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2023/11/10

【ロッククライミングの教え方】不安を書き出す&対策する

■ クライミングから人生を学ぶ

人生において、大きな決断をした後、人はどんな反応をするでしょうか?

例えば、

・大学が決まった後、

・就職先を決まった後

・結婚が決まった後

ポジティブな気持ちと不安な気持ちが混ざり合っていると思います。

クライミングでは…

・初めての外岩クライミングの日

・初めての講習日

・初めて海外の登攀に行くとき

・初めて行く岩場

・初めてクライミングパートナーと会う日

・初めてのクライミングジム

・大きなけがの後、久しぶりに岩場に復帰する日

■ 未来の自分にワクワク? どきどき?

 ポジティブ: 新たな旅立ちを始めた自分に対して、誇らしい気持ち

 ポジティブ: スタートをするのが 待ちきれないという逸る心

といった想いをもちつつ

 ネガティブ: どんな奴らが参加しているんだろう?

 ネガティブ: 体力ないけど、大丈夫だろうか

 ネガティブ: 高いところが実は苦手なんだけど・・・

このような不安も沸き起こります。

もちろん、

  元々不安が少ない人もいますし ← この人一番クライミングに向いていない人!

不安を感じても

時間の経過とともに忘れていく人もいます。これは普通の人です。

■ 不安は宝物 = クライミングのリスク管理能力

一方、

 ★なかなか不安が減らない

 ★逆に不安が増えていってしまう

そんな場合にどうしたらいいのか!?

■ 事例

私は、元々、過緊張タイプです。幼少期から顆粒球タイプ。肩こりとか、ガチガチです。つまり、無意識で、不安を人の何倍も感じてしまうタイプです。

今でも敏感な性質は相変わらずで、ちょっと水泳でトラウマを再現しただけで、昨日は一日アレルギー発作になって、寝込んでいました(^^;)

  具体的で細かいことに

あれこれ考えを巡らせては、不安を絡み取るように近づけてしまうのです。

ここ数年は、あまりに白亜スラブで私に起きたリスクについて考えすぎて、鬱になり、精神科医のお世話になったほどでした。

しかし、これこそが

 クライミングに適性がある

と言う証拠なのです。

なんせ、実社会では、破産しても命まではとられません。一度や2度の失敗は、命取りにはなりませんが、ロッククライミングでの些細なミスは、死亡事故に直結します。

クライミングだけが生きがい、ではなく、クライミングで作ったライフスキルを人生に生かしてくださいね!

では、さっそく、私がやっている不安対処法をお伝えしますね。

■ 起こりうるミスをリストアップする 

起こるかもしれない心配や不安の一つ一つを紙に書き出します。

つまり、クライミングで起こりうるミスをリストアップするということです。 

書き出したら、他に取りこぼしがないか?細かい要素もさらに書き出します。

クライミングで起こりうるミスなんて、まぁ、大体は既出で、事故記録を見れば、洗い出せます。自分で想像してみるというのが大事なので、やってみてください。パートナーがいたら、ぜひ二人でやってみてください。

例:マルチピッチに行ったら?

・とりつきが見つからない

・間違ったルートに取り付く

・ペツルのボルトとRCCの両方が見え、どっちがホントのルートか分からない

・登れない

・登ったものの、支点がない

・ギアを落とした

・登ったものの、ロープアップされない

・終了点を見落としてしまう

・アンカーが超しょぼい 体重を預けられる強度があるか不明

・トップが落ちた

・セカンドが落ちた

・トップもしくはセカンドが大けがして登れない

・お腹が空いた

・ハチに襲われた

・雨が降ってきた

他にもいっぱいあると思いますが、おおよそこんなところですね?

■ 対策してから行く

そのすべてについて

 対策してから行きます。

ぶっつけ本番は、クライミングの場合、ありません。なんせ、ぶっつけ本番で死にますからね! 十分準備しても、予想外のことが起こるのがクライミング。

   懸垂下降の仕方を知らない新人に、マルチに連れて行って現場で教える

ってのは無しです。 それはOJTではありません。手抜きって奴です。

山岳会のみなさん、それ、やっちゃってますよね?

