2016/10/03

フリークライミングについて理解したことのまとめ

フリーを今年は集中してみようと言うことで、年初から取り組んでいるわけだが、また見識が増えた。

ので、まとめておく。

今の登山の世界の問題は、ステップアップの手順がイマイチ教えられておらず、場当たり的に楽しんでいるだけ・・・ということに陥りがちだ。

ちゃんとカリキュラムとして組んでいる、ということが大事だ。

■ 外岩

スラブ、クラック、フェイスと3種目をきちんと学ぶことが大事。

初心者が外岩に行く場合は、スラブから。クライミングの歴史を振り返っても、フェイスや前傾壁は、歴史的に後のほうで出てきたクライミングで、習得もクライミングの歴史を踏襲するようなスタイルにすると無理がない。

1)スラブの習得

スラブをするなら、以下を順繰りにリードできるようになるべきだ。

 1)十二ヶ岳の岩場で優しい課題 (5.8トパーズ)

 2)小川山で”春のもどり雪”(5.7 3ピッチ)

 3)小川山で”ガマスラブ” (5.8~5.9)

 4)小川山 ブラック&ホワイト (5.10A)

 5)小川山 ジャーマンスープレックス

その他、アウトオブバランス、ブラックシープ、がスラブの習得に使える。

最初にスラブをしないと足遣いを覚えられないと思う。人工壁では前傾壁主体の為、足を使う感覚は覚えられない。

2)クラックの習得

 クラックもアルパインをするなら習得が必要。クラックの方が女性に易しいかもしれない。

 1)小川山レイバック 5.9

 2)湯川デゲンナー 5.8

 3)小川山龍の子太郎 5.8

 4)湯川コークスクリュー 5.9

 5)小川山 カサブランカ 5.10A

それぞれ、トップロープで習熟して、プロテクションの設置を学び、リードへ進む。クラックデビューには湯川は外せない。易しい5.9がたくさんあるからだ。

3)フェイス

フェイスは、もっとも難しいので、ハッキリ言って、初めて取り付く対象としてはツラいかもしれない。

 1)十二ヶ岳の岩場 山羊座の下に(5.8)

 2)小川山 小川山物語 5.9

 3)小川山 卒業試験 5.10A

 4)小川山 レギュラー 5.10b/c

■ 外岩デビューのタイミング

外岩へ連れて行くのに、良いタイミングは、山岳会の先輩などは、とにかく初心者は興味があろうがなかろうが、まったく登れない一発目から連れて行くというのが方針。

しかし、その後は放置である。とうことはつまり、体験的クライミング。したがってこれはデビューとは言えない。

一般にアルパインの初級ルートは、十二ヶ岳の岩場のトパズ5.8がリードできれば、問題がない。

トパズは、私が初年度でリードしていた課題だから、本チャンへ行くための登攀力はそう高いものが必要と言うわけではないと思われる。

■ 第一段階

一方、フリークライミングという領域に入るのは、5.9から上であり、5.9アンダーの場合は、まだフリーの領域には達していない。この段階ではガイドさんなり、なんなりの講習が必要だ。

5.9へ移行するのが、大変長い時間がかかる。これは、ただまぐれで一本だけ5.9が登れたというような状態ではなく、常に安定して登れるという状態との幅がかなり広いから、ということだ。

安定には、多少のムーブの習得が必要で、インドアジムに例えると、7級が滞りなく、スイスイと登れるという程度なのだろうと推測される。

7級と言えば、腕力がある男性は、クライミング初日でも登れてしまうが、だからと言って、そのスタイルで登り続けられるか?と言うと、登り続けられない。一か八かになってしまう。一か八かでは本チャンへは連れて行けない。

(何も習得していない状態で登れるグレード)と(習得済みで登れるグレード)では、大きな開きはないのだ。だから、この段階で、グレードを気に掛けても仕方がない。

したがって、インドアへ進み、インドア7級がエキスパート化するのを待つのが良いだろう。

インドア7級がスイスイになったら、5.7くらいから外岩での感覚を掴めばよいのではないだろうか?

