2016/10/05

行った山と行かなかった山 

最近学んだことのまとめ。

1) 80mのロープのこと

日本では、70m以上のロープは非常に手に入りにくい。気に入っているテンドンに問い合わせたら、輸入するのに3か月かかると言われた。

私はどうせなら南沢大滝でも使える長さのロープが良いと思い、80mを検討したが・・・ジムには、ベアールしかなかった。ベアールは耐久性がないと言われている・・・。しかも、3万円。

メーカーでは、

 ・マムート
 ・エーデルリッド

がおススメ。ペツルはエーデルリッドがOEMで作っているらしい。以前ミレーのロープを買ったが、同時期に購入したテンドンと比較して、固くなるのが早かった。もちろん、固くなっても、使用に問題はないのだが。

ロープは買い物が難しい道具のひとつだが、初心者の頃によく研究した成果が出ている分野でもある。ちゃんと議論できる。

あまり極端な細径を買いたいとは思わない。のは、ロープ自体の性能は良くても、ビレイが難しくなるからだ。

しかも、レスキューでは一本に二人がぶら下がるのですぞ?

極端な細径=ビレイヤーを選ぶロープ、と言うことだ。

≪比較の例≫

ロープ1
直径:9.4ミリメートル
静的伸び:: 8,9%   → 伸びが大きいとビレイが難しいが衝撃は少なく、支点に優しい
重量:58 G / M    → 大体60g前後が多く、60gを切ると軽い
ダイナミック伸び:: 35%  → 衝撃荷重で落ちたときの伸び 35% 10m出ていたら3.5m伸びる
UIAA数:5-7   →多いほうが良い
Knotability:0.8  →高いほうが良い
衝撃力:7 Kn  → 大体 人間が耐えられる限界が12kN


ロープ2
直径: 9.5 mm
タイプ: シングルロープ(CE EN 892, UIAA)
重量: 58 g / m
外皮率: 40 %
耐墜落回数: 7
静荷重での伸び率: 7.6 %  →テンションしたときの伸び
動荷重での伸び率: 32 %  →墜落した時の伸び
衝撃荷重: 8.8 kN

というわけで比較すると、ロープ2のほうが良い気がする。


2) モンスター化した人は手遅れ

昨日は、素直にビレイを学んでくれる21歳、二人にあって、納得した。

古い山岳会には、先輩の失敗作しかいなかったのだろう・・・と。”モンスター登山者”だ。この人たちを再教育する、ってのは、どんな優れた人にだって難しいことだったのだ・・・。

”先輩は、絶対に落ちないからロープは持っているだけでいい”っていうビレイ教育を受けてしまった人など。

もしかすると、山岳会にはダメな人しか残っていないかもしれない。自立心があり、個人で行動できる人は、入会しても早々と自立してしまうからだ。

これは、会社は有能な人から辞めて行くとい事情と似ているかもしれない。

昨日、初めてというような、まっさらな人に、ビレイの仕方を教えたら、ちゃんとできるようになった。

つまり、私が悪いんじゃない。だって、白紙の人に教えたら、ちゃんとしている。同じ教え方なのに。

しかも、感謝までされてしまった・・・。

山岳会では、身銭を切って覚えた技術を、無料で教えて、そして批判された。態度がエラそうなんだそうだ。

しかし、タダで教えてもらって感謝しないのだから、どっちがエラそうなんだろう・・・。

百歩譲ってエラそうだとしても・・・死の危険に晒すことを正当化する理由にはならない。

3) 愛され下手 

独学の人は主体性がある。その弱みは、なかなか人の言いなりにならない、ということだ。

主体的 → 人の言いなりにならない → 受取り下手 → 愛され下手

 強み 主体性 

 弱み 受取下手

これは前の師匠の時に気が付いた。

師匠は今の時期に必要なことをしてくれようとしたらしいのだが、何をしようとしているのか、意図が判明しないと嫌な気持ちになった。

・・・というのは、独学の人と言うのは、あらゆることを、意識的に取捨選択しているものだからだ。

・なぜ、今それが必要なのか?
・自分自身の目標達成に、なぜそれが役立つか?

