2024/07/21

【クライミングによる地域おこし】みんなで岩場のそばにクライマーハウスを持とう!

 甲府時代も入れれば、ここ10年ほど、様々な空き家物件を見ています。

九州に転勤になってからも、クライミングによる地域おこしの可能性を、岩場が存在する地域自治体の皆さんに、提案・お知らせする、というプロボノ活動を行っていて、そのうち成功したな、と思える事例が、いくつかあるほどです。

■ 物件取得費用が限りなくゼロ円に…

私がもったいない!と思っていたのは、岩場のある自治体が、岩場でクライマーが登っていることすら気が付いておらず、その地域に、心あるクライマーが足繁く、通ってきている、ってことをそもそも知らない、ということでした。

特に、小川山&瑞牆がある北杜市は、アルパインクライミング界のアカデミー賞と言われているピオレドール賞受賞者が何人も暮らしているほどの、日本のクライミングメッカ。

なのに、地元の人…農協のおじちゃん、おばちゃんみたいな人々です…は、そのことを誰も知らない。

本当は誇らしいことなのに、誰も知らないのです…

それはなぜか?というと??

クライマーは歴史的に、地元の人に見つからないように隠れてコソコソ登ってきたから…なんですよね… 

”本質的に悪いこと”をしているから怒られるぅ!と思っていたわけです。

でも、岩に登ることって悪いことですかね?? 

楽しいこと、ですよね。山に登るのが楽しいことなら、岩に登ることも、基本的にはその延長で、ただ普通に楽しいことだったのに… 

クライミングの安全対策を不行き届きなままでやる人が多いと、事故や怪我が起きたときに、地権者に対して責任問題になる。

だから、黙って(隠れて)登っちゃえ!そうやって、最初から嘘の上塗り路線で、クライミングの歴史が作られてきたわけなんですね…(汗)

でも、その歴史って、公共の人々…特に地元の人々から、承認をもらう…っていう肝心の大事な部分を後回しにして、内輪だけで、やーれ、5.14だの、フリーソロだの、登山やクライミングの歴史を作って、盛り上がってきたわけです。

内輪って言っても、その”内輪”は、グレードシステムによって、”世界規模な内輪”につながる道があった、わけなのです…。

例えば、故・吉田和正さんは、本来、世界で初めての5.14aを登った人のはずでした…もし今だったら、ネットで情報が瞬く間に広がるので、再登してくれる人が出て、確かにこれは、5.14Aです、と言ってもらえるかもしれないのですが、1989年当時だと、本当に5.14Aなのか分からないので、5.13dとしてしまい、それだと世界一にならない…ということで、得れたかもしれない栄誉を得そこなう、というような歴史の波間に消える人も出てきます。

世間に成果が認知されていない…

これが、クライミングが、なんとなく社会の日陰な存在である理由でした。

■ ロッククライミングをお日様の当たる活動にしよう!

しかし、時代は変わってきました。オリンピックの種目になったことで、クライミングは一気に、市民権を得て、クライマー人口はうなぎのぼりです。

岩場のある地元だって、若くて元気なクライマーが岩場で楽しく遊んでくれれば、それだけで、若さと言うエネルギーが地域に流れ込んだかのようで、うれしくないはずはないでしょう。

■ 障害1 地元が一攫千金濡れ手に粟のイメージを持っている

自治体が持っている岩場によるアウトドアツーリズムの成功イメージが、バブル期の遊園地開発みたいな、濡れ手に粟で、ウハウハ路線だ、という点に、誤解という問題がありますが、そんな観光開発ではなくて、もっと地元の本当の良さと結びついた観光開発の良さが、ロッククライミングによる観光開発にはあります。

岩って、正真正銘、その地域に固有の財産、なんですよ。世界広し、といえども。例えば、大やすり岩は、世界に一つしかないですよね?

だから、一番よくないのは、岩を削る、みたいな、固有性を失わせる行為です。クライミングでは、チッピング、という名前がついて、クライミング界最大の背徳、とされています。

■ 障害2 事故

クライマーと一口に言っても、今、都会のジムでクライミングしている人が思っているクライミングって、

 プラスチックホールドを登るボルダリングのこと

です。外のロッククライミングで主流は、ロープを使ったリードクライミングです。クラッシュパッドを使った外のボルダリングも盛んですが、共通点は?

どっちも、インドアより格段にリスクが大きい、

ということです。そのことが切り分けられないで、外の岩に、クライマーです、と自己申告してくる人が後を絶たないんですよね。

アウトドアのクライミング歴を聞かないとクライマー認定すべきではないです。

アウトドアの経験がないと、当然、リスク予知がおろそかなので、びっくりするような、おバカな理由で

 事故

になります。現在、大体の事故は、内輪でもみ消されているような感じです。

事故の情報が共有されないので、反省もされず、次の事故も阻止されないという流れにあります。

■ 障害3 クライマー界内部の足の引っ張り合い

クライマー界って、9割男性です。男性同士が名誉を競って、切った、張った、している、ってことが多いです。

結局、そうなると、起こるのが足の引っ張り合い…

というので、古いクライマーが新しい次世代のクライマーの足を引っ張っている、ということは全く珍しくありません。(例:小鹿野)

インドアジム経営では、逆に、新しいクライマーが全くクライミングの素地なしでクライミングジムを立ち上げるので、これがクライミングってものだったっけ?みたいな、クライミングジム運営に陥ってしまっているジムも多いようです。

かいつまむと、クライミングジムでは、登る内容をセッターと言う人が決めています。そのセットが消費される…ってことですね。漫画に目覚めた子供が、次々、漫画買って!と親におねだりするみたいなことになっています。それに追い立てられるジムは、疲弊する、という循環みたいですが、これは、外の岩を登っている限り、起きない問題です。

その他、クライミングジムの弊害はいっぱいありそうですが…目的は、問題の整理ではないので、とりあえず、大雑把なもので今回は割愛します。

■ 過疎の田舎にある0円物件を地域のクライマー有志で共同保有しよう!