ただしインドア7級と外岩5.9アンダーの質の差は大きく、登れないことにビックリすると思われる。

ここはもっとも時間がかかる段階だろうと思う。むしろ、セカンドで本チャンの数をこなす方がクライミング力は身につくと思われる。

■第二段階

次の段階は、

 ・外岩5.9のオンサイトを貯める
 ・5.10Aのリードが課題に因ってはできる
 ・10bが課題に寄ってはTRで登れる
 ・10代後半をTRで苦戦しながら登る

と言う段階かと思うが・・・現在私はこの辺だが・・・ こうなると、インドアでは5級がこなせないと、というような段階かと思う。

■ まとめ

というようなことを考えている。これまで3年の知見で分かったこと。

ルール1 体験的クライミングは早いうちが良い
ルール2 インドアで側対を覚える(7級)
ルール3 ”近所のゲレンデ”に毎週行く 日和田、広沢寺、十二ヶ岳の岩場レベル
ルール4 並行して本チャンへ行くべし
ルール5 5.9が登れるようになったら安定を目指す
ルール6 インドアクライミングは体が壊れるので集中して登ることはできない 時間をかけるべし
ルール7 5級はデシマル変換すると、11への壁に近いのでは???ここは不明。

私の周囲の女性クライマーを見たら、段階1から2まで行くので3年、安心して、5.10Aクラックがリードできるような状態(11が限界グレード)へ進むまで、2年くらいはかかりそうに見受けられる。

ということは、私が目指している ”5.9マスター”(マスターというのは習熟者と言う意味。5.9だったらどんな課題でも決して落ちない人)へ到達するのは、5年がかりということだ。

しかも、環境に恵まれスムーズに行った場合の話である。山岳会など環境がなければ、もっとかかるだろう。

インドアクライミングは、大体、7級、5級、3級で壁というか区切りがあるらしい。一旦3級をマスターすると、しばらく登らないで落ちても、5級は登れる、というような具合なのかもしれない。

■ 特急コース

もちろん、男性は女性とは比べ物にならないスピードで成長する。私より後に登り始め、みっともないムーブで登っていた若い男子のクライマーが、冬季登攀中級クラスの中山尾根にリードで取り付いていたりする。

が、結び替えでは、メインロープを自分自身から解いて、末端を支点に通して結び替えていたり、レスキュー自体を知らなかったり、ロープを出すのが当然のところでロープを出さなかったりする。

つまり、有り余っている体力と度胸で、一か八かのクライミングを若い間は繰り広げ、落ちて死んだらサヨウナラするという話になっているようだ・・・。

そのようなクライミングは当人は良いが、レスキュー技術と言うセーフティネットも不在で、ギリギリとも称することができない・・・。

その証拠に、子供ができるとこういう人は山に行かなくなる(笑)。つまり死ぬかもしれないと言う確率はかなり高いことをやっているという自覚が濃厚にある、という意味だ。相手も自分の技術不足で殺してしまうかもしれない。

ので、予備体力が20代の半分であるような中高年者にはおすすめできない。なにしろ、何かが起こった時、予備体力で切り抜けられる確率は、20代の半分である。

要するに彼らは、レスキュー技術の欠如を4倍の予備体力で補っているのだ。

ちなみに60代に入ると予備体力はゼロと言われている。

・・・ので、ますます一か八かは許されない。要するにプロテクションや万が一の保険が重要になるということだ。

年を取ればとるほど、予備体力で、技術不足をカバーできないと言うことは良いことなのかもしれない。

予備体力と言う名の体力とセットでレスキュー技術がある人が挑むべきなのが、ギリギリと思う。若い男性には、そういう風にギリギリに挑んでもらいたいものだ。レスキュー技術がなければただの無謀だ。

・・・という訳で今日の言葉。

Speed doesn't matter. Forward is forward.