を教えてやらないと、ヤル気にそもそもならない。受け取りさえしない。

例えば、フリークライミングの重要性は、アルパインクライマーにはなかなか分からない。特に世界の高峰を目指しているような人ではなく、ただ楽しく趣味でやれたらいい、くらいの困難度しか求めてない人が、なんでことさら、フリーを頑張らないといけないのか?というのは、ベテランでも躊躇するくらい複雑な説明になるだろう。

しかも、フリーをするには、インドアのスポーツクライミングをしなくてはならず、そうなると、山でさえなくなる・・・ので、かなり説得には苦労するだろう。

4) 説明上手

それでも、メリットもある。私は説明上手で、ヨガでは通っている。アルパインでも、クライミングでも、やっぱり、 説明上手だと思う。ジムで初心者の人に教えていたら、すごく説明が上手だと言われた。

私は、自分が説明されたかったなと感じるので、きちんと

 なぜ今それをしないといけないのか?説明できる。

なので、説明して、理解に基づいて納得して、私のいうことを聞いてくれる。不必要な権威に頼る必要がない。

人が納得するには、4つのパワーがあるが・・・正当性のパワー、恐怖のパワー、専門性のパワー、報酬のパワー・・・

説明を端折りたい指導者・・めんどくさがり屋・・・の人は、たぶん説明を省きたがるという点で、主体性がある独学タイプの人を教えるのは、その指導者にとってチャレンジになるだろう。

その人は誰かに何かを教えるには、ほかの権威を必要とするはずだ。

というわけで、私のもつ強み、主体性という強みからくる特徴は、説明上手である、ということだ。

5) 大人の指導

基本的に、大人から学ぶことは何事であっても、成長期とは学び方が違う。

大人の強みは、理論で理解し、理論で覚えるということ。

成長期のように、良きも悪きも、すべてを吸収し、物マネできる、ということではない。

今後の人口動態を見ると、どうしても大人に教える機会の方が子供に教える機会より勝る。

6) 率直に感情を表現できることが必ずしも良い結果になるとは、限らない

これは説明を省く。感情が表現できる人は、好感をもたれやすいが、表現されても、受け取れない感情というものがよくあるものだ。

7) 容姿についてのコメントは、どんな場合もNG

褒めたつもりでも、褒め言葉にならないことが往々にあるのが容姿。体型や見た目についてのコメントは、ひかえるべし。

8) 元気がもらえる

敦子さんからのメールはいつだって元気がもらえる。トレーニングした内容が書いてある。

私も日々トレーニング日誌をつけているような位置づけで、このブログを開設しているのだが、元気を人に与えてあげられるような内容になったらいいな~と感じている。

9) 食事

今日は朝からトレーニングで裏山に行ったら、帰ってきたらバテてしまった。

やはり食事による補給がイマイチうまく行っていないようだ・・・。糖質が切れて、電池切れ状態になってしまったのだ。

今日は蒸し暑かったし、予想より、長居してしまった・・・ってことがあるが・・・。

食事は、もう少し、一般人のカロリーよりも多くが必要なのかもしれない。

10) 規律

私の中で喜びと感じられることを精査すると、やっぱりトレーニングしたりしていると幸せである。

前に進みたいのだから。少しでもいいから。

・・・ということは、私は意外とストイックな性格なのかもしれない。もちろん、山ヤはみなMなんだが。

規律がある生活は、実はむしろ好きだった・・・中学の頃の洋上研修で理解した・・・が、好きだった理由は、それが人の都合ではなく、海の意思、言い換えれば神の意思だったから。

山もあまり早起きが苦にならないが、それは山の事情で人間の事情ではないからかもしれない。

11) 意欲と煩悩

山の良さはプロセスが作る。楽しても登っても山の良さは変わらない?いや、全然違う。楽して登れば、すぐに印象が薄くなり、忘れてしまう。

プロセス不在の山・・・もっともっと・・・という山はあまり好きではない・・・。

煩悩を満たしているだけのように感じられる。 実際、去年の沢山行は、立て続け過ぎて、それぞれの沢の良さが感じられなくなってしまっていた。

一方、チャンスには飛びつくべきだ。

が・・・今年飛びついた結果が、前から行きたかった、烏帽子岩左岩稜だが・・・これは、内容的に”受け取る”山になってしまった。

唐突だったからである。連れて行ってもらった山だ。

一方、同じようにチャンスが来て飛びついた山であっても、乾徳山旗立岩中央岩稜は違う。積み上げた結果の山となった。研究に研究を重ねて出かけた。

それぞれの記録を見ると内容の濃さが違う。 

私は、山を数こなしたいわけではなく、山をまつわる思い出を紡ぐという、紡ぎ活動をしたいのだ。

心を込めて、丁寧に紡いでいくことを・・・それは山ではなくても、どのような活動でも同じで、生き急いだり、味わうことを辞めてたくさん食べる気持ちで食べるときのような気持ちに走ったり、今買っておかなくてはもう買えなくなるという心理に走らされるバーゲン会場のような、消費活動に走ったりしてしまっては、山の味わいが半減する、ということだ。

味わいが薄れてしまっては、何かをしてもしなかったのと変わりがない・・・

したがって、そのような山は、傍目からは羨ましく見えるものだが、しない方が良い。

人間のインテグリティーは何を選ばなかったか?にも表れるものなのだ。