■ もっと問題回避思考をクライミング界に
問題回避型思考というのは、モチベーションの持ち方の方向性のことです。
物事の悪い方を見つけて、ネガティブ面を改善していくことをモチベーションとする、という思考タイプのことです。
クライミングや登山などのリスクがある活動をするには、必要な資質です。悲観的防衛思考と言って、まず、何かにチャレンジする際には、
1)一番起きてほしくないことは何か?を考える
です。それを避ける作戦をとります。というか、とらないとバカみたいな浅はかな理由で死ぬ羽目になります。
例えば、祝子川での事故など、水流があるゴルジュで1方向でロックする確保器で確保したら、窒息のリスクがあることくらい、誰だって知ってるぞレベルの知識です。
■ クライミングでの最悪ケースは?死亡事故
クライミングをするにあたって、皆さん、何メートルから落ちると人は死ぬと思っています?
私は長く確保理論の論文から、6mで、13kNで人体は壊れる=高衝撃事故と同じと思っていたのですが、2022年に奥村さんの講習に出たとき、奥村さんは、2~3mと言っていたと思います。
https://allnevery.blogspot.com/2022/01/blog-post_9.html
思っていたより、低い高さなので驚きました。
2~3mって、ボルト間隔ですよねぇ?というか、適正ボルト間隔。日本の課題では、4~5mもランナウトしているのが当然です。20m、5本っていうのが、日本的な平均的ボルト間隔と思います。20÷5で4m。
4mって6mよりは低いけど、2~3mよりは高い。となると、総論としては、やっぱり落ちれませんね。
ボルダリングも、ハイボルって何メートルからハイボルなんだろうかなぁ?
こういうディベートをたけちゃんねるやってくれないですかねぇ?
4~5mの課題って普通で、私も岸良で5mくらいの5級を登っていますが…。あれ、怖かったよなぁ…。めちゃ怖かったのに、ガマンして登ったのに、誰も褒めてくれなくて悲しかったなぁ…。
クライミングは、理解力が上がれば上がるほど、恐怖がもたげてくる、という活動です。師匠が言っていました。つまり、バカと煙は登りたがるというのは、登るには、無知識で、無思慮な人間である必要がある、みたいなことです。
リスクについて知らなければ怖くないからです。でも、それって本当の勇気とは、全く別ですよね?
■ 死亡事故を避ける
さて、死亡事故をクライミングにおいて避けるには?と発想すると…?
大事なことは
2)登る前に降りる方法を確保する
です。
今朝は、こちらの記事がなぜか人気を集めた記事として、ピックアップされました…いや~。
https://allnevery.blogspot.com/2021/03/314nfa.html
展海峰に行ったときの記事です。いや、びっくりしたなぁ。あの時は。
ボルダリングの初心者講習なのに、
ランディングも教えない
登る前にクライムダウンを教えない
マントリングも教えない
なんて…。
【いろいろな、降りるスキル】
・山登りで降りる方法は、尾根を読図で降りることができるスキル。
・リードクライミングにおける、降りる方法は、ローワーダウンと懸垂下降。
・ボルダーで降りる方法は、ランディング練習とクライムダウン。
です。これらを身に着ける前に、なぜかみんな岩場に来ちゃいます。山岳総合センターの講習はよく考えられていて、雪上確保の前には、懸垂下降を必ずします。
■ 初心者ボルダラーだった私
私は、当時、ボルダーは初心者で、故・吉田さんと1回、中根穂高さんと1回の、計2回の外ボルダリング経験があるだけで、小川山バイト中に簡単ボルダー4級をオンサイト出来てよかった~と、ホッと胸をなでおろしている状態でした…。
なんかボルダーのほうがロープに守られているリードより危険ってイメージがあります。
九州では、ボルダリングの本場ということで、さー、ボルダラーデビューするぞ~と内心思わないでもなく、とっても希望に満ち溢れていたのです…。というのは、九州のボルダーはどれも素晴らしいですよ~と前評判を聞かされていたからです。
どれほど希望に満ちていたか?というと?