それもこれも、教える側が、ひと手間かけて自分の時間を投資するのがイヤだから。

しかし、優秀な新人に自分のセカンドを務めてもらいたかったら、青ちゃんは、公園で3日もレスキュー講習をして、自分の技術を相手に伝え、相手の理解を高める努力をしました。

それくらいの投資で、インスボンに3度も付き合ってもらえたのですから、小さい投資だったのではないでしょうか?

吉田講習の様子:https://stps2snwmt.blogspot.com/2015/12/blog-post_27.html

■ すべてのリスクに想定をする

・とりつきが見つからない ← 経験者と行く

・間違ったルートに取り付く ← すでに行った人に話を聞いておく

・ペツルのボルトとRCCの両方が見え、どっちがホントのルートか分からない ←安全なペツルのほうに取り付いてみて様子を見る

・登れない ← 敗退手段を確実にする

・登ったものの、支点がない ← 支点構築スキルを得ておく 予備のハーケンとハンマーを持参する

・ギアを落とした ← 事前練習で落とさないように訓練する、下降器を落とした場合に備え、カラビナ懸垂をマスターしておく

・登ったものの、ロープアップされない ← プルージック登攀、ロープクランプによる登攀、ユマールのうち、どれかを携えてから行く

・終了点を見落としてしまう ← ロープスケールをもともとのルートに合わせる 例:40m

・アンカーが超しょぼい 体重を預けられる強度があるか不明 ← 支点を自作する

・トップが落ちた ← トップの固定、ローワーダウン、介助懸垂を覚える

・セカンドが落ちた ← あまり問題ではない

・トップもしくはセカンドが大けがして登れない ← 介助懸垂や固定を覚え、119番、日赤救急救命法を覚える、山行管理されておく、ヘリレスキューを頼む、ロキソニンを携帯する

・お腹が空いた ← ピンチ食を携帯する 日ごろから空腹になれる

・ハチに襲われた ← エピペンを携帯する

・雨が降ってきた ← ゴアテックスのレインウエア、あるいはツエルトを持参しておく

やれることはすべてやります。

■これでも不安なら?

「小っちゃ!」

これだけやっても、不安ならば、自分の器の小ささに対して、1人ツッコミをします(笑)

さらに

■ 自分ではどうすることもできないこと=相手の責任

書き出した不安項目を

・自分ではどうすることもできないこと

・自分で対応できそうなこと

この2つに分けます。

なぜなら、クライミングは二人一組の活動ですので、組んだ相手が悪かったら、道連れです。

組んだ相手が、勝手にロープドラッグし、ロープアップされない、というのは、セカンドの責任ではありません。

その他、セカンドの責任と、リードの責任を分けます。終了点をリードクライマーが見落としたとき、それはセカンドの責任ではない。

ちなみに、この不安の対処法は人生や、職場でも、問題解決のスキルとして使えます。

例えば、私は、20歳の時、アメリカに単独渡米していますが、その時は、一言も英語が話せない状態でした(笑)。今でこそ、(笑)と書いていますが、当時は必死です。渡米までたった1か月と時間もなかったので、サンフランシスコに向かう飛行機の中で、次に発話しなくてはいけない事柄を、『起きてから寝るまで』でシミュレーションしていました。

・飛行機を降りたら、次は?インフォーメーションを探す。”Where is the information desk?”

・住所を見せて、ここに行く方法を教わる ”How can I get to this address?”

...etc.

今とは違い、ネット情報もないころですから。それを考えると、今は不安を和らげる手段が多いと思います。

現実に即した不安=自分にとってスキルアップや自信アップのチャンス。

漠然とした不安の場合は、不安に思っていることを

 書き出すだけ

でもかなり楽になる人もいます。

■ 正体をつかむ

私はしつこい性格です。 

正体がわからないナゾな不安が、不安を大きくしてしまうんですよね。

事例としては、相方のリスク管理ゼロ、怖いという感情がない性格、が、私の不安の原因だということを突き止めるのに、なんと3年!も、かかったけど、それでも追及を辞めませんでした(笑)。

