2019/10/02

貧しい若者vs豊かな高齢者

■ 今日本の高齢者と若者の間の経済観念の差

数年前ですが、お正月の帰省で、実家の義父を温泉宿に招待したことがありました。13800円のお宿でした。

その時の義理の父は、「一泊6万円のカニ食べ放題の宿に泊まりたい」ということでした。

今の温泉宿は、普通ランクで一泊15800円。ちょっと節約して13800円みたいな宿が普通で、お腹が苦しくなるほどのご馳走をもてなしてくれると思います。旅館に一人で泊まることはないので、大体3万円コース。

ただ義理の父が理想として語った贅沢は、一泊6万円の宿…(汗)。私たちが招待した宿ではちっともうれしくないと言われているようで悲しかった…(涙)。一泊6万円の宿の贅沢は、バブル時の話でしょう…。

一般的に言って、今の若い人は、低所得化しているため、一泊13800円も高すぎて出せません。私たち夫婦も年に一度の贅沢。

今回、AirBに泊まっていますが一泊3名で3400円ほどです。どうです?格安でしょう!

それでも、今までの素泊まりの民宿6000円みたいな、擦り切れた畳の、障子も破れたの、みたいなのではないです。インテリアにもそこそこ配慮され、家電も整備された、非常に快適な宿に泊まれます。半額しか出していない上、3人で割れば、一泊一人1500円です。

わたしは一人旅の時は、バックパッカーやゲストハウスで泊まるのです。東京でも1500円から3000円程度のに泊まります。海外ならなおさらです。それでも、海外だと、日本の素泊まり6000円の宿より、うんときれいで、洗濯もでき、自分で掃除、洗濯するし、個室だったりもして、プライバシーもあります。

日本の旅館の素泊まりは、プライバシーがない。毎日してほしくもない布団の上げ下げがあります…。私は人に何かされると、申し訳なく感じて、快適でないので、どっちかというと、自分のことは自分でするのが好きです。

というので、

 日本の贅沢=上げ膳・据え膳&贅沢&布団の上げ下げ

 世界で流行中の旅行スタイル=できるだけ安く長期間

と発想の土台が、そもそも全く違うのだということを今回は強く思いました。

■ やってあげる&やってもらう

日本の上げ膳据え膳スタイルを、バックパッカーの宿みたいな低価格の宿で、期待するというのは不可能です! 

しかし、年配の方、特に男性は、上げ膳・据え膳が家の中でも普通なので、それに慣れ切っているため、してもらっていること自体に気が付いていないかもしれない?と思いますが…。それを低価格の宿で、両立させるのは不可能ですので、やはり、そういうサービスが欲しい人は、お金を出して日本的旅館に泊まるのが良いと思います。

私は、安く長期に旅行したいタイプなので、食事や掃除、洗濯などの基本的な生活を自分で処理する旅行スタイルが好きです。これが

 暮らすように旅する、

という旅のスタイルだと思います。日本が気が付かない間に、世界の人の旅行のスタイルは、暮らすように旅するスタイルに変わっているのだと思います。

でも、そこの差に気がつけないと、暮らすということを日本のご家庭ですら、ちゃんとはやっていない男性たち(あるいは、地図を読んだり、携帯を使ったりできないおばちゃんたち)は、生活を自分で始末できない=旅すること自体もできない、ということになってしまうかもしれません。

暮らすように旅するのは、何でもやってもらうお仕着せの贅沢より、自分のスタイルにできるため、気を使わなくて良くて、自分でやるほうが楽だという人も多いのでは?

悲しいのは、団塊の世代の1世が、幸せだな、贅沢だな、と感じる幸福の基準が、一泊カニ食べ放題6万円みたいなところに照準が合わさってしまい、その時代はとっくの昔…そうですね…約、30年近く前に終わっているのに、その基準を下げられないことです。豪遊みたいなことがまだ幸福だと思っている。

そんなのに幸福を見出す若い人は、今の時代すごく減っているかもしれません。なにしろ、ビーガン男子がホリエモンを凌駕しそうな勢いです。つまり、草食マッチョな男性が、メタボのお金持ちよりかっこよく見えます。

■ 若い人は孝行したくても支払い能力がない

例えば、一泊6万円だと1泊で、普通の価格帯の旅館と比較しても、4日分です。格安でもない国際的には普通の価格で、3000円の宿に泊まるような場合と比較すると、20日分だということです。

今回も3人で、AirBの宿に泊まったからこそ実現できた低価格で、近所にあるシティホテルは、やはり一泊が9000KRW程度かかるようですので、それに泊まるとなると?

10日いれば、9万円。いくら飛行機が安くても、食事代も入れれば、12~3万円には、すぐになってしまうと思います…。12,3万もするなら、韓国までクライミングに来るより、宮崎の比叡に行った方がいい、となりますよね。

カウチサーフなどで会う海外の人は、どう見ても、すごく安く旅行していそうです。それは、むしろ中産階級の中国や韓国ではなく、ヨーロッパ系の人たちがそうです。

そういう人たちは安いからと言う理由だけでカウチサーフを利用しているわけではないと思います。

シティホテル宿泊の旅行スタイルで旅行しても、利便性が向上しないためだったり、お得とも感じられないし、人との出会いを楽しむことができないから、かもしれません。

旅を楽しくする要素、それはたぶん、第一義的に人、です。

■ 同じ構造

同じ構造が、たぶん、年金制度でも起きており、年配の人は、年金が足りない、足りないと嘆きます…が、現実を見れば、自分が支払った額より多く貰う、最後の世代であり、しかも、現役の月収より多いくらいもらっているので…。

正直なところは「贅沢に暮らしてきたので、今さら生活基準を下げれない」ということだと思います…。

だとしても、いくら若い人が年配の人に孝行してあげたくても、一泊3000円が最大の人が一泊6万円をおごってあげるのは、不可能かも?です。

それと同じことで、いくらクライミング同行してあげたくても…。一泊1万円が普通の、高額なホテルにしか泊まれないという場合、なかなか付き合えるだけの経済力のある若い人は、いないかもしれません。

それくらい年配者と若者の経済観念に差ができているということだと思います…。

■ 日本の若い人は情報に疎いかもしれません

クライミングでは、日本人の若い人が全然海外にいないのは、たぶん、情報の遅れと英語が話せないという思い込みのせいだと思います。

貧しい日本人の活路は海外ですよ~