さて続きを書きます。
山梨時代は、体重差を理解しないクライマー男子に悩まされた時代でした。
ビレイを教えるときに、端的に体重差は15㎏差までとしか教えられていないからです。なぜそうなのか?もっと踏み込んで教えないと、男子は分かるようにならないですよ。
人工壁のリスク①体重差
山梨〇ルパインクラブでは、人工壁は、会の人となら誰とでも組むのでしたが、50代前半の女性会員を会長としか組ませず、その理由を当人に聞いたところ「その女性に怪我をしてほしくないから」という理由でした。これって、私はほかの男性と組んでいたので、私なら怪我をしてもいいってことですよね???
かなり失礼なのですが、そのことは分からないみたいでした。
というので、その会は1か月でやめましたが、アラーキーは、そこでの先輩でした。先輩っていうけど、一か月程度しかいなかった会なので、知り合いに近いかもしれません。
まぁ、でも、先輩であるという意識はありました。なにしろ、登れるグレードも上だし、一般的に言って男性のほうがクライミングには有利だからです。
で、その会の女性が私と組みたがり、私は練習台なのかな?人工壁で大墜落をしたことがあります。
人工壁のリスク②握力
私は腕力は平均だけど、握力が平均より著しく低いのです。握る力が弱いんです。だから人工壁は苦手。17㎏しかない。師匠の鈴木さんは65㎏でした。
で、人工壁の終了点が固くて開けれず、一番上で落ちたんですよ。そしたら、床から50cmくらいで落ちました。これは、周囲が息をのむ墜落で、この女性クライマーは、他の男性と組むと軽くて吹き飛ばされるけれど、私となら、まぁ体重差がないので止まりました。けど、50cmってヤバいですよね???
それで、わたしは、ちゃんと体重がある人と登ろ、と思ったんです。
ところが、体重がある人でも、ガンガン落ちる人は、前述の新人君のように逆に危ないです。
リスク③人工壁でもふい落ち不可のケースもある
なので、体重が私の体重48㎏に+10㎏程度で、ふい落ちしたりしない、落ちていいのはどこかも分からないような初心者は終わった人と組みたかったのです。
リスク④人工壁のグレード=アルパインと思ってしまう
その後、私は別の相方が会でできましたが、その彼は、5.11がジムで登れるというだけでその年に北岳バットレス四尾根に行くと言い出し、これは、会の会長さんも疑問を投げかける、危険な行為でしたが、誰も危険を指摘してくれず、(というか、どう指摘しても聞き入れないだろうと思っていたのでしょうか?)、会の先輩でガイド資格を持っているハッシーが、見極めの山として、立岡山左稜線に連れて行ってくれたのでした。
これは、無謀なクライミングを決行しようとしている相方に、”めっ!”という山で、そもそも、5.6程度のところですら、相方はロープワークであたふたしてしまい、ハッシーのジャッジは「これじゃ渋滞を作り出してしまうな」でした。
ロープってちゃんと流れるように配置しないと登っているうちに重くなってきて、男子ってだいたいそれは、ビレイヤーの性だって思っているんです。違うよ、ビレイヤーが悪いのではなく、ロープの屈曲、つまり、ロープドラッグでそうなるんだよ、ってことがリードクライマーにはわからないんですよ。
それでその相方とはバットレス4尾根に行かなくてよくなり、難を逃れました。バットレスを受け入れてしまった理由は、私は3年後くらいの目標だと思って受け入れたんです。一緒に切磋琢磨して、ココが行けるようになろうね、みたいな。
一回もバリエーション行ったことがないのにいきなり行くって変です。
つまり、これが人工壁のリスクですね。自信が付きすぎる。山での体力とは別物ですよ。
体重差に話を戻しますと、登山自体が体が大きい方が歩荷に有利なので、体が大きい人は体重が重いことが多く、それは、基本的には、クライミングが下手だったり、激落ちの墜落をされるとこちらのほうが、ぶっとぶ、ってことを意味します。
私は体が当然ですが小さいので、ぶっ飛ぶと死ぬ可能性があり、それを体重が重いクライマーが理解してくれないことがものすごく課題でした。
体重が軽い、体格の小さい男性クライマーに惹かれるのはそのためです。彼らは、同じ目にあった経験があり、大体で図体のでかい、愚鈍なタイプのクライマーを忌避しています(笑)。
人工壁のリスク⑤ビレイヤーに及ぶリスクに言及されない
スポーツクライミングでは、体重差によるリスクの違い…特に体重が思いたい人は相手を死の危険にさらしてしまう可能性があることをきちんと指導者は体重が重たい人に伝えていただかないと、その人は、時限爆弾化します。
クライミングでは、落とされる側のリスクばかりが強調され、逆にビレイヤーに危険が及んでいることが、正確に教えられていないです。
もちろん、重たい人をビレイするときは、その重さに相当するような重たい人が必要です。