私には全く用事の無い、2段のボルダーですら、視野が広がってよかった、と評価するくらいなポジティブシンキング具合だったわけです…。
https://allnevery.blogspot.com/2019/12/5.html
これがどれくらいのポジティブシンキングか?というと、30代男性3人を先日、油山川の岩場と尾根に連れて行きましたが、彼らは30代前半で体力もあるのに、懸垂と読図をしただけで懲りた、そうです。
半分は読図山行、半分はこれ以上ないくらいの懇切丁寧な懸垂下降をしたのですが、横で同時にインストラクターが懸垂下降するという、クライマー人種にはありえないVIP待遇で懸垂下降を教えてあげましたが、彼らは懲りた、そうです(笑)。恐怖体験だったそう。
彼らがもっと怖かったのは、上級者コースと題された300mほどの谷間の登山道。そこ、すでに道が消えかけている登山道なのですが、ただ広い谷間を北上するだけのことすら、現代の若者はできない、のです。
つまり、ここを歩くのですよ、と道が明快に指示されないと歩けないのです…。
これでは、何が正解か?不透明な時代、VUCA時代を切り抜けられるはずがありませんね…
この山行のテーマは、登る前に降り方を覚えること、でしたが、それを教えるため、近所の石垣に連れて行ったときも、降りることを確認しないで登っちゃうし、8mくらいの壁を前にスラブの登りを教えるためにホールドの見つけ方を講習したら、登れる!と思って、とりつこうとするし…
要するに行動する前に、その行動の結果どうなるか?を考えないみたいでした。しかも取り付こうとしたのは、何メートルから落ちると人は死ぬか?を教えた後(笑)。
つまり、予習しても、その結果を行動に生かす習慣がない、ということです。この場合、登る前に降りる方法を確認する、習得しようとする、ということです。
3)行動する前にその行動の結果、どうなるか?をシミュレーションする、そして、それを行動に生かす
さて、話を戻すと、上記の2つの過去のログを見ると、要するに、九州で私に起こったことは、私は九州のクライミング界の上級者と称する人たちの
クライミング理解の浅さについて、いたく失望した
というのが、適切な表現でしょう…。
自称、”上級者です”と自称するだけの、十分なクライミングに関する危険予知能力がなかった…そのことを発見した、ということです。
■ クライミング界には伝統的にリスク予知(KY)がない?
そして、それは指摘した私のせいか?というと、私とは全く関係ありませんね。
まるでリトマス試験紙のようにクライミング界の欠陥をあらわにして悪いな、とは思いますが…。
こちらの山野井泰史さんの動画を見ると、やはりきちんと、登る前に降りることを考えつつ進行していますよね。
山野井さんほどすごくない人たちが、長年にわたり、リスク予知をサボっていた、という事実は、私とは関係ないですよねぇ…。
これって、デジャブー感ありますが…、それは松下でのロボット開発部での経験で、私はロボットに行く前に、別の開発部にいたのですが、その時はバグ管理データベースというのがあったのでした…。ところが、バグ管理DBがロボット開発部のほうにはなく、私は自分の仕事でもないのに、MSアクセスでDB組んだんですよね…。
そうすると、なんと、バグを指摘されたら、そのバグの修正プログラムの中にさらにバグを仕込んで、延々と自分に仕事が回ってくるようにしていた開発者(外部業者)が何人もいたんでした…。
これは、社内で大きな問題になり、これまで仕事してない人に、松下は延々と高額な外部委託費…(正社員より高いんですよ、即戦力なんで)、お金を払い続けていたことになり、私に無料でDB作らせた松下の上司は、栄転したみたいなんですが…。首になった外部業者が5,6人出たんですよねぇ… でも、これ、ワタシのせいです?違うよなぁ。
…というようなエンジニア時代の事例を思い出したのでした…。
クライミングしている間は、過去の出来事のデジャブー感が半端なかったです。これは九州に来る前からそうでした。実は、御坂山岳会でも同じようなことはありました。念のため、言うと、私は御坂山岳会には大変感謝していますが…。特に誘ってくれた先輩。
たぶん、日本的な発想、古い人を無条件に守って、どんなに意義があり、根拠の正しいことを言っても、新しい人は、理不尽な古い人に従うべき、嫌なら、組織を去れ、という体質が問題なんではないですかね??
日本国内の一般世論では、外資への批判や敵視が激しいですが、私はド・日本企業と外資の両方の経験値がありますが…その私が思うには、ド・日本企業の松下さんでは優秀な人から辞めていくという流れにあり、それは、日本的体質、優秀さが報われない…みんなで赤信号を渡っている…そういうものによるような気がしましたし、外資では、効率的で合理的に働いているだけで別に日本下ろしなんてしていないし、どうも、高橋洋一チャンネルを聞いていると、官僚制度、が日本的組織の害悪、その最たるもの、のようで、
日本社会がホワイト化するのが、単純に世界と比べて、遅れているのではないか?
と思いました。
同じことで、日本クライミング界では、他の組織同様に、改革が遅れに遅れまくっているだけなのでは?
みんなで赤信号を渡って、クライミングはそういうもんだ、と、実際は、諦観やサボりでしかない、リスク予知を放置して言い訳にしているってことです。
でも、リスク予知がなくても、死なないでいれるのは?逆に言えば、難しいことはしていないからですよねぇ?
その端的事例が、5.14RXが若い人に登られる時代に、5.8で40mランナウトしている課題で、粋がる、というような行為に私には見えるのですが…。
というわけで、
初心者男子君たち を見ても、×
自称ベテランを見ても、×
な印象しか持てなかったクライミング業界体験…
かっこよくて、頼りになる、強いクライマー男子
は、どこにいるんかーい!
■ まとめ クライミング3原則
1)一番起きてほしくないことは何か?を考える
2)登る前に降りる方法を確保する
3)行動する前にその行動の結果、どうなるか?をシミュレーションする、そしてそれを行動に生かす
少し表現が難しくなったので、ちょっと調整しました。
1)落ちたら、どうなるか?常に考える
2)登る前に、降りる方法を確保する
3)リスクを予知したら、当然、予防的行動をとる
以上で、どうでしょうかね?
まだやっぱり抽象的過ぎて、具体化するのがクライマー諸氏には難しいかもしれません。