代の野菜やフルーツに、そもそもビタミンCをはじめとする栄養素が少なく、ほとんど糖質ですので、あまり優位性はないです。これは、農業に従事して知りました。
なので、小屋でも工夫次第では、きちんと栄養摂取することが可能だと思います。私は、今回、ビタミンB50、ナイアシン、亜鉛、鉄、マグネシウム、プロテインパウダーを持ち込んでいます。VCを持ってくるのを忘れた…
今日は、朝食が、米、芋、ブロッコリーひと房という日で、これは…どう考えてもプロテイン不足なので、ほしい人全員にプロテインドリンクを作って配りました。マンゴー味を持ってきてしまったため…、好きな人と嫌いな人に分かれてしまい、飲まない人もいました。が、栄養学的知識があれば、健全な精神には、たんぱく質が必要だということが分かります。
脳内の神経伝達物質のセロトニン等の物質はたんぱく質から作られます。ほかに生成にビタミンB、C、鉄なども必要です。下図を参照してください。
小屋での食事となると、保存できる点が大事になりますが、プロテインパウダー(飲めない人はアミノ酸)は、下界でも、保冷のいらないパウダー製品なので、各地の山小屋で導入するといいのではないかと思ったりします。そのためには、山の医師のアドバイスなどが必要かもしれません。
結局、下界で食べているものも、私の場合ですが、玄米ご飯、味噌汁、焼き魚、豆腐、卵、おいしいコーヒーで、まぁ日々の代わり映えも、お買い得シールが付いた野菜をつけ足す程度なので、よくよく考えてみれば、そう山で実現が不可能なものではないかもしれないです。
■ チョコを食べたい?
日ごろ別にチョコ食べていない(笑)けど、チョコがない、となれば、チョコ食べたい!となるように、人はとにかく、ないものを欲しがるって言うだけのことかもしれないなぁ…と遠い目の私です。
以上が、食事に関する考察です。
■ 生活に関する考察
現代人って、やわだからなぁ…。
沢水が臭いと言って、抗菌ティッシュでした… 抗菌ティッシュって、余計免疫弱る奴ですよね…
というので、山小屋でワーケーションに適した人材というのは、やっぱり山岳部や山岳会、登山出身者ではないか?と思います。
水が限定的、トイレがぼっとん、雨の日は沈殿、電機は発電機、みたいな、山の常識が身についていないと、そもそも不満を貯めそうな気がします。
・お風呂は共同でシャワーではない
・トイレが和式のぼっとんで、水洗でも、ウォシュレットでもない
・電気は、発電機なので、消灯時間後はネットも停止。(もちろん、個人のスマホで充電済みで、電波が入れば例外)
・ゴミは燃やす、食器は拭いてから洗う
他にもあるかな? 例えば、気が向いたときにTVを見る、みたいなのはないです。ネットはでも、みんな見ていますね。
本当を言えば、山ヤが3人集まれば、楽しい山談義ができるのです。雨の日は…。山小屋で、山の本がいっぱいあるので、ワーケーションで疲れたら、次に行く山はどこにしようか?と山小屋にある本に相談できる。日本登山大系とネット、岩雪全セットがあれば完璧です。
私がラオスのクライマーの家で楽しかったのは、まさにこれで、夕食は楽しいクライミング談義、そして、次は一緒にあそこに行こう!という仲間ができるのが良かったです。ラオスで一緒に登った妻帯者クライマーのデイビッドと台湾には登りに行きました。
■ 小屋バイト君は、通常山ヤではないことが多い
小屋バイト君は、基本的に、山ヤでないことが、昨今どこの小屋でも普通です。
小屋に入って、山に目覚める、っていうのがあればいいのですが… ないかもなぁ…。
大体、どういう人種が多いか?というと… 世界放浪系、高校生、大学生、ヒッピー系かなぁ…。私みたいな、社会人です!みたいな人は少ないです。
前にいた岩根では、おかみさんが配慮してくれたのか、今からクライマーになりたいという若い男子が一人いたのですが… 今からクライマーになるところの人だと、ビレイができないので、こっちが危険になる…という…、ああ…おかみさんの勘違い…(涙)という結果になったんだよなぁ…
本当は、講習会に出なければ得ることができない、有料でお金もかかる知識…基本の岩講習で習うようなこと…を無料で教えた上に、教える側は、命がけにさせられるという完全不平等条約が、クライマーではない、おかみさんには分からない…という事例だった。親切で配慮してくれたものの…でした。
私は、その子が物ほしそうに私を見るのが嫌でたまらず、頑としてクライミングを教えなかったのですが…なんせ私のパートナーになる気ゼロなので…、でも、アイストップクライマーのギンちゃんが、たまたま岩根に遊びに来て、初心者のビレイにも文句を言わず練習しようとしている姿を見て、心を入れ替え、ビレイだけは、と彼に教えたのでした。当然ですが、ちっとも、感謝はされませんでしたけど…。
あ、最後、愚痴になってしまいそう…(><)
私は、もともと山ヤなので、今いる小屋はお客さん、宿泊者の登山者と楽しく山の話ができ、幸せです。みんなが行った山で良い山を聞くのは楽しいです。
単に、夏山で小屋に泊まるような、初心者レベルの登山客時代が、あっという間に終わったというだけで、山が好き、という価値観は全く一般登山者と同じなので、ご来光を見よう!とか、星空がきれいで感動!とか、すごい景色を見たい!とか、お花畑が見たい!など、私がメリットだと感じることは、一般登山者と同じです。
今回は、称名川の研究ができそう。
その上、ネットもつながり、今の取り組みであるオーソモレキュラー栄養学のセミナー申し込みも、バッチリ出来た♪
試しに楽天証券のログインも試してみましたが、できました。トレードすら、山上からできるということです。もちろん、デイトレードみたいな、5分刻みのは、発電機が回らないと電気もないわけなので、発電機が止まるリスクがある山では、向いていませんが、投資信託を解約するとか、ネット銀行で支払いを行うとかなら、十分可能です。
情報の鮮度的にも、下界と同じレベルの鮮度で、Youtubeでゲットできます。つまり、下山したときに、浦島太郎になるリスクゼロ。
もちろん、こうしたことをしたいのは、登山者なら雨の日だけで、晴れの日は外を歩いていたいかもしれません。
つまり、今まで、雷鳥沢で、テント泊沈殿していた人が最適ワーケーション対象なのかなぁ。今、閉鎖している雷鳥沢ロッジなどにネット環境を整備して、一日1000円でネット使い放題にすれば、やる人いそうです。もしかしたら、2000円とってもいいかもです。
■ トップクライマーにもいいのかも?
思うに、石井スポーツに勤めていないで、山小屋でトップクライマーが主を務める、というのもアリなのかもしれません。
花谷康弘さんが、甲斐駒七条小屋を引き継いだ時は驚きました。甲斐駒は、アイスクライミングの初級ルート(黄連谷)で知名であるので、冬は山小屋っていうより、クライマーハウスです。私も冬しか利用したことはありません。
以上、考察でした☆
こーんなところで暮らせるんですよ?中高年登山者の方も来ませんか?山小屋ワーケーション