日本では、不動産剰余時代がすでに到来しています。

子どもが減ることで、自分の親が資産がなくても、叔父・叔母から、不動産が相続されることが珍しいことではなくなりました。

例えば、配偶者が亡くなった時、その配偶者に100%資産が行くか?というと?これが行かないんですよ、日本では。亡くなった配偶者の兄弟にも財産権があります。不動産は分割できないので、売却ということになりますが、簡単には売却もできない…となると、固定資産税を払いっぱなしで何年も過ごさないといけない、ということになりますよね。

例え、年数万円の固定資産税でも、年金が年数万円だとすっかり消えてしまいます。ので、タダでも手放したい、という負の不動産は、現代には多いです。

例えば、

 家いちば

 0円物件

 山いちば

みたいなサイトで、購入者を探す不動産オーナーも多いです。

そこで私が提案したいのは、長い間、会費を貯めに貯めて、高級外車と言わないまでも、国産新車くらいなら、買えるようになっている地域山岳会は多いわけなので、

そうした会が、団体、法人として、岩場のそばの0円物件などを所有したらどうか?

ということです。今、不動産は、管理者不足時代なのです。

■ 日本版岩場トラスト

なぜなら、まるで自然トラスト、のように、岩場のそばの物件って、地域やその岩場を愛しているクライマーの共有の財産にするのが、本来は良いことなのではないか?と思うからです。

岩場を大事にしているクライマーなら、そこをゴルフ場開発に安易に売ったり、太陽光パネルだらけにして、災害の原因を創ったりしないでしょう。

ただ、自然をあるがままに愛する、それが大事なことなのです。

実際、山岳会やクライミングの会の総会って、ただのデカい個人宅で開かれていることが多いです。岩場のそばではないですが…。大体、会の裕福な人の家です(笑)。

もちろん、都会の会は、市民センターなどで例会を開いていますが、結局、飲み会の席で実際の山の企画は盛り上がるって結果になっていますよね。みんな、飲まないと本音言いませんよね(笑)。

田舎では、居酒屋はないので、これが大体個人宅ってことになっています。

■ メリット

岩場のそばに、〇〇会山の家があったりしたら、そこへ遠くの別の会が、交流や遠征に来たりすることができるでしょう…

まぁ、昔からやっている本格的な人は、自前の車中泊で、どこでも勝手に寝泊まりしちゃって、宿泊費用なんてゼロ円というのが普通なのですが、こう新規参入の人が増えると、

 雑魚寝ハウス

があると便利ですよね。特にトイレ問題や、女性には軽犯罪のことを考えると、家があると楽です。雑魚寝ハウスの宿泊費用は、1000円が普通です。

今は、小川山一人勝ち、な日本の岩場です。

小川山はクライマー以外の人からも人気で、週末などは駐車場も停めれないし、課題は行列だし、大変ですね。それは、今までの小川山の歴史があって、どんなスキルの人がどの課題を登ればいいのか、指南書が結構出ているから可能になっています。

それに、小川山が人気なのは、

 オフィシャルに宿泊が許可されている&歩いて岩場に行ける

から。

そんな場所が日本全国に広がれば、それらをつないでツアーとすることで、楽しく日本中を一周できる。

季節の良い岩場を追いかけ、冬は南下し、夏は北上する。そんな楽しいクライミングツアーができるのが、日本の全体の岩場の良さ、だと思います。

昔は、一部のエリートクライマーにのみ許された、そんな楽しさが、普通の人にも可能になれば、それはとても楽しい世界ではありませんか?

クライミング遍路、みたいな。

私自身は、旅行するより、一か所に留まるのが好きな性格ですが、それでも、自分のペースで各地の岩場を訪ねて、その地域の岩場の思想や歴史に触れることができれば、楽しいだろうなぁと思ったりします。

そうしたことをかなえるのに…不動産あまりの今の日本は、絶好のチャンス。

実際、アドレスという会社が、あちこちの田舎に短期間住むことができるサブスクをやっています。

クライミングができる岩場のそばの物件で、アドレス社と同じことをやれば、車中泊なしで、日本一周クライミングの旅が可能に。

これは、体力の落ちた高齢クライマーやクライミング入門者にはありがたいと思います。

■ こんな物件はいかが?

昨日は、宇陀市にあるこの物件は、ナバラーの皆さんに、どうかな~と思ったりしました。

https://zero.estate/zero/kinki/1983_uda/

上記に上げた0円物件というサイトには、結構、伊東の物件が多いです。

城ケ崎も良い選択肢なのではないでしょうかね?

ただ城ケ崎は、アクセス問題が非常に大きい岩場ではあると思いますが。

ユージさんのいる小鹿野は、なかなか出ませんが、都市に近い田舎は、負動産化が遅いので、時間がかかるかもしれません。

負動産化が早い、というのは、過疎化が激しいということだからです。

実際、過疎化してから手放すより、そうなる前に、利用開始したほうが人の流れもスムーズだと思いますが…。

日本全国の規模間で、岩場を掌握している誰か、古いクライマーがクライミング人生のまとめとして、こんな活動をやってくれたら、それは楽しいのではないか?と思ったりしています。

みなで作っていく手作りの地域活動、そういう活動が私は日本の理想だと思います。

変にアメリカ式にビジネスの成功!みたいなことを考えて色気を出してしまうから、嫉妬という足の引っ張り合いで、にっちもさっちも行かないようにデッドロックに捕まるのでは?