2度同じ失敗をするということは、クライミングでは許されないこと、だからです。

コスタリカ人は、ATC持ってきていないとかで組みませんでした。

5件の重大事故の裏に、300のヒヤリハットがありますが、ヒヤリハットから学ばなくては、時間の問題で、重大事故と言う結末につながります。

■ 相手の問題=自分で解決できない問題=ほっておく

自分ではどうすることもできない不安…つまり、相手の責任範囲…は

放っておく

という経験を積むことが大事です。

■ ポジティブバイアスに注意する

岩場に通って、マルチピッチの経験が、20~30回もあると分かりますが、恐れていたことが実際に起こるかチェックすると

ほとんど現実には起こらない

ことがわかってきます。これは、マイナスのポジティブバイアスです。

起こらない…起こる確率が小さいから、と言って備えないで良いわけではありません。

自分で対応できそうな不安は

 行動することを決めて、

 順番に実行していくこと

が大切です。

さぁ、あなたは今日、明日の楽しいクライミングのために、どんな準備をしましたか?

 日赤救急救命講習に申し込みした?

 ロープの傷み具合をチェックした?

 ギアのメンテナンスをした?

 ルート研究して、何メートルのロープがふさわしいか考えた?

あなたのクライミングに対する情熱が試される時ですね☆

ネット検索でルート情報を調べるだけでもザックリと、ですが、様子が分かり、不要な不安が減ってきます。

さらにわからないことがでてきて、より不安が細分化してくることもあります。

その場合は、さらに不安を書き出すことになります。

そして、さらに

次のことに分けます。

・今、やらなくてはいけないこと

・時が来てからやればいいこと

しっかり、不安をタイプ分けして

 ・行動して不安が減るものなのか、しなくていいものなのか

 ・行動のタイミングはいつなのか?

ザックリと見極めができると、

不安をいたずらに拡大させずに済みますし、無駄な投資をしなくて済むようになります。

例えば、

まだ5ピッチのマルチもちゃんと登れないのに、ヨセミテのビッグウォール(20ピッチ)とか行っても…(笑)

しかも、ヨセミテ行きたい人が、ゲレンデで、5.12RPを何回繰り返しても無駄ですよね?

合理的で、適切な努力をしていきましょう。

■ 悪循環

不安の悪循環の流れを善循環に変えると

 不安をポジティブな成果

に変えることができます! 私の人生はまさにこれです。自分では、人生万事塞翁が馬だなぁ、私ってわらしべ長者だなぁと思っていました☆

親が塾に行かせてくれない 

 → お受験が不安 

 → 早くから独学する 

 → おかげで国立大学&ただで米国留学

ありとあらゆる悪循環を善循環に変える方法は、

あなたの不安の中に

あります。

Enjoy, your inner power!


【ロッククライミングの教え方】村上先生の暗示&喚起による指導

 村上先生の暗示・喚起

■ すいません!!と講師が謝る

山岳総合センターにいる頃、冬山合宿で、パッキングが遅い仲間を、ボケッと、待っていた。私は沢と同じ方式で2重にしていたから、パッキングは超早かった。

すると、村上先生が、私に向かってみんなのいる前で「すいません!!」と謝ってきたのだ…

それで、パッキングが遅いというのはダメなクライマーということが分かった。

パッキングは手早くしなくてはならない、と言い換えることもできるだろう。

村上さんは、良い講師だったということを示す事例だ。

■ 暗示と言う教え方

これは、心理学でいうところの、暗示、と言う教えかただ。最も行動を喚起する力が強く持続的だ。

先生は、なんかすごい奴だったんだなぁ。

「早くパッキングしなさい」

とは、皆に言わない。

その代わり

 「私が遅くてすみません!」

と言う。

これが、言葉による、行動の暗示であり、喚起だ。周りの人は、自分に直接命令されていないけれど、

 そうか、冬山で、パッキングが遅いのはダメクライマーなんだ…

と自覚できる。

■ みんなが暗示に鋭いわけではない

しかし、私が思うには、男性グループと言うのは、コミュニケーション能力が、著しく低い。

アキレス腱断裂のリハビリで、

・近所の競泳系のスイミングスクール(若手大学生講師)

