2023/11/10

【ロッククライミングの教え方】村上先生の暗示&喚起による指導

 村上先生の暗示・喚起

■ すいません!!と講師が謝る

山岳総合センターにいる頃、冬山合宿で、パッキングが遅い仲間を、ボケッと、待っていた。私は沢と同じ方式で2重にしていたから、パッキングは超早かった。

すると、村上先生が、私に向かってみんなのいる前で「すいません!!」と謝ってきたのだ…

それで、パッキングが遅いというのはダメなクライマーということが分かった。

パッキングは手早くしなくてはならない、と言い換えることもできるだろう。

村上さんは、良い講師だったということを示す事例だ。

■ 暗示と言う教え方

これは、心理学でいうところの、暗示、と言う教えかただ。最も行動を喚起する力が強く持続的だ。

先生は、なんかすごい奴だったんだなぁ。

「早くパッキングしなさい」

とは、皆に言わない。

その代わり

 「私が遅くてすみません!」

と言う。

これが、言葉による、行動の暗示であり、喚起だ。周りの人は、自分に直接命令されていないけれど、

 そうか、冬山で、パッキングが遅いのはダメクライマーなんだ…

と自覚できる。

■ みんなが暗示に鋭いわけではない

しかし、私が思うには、男性グループと言うのは、コミュニケーション能力が、著しく低い。

アキレス腱断裂のリハビリで、

・近所の競泳系のスイミングスクール(若手大学生講師)

・一般整形外科のリハビリ室(若手男性の理学療法士主体)

・リハビリ専門のトレーニング施設 モビトレ (医師自らがトレーナー)

・一般のスポーツジム

・初動負荷 (イチローが利用したことが有名な施設)

・チョコザップ

・カーブス

・女性の高齢な先生が教えてくれるスイミングスクール

の7つに行ったが、男性主体のところは、どこも、空気が非常に悪い。空気が悪いというのは、すぐに競争をおっぱじめるという意味だ。

講師が男性の場合も、全然、”指導力”がない。

一般入院病棟の若い男性理学療法士が主体のリハビリルームは、ただ歩くだけに陥っており、全く喚起や暗示がなされていない。リハビリを受ける人をやる気にさせるというのが最も重要な指導力なのにも、関わらず。

モビトレでは、医師である先生たちが、ポーズを調整に目配りしており、生徒は、自分が間違ったやり方で筋トレマシンに座っているのではないか?ということは心配しなくてよい。その声掛けを、自己責任だろ、だからやらない、とか言うような人はいない。

最近カーブスに行き初めて、分かったが、カーブスでは、来訪者を個人の名前で呼び、カルテをつけ、その個人に励ましを与える量がすごい。いつももっと追い込んでいいよ、と私はトレーニーに頼んでいるが、頼まなくても、追い込んでくる。そうしないと、そのマシンを使いこなす人はたぶんほとんどいない。介入が大きいということだ。

一方、ちょこザップは介入ゼロ。スターターキットは盗難多発で、本来の入会者には渡らず、女性は危険で近寄りたくない場所になっている。まるでクライミング業界ですね。

つまり、正の介入をしなければ、人はネガティブ感情…盗みたい…に負ける。

閑古鳥だった初動負荷では、ストアマネージャーが「どうしたらいいんでしょう」と新規入会者の私に相談持ち掛けてきたくらいだが…お客さんに泣きついているくらいで、自信をもってあなたの体を直します!と言えないのだから、お客が来ないのは当然ではないだろうかね?ストアマネジャーが、どう運営していいのか分からないという相談をお客にすること自体が、どんな意味を持つのか?分かっていない。

水泳では、たったの月会費2000円で、オリンピック選手の候補に挙がったくらいの先生が、先生自らが潜って、私の呼気が十分かどうかを見てチェックしてくれる。その10倍以上、25000円くらい払った水泳専門スクールでは、大学生の男性の先生たちは現役選手だったが、泳ぎ方を教えるのは全然ダメで、「うーん、何が悪いんだろう?」と頭を抱える始末であった。プロ魂の入れ方が違う。(女性の先生たちに、こんどお礼もっていかなきゃなー)

結局、男性たちはほとんどのケースで

 教え方が分からない

のである。

クライミングも同じことだろう。いくら技術解説書が出ても、例の例えば、アルパインサマーが出たとしても、それは

 ロッククライミングインストラクターズマニュアル

ではない。

だから、昔の俺とは異なる新人が来たら、どう教えてよいか分からない。

村上先生は良い講師だった。鈴木清隆さんも良い師匠だった。青木さんも良い先生だった。吉田さんもなくなってしまったが、暗示で教えてくれた、と思う…。

私の持っているスキルの最も良いものは、

 良い講師を見つけるスキル

で、10年たってもロープドラッグで登れなくなることがあるということを分かっていないクライマーってのは、そのスキルが低い。なぜなら、登っている理由が、俺を見てくれ、注目してくれ、という、結局のところ、技術習得を主眼に活動しているわけではないからだ。結局、ものすごく自己肯定感が低いクライマーだ、ということなのではないだろうか?

私が提供できる情報やサービスは、

 40代でアルパインクライミングをスタートしても、単独初見で阿弥陀北稜程度には楽勝で行けるようになるスキル

です。フリークライミングの分野では、まだ、

 ちゃんとした講師

が発見できていません(笑)。

故・吉田さんにその役をやってもらう予定だったんだけど、吉田さん、予想以上の早期に亡くなってしまったんで。

<参考記事>

村上先生の訃報

https://allnevery.blogspot.com/2022/04/blog-post_19.html