70㎏や80㎏という体重は重たい方です。おなじ70㎏や80㎏のビレイヤーを選ばないと、激落ちしたら、下のビレイヤーは吹っ飛んで首の骨を折ります。
そういう事例がYoutube動画でも上がっていました(今は削除されているようです)
https://stps2snwmt.blogspot.com/2014/04/blog-post_85.html
人工壁のリスク⑥ダメな奴は新人に押し付けてしまえ…ババ抜きゲーム中
さて、こういった事情が分かっていないクライマーを、わざと私にあてがおうとする力が山梨のころから働いていたんですよね…
その一人が、アラーキーだったかもしれません。もともとリスクを指摘されていた人でした。
ただ彼自身も自分の何がみんなに、危険と指摘されるのか、わからなかったんじゃないかなぁと。
人工壁のリスク⑦ロープドラッグに無自覚になること
大堂海岸に行ったときは、俺はカンタンルートをなめている?と自問自答しているようでしたし、件名に支点については勉強しようとしており好感が持てました。もしかしたら、誰かからそう言われたのかもしれませんが…。
舐めているの中身は、簡単なグレードのところで、つまりリッジ登攀でのロープドラッグしない視点構築の技術を学び損ねていることです。それはアイスのリードで、屈曲が激しいことからもうかがえました。(相沢)
で、その中身は、白亜スラブではっきりと明らかになり、カムの配置がまずくてロープドラッグになりましたし、ロープ自体も足りませんでした。ロープドラッグは、ショートでは問題が出ない、問題に気が付けないことが多いです。ロングルートでは…だったり、そもそもロープ長を計算していないのではないかという点だったり。
人工壁のリスク⑧ロープ長やシングル以外のロープの選択に無自覚になる
ですね。
そもそも、人工壁に限らず、ボルトルートというのは、お習字で言えば、お手本をなぞっている段階で、まだ自分の書を描いている段階ではないです。
そのお手本をなぞるということだけも、きちんとは踏襲できていない=終了点を見落とすというようなこと…で、冒険的なルートのリードが取れるかというと取れないわけで、それは、本質的なクライミングをしてこなかったからだということに、合理的な結論としてはなるのですが、その理由はなんなのか?
人工壁のリスク⑨同調圧力…みんながリスク軽視すれば自分も
私の目には、仲間に入ることが目的で仲間から尊敬されることは何か?と発想するとそういう行動になるのではないかと思えました。
その後心理学を勉強して、クライマー人種は高リスク志向者たちの集まりで、そのような人たちの演じている交流ゲームが何か?というと、
https://allnevery.blogspot.com/2025/11/blog-post_30.html
に述べましたが、リスクが共通通貨になるということです。
高いリスクを取っている=かっこいい=尊敬、という通貨ということです。
これは、心理ゲームなのですが、世界中でクライマーが陥っており、本音と建前が分かれていて、たとえば、あの、三浦ドルフィンズの三浦さんですら、登ったのは登ったけど降りたのはヘリでしょう。スタイルも減ったくれもありませんが、マスコミには大々的に取り上げられていますが。これを降りたのヘリですよね、って指摘するのが大事です。
リスク取っていないし、ただの大衆受けを狙ったものだということがこのことからわかります。
まぁ誰も高齢者が山で死ぬのを見たくないからいいんですが…ただ最初から予定されていた内容なので、冒険だと持ち上げるのはなんか違う。予定調和だからです。
そういうクライミング界におさだまりの欺瞞に白けていないといけないんですよ、クライマーは。生き延びようと思ったら。
ゲームに乗らない。それが大事です。
その辺の感覚は、一般の男性クライマー並みだったとは思うのですが、要するに並ではだめで、周りの人にビビりとののしられようとも、自分のセーフティ基準は下げない、というくらいの自己規律が必要ですが…とくにアルパイン族なら…
そこは、彼にとっては、安全基準を作っている途中であり、その基準は、みんなと同じにあり、自分自身にはなさそうな気がしました。
それで、私と登っているのも、みんながそうしろというからではなかったかと思います。
私は最初から、クライミング界では、みんなという同質性からは、かなり外れた位置にある、特異的な存在…女性であるだけでマイノリティですし、その女性の中でも高齢というのでさらにマイノリティ…そして、新人という三重苦なので、武器は
知性だけ
という状態だったので、死なないためには、知性をフル活用しなくてはならなかったのです。
だから、アルパイン族の中ではトップクラスの人とつながることになったんですよ。
死なないために知性をフル活用中だという点で同質
だからです。