・一般整形外科のリハビリ室(若手男性の理学療法士主体)

・リハビリ専門のトレーニング施設 モビトレ (医師自らがトレーナー)

・一般のスポーツジム

・初動負荷 (イチローが利用したことが有名な施設)

・チョコザップ

・カーブス

・女性の高齢な先生が教えてくれるスイミングスクール

の7つに行ったが、男性主体のところは、どこも、空気が非常に悪い。空気が悪いというのは、すぐに競争をおっぱじめるという意味だ。

講師が男性の場合も、全然、”指導力”がない。

一般入院病棟の若い男性理学療法士が主体のリハビリルームは、ただ歩くだけに陥っており、全く喚起や暗示がなされていない。リハビリを受ける人をやる気にさせるというのが最も重要な指導力なのにも、関わらず。

モビトレでは、医師である先生たちが、ポーズを調整に目配りしており、生徒は、自分が間違ったやり方で筋トレマシンに座っているのではないか?ということは心配しなくてよい。その声掛けを、自己責任だろ、だからやらない、とか言うような人はいない。

最近カーブスに行き初めて、分かったが、カーブスでは、来訪者を個人の名前で呼び、カルテをつけ、その個人に励ましを与える量がすごい。いつももっと追い込んでいいよ、と私はトレーニーに頼んでいるが、頼まなくても、追い込んでくる。そうしないと、そのマシンを使いこなす人はたぶんほとんどいない。介入が大きいということだ。

一方、ちょこザップは介入ゼロ。スターターキットは盗難多発で、本来の入会者には渡らず、女性は危険で近寄りたくない場所になっている。まるでクライミング業界ですね。

つまり、正の介入をしなければ、人はネガティブ感情…盗みたい…に負ける。

閑古鳥だった初動負荷では、ストアマネージャーが「どうしたらいいんでしょう」と新規入会者の私に相談持ち掛けてきたくらいだが…お客さんに泣きついているくらいで、自信をもってあなたの体を直します!と言えないのだから、お客が来ないのは当然ではないだろうかね?ストアマネジャーが、どう運営していいのか分からないという相談をお客にすること自体が、どんな意味を持つのか?分かっていない。

水泳では、たったの月会費2000円で、オリンピック選手の候補に挙がったくらいの先生が、先生自らが潜って、私の呼気が十分かどうかを見てチェックしてくれる。その10倍以上、25000円くらい払った水泳専門スクールでは、大学生の男性の先生たちは現役選手だったが、泳ぎ方を教えるのは全然ダメで、「うーん、何が悪いんだろう?」と頭を抱える始末であった。プロ魂の入れ方が違う。(女性の先生たちに、こんどお礼もっていかなきゃなー)

結局、男性たちはほとんどのケースで

 教え方が分からない

のである。

クライミングも同じことだろう。いくら技術解説書が出ても、例の例えば、アルパインサマーが出たとしても、それは

 ロッククライミングインストラクターズマニュアル

ではない。

だから、昔の俺とは異なる新人が来たら、どう教えてよいか分からない。

村上先生は良い講師だった。鈴木清隆さんも良い師匠だった。青木さんも良い先生だった。吉田さんもなくなってしまったが、暗示で教えてくれた、と思う…。

私の持っているスキルの最も良いものは、

 良い講師を見つけるスキル

で、10年たってもロープドラッグで登れなくなることがあるということを分かっていないクライマーってのは、そのスキルが低い。なぜなら、登っている理由が、俺を見てくれ、注目してくれ、という、結局のところ、技術習得を主眼に活動しているわけではないからだ。結局、ものすごく自己肯定感が低いクライマーだ、ということなのではないだろうか?

私が提供できる情報やサービスは、

 40代でアルパインクライミングをスタートしても、単独初見で阿弥陀北稜程度には楽勝で行けるようになるスキル

です。フリークライミングの分野では、まだ、

 ちゃんとした講師

が発見できていません(笑)。

故・吉田さんにその役をやってもらう予定だったんだけど、吉田さん、予想以上の早期に亡くなってしまったんで。

<参考記事>

村上先生の訃報

https://allnevery.blogspot.com/2022/04/blog-